sideカミト
「む?なんだそれは?」
「勇者の剣らしい」
勇者の剣?
魔王に憧れるやつが勇者の剣?
いや、それよりも勇者の剣にしては小さすぎる。
エストみたいに大きさを変えれるのか?
そっちの鎌はなんだ?
「ぐっ」
「なっ!?」
「自滅!?」
ジオの突然の行動に、俺たちは驚いた。
ジオはなんと、自分の胸に剣を突き刺したのだ。
「グォォォォォォォオオオオオオ!!」
ジオが叫ぶと同時に龍のような翼がはえる。
それだけじゃない。体が龍化していっている。
鎌は龍となったジオの額の角になっていた。
「龍!?まさか自分の体を龍に変化させたのか!?」
再び俺たちは驚愕した。
「オォォォォォォオ!!」
だが龍はこちらのことなんか考えずブレスを放ってきた。
「はぁぁぁっ!!」
その炎のブレスを腰に刺してあった剣で切り裂く。すると炎が剣を中心に集まり、エリスはそのまま回転して龍化したジオに投げつける。
「グォォォォォオオ!!」
龍が咆哮し、尻尾で剣を叩き落とす。
いや、剣が真っ二つに裂けていた。尻尾をよく見ると、剣のように鋭い背ビレがはえていた。
恐らく剣精霊を背ビレとして構築したのだろう。
「ちっ、魔の風を操る大鷲よ、汝、全てを切り裂く剣となれ」
エリスは余り効いていないと判断し、精霊魔装、<風翼の剣>を構えて、
「エリスは注意を引いてくれ、リンスレットはエリスを援護」
「わかった!!」
「わかりました」
リンスレットも精霊魔装、<魔氷の矢弾>を発現させる。
「行くぞ、エスト」
「私はカミトの剣、カミトの望むままに」
俺はエストの手を握り、精霊魔装の展開式を唱える。
「冷徹なる鋼の女王、魔を滅する聖剣よーーーーーいまここに我が剣となれ!」
エストの体は光の粒子となり、剣として再構築される。
「グォォォォォォオ!!」
龍が再び咆哮すると、地面から無数の氷の柱がはえ、進路を妨害する。
「はぁぁぁっ!!」
エリスは氷の柱を逆に利用して立体的な動きをし、一撃離脱を繰り返していた。
「負けてられないな、求めるは光陣>>>・縛呪!」
俺は一つの氷柱に縛呪をセットして、切り込みをいれる。
そして氷柱に傷をいれて、縛呪を引っかける。それを何度も繰り返す。
リンスレットも負けていない。リンスレットはエリスに向かう攻撃全てを撃ち落としているのだ。
「エリス!離れろ!!」
「わかった!」
俺はエリスが離れるのを確認して、縛呪を思いっきり引っ張る。すると、切れ目が広がり、龍へ向かって氷柱が倒れる。
「グァァオァァァァ!!」
龍は下敷きになり、苦しいのか叫び声をあげる。
「求めるは光を宿す剣>>>・光剣!!」
俺は属性付属魔法で光を付属し、聖属性との相乗効果で威力を倍増させ、龍に切りかかる。
「グォォォォォォォォオオ!!」
龍は急に咆哮し、氷柱を氷柱で押し退け、爪で<魔王殺しの聖剣>を受け止める。
「この爪も剣精霊か!!」
ガキンと押し返され、逆の手の爪が俺に迫る。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
その爪をエリスが剣で防ぐ。
「おい!さっさと退け」
俺はエリスに従い、後退する。
「カミト、大丈夫?」
「ああ、なんとかな」
心配するクレアに大丈夫だと言い、頭を撫でる。
「どうしましょうか?エリスさんが時間を稼いでいるようですが、それもいつまで持つか」
「どうにかしてライナ・・・・・」
そう俺が言いかけた瞬間、龍を雷が貫いた。
「大丈夫かって、訊くまでもないか」
そこには白銀一色の槍を持ったライナがいた。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
side ライナ
時を遡り数十分前
「って、まんまと嵌められたな」
俺は龍の顎に飲み込まれ、土に戻った塊に閉じ込められた。
「冷たいし硬いし狭いし、最悪だな」
主に眠るのに
「あ、でもエリスに言い訳が・・・・・」
そう考えたが、すぐに否定する。
あのエリスだ。こちらのことなど考えなしに首を切られるだろう。
「はぁ、休めると思ったんだけどな」
俺は僅かに動かせる腕を前に向ける。
「轟雷を降らす白き幻獣よ、我が障害を貫く槍となれ!」
雷の精霊の精霊魔装<白雷の槍>を顕現させる。
「壊せ!」
ランスから雷を放ち、土の塊を破壊する。
「あー、よし」
俺は軽く体をほぐす。
「さっさと行くか。我・契約文を捧げ・大地に眠る悪意の精獣を宿す」
怒りが小さいうちに侵入者の歩いた痕跡を追う。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
しばらく走るとエリスが龍と戦っていた。
援護しておくか。
「はっ!!」
俺は<白雷の槍>で龍を貫く。
「遅いぞ、ライナ!」
感電している龍から離れ、エリスは俺へ蹴りを放つ。
「悪かったよ」
俺は蹴りを障壁で防ぎながら謝る。
「ま、話は後だ、とりあえずあいつを倒すぞ」
「ああ、そうしよう」
エリスは前に出る。
「後ろは任せた」
「はいはい、リンスレット、龍の足を凍らせろ。カミトはとりあえずエリスと一緒に突っ込め」
「わかりました」
「わかった」
「んで、クレアはフィアナと祭殿の防衛」
「わかった」
祭殿で恐らく儀式をしているであろうフィアナ以外へ命令する。
「あの様子だと、土精霊を纏ってドルエリで龍化しているな」
どおりで血が出なかったわけだ。
「ま、実験体になってくれよ。求めるはーーーーー」
これは数年かけて大規模攻撃魔法を圧縮し、改良を重ねた物だ。
「幾万の雷を内包する王の大槍ーーーーー」
<白雷の槍>が放電しながら巨大化し、俺と龍の間には何枚もの魔方陣が展開される。
「>>>・雷王の大槍!!」
巨大化した槍を放つ。
放った槍は魔方陣を貫き、魔方陣から力を得て更に巨大化しながら加速する。
その槍が龍を襲う頃には龍の倍以上の槍になり、そして広範囲に放電した。
「「は?」」
リンスレットたちは少しまぬけな声を出した。
それもそうだ。俺もこんな威力になるとは思っても見なかった。
軍用精霊でも一撃で戦闘不能になる威力だった。
「グッ・・・・・!」
侵入者は忘却欠片のお陰で、一応は生きているようだ。
真っ黒コゲだが・・・・・
「ライナ!!巻き込まれるところだったぞ!!!」
「うお!?タンマタンマ!!俺もあんな威力になるなんて思わなかったんだよ!!」
「死ぬかと思ったんだぞ!!」
エリスとカミトは龍に一番近かったのだ。
カミトが咄嗟に判断し、雷を切り裂き、エリスが斬撃で散らさなければ、火傷では済まなかっただろう。
今は俺が切り裂かれそうだ。
「本当に悪かったって!!」
「本当よ!私がいなければクレアたちが黒コゲになっていたわ」
フィアナの方を見ると、巨大な聖精霊が召喚されていた。
「と、いうことだ。お前には奉仕活動として騎士団の手伝いをしてもらう」
そういえば騎士団ってエリスが団長を務めているんだよな。
「存分にコキ使ってやる」
「やりたくねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
逃走しようとするが、神威と魔力を使いすぎたせいで、力が入らず、倒れ、そして気絶した。
はい、新しい精霊魔装が出ました。
雷属性です。つまり新しい精霊です。
そしてオリジナル魔法。
雷王の大槍。
強すぎるね。その代わり詠唱には五分かかります。
戦争で使えば蹂躙確定だね。
今回は詠唱を縮めて威力も低めにしているため三分で打てました。
そのおかげでジオは生存。忘却欠片も壊れませんでした。
まあ、魔力と神威を大量に使うため、バンバン使えるものではないです。