side ライナ
カミトを助けたあと、俺たちはだんご屋に来ていた。
「まただんごか・・・・・」
「ん?なにか問題があるのか?」
「いえ、ありません!」
カミトが不満を漏らしたので、エリスに剣を突きつけられる。
いい加減学習しろよ、カミト。
「チョコだんご?」
「そうだ今日限定だそうだ」
「でも合うのか?」
これでもだんごには詳しい俺だが、チョコだんごは食べたことない。
まあ、並んでいたので美味しいのだと思う。
「私も食べてみたことがないからわからん。食べてみてからのお楽しみというやつだ。というわけで、チョコだんご四皿。みたらしとあんだんご二皿ずつ。お茶も人数分頼む。それと草だんごと三色だんごをお持ち帰りで十セットずつ」
「かしこまりました」
いや、エリス、勝手に注文しないでくれ。
といつか、お持ち帰り多すぎだろ。
一セット三本で二種類十セット。
3×2×10=60
つまり六十本も食べることになる。
ふと、辺りを見回している。
右隣に見た顔があった。
「あら、最近よく会うわね」
それは昨日会ったヴィヴィアンだった。
「ヴィヴィアン、店は大丈夫なのか?」
エリスが俺も気になっていたことを聞いた。
「今日は休みなの。チョコだんごを食べるためにね」
「ふむ、そうなのか」
「ええ、美味しいらしいわよ。私も食べたことないけど」
「そうなのか、楽しみだ」
エリスは顔に出るくらい、楽しみな様子だ。
「そんなに楽しみなのか?」
「当たり前だ!初めて食べるだんごだぞ!楽しみじゃないなんてあり得ない!」
なんか、両肩を押さえつけられ、説明された。
ちょっと引いた。
「お、おう、そんなに楽しみなのか」
ますますこいつが前世で会っただんご少女じゃないかと思う。
「なあ、ライナ。なんであんなこと訊いたんだ?」
「は?いや、思いっきり顔に出てるだろ」
俺はエリスを指差す。
やっぱり楽しそうな顔だ。
「む、なんだ?」
「なんでもねーよ。な?」
「いや、いつも通り無表情にしか見えないぞ?」
どういうことだ?
もう一度エリスの顔を見る。
今度は待ち遠しくて、ウズウズしている。
「やっぱりわかんねぇ」
カミトにはいつもと同じ顔に見えているらしい。
認識阻害系の魔法にでもかかっているのか?
「お待たせしました。チョコだんご四皿にみたらしとあんだんご二皿、それにお茶になります。お持ち帰りの方はお会計の時に。ごゆっくり」
お、来たな。
「んー!おいしい!」
「そんなにか!では私も・・・・・」
ヴィヴィアンの反応を見てから、エリスもチョコだんごを口に運ぶ。
「こ、これは・・・・・!!」
あ、無視しよう。
だんごを食べるのに夢中だったと言えば怒られないだろう。
「カミト、あーん」
「ほら、エスト」
カミトはエストとイチャイチャしている。
「いただきます」
俺はチョコだんごを食べる。
「お、うまいな」
「ね、美味しいでしょ!」
いつの間にかヴィヴィアンが隣に座っていた。
「しかも、お茶にも合うようにされてるの!!凄いわ!!」
こいつも同類か。
とりあえず言われた通りお茶を飲んでみる。
「おお、確かにな」
ゆっくり味わって食べていると、残りの二本のうち、一本が消えていた。
「もらうぞ」
エリスがさも当たり前のようにだんごを頬張っていた。
「そういうのは食う前に言うもんだ。すみません。チョコだんご一皿追加で」
仕方ないので追加することにした。
「すみません、お一人様、一皿限定なんですよ」
「じゃあ、草だんごで」
「かしこまりました」
限定なら仕方ないな。なので、俺は草だんごを頼んだ。
俺の中で上位に位置するだんごだ。
「あ、団長に男二人!!なんでこんなところでサボっているんですか!」
真面目そうな騎士団の娘がこっちに来た。
「ふ、昼休みだ。説明しろライナ」
「はいはい、えー、すこし前に魔獣と凶暴化した精霊の群と戦いました。二桁は越えてました。というわけで休んでいます」
「・・・・・神威を消費したから補給というわけですか。わかりました」
でも、エリスは戦ってなかったような・・・・・
睨まれたので言わないでおくことにした。
「では、失礼します」
お辞儀をして帰ろうとする。
「おい、店の人に迷惑だろ。だんごを買っていけ」
「それもそうですね。では、三色だんご一セットお願いします」
「あ、はい、かしこまりました」
真面目そうな娘はだんごを買って出ていった。
「おい、食べ終わったらすぐに出るぞ」
「「了解」」
カミトとハモった。なんか調教されてるな。俺たち。
「騎士団も大変ね。私はこれで、またね」
ヴィヴィアンが出ていった。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
だんご屋を出た俺たちは真面目に街の警備をしていた。
「どうした、迷子か?」
「落とし物ですか?」
そう、真面目に仕事をしていた。
迷子の保護者を探したり、落とし物を探したり。
昼寝したいのにな。
「あ、スカーレット」
なにか聞き覚えのあるような声がした。
火猫精霊はカミトの頭の上に乗る。
「ん?クレアとリンスレットじゃないか」
カミトは火猫をおろし、クレアとリンスレットの方を見る。
「フィアナは一緒じゃないのか?」
「フィアナは先々行っちゃって、迷子なの」
「お姫様ですから、珍しいかったのでしょうか」
なるほど、そういえばそうだったな。
というか、子供だな。
「それで、カミトたちはなにしているの?」
「なにって、騎士団の手伝い?」
カミトは俺の方を向いてきた。
いや、俺の方を見るなよ。
「ライナも手伝いですか、それで、エリスはなにをしているんです?」
「休んでいる」
エリスはモグモグとだんごを頬張っていた。
俺たちが仕事している時もこんな感じでだんごを食べているだけだった。
「エリスも仕事したらどうですか?」
「仕方ない」
エリスはだんごを食べ終え、辺りを見回す。
「む?あれはなんだ?」
「どれよ?って、めんどくせぇもん見つけたな・・・・・」
エリスが指差した方向を見ると、やたらデカイ猪のような獣がいた。
俺は複写眼で解析する。
「暴走してる精霊だな。種類は魔鏡精霊。ってことは、エリス」
「ふ、私の出番か」
エリスはやる気満々で前に出る。
「さて、俺たちは避難誘導するぞ」
「そうだな」
「私たちも手伝います」
リンスレットとクレアも避難誘導を手伝ってくるようだ。
「じゃあ、頼む。グリフォン、氷虎。お前たちも手伝ってくれ」
俺は二体の精霊を召喚する。
その精霊は静かに頷き、怪我人を背中に乗せて安全な場所まで運ぶ。
「って、あぶね!?」
こちらに暴走した魔鏡精霊が突進してきた。
「ちっ、ちょこまか逃げるな!」
エリスは暴走した精霊相手に圧勝していた。
「おいエリス!危なかったぞ!」
「こいつが逃げるのが悪い」
いったい、暴走している精霊を恐れさせるなんて、どうすればできるんだ?
「って、うお!?」
後ろの建物が崩れ、壊れた建物の破片にぶつかりそうになった。
「今度はなんだよ・・・・・」
崩れた建物の方を見ると、巨大な角を振り回す金属製の大鹿がいた。
「あいつも精霊だな。金剛精霊か・・・・・はぁー」
思わずため息を吐いた。
「めんどくせぇな」
流石のエリスも二体同時に相手するのは無理だろう。
カミトも神威を回復しきってないし、リンスレットたちも相性が悪い。
俺もこんな巨大な相手で、庇いながらだと、本気を出せない。
「やべっ!?」
大鹿が暴れ、突進してくる。
後ろにはまだたくさんの人がいるから、避けるに避けれない。
「来いレッーーーーー」
「<ゲオルギウス>ーーーーー!」
俺が精霊を召喚しようとしたが、その必要はなかったみたいだ。
「助かった」
「いえ、このくらい。私たちチームでしょ?」
「だったな。カミトたちの方に行ってくれ。俺はこいつを相手する」
「わかりました」
フィアナはカミトの方へ向かった。
「めんどくせぇけど、頑張るしかないか」
俺は精霊魔装<白雷の槍>を顕現させる。
「はっ!」
俺は槍に神威を込め、投擲する。
「轟け!!」
<白雷の槍>は爆発に似た放電を起こす。それにより、視界が悪くなる。
「おいおい、マジかよ」
視界が晴れる。
目の前の大鹿は穴が空いているにも関わらず倒れないで、黒い霧のようなものを噴出していた。
「呪装刻印って、こんなに厄介なのかよ・・・・・めんどくせぇ」
本当にめんどくさい。今の一撃にはかなりの神威を込めていたはずだ。
もう一撃放つとなると、二体の契約精霊をここに呼び止めて置くことができなくなる。
魔法もここで使うのは・・・・・って、そんなこと悩んでる場合じゃないよな。
「求め・・・・・」
詠唱は轟音にかき消された。
「・・・・・なんだ!?」
轟音の正体は凶暴化した精霊への砲撃の雨だった。
地面が激しく揺れ、無数の火柱が上がった
その砲撃が止んだとき、そこには、破壊された広場だけが残されていた。
二体の精霊は完全に消滅していた。
「この程度で苦戦しているようでは、まだまだだな」
「ヴェルサリア・・・・・」
上を見ると、巨大な精霊魔装を纏ったヴェルサリアが飛んでいた。
しかし、神威の量半端ないな。あんな巨体を維持しながらバカみたいな砲撃の量。
「ったく、街の人たちが巻き込まれたらどうするつもりだったんだ?」
「あっ・・・・・ふ、ふん!そこに騎士精霊使いがいるだろ」
「いや、気づいてなかっただろ・・・・・」
ちょっとかわいいと思ってしまった。
「まあいいか、全員無事だし」
「切らなければ危なかったがな」
エリスは怒っているようだ。
というか、砲撃の雨を斬るとか、お前凄すぎるだろ・・・・・
「はぁ、誰が直すんだろうな、これ」
「去らばだ!」
ヴェルサリアは逃げていった。
「なんですか、あれ?」
「エリスの姉だとよ」
フィアナの質問に答える。
「あれが、元学園元最強・・・・・」
「元?現在は違うのか?」
あんな滅茶苦茶なやつ、そうそう・・・・・
「そうです。エリスが現在の学園最強です」
エリスの方を見たら、リンスレットが答えてくれた。
やっぱりな。
俺は広場の報告をしに、執務室に向かうのだった。
元最強になりました。
それと呪装刻印がなぜかパワーアップしてましたね。
それとヴェルサリアは原作よりも遥かに強いです。
天然が入ってるけど・・・・・・
それよりも強いエリス。
エリスはライナが来るまで精霊魔装を使えませんでした。
槍だからです。
つまりエリスは精霊魔装なしで・・・・・