side ライナ
目の前には呪詛を腕に刻まれた女子生徒がいる。
「ヴェルサリア、一時休戦だ」
「そのようだな」
女子生徒はこちらを向く。
「お前たちの精霊!貰うぞ!!」
呪詛の腕から三匹の蛇が出てきて、俺たちに襲いかかる。
「ヴェルサリア、それに噛まれるな。呪いで精霊を奪われる」
「なんだと?」
しかし、この呪詛、この世界の物のようだ。
なにせ精霊の契約を無効化し、飲み込み、自分の力にする。
「ったく、めんどくせぇ」
しかし、なんでこの世界に呪詛がある?
「ああ、そうか・・・・・」
小さい頃拐われた記憶を思い出す。
呪装刻印を埋め込まれようとしたが、俺はその呪装刻印にダメだしをして、呪詛を説明し、犯人の自信をなくさせた。
多分、そのときの犯人が作った物だろう。
「おわ!?」
考え事をしている最中に蛇に噛まれそうになった。
「はぁ、使うしかないから求めるは雷鳴>>>・稲光」
精霊魔術じゃ威力が足りなさそうなので、魔法を使う。
「やはりな」
ヴェルサリアがこちらを見て笑った。
メチャクチャ怖い。
「っぐ!?」
稲光は腕に当たったようだが、大したダメージにはなっていない。
どうやら義手のようだ。
「貴様もレン・アッシュベルの魔術を使えたのか、だが、もう私の敵ではない!」
女子生徒が叫ぶと、義手から黒い神威が吹き出し、ヴェルサリアの要塞精霊くらいはありそうな大きな蛇が出てきた。
「めんどくさっ!」
その大きな蛇はどうやら精霊を媒介にしているようだ。
用は吸収した精霊を呪詛と同化させることで呪詛を具現化させた。というところだろう。
「は?」
ヴェルサリアは疑問をもった声を出した。
それもそうだ。呪詛の蛇が女子生徒を丸飲みしたのだから。
「うわ、めんどくせぇ」
どうやら蛇の体内に隠れて、攻撃をやり過ごそうという算段らしい。
「なあ、ヴェルサリア、お前、重装甲形態に戻って空中から砲撃してくれ」
「確かにその方が有利だな。だが、残念だったな。神威の使いすぎであれだけの巨体を維持できない」
確かにあれだけの重装甲を維持するのは相当の神威を使う。仕方ないといえば仕方ないが・・・・・
「はあ、んじゃ、距離をとりつつ槍を飛ばして攻撃しろ。接近すんなよ」
「ああ、わかった」
「んじゃ、とりあえず森林に入るぞ」
俺とヴェルサリアはダッシュで森林に入る。
「はぁ、解除」
精霊魔装を解除する。
なんでかって?
維持するのに膨大な神威を使うからだ。
「求めるは雷鳴>>>・稲光!」
俺は木に登り、そこから稲光を放つ。
「グルルル!」
当たったが少し怯むだけで大したダメージを与えられていないようだ。
「はっ!」
ヴェルサリアが稲光で怯んだ蛇へ槍を飛ばす。
蛇に突き刺さった槍は黒く染まり、蛇の体に吸収される。
「なっ!?」
どうやらかなりめんどくさい相手のようだ。
こんなんだったら勇者の遺物の一つでも預かったほうがよかったな。
「はぁ、めんどくせぇ、ホントめんどくせぇ・・・・・」
しかし、無いものねだりしても仕方ない。
「ヴェルサリア、お前とは相性が悪いみたいだから下がってろ」
ヴェルサリアは認識できないスピードでどっかに行った。
援軍を呼んでくれればいいんだけどな。
「さて、お前の相手は俺だ」
「グアァァァ!!」
蛇は大きな口を開けて俺を飲み込もうとする。
「求めるは水雲>>>・崩雨!」
蛇の口に崩雨を放つ。
「ゴガァ!?」
狙い通り蛇の体は風船のように膨らんだ。・・・・・この場合は水風船か?
まあ、どっちでもいいが
「ガァ!!」
蛇は体内の水をブレスのように吐き出す。
「くっ!」
予想外の攻撃だったため、水に流される。
「求めるは光陣>>>・縛呪」
俺は木に縛呪をくくりつけ、収縮させることで木の上に上る。
「はぁ、要らん武器を与えたか」
稲光や紅蓮だと女子生徒を傷つけるかもしれないから使えなかった。
だが、稲光や紅蓮だったらブレスで木が燃やされていたかも知れないから正解だったのかも知れない。
「起こったことを後悔しても遅いよな」
蛇が今度は水を球体にして放ってきた。
「氷虎、精霊魔装」
氷虎の精霊魔装。<氷牙の銃>を顕現させ、素早く水の球体を撃ち抜く。
すると、水は氷となり、重力に従い落ち、砕け散る。
「ライナ!避けろ!!」
「は?って、うおっ!?」
カミトの声がしたので振り向くと風が無数の刃となって飛んできた。
俺は慌てて回避したため、木から落ちることになった。
たが蛇は回避できず、体に無数の傷をつけることになった。
「ライナ、あんなとこにいたら危ないじゃないか」
「いや、お前の方があぶねーよ。でも、助けに来てくれたんだな、一応礼は言っとくわ」
「俺たちにチームだろ」
カミトはそう返して、蛇に剣を向ける。
「それで、あれはなんなんだ?」
「なんというか、黒い腕の女子生徒が呼び出した精霊モドキだ。女子生徒は蛇の中にいる」
「あの腕は、ジオの使っていた短剣と同じ物なのか?」
カミトは遠回しに忘却欠片かと聞いてきた。
説明した覚えはないんだけどな。
「いや、違うぞ」
相手にすると同じくらいめんどくさいけどな。
しかも今回は遺跡のような閉鎖空間ではなく動き回れる開放的な場所だ。
相性も悪い。
「ちっ、もう動けんのかよ!!」
蛇の傷は既に塞がり、こちらに大きな口を開けている。
「求めるは水雲>>>・崩雨。リンスレット!!」
「わかりました!」
どこからか氷の矢が放たれ、蛇が飲み込もうとしている崩雨にぶつかり、崩雨が凍る。
「ガッ!」
蛇は驚き口を閉めようとしたが、氷が邪魔をして閉じれないようだ。
「エリスはさっきの風の刃を、クレアはそれに火の精霊魔術を合わせて放て」
「わかった」
「わかったわ」
エリスが一振りで無数の風の刃を生み出し、クレアがその刃に火の精霊魔術を放ち、風の刃は炎の刃へ変貌する。
「カミト、行けるか?」
「ああ!求めるは光を宿す剣>>>・光剣!!」
「求めるは殲虹>>>・光燐!!」
カミトが剣に光を宿し、そこへさらに光燐を受け、魔王殺しの聖剣は今までで一番輝く。
「これで、最後だ!!」
カミトが上から下へ、剣を振り下ろす。
光の斬撃が蛇を真っ二つに両断し、蛇は消える。
だが、中にいたはずの女子生徒が消えている。
「お前の精霊、貰うぞ!!」
「しまっ!?」
振り向くと女子生徒が蛇を操り噛みつかせようとしていた。
この距離で、咄嗟の攻撃魔法だと手加減が出来ず殺してしまうことになるし、障壁を張ろうにも時間が掛かりすぎる。
俺は自分が避けられるという可能性に賭けるしかなかった。
「はっ!!」
なかったはずなのだが、女子生徒の呪詛の刻んである腕を槍が貫いた。
槍が貫いた腕は、女子生徒からはずれ、木に固定される。
「ヴェルサリアか・・・・・助かった」
「ふん、私は愚かなチームメイトの尻拭いをしただけだ」
「助けられたことに代わりはないんだ。ありがとな」
「ふ、ふん!!決着はまた今度だ。首を洗って待っていろ!」
ヴェルサリアは精霊魔装を解き、片腕のない女子生徒を担ぐ。
その頬は若干赤い。照れているのだろうか?案外かわいいとこがあるんだな。
「さて、俺はこっちを回収するか、求めるはぁ、えーと、なんか封印ね>>>・封印」
呪詛義手の蛇を封印し、害のないようにし、俺はそれを回収する。
「今日のところは中止みたいね」
「順位は変わらずか」
カミトとクレアは落ち込む。
「なにを落ち込んでいるんだ?」
「だって、これで剣舞祭の出場資格がなくなったも同然なのよ」
どういうことだ?
「エリスのチームに勝った時は四位だったんだ。だからこの試合で勝たないと出場資格が」
なにを言っているんだ?
「あの、カミトくんとクレア。エリスさんたちをチームに入れた時点で出場条件を満たしてますよ」
どこからかフィアナが出てきて二人に衝撃の事実を話す。
「は?」
「だって、エリスさんたちのチーム・ジョーカーは負けた時点でも三位、つまり、そのチームがなくなったので自動的にチーム・スカーレットは三位になったんですよ」
「え、ってことは」
「や、やったなクレア!」
どうやら勘違いだったみたいだ。
俺はその間に元素精霊界から出て、事件に関わっている人物を探す。
パワーアップしすぎたな。
精霊と交わると強くなるとか、なにしてるんだろ?
フィアナは今回は相性が最悪だったため、隠れて隙をうかがっていました。
そして、ヴェルサリアは神威の回復と隙を見つけるために隠れていました。
しかも回復した神威をありったけ籠めた一撃だったのではずせました。
今回の蛇とジオ最終形態のどちらが強いかと言われると、ジオ最終形態の方が圧倒的に強いです。
第一に相性がいい。第二に勇者の遺物と呪詛の差、第三に使用者のスペックの差。
今回の手こずったのは近接攻撃をしたらダメだったからです。