精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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浮遊島

side ライナ

 

昼寝していると、いつの間にか到着した。

港からは<神儀院>の用意した馬車に乗ることになったのだが、

 

「エリスはどこに行ったんだ?」

「エリスなら大丈夫でしょ」

「あー、確かにな。んじゃ、いいか」

 

エリスなら大丈夫だろ。ということで、俺たちは馬車に乗ることにした。

 

「あー、俺とカミトはこっちに座るわ」

「そうだな、エスト、剣になってくれ」

「はい、わかりました」

 

エストは剣の姿になり、カミトが腰にかけてあった鞘に収納される。

 

「ちょっと狭いな」

「あ、なるほど」

「なにがなるほどなんだ?」

 

俺はリンスレットに聞く。

 

「エリスって、乗り物に弱いんです」

「いや、でも飛行艇には乗ってたよな」

「ええ、揺れませんから。でも、馬車となると、酔って・・・・・」

「暴れまわるのか?」

「よくわかりましたね」

 

エリスだったらそうだろうと思ったが、当たっていたとは

 

「でも、グリフォンには乗ってたよな?」

 

カミトはそんな疑問を投げ掛けてきた、

 

「そういえばそうだな」

「精霊だからじゃないの?」

 

クレアが少し笑いながら答える。

 

「あー、なるほど」

「いやいや、おかしいだろ」

「いや、馬車で酔うのに馬なら平気って事例もあるくらいだぞ」

「へぇ、そうなの?」

 

馬車の中で乗り物酔いについて論議しあった。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「って、なんで乗り物酔いについて語ってるんだ?」

「そういえばそうだな。でも時間潰しにはなったな。ついたみたいだぞ」

 

馬車は巨大な石で造られ門の前で止まった。

既に他のチームは到着しているようで、門前には馬車が数台乗り付けられていた。

 

「遅いぞ、お前ら」

「先に到着してたのか」

 

そこにはエリスと巫女装束を着た少女たちが待ち受けていた。

 

「いや、お前なにしてたんだよ」

「祖父に紅茶畑を緑茶畑にしてもらうように頼みに一足先にな」

 

いや、本当になにしてんだよ。

 

「剣で頼んだら快く了承してくれた」

「それは脅したっ・・・・・家族にもそうなのかよ」

「ふむ、あとで紹介してやろう」

「はいはい」

 

俺は適当に返事をして馬車を降りる。

 

「滞在中は、私たちがお嬢様方のお世話をさせていただきます」

 

姫巫女の衣装は露出が多い。

カミトなんかは頬を赤く染めていた。

 

「んじゃ、よろしく」

「・・・・・はい」

 

どうやら男は嫌ならしいな。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

門を抜け、城館の中に入ると、そこは広大な玄関ホールになっていた。

美しいアーチのかかったた高い天井。光源は浮遊している小さな光精霊だ。

神話時代の遺跡といっても、数千年の刻を経て改築と改装を重ね、遺跡としてこ面影はほとんど残っていない。

とても残念だ。ゆっくりと調べたかったんだけどな

長い柱廊の壁には、美しい色彩で描かれた絵画がかけられていた。こちらはせいぜいここ数百年くらいのもので、モチーフとなっているのは、歴史に名を遺した精霊姫、それに<精霊剣舞祭>の歴代優勝者たちだった。

 

「ん?」

 

カミトは一枚の絵画の前で足を止めた。

そこに描かれているのは、三年前の精霊剣舞祭の優勝者だ。

そう、つまりは女装したカミトーーーーーレン・アッシュベル。

 

「・・・・・美化しすぎだろ。見る目のない画家だな」

 

カミトが呟く。

あー、やっちゃったな。

 

「ああ、そういえば一緒にいたのよね」

「あ、ああ」

 

 

エリスはまったく興味なさそうにして、リンスレットとフィアナはくすくすと笑っていた。

 

姫巫女のあとについて広大な城を連れ回され、ようやく部屋の前に到着した。

 

「オルデシア帝国代表<チーム・スカーレット>のお部屋はこちらになります。お食事など、なにかご用の際は気軽にお申し付けください」

「んで、俺たちの部屋は?まさか同じ部屋なわけないよな?」

「もちろん、殿方には別のお部屋を用意してあります」

 

よかった。起こされるときにエリスに剣を突きつけられることはなくなった。

 

「んじゃ、またあとでな」

「じゃあな」

 

俺たちは男の部屋に向かおうとする。

 

「まあ待て」

 

が、剣を喉に突きつけられて停止せざるおえなかった。

 

「なんでございましょうか、エリスさん」

「私たちはこれから禊ぎをする」

「それで?」

 

禊ぎというのは、水で身体を清める儀式のことだ。精霊は清らかな乙女にしか使役できない。一部例外はあるが、精霊使いは常に心身ともに清らかな状態でなければならないのだ。

 

「だから一緒に来い」

「わかったよ。行けばいいんだろ」

「ああ、そうだ」

 

どうせ拒否権は俺たちにはないからな。

 

「カミトも行かせる」

「はあっ!?ライナ!!」

「カミト、私はカミトと湖で遊びたいです」

「・・・・・」

 

エストが頼むと、カミトは黙った。

どうやらエストにはかなり甘いようだな。

 

「わかった。一緒に水遊びしような」

「はい、カミト。私は嬉しいです」

 

疑いたくはなかったが、ロリコンじゃないのか?

まあ、年齢的にはエストの方が年上だな。問題ないのか?

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

そんなくだらないことを考えている間に男部屋に案内された

 

「ーーーーーここがカミト様とライナ様のお部屋です」

 

俺たちが案内されたのは、廊下の一番端にある薄暗い一室だった。

陰鬱な空気の漂う、かび臭い部屋だ。部屋の隅には絵画や彫刻などのガラクタの数々が積み上げられ、そのすべてに蜘蛛の巣が張っていた。

 

「はぁ、<不死鳥>、ここを浄化しろ」

 

キュルルル!という鳴き声と共に炎の鳥が姿を現し、部屋を炎で包み込み、次の瞬間には炎は消え、綺麗な部屋に早変わり。

 

「よしよし、ありがとな」

 

俺は不死鳥を撫でてお礼をする。

不死鳥は気持ち良さそうにする。

 

「これで少しはましになったな」

「・・・・・本当に精霊を使役しているとは」

「あー、やっぱり疑ってたんだ」

「いえ、確認です」

 

それを疑ってるっていうんだよ。

まあ、こいつはめんどくさそうなことを返してくると感じ取ったので言わないでおく。

 

「悪い、なにか軽くつまめるものを頼めるか?」

「カミト様は女体盛りをご所望ですか?残念ですがそういったものはーーーーー」

 

あ、やっぱりめんどくさいやつだったか。

 

「なんでそうなるんだ!普通にサンドイッチとかだよ!」

「女体サンドイッチ・・・・む、胸で挟んで・・・・・?」

 

カミト、こういう相手はめんどくさいからスルーするのが一番だぞ。

 

「・・・・・頼む、女体から離れてくれ」

 

軽蔑の眼差しをカミトと、なぜか俺にまで向けてくる姫巫女の少女に、さすがのカミトも重いため息をついた。

 

「ほら、だんごをやるから」

「持ってるなら早く出せよ!!」

 

なぜか八つ当たりされた。




馬車って揺れますよね。
前になんかの機会に馬車に乗って酔った記憶があります。
乗馬体験をしたときは酔わずに楽しめました。
なぜなんでしょう?
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