side ライナ
めんどくさがりながらも、仕方なく俺たちは水着に着替え、湖へ向かう。
城館のそばにある大きな湖の湖畔には多くの精霊が浮遊している。つまり、この湖の聖性が高いことがわかる。
「昼寝にはピッタリだな」
「そればっかりだな。まあ、気持ちはわからないでもないけどさ」
どうやら賛同してくれるらしい。まあ、カミトが賛同したところで、エリスがどうにかなるわけでもないがな
「実はこんなもの持ってきたんだ」
「なんだそれ?」
「それはいいから、これを風船みたいに膨らませろ」
「自分でやれよったく」
カミトは文句を言いながらも、俺が持ってきた道具を膨らませる。
「このくらいでいいか?」
「大きいドーナッツみたいです」
カミトもエストも首を傾げている。
「これは浮き輪っていって、めんどくさいからエスト、ちょっとこい」
「わかりました」
俺はエストに浮き輪を装着させて、湖へ投げる。
「って、おい!?エストは剣精霊だぞ!」
カミトに両肩を掴まれガクガクと揺らされる。
「いや、見てみろよ」
「沈むに決まって・・・・・浮いてる?」
「カミト、浮いてます」
エストはカミトへ手を振っている。
「つまりそういうことだ」
「その名の通り浮き輪ってことか」
「ほう、面白そうな物を持っているな」
エリスに後ろから話しかけられた。
「一個だけしか持ってきてないからもうないぞ・・・・・」
振り向くと青いビキニ姿のエリスがいた。
「どうだ、ライナ?」
「なんていうか、似合ってるな」
「当然だ」
エリスは大きな胸を張る。
「では、私の水着の感想もお願いします」
声を辿って前を向くと白いワンピース型の水着を着たリンスレットがいた。
「綺麗だと思うけどさ、なんで二人とも俺に聞くんだ?」
「「はぁ・・・・・」」
二人はため息を吐き、やれやれと首を横に振った。
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パシャパシャと少女たちが水を掛け合っているのを俺たちは眺めている。
「エストも楽しそうでよかった。ありがとな、ライナ」
「ん?どういたしまして」
カミトは腕を枕にして、俺の隣に寝転ぶ。
「あー、そこにある鞄から水筒があるから取ってくれ」
「おう、これか?」
カミトは寝転びながら俺の鞄を開けて水筒を取り出す。
「そうそう、サンキュー」
ゴクゴクとオレンジジュースを飲む。
「はぁ、なんか男同士だと盛り上がらないな」
「ああ、そうだな」
少女たちはきゃっきゃっしているのにな。
「こういう時って誰が好みだとか話すんじゃないか?」
「なるほど、じゃあカミトは誰が好みなんだよ」
「俺?俺は・・・・・ライナ」
「わかってるよ」
俺たちは視線を感じた。
「俺たちじゃない?あいつらが狙いか?」
「おーい、そろそろ戻るぞ」
カミトは皆に呼び掛ける。
「バレちゃったか、流石兄様」
小さな、本当に小さな声が後ろの森林から聞こえたかと思えば、湖で遊んでいた少女たちが、水の触手に絡み付かれ、持ち上げられていた。
「ライナ!どうにかしろ!!」
森林の方を警戒していると、エリスから命令が届いた。
「ま、やるしかねーよな」
「エストっ!って、エストも捕まってたな・・・・・」
俺は武器複製で<魔王殺しの聖剣>を複製し、カミトに渡す。
「二ランク下がるが十分業物だ」
「わかった」
カミトは複製された剣を湖の方へ構える。
「背中は任せたぞ」
「ああ、任せろ」
カミトは湖の水面を蹴って精霊へ斬りかかる。
「さて、俺もやるか、求めるは雷鳴>>>・稲光!」
とりあえず、気配がする方向に稲光を放ち様子見をする。
木々の間を通り抜ける稲光は暗くなった森林を照らし、侵入者の姿を浮かび上がらせる。
「來のかたの獣よ有れ」
稲光は突如現れた雷の獣に相殺された。
「また勇者の遺物かよ。今度は來獣の指輪か」
「お兄さん、これについて知ってるみたいだね」
森林からフードを被った人物が出てきた。
「ああ、知ってるよ」
「へぇ、ま、関係ないけど」
声からして少女だとわかる。
「來獣よ、有れ!」
少女は呪文を唱え、数匹の雷の獣を召喚する。
「グリフォン!氷虎!不死鳥!」
俺は三体の精霊を召喚し、雷の獣の相手にしてもらう。
「麒麟、精霊魔装だ」
俺は麒麟の精霊魔装、<白雷の槍>で次々と雷の獣を消滅させる。
「來獣に気を取られすぎ」
背後から精霊の気配を感じた。
「お前こそ、俺に気を取られすぎなんじゃないか?」
その精霊はカミトに切断された。
「悪い、ちょっと手間取った」
カミトの右手には本来の<魔王殺しの聖剣>、左手には複製された<魔王殺しの聖剣>。そして水着というスタイルなのに、何故かさまになっていた。
「よくも私にあんなことをしてくれたな」
「後悔させてあげるわ」
エリスとリンスレットは精霊魔装を発現させて、襲撃者に向ける。
「こいつらは私とフィアナに任せて」
「カミトくんたちは早くその人を倒して」
クレアとフィアナは湖にいる精霊を相手にしている。
「さて、さっさと決めますか。求めるは雷を宿す槍>>>・雷槍」
俺は<白雷の槍>に雷の付与魔法を使う。
相乗効果により、槍は雷をバチバチといわせながら纏う。
「あーあ、ちょっと危ないかな?來のかたの獣よ、有れ!」
少女は言葉とは裏腹に焦った様子を見せずに、雷の獣を召喚する。
「はっ!!」
「貫け!」
エリスとリンスレットが雷の獣を一瞬で蹴散らす。
「ちょっとじゃなくてかなりだった」
少女はフードを外す。
「ミュアっ!?」
「兄様、覚えてくれてたんだ。でも、今の兄様はとても弱くなってしまったわ」
最初に合った頃と比べると近接戦は疎かになっていたが、総合戦闘能力ならレン・アッシュベル時代と同等だぞ?
「でも、安心して。きっとミュアが目を覚ましてあげるから」
少女はそう言い残して、身を翻す。
「そう簡単に行かせると思うか?」
エリスが先回りして、ミュアという少女の喉元に剣を当てる。
「お兄さん、これ、なにかわかる?」
少女は赤い宝石を掲げる。
「っ!?エリス、止めろ」
俺はその正体にきづき、エリスを止める。
「どういうことだ?」
「アコルナの命核、発動すれば無差別に破壊をもたらす岩の巨人を顕現させる。つまり近くの城にいる姫巫女や剣舞祭の出場者が人質ってわけだ。質が悪い」
ミュアは微笑する。
「そういうこと」
「ちっ、次はないと思え」
エリスは剣を鞘に納め、襲撃者の少女を見逃す。
ミュアは森林に入り、完全に姿が見えなくなった。
はい、また出ました勇者の遺物。
アコルナの命核はアニメオリジナルの勇者の遺物ですが、結構好きな部類に入ります。
そしてルビアは・・・・・
さあ、どうなるんでしょうね?