精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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それぞれの隠謀

side カミト

 

俺は今、レン・アッシュルと踊っている。

仮面で素顔をを隠したレン・アッシュベルがリードするのは、激しく燃えるような焔のような舞踏だ。

姫巫女が祭儀のときに奉納するような、本格的な儀式舞踏。

 

「なかなかいい動きだ。さすが剣舞を極めた者は違うな」

「そいつは皮肉か?三年前のパートナーと踊ったらどうだ?」

 

俺はニヤリと笑って言い返す。

ライナならついていくのがやっとの俺とは逆に彼女をリードできるだろう。

 

「昼寝王のことか?」

「もうそこまで広まっているのか・・・・・」

 

昼寝王がレン・アッシュベルにまで伝わっているとは、驚きである。

 

「他の者と話しているようだぞ・・・・・」

「あんたはお構いなしに誘うだろ」

 

レン・アッシュベルに横を見るよう視線で指示された。

 

「なっ!?」

 

俺が見たのは<教導院>の最強。

 

「<精霊喰い>・・・・・!?」

「あれは私でも手がつけられないからな」

 

<教導院>の中でも史上初、0番という異例の番号を与えられた少女。

 

「悪いな。楽しい舞踏の時間は終わりだ」

 

俺はカミトにされた記憶を元に、踊りながら、テラスへ誘い出す。

 

「めんどくさい駆け引きはなしだ。単刀直入に訊くぞ」

 

俺は躍りを止め、彼女の仮面を睨み付ける。

 

「封印廃棄された軍用精霊や<教導院>の遺児たちを集める理由はなんだ?」

「ーーーーー戦争のためだ」

 

と、彼女は即答した。

 

「・・・・・戦争?」

 

確かに軍用精霊と<教導院>の遺児ーーーーーどちらも、戦争くらいにしか使い道がない。

 

「そうだ。<彼ら>と戦うための兵力が要る」

「彼ら?」

「この世界の王たちだ」

「なっーーーーー」

 

世界の王。つまり大陸全土を巻き込んだ数十年まえのランバール戦争を再現するということなのかーーーーー

 

「そんなことをしてなんになる?世界を破滅させるつもりか?」

「違うな。この世界を救うための戦争だ」

「なにを言ってーーーーー」

「だが、戦争を始めるには発端が必要だ」

 

彼女が俺の襟首を掴んで引きよせた。

 

「試させてもらうぞ、魔王の後継者。おまえに<彼ら>を殺す資格があるのかどうか」

 

刹那、彼女の右手が俺の胸を貫いた。

 

「・・・・・っ!?」

 

ーーーーー人が死ぬ。

ーーーーーしかし全てがどうでもいい。

 

頭にまたあの声が聞こえる。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side ライナ

 

「<女神>だと!?なんでそれがここに!!」

 

親父と姉から<女神>がこの世界に干渉していることを聞いた。 

 

「あら、知ってたの?さすが私の弟ね」

「<女神>だけじゃなくて<司祭>も関わっているんだよ」

「なんだと!?なんでそいつらが・・・・・!」

 

<女神>それに<司祭>が関わっているとすると・・・・・

 

「<勇者>がいるのか?この世界に?」

「可能性としては、高いね」

「<勇者>ってなによ、聞いてないわよ」

「ティアラにはまだ早いよ」

「パパのいけず!」

「むくれてもダメだよ」

 

こうしていると、本当の家族みたいだ。

 

「じゃあなんでフェルナには教えるのよ!」

「教えてはないよ。知ってたみたいだけどね」

 

本当に楽しい。

 

「じゃあフェルナ教えて」

「ライナ、それが今の名前だ」

「ライナ、うん、わかったわ。ライナ、教えて」

「パパが教えないっていってるから教えない」

「二人とも意地悪!」

 

というか、知らない方がいい。

だから知らせないでおく。

 

ふと、テラスを見る。

 

「カミト!?」

 

そこにはカミトの胸を貫く少女がいた。

俺はそれを見て駆け出す。

 

「ダメだよ、ライナ」

「どけよ!あれは!!」

「今行ってしまったら全てが台無しになる」

「うるせぇよ!仲間がやられてんのになにも・・・・・」

 

親父が俺の頭を触りなにか呟いた。

 

「催眠魔法・・・・・か」

 

俺は意識を完全に失った。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side クレア

 

カミトはレン・アッシュベルと踊っていた。

久しぶりの再開だから、仕方ないと言い聞かせているけどモヤモヤする。

 

「胸は、大きくないわよね」

 

エリスたちか私かというと私に近い。

それでも私より大きい。

 

「はぁ」

 

私はため息を吐き、リンスレットたちを探す。

 

「!?」

 

私は他の人物を見つけた。

 

「ミュアって言ってたわよね」

 

カミトを兄と慕う少女を見つけた。

 

「リンスレット、フィアナ、エリス」

 

私は二人を抜かし、メンバーの名前を呼ぶ。

 

「なんです?」

「リンスレット!あれ!」

 

リンスレットが来たので、ミュアという少女を指差す。

 

「どうやらこちらに気づかれたようです」

「ど、どうする?」

「外に出ました、ついてこいということでしょうね」

 

リンスレットと話している間に他の二人も集まった。

説明をするとエリスはやる気満々で追って行った。

私たちもそれを追う。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

私たちはエリスを追って木々がそびえ立つ森林の中に来た。

 

「さあ、観念しろ」

「観念するのはお姉ちゃんたちの方だよ。この殲滅精霊ーーーーー<ティアマット>の前にね」

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side カミト

 

「あ、あああ・・・・・っぐ!!」

 

俺はなにかに乗っ取られるのを必死で止める。

しかしそれとは別に心臓が焼けるように熱く、全身の血が沸騰するような感覚。そしてすさまじい痛みが身体中。駆けめぐる。

そして視界にはすべてのものの構成が広がる。

 

「俺に、なにをした・・・・・?」

「ほんの少し解放しただけだ。おまえの中に眠る魔王の素質をな」

「・・・・・魔王の素質だと?」

 

いや、違う。

その程度じゃない。もっと強大な化け物だ。

 

「ぁ・・・・・はぁ、はぁ」

 

俺の中にある化け物とあいつが言っている魔王がぶつかり、少しましになる。

 

「ほう、もう適応したか」

「はっ、勝手に思ってろ」

 

化け物と魔王、どうやら気が合わないらしく、互いに互いを阻害しあっているらしい。

俺にとっては幸運と言うべきだろうな。

 

「なんだその眼は」

「眼?」

 

辺りを見回して視覚に異常がないか確認をする。

いつもと違い、シャンデリアに変な模様が見えた。

 

「これが複写眼か、どうやら魔王じゃなくて<アルファ・スティグマ>が覚醒したようだな」

「<アルファ・スティグマ>?まあいい、あれを見ろーーーーー」

 

レン・アッシュベルの指先が、ステラから見える森を指差した。

昼におとずれた湖のほうだ。木々が倒れ、閃光が散る。

 

「おまえの仲間が、ミュア・アレンスタールと交戦中だ」

「なんだと!?」

 

さっきのはエリスが來獣を斬った光景だったのか。

 

「おまえの仲間たちはミュア・アレンスタールに勝てない。それは、かつて彼女と組んでいたおまえが一番よく知っているはずだ」

「えっ?」

「・・・・・は?」

 

どうやら思い違いをしているようだ。

確かに<教導院>という特別な育ちのミュアなら、学院という箱庭で育ってきた貴族のお嬢様など簡単に殺せるだろう。

普通ならだ。エリスとそれと同等の技量を持つリンスレット、天然ステルスのフィアナ、そして優秀なリーダークレアが揃っているのだ。全盛期の俺でも勝てるかどうか怪しい。

というか、エリス一人に勝てるのかどうか怪しいくらいだ。

勇者の遺物を入れても、クレアたちがミュアに負ける可能性は限りなく低い。

 

「・・・・・行かないのか?ミュア・アレンスタールが他の者に倒されてもいいのか?」

「ああ、あいつとは俺が決着をつけないといけないからな」

 

俺は戦闘している場所に駆ける。

過去に、自分に決着をつけるために




はい、カミトの中には魔王と<α>がいます。
でも仲が悪いので邪魔しあってます。

でも若干両方の力を使えるようになりました。
よかったね、カミトくん!

<教導院>ってローランド帝国三〇七号特殊施設と似てますよね。
ヤバさは特殊施設の方がかなり上だけど・・・・・
改めてローランドヤバすぎだろ。
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