精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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新な魔眼

side カミト

 

「・・・・・っ!」

目覚めると、そこはやわらかいベッドの上だった。

上体を起こし自分の身体を見下ろす。

身に着けているのは、学院の制服ではなく、ゆったりとした寝間着。意識を失っているあいだに誰かが着替えさせてくれたようだ。

 

「俺は・・・・・」

 

意識を失う前のことを思い出す。

自分の中の魔王の力と化け物は大人しくしているようだ。

 

「カミト、目を覚ましたのね!」

 

部屋の片隅から声が上がった。

振り向くと、壁ぎわの椅子に、制服姿のクレアが座っていた。

 

「・・・・・クレア、ひょっとして、ずっといてくれたのか?」

「え?ううん、ついさっき来たばかりだから・・・・・」

 

クレアは首を横に振る。

だが、目の下にうっすらとできた隈を見れば、ろくに寝てないのは明らかだ。

こっちに心配をかけないように隠しているようだな。

 

「悪い、心配かけたみたいだな」

「だったら私なんて迷惑かけっぱなしだよ」

 

クレアは茶化すように笑う。

 

「そんなことないって、俺の方が迷惑をかけてるよ」

 

フォローしておく。

 

「うん、ありがとう。あ、まだ寝てて、熱がおさまってないから」

「ん?俺、熱あるのか?」

「うん、いまは少しひいたみたいだけど、さっきはすごいうなされていたわよ」

 

クレアがタオルを濡らして俺のおでこに乗せる

 

「どう?」

「ああ、気持ちいいよ」

「よかった」

 

ほっとした顔をしてクレアは椅子座る。

 

「ところで、クレアーーーーー」

「なに?」

「ライナが見当たらないんだが・・・・・」

「ライナなら、相手にかけられた呪いの解呪に集中しているみたいよ」

 

ライナが呪い?

 

「なんでも視界を奪う呪いらしくて、解呪に時間がかかるそうよ」

「マジかよ・・・・・」

 

視界を奪う呪いはかなり上位、いや、最高位の呪いだ。それをライナにかけるとなると、かなりの実力者で、さらにライナの眼のことを知っているということになる。

 

「そうだ、クレア、鏡かしてくれるか?」

「はい」

 

俺は鏡を手にとり、顔を見つめる。

 

「こんな感じか?」

 

俺は眼を一度つむり、力を込めて開く。

すると、鏡の自分の瞳には紫色の六芒星の模様が浮かんでいた。

 

「・・・・・は?」

 

五芒星じゃなくて六芒星・・・・・?

 

「カミト、それ、なに?」

「さあ、俺にはさっぱり、ライナ・・・・・は今はダメなんだっけ」

 

俺は頼りのライナが使えないので、ため息をつく。

 

「仕方ないか」

 

俺は右手の精霊刻印を見る。

 

「エスト・・・・・」

 

視界には精霊刻印の模様しか映らない。

 

「クレア、ちょっと精霊魔術を使って見せてくれ」

「え?なんで?」

「いいから」

「わかった、灼熱の劫火球!」

 

クレアが<灼熱の劫火球>を発動させようと紋様が浮かび上がる。そこから使い方や、威力等の情報が瞳に映った。

 

「求めるは侵入>>>・蝕走」

 

俺は今まで使用できるが使いこなせなかった魔法を発動させ、クレアの精霊魔術をキャンセルし、紋様をドクロの絵に変える。

 

「うわ!?」

 

クレアは驚いて後ろに椅子ごとずっこけてしまった。

 

「わ、悪い」

「つ、次からはちゃんと言ってね」

「ごめんなさい」

 

クレアは椅子を戻す。

 

「でも、精霊魔術をキャンセルできるなんて凄いわね」

「まあな」

 

これで能力は発動していることがわかった、なのに精霊刻印を解析できないということは完全に使いこなせていないのだろう。

 

「はぁー」

 

これでエストへの手掛かりはゼロになった。

 

「そういえば・・・・・」

 

俺はエストが居なくなった原因となるものを心臓に刻みこまれた。

それをどうにかすれば・・・・・

 

「うっし、やってみるか」

 

俺は自分の胸を見つめる。

視界には精霊魔術より遥かに難しい構成が見えた。

 

「うわ、なんだよこれ・・・・・」

「えっと、どうしたの?」

「あー、なんというか、説明すると長くなるからな・・・・・」

「えっと、話したくないこと?その・・・・・」

 

クレアが黙る。

そういえば昨日、<教導院>で育ったことがばれたんだったな。

 

「<教導院>は関係ないんだけどさ、めんどくさいっていうか、邪魔くさいっていうか」

「ふふ、ライナみたい」

「俺だってめんどくさがることはあるっての」

「じゃあ、我慢して説明して」

「おう」

 

俺は自分の眼とライナから聞いた複写眼の説明をクレアにする。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「じゃあ、その眼には精霊魔術とか呪いとかの構成とか全部見えるってこと?」

「まあ、そうなるな」

「それでカミトの瞳の模様が違うからちょっと違いがあると思うけど、それがわからないってこと?」

「ああ」

「色も違うしね」

「そういや、ライナのは虹色だったな」

 

色に意味でもあるんだろうか、

 

きゅるるる~

 

考えていると、可愛らしい音が部屋に響きわたった。

 

「・・・・・クレア?」

「・・・・・っち、違うの!これはその・・・・・あれよ!」

「そうだな、俺も腹減ったしな」

 

俺はベッドから降りる。

 

「・・・・・っ!?」

 

酷い筋肉痛に襲われた。

 

「カミト、大丈夫?」

「あ、ああ、大丈夫だ。食堂はどこだ?」

 

まだこの程度なら我慢できる。

 

「リンスレットと一緒にスープを作ったから」

「ありがとうな」

 

そう俺が言うと、クレアは外に出ていった。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

しばらくすると皿を持ってクレアとフィアナが来た。

 

「カミト君、大丈夫?」

「ああ、平気だ」

 

俺は肩を上げて大丈夫なアピールをする。

 

「なら、いいのだけど」

「それはそうと<精霊剣舞祭>の演目はどうなったんだ?精霊姫の託宣はもう出たんだろ?」

 

俺が意識を失っているあいだ、<神儀院>の大祭殿では五人の精霊姫が、五大精霊王の託宣を賜る儀式をおこなっていた。託宣によって決定される演目ーーーーー試合形式は、すでに公布されているはずだ。

 

「ええ、奉納する剣舞の演目はーーーーー<嵐の如き乱舞>よ」

 

フィアナが答えた。

 

「<嵐の如き乱舞>か・・・・・」

 

最も近い時代では、百数十年前の精霊剣舞祭で採用された試合形式だ。

剣舞を奉納する精霊使いたちは、広大な聖域のフィールドに集められ、チーム同士で数日間にわたって戦い合うことになる。個人の先頭技能だけでなく、戦術レベルを越えた長期的な戦略とチームの総合的な力が問われる試合方式だ。

 

「・・・・・厳しい戦いになりそうだな」

「トーナメント方式が一番よかったんだけど・・・・・」

「決まったものは仕方ありませんし」

「だよな」

「ライナも解呪には丸十日かかるって言ってたし、最悪ね」

「十日!?ライナが十日もかかるのか!?」

「え、ええ、そうよ」

 

甘く見すぎていたか。ライナの眼を封じられるとなるとかなりの戦力ダウンだ。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

食事を終えた俺はライナの様子を見に行くことにした。

 

「ライナ、入るぞ」

「おう」

 

入るとライナは真剣な顔をしていた。

 

「なにか用か?」

「いや、ライナに聞きたい事があってな」

「なによ?」

「いや、俺の瞳に六芒星の模様が浮かんでるんだ」

 

ライナは驚いた顔をする。

 

「マジか・・・・・複写眼の亜種か?それともなにか別の・・・・・」

「一応複写眼だと思うぞ。精霊魔術の構造を読み取れたからな」

「なるほど・・・・・」

 

ライナは目を瞑り首をかしげる。

 

「だー!もうあとでな!今は解析に集中するから!」

 

ライナは考えるのを中断して呪いの解呪に専念することにしたらしい。

 

「がんばれよ」

 

俺はそうライナに声を掛けて、部屋を出る。




カミト君の瞳には紫色の六芒星があります。
この世界で五芒星、六芒星があらわすものは・・・・・
つまりそれが原因です。
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