精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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だんご剣士と皇騎士

side ライナ

 

「はぁー、仕方ない、この際複写眼は諦めるか」

 

俺は解呪を一旦諦め、術式の構成を書き換えることで視力を取り戻すことにした。

 

「ライナ!!」

「うお!?」

 

いきなり耳元で叫ばれてビックリした。

 

「なんだよ、脅かすなよ」

「ふむ、眼の方はどうだ?」

「あー、精霊剣舞祭に向けて視力だけは昼までに戻すつもりだ」

 

まあ、そしたら呪いが更にめんどくさくなって完全解呪の時間が延びるが背に腹は代えられない。  

 

「そうか、頑張ってるようなので、だんごを持ってきてやったぞ」

「あー、サンキュー」

 

手探りでだんごを探す。

 

「そういえば眼が見えないんだったな。私が食べさせてやろう」

「いや、大丈夫だって」

「つべこべ言わず口を開けろ!」

「あぶ!?・・・・・っ、みたらしか」

 

口に押し込まれただんごの種類を言い当てる。

 

「正解だ。では次だ!」

 

再び口にだんごをつっこまれる。

 

「ガフッ!?・・・・・今度は三色だんご!って、人で遊ぶな!!」

「おお、やるな」

「はぁー、まあいいや、お茶くれよ」

「少し待て、今茶葉を広げているところだ」

「こだわってるな」

「当然だ」

 

ドヤ顔しているのが目に浮かぶ。

 

「よし、いいだろう」

 

お茶を湯飲みにいれる音と、香りが漂ってきた。

 

「ほら、飲め」

「おう」

 

エリスは俺の腕を持って湯飲みを持たせる。

それを口に運ぶ。

 

「おお、腕上がったな」

「ふ、当然だ」

 

俺とエリスはのほほんとだんごを楽しむ。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「さて、書き換えを再開するか」

 

作業を始める。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side カミト

 

俺たちは『ラ・パルフェ』から出て、<古代図書館>にいた。

 

「さすがに大きいな・・・・・ティアラ!?」

「あらカミト、それでライナは?」

「呪いをかけておいてそれはないだろ」

「呪い・・・・・?」

 

ティアラはコテンと首を傾げる。

 

「私は知らないわよ」

「は?」

「大切な弟に呪いなんてかけるわけないじゃない・・・・・まあ、リューラがかけたものだし、命には別状はないでしょうけど」

「リューラってのは、あの男の精霊か?」

 

気になっていたことを聞く。

 

「ええ、そうよ」

「なんの精霊だ?」

「本人は魔法精霊なんて言ってたわ。次は私の番ね。学園でのライナはどうなの?」

「は?え、あー、なんていうか、常に眠そうだな」

「そう、よく寝るから背が高くなったのね。ライナの好物は?」

「だんごって言ってたぞ」

「だんごね・・・・・それで、ライナが捨てられたあとどうなったか知ってる?」

 

ティアラは暗い顔をして聞いてきた。

 

「グレイワースの婆さんに拾われて育てられたみたいだ」

「<黄昏の魔女>に・・・・・」

 

話すと複雑な顔をしていた。

 

「もういいわ、ありがとう」

 

そう言ってティアラはどこかに行ってしまった。

 

「えー、まあ、いいけどさ・・・・・」

 

どうやらライナのことを聞くためだけに精霊の情報をしゃべったようだ。

ブラコンらしいな。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

調べたが<魔王殺しの聖剣>についてはよくわからないってことしかわからなかった。

 

「はぁー、ライナならなんか知ってそうなのにな・・・・・」

 

こんなことなら<闇の烙印>について調べた方がよかったか?

 

「ーーーーーカゼハヤ・カミト?」

 

声をかけられたので振り向く。

 

「あー、ヴェルサリアと戦ってた・・・・・」

「ええ」

 

ドラクニア竜公国代表。竜皇騎士団長ーーーーーレオノーラ・ランカスター。

 

「なんでこんなところにいるんだ?」

「愚問ですね。他国のチームに関する情報収集に決まっているでしょう」

 

レオノーラは中指で眼鏡をくいっと押し上げ、呆れたように言ってきた。

眼鏡なんかしてたか?

 

「眼鏡なんてしてなかったよな?」

「・・・・・さすがは聞きしに勝る色魔ですね。そんな細かい変化まで見逃さないとは」

「いや、細かくはないだろ」

 

髪型ならともかく、眼鏡には気づくだろ。

 

「書物を読むときだけです。もともと目はよくないのですが、剣舞を舞うときは精霊魔術で視力を補強しますから」

 

なるほど・・・・・、眼鏡だとずり落ちるからな。

 

「正直におっしゃったらどうです?・・・・・に、似合わないと」

「いや、普通に似合ってるし、可愛いと思うぞ」

「な、なにを言うのですかっ!この眼鏡フェチの変態!」

「なんでだよ・・・・・」

 

理不尽過ぎるだろ・・・・・

 

「あなたこそ、なぜこのような場所に?」

「・・・・・ん、ああ、ちょっと調べ物をな」

 

他国にエストを知られることは不味いからな。

ついでにライナの眼のことも・・・・・

 

「なるほど、貴方の契約精霊について調べているのですね」

「・・・・・っ!?」

 

こいつ・・・・・知ってて聞いてきたな。

 

「だったらどうするんだよ」

「やはり貴方の契約精霊は消滅したのですね」

「はっ、エストは消滅なんかしてないぜ」

「契約精霊を使役できないということですか」

 

知られたことはめんどうだが、油断してくれるとやり易い。

 

「無論、貴方を侮るつもりはありません。<ドラクニアの竜は獅子を狩るにも全力を尽くす>ーーーーーその諺通り、全身全霊で叩き潰させて頂きます」

「ああ、できるものならな」

 

一瞬、思考を読まれたかとビックリした。

 

「では、そうさせていただきましょうーーーーー」

 

唐突に。レオノーラは俺の身体を書架に押しつけた。

 

「・・・・・なんの真似だ?」

 

内心ではドキドキだが、表に出さないで平然とする。

確か、ハニートラップというんだったか?

 

「できるものならーーーーーと仰ったのは貴方ですよ、カゼハヤ・カミト」

 

俺の唇に人差し指をあて、彼女はさらに身体を密着させてくる。

ほどよい弾力のある胸が、腕にぎゅっと押しつけられた。

こんな場面を見られたら、<神儀院>の審問会にかけられかねない。

なるほど、それが目的か・・・・・

 

「脈拍が速くなっていますね。私の身体で興奮しているのですか?」

「可愛い娘に抱きつかれたら、誰だって興奮するだろーーーーー?」

「・・・・・か、可愛い?私がですか?」

 

お?これは行けるんじゃないか?

 

「しかし無用心だな、男にこんな身体を密着させるなんて・・・・・襲ってくれって言ってるようなものだぜ」

「っ!?」

 

竜少女の顔は真っ赤になる。

それと同時に隙を見せたので逃げる。

 

「じゃあな、今度会うときは精霊剣舞祭でな」

「ま、待ちなさい!」

 

俺はそのままクレアたちと合流し、帰ってさっさと<闇の烙印>を解呪することにした。




深夜に書き終わったぜ!!
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