side カミト
図書館から帰ってきた俺は部屋に戻ると、リンスレットとリンスレットに似た少女が暗い顔をして出てきた。
「どうしたんだ?」
「あ、いえ、別に大丈夫です」
「いや、そんな様子には見えないんだが・・・・・ライナになんか言われたのか?」
リンスレットは首を振った。
「違います」
「んじゃ、なにがあったんだよ」
「心の整理がついていないだけなので」
「そうか・・・・・」
俺も空気くらい読めるつもりだ。
「気をつけろよ。君もな」
小さな少女の頭を撫でてやる。
「うん・・・・・」
これはライナに詳しく事情を聞かないとな。
俺は部屋に入る。
「ライナ・・・・って、寝てる」
しかも気持ち良さそうに寝てるので起こすのも気が引ける。
「はぁー、たく」
布団をかけ直してやる。
「ま、こっちは俺が自力でなんとかするか」
俺は複写眼(仮)を発動させて、心臓の呪装刻印を解析する。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
数時間後
「あー、終わった!」
ライナじゃないがめんどくさかった。
「あー、んだよ、うるせぇな」
ライナが目を擦りながら背伸びをする。
「そうだ、リンスレットと妹に何かしたのか?」
「どういう意味だ?」
「帰ってくる途中になんか暗い顔をしてたから。なにか知ってるんだろ?」
「いや、こりゃ個人的な話だから話すわけにはいかない」
それを言われると聞いてはいけない気になる。
「ーーーーーそういえば、カミト、眼を見せろ」
「ああ、って、ライナ!視力は戻ったのか!?」
「視力っていうか、視界っていうか、まあ、複写眼は発動できないけどな」
「まあ、よかったよ剣舞祭に・・・・・あっ」
「剣舞祭がどうかしたか?」
「あー、いや、ヴェルサリアからの伝言があるんだよな」
ライナが物凄く嫌そうな顔をする。
「・・・・・よし、話せ」
「『覚悟しろ』だそうだ」
「・・・・・一言なのになんでこんなにめんどくさくなる感じがするんだろ?」
「ま、まぁ、チーム戦だし、サポートするから安心しろよ」
ライナは慰めの言葉も気にかけずグテー、と布団に寝転がる。
「・・・・・んで、その複写眼モドキを発動しろよ」
現実逃避して無かったことにしたようだ。
「ああ、わかった」
俺も気にせずにライナの言うことを聞いて、複写眼(仮)を発動させる。
「六芒星、色が黒に近い紫、うーん・・・・・」
「なあ、さすがに発動させっぱなしってのは疲れるんだけど・・・・・」
「ちょっと待て、写すから」
ライナはメモ用紙に複写眼(仮)の紋様をスケッチする。
「もういいぞ」
「わかった」
複写眼(仮)を解除する。
「うーん?」
ライナは腕を組ながら首を捻る。
「あ、なあ、俺の複写眼(仮)でライナの呪いは解けないのか?」
俺は思いついたことを口に出す。
「んじゃ、さっき発動して俺の呪いを解けそうだったか?」
「・・・・・じ、時間を掛ければ、多分」
「その時点でアウトだろ、これは元々複写眼でも解けないように改良して・・・・・あー、つまりそういうことだ」
「めんどくさいからって説明を途中で投げ出すなよ・・・・・」
「あー、はいはい、他人のことより自分のことを心配しろよ。複写眼のデメリットは・・・・・あー」
「ちゃんと説明しろよ」
ライナは急に真面目な顔になる。
「わかってるよ。長い話になるけどちゃんと聞いとけ、お前が知っておくべきことだからな」
ライナから複写眼について説明された。
「あの声の主は、『α』っていう化け物だったのか」
「声が聞こえて止まれるってことは、お前の複写眼は特別・・・・・なのは一目瞭然か」
特別?いや、少し違うような気がする。
「・・・・・ちょっと待ってくれ」
俺は思い出す。
複写眼の暴走のキーは絶望だ。だったらなぜあのタイミングで声が聞こえた?
「なあ、声が聞こえた時って暴走の前兆だよな」
「ああ」
「暴走のキーは絶望だよな」
「他にも結晶化した複写眼と共鳴させて強制的に暴走させることもできるけどな」
「声が聞こえたとき、俺は闇の精霊王について考えていた」
闇の精霊が複写眼に関係あるかと言われれば、全くない。
だが俺は、俺の複写眼(仮)は闇の精霊王かそれに準ずるなにかに反応していた。
「そんなはずは・・・・・いや待てよ。闇の精霊王、いや・・・・・」
ぶつぶつとライナが呟いている。
「おい、ライナ?」
「あー、今話しかけんな、整理してるとこだから」
しばらくするとライナは頭を掻く。
「そういうことかよ・・・・・」
整理がついたようなので聞いてみることにした。
「どういうことなんだ?」
「ああ、仮説に過ぎないけど、どうするよ?」
「頼む、話してくれ」
「了解っと、どこから話そうか・・・・・あー、結論から言うぞ。お前は闇の精霊王の転生体で複写眼保持者だ」
「・・・・・?」
闇の精霊王の転生体?
「なあ、レン・アッシュベルは俺のこと魔王だって言ってたぞ」
「それを先に言えよ・・・・・魔王ってのは、あー、んー、闇の精霊王の転生体のことだ」
「今、説明しようとしてめんどくさくなっただろ」
「まあ、あってんだからいいだろ、んで、お前の中には『α』がいてそんでもって闇の精霊王の力を持って、んでその二つが互いを阻害しあってたわけだ。んで、闇の精霊王に関することで闇の精霊王が出てこようとしたから相殺する力が弱まって『α』も出てこようとしたわけだ」
「・・・・・それはなんとなくわかる」
実際感じたからな。
「そんで、今は呪装刻印のせいで均衡が崩れてどちらかが片方を喰らってるんだろうな」
「でも、さっき解呪したぞ」
「多分、その呪装刻印は闇の精霊王を呼び覚ますものだったんだろう」
「それがどうしたんだよ?」
「どういったらいいか、あー、ロウソクに火をつけるようなもんだ」
どういうことだ?
「あー、ロウソクがお前でマッチが呪装刻印として、ロウソクにマッチで火をつける。んでもってマッチを消してもロウソクの火は消えないってことだ」
「なんとなくわかった」
「んで、発現したのが複写眼モドキだ」
「なあ、闇の精霊王が『α』を喰らってるのか?」
「まあ、そっちの方が確率が高いな」
「そうか・・・・・」
だいぶ理解できた。
「それで、副作用とかはないのか?」
「副作用ねぇ、あるとしたら暴走くらいか?」
「暴走・・・・・か」
「そうなったら俺が止めてやるよ」
「ああ、頼む」
ライナと拳を合わせる。
すんません!!
あれです。スランプとゲームが楽しくってついついやっちまいました!!