side カミト
ライナと話し合いどうすればエストを取り戻せるか、相談して、精霊刻印に干渉する。という方法を取ることにした。
「意識が・・・・・」
意識が遠くなるのをライナに伝える。
「ったく、世話の掛かる弟子だな」
そんな声が聞こえ意識が闇の中に落ちる。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
闇の底。
そう思える場所に俺はいた。
「っ!?」
そこには魔精霊すら可愛く思えるほど、おぞましい化け物がいた。
「なんだよ、これは・・・・・」
『ここまでか、だが丁度いい、役割は果たせそうだ。あははは!狂え!』
五芒星の魔方陣が化け物の前に展開される。
「っ!?」
本能が告げる。
あれは危険なものだと。
『ひれ伏せ、虫けら』
「がっ!?」
逃げようとした俺の身体は勝手に動き地面に這いつくばる。
『ふはははは!これで奴に身体を渡さずに壊せる!』
「やつ・・・・・?」
なにを言っているのか分からないが、自分が危ないってことはわかった。
「ぐおおお!」
自己暗示をかけ無理矢理身体を動かす。
『ヒレフセ、ムシケラ』
「ぐっ!」
再び身体が勝手に這いつくばる。
「く・・・・・そ!」
諦めて目を閉じようとする。
その刹那、脳裏に一つの剣の姿がよぎる。
「来い!エストォ!!」
最後の力を振り絞り自分の相棒、エストの銘を叫ぶ。
『抗うな、無駄だ』
「そうかな」
『な・・・・・に?』
俺はいつの間にか握っていた聖剣。
<魔王殺しの聖剣>で化け物を貫く。
『ニンゲン風情がぁぁぁ!!』
「じゃあ、その人間風情にやられるお前はそれ以下ってことだな」
化け物は不快な悲鳴をあげながら消滅する。
「ありがとな、エスト」
「ーーーーー」
礼を言うと聖剣は閃光を放ち、拒絶するように俺の手を弾こうとする。
「っ!?痛っ!」
「カミト!離してください!」
「離さない!」
精霊には少し強引な方がいいと学んだからな。
「私はカミトの剣になることはできません。資格がないのです」
「それは俺が決める。エストは、お前は俺の剣だ。だから戻って来い!」
掌に感じる痛みを無視して更に強く握る。
「私の罪は許されることのないものです」
「そんなもの知るか!罪なら俺も背負ってる!」
強引に持ち上げ、闇を切り払い道を拓く。
「私は、もう二度と繰り返したくない。だからーーーーー」
頭に膨大なイメージの奔流が流れ込んでくる。
そのイメージは聞いたことのある物語で、それが映像として流れる。
ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー
エストを離して現実世界に戻る。
「なあ、ライナ」
自分の師であるライナを呼ぶ。
「お、起きたか」
「ああ」
俺は上体を起こす。
「その様子だと、失敗したみたいだな」
「ああ・・・・・」
自分が情けなくなってくる。
「ライナならエストを取り戻せたか?」
「は?」
ライナが呆れたような顔をする。
「エストはお前の契約精霊だろ。無理だよ」
「・・・・・」
俺は俺、ライナには慣れない。
「あー!」
考えるのはもう止めた。
「今度は無理矢理でも連れ戻す」
「強引すぎるだろ・・・・・眠いから寝るわ。おやすみ」
ライナが寝たので俺も寝ることにした。
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side レン・アッシュベル
「いよいよ始まるわね、レン・アッシュベル」
「ああ」
背後に闇精霊が舞い降りる。
「カミトは貴方の試練に耐えた・・・・・というか別の試練を受けていたようだけど」
「・・・・・」
予想外だ。
あんなことになるとは思わなかった。
「貴方の眼、実はランダムな未来だけで、見たい未来を見れるようなものじやないんじゃないの?」
「ああ、見れる未来は指定できない。だが、カゼハヤ・カミトが覚醒する未来は見えた」
「そう、それで、彼に仕える精霊姫は見えたのかしら?」
「いや、そちらは見えていない。が、候補は考えてある」
「ーーーーーそれは、貴方の妹君のことかしら?」
気持ちが高ぶり周囲の木々を燃やす。
「口には気をつけたそうがいいぞ、闇精霊」
「あら怖い。冗談なのに」
舌打ちし、庭園の茂みへ眼を向ける。
「ーーーーー盗み聞きとは趣味が悪いな、竜の娘よ」
「戯れ言を。とっくに気付いていたのでしょう?」
茂みからドラクニア代表のレオノーラ・ランカスターが現れる。
殺気と呼ぶにもなまぬるい気配。気付かぬ者などいるはずがない。
その手には精霊魔装<竜殺しの聖剣>が握られていた。
「ーーーーーずいぶんと昂っているようだな。用向きは何だ?」
「私の中の<竜>が、強者との戦いを欲しています。ぜひ手合わせを願いたい」
彼女からは血と戦いに飢えた狂戦士を思わせる興奮が感じられた。
「ドラクニアに伝わる竜の血脈を継ぐ娘かーーーーー面白い」
私は仮面の奥で微笑む。
「さあ、剣を抜きなさい、最強の剣舞姫!」
どうやら戦いたくてうずうずしているらしい。
それをなんとか理性で抑えつけているようだが、だが、その姿は餌を前に待てを命じられた犬を彷彿させる。
「身の程をわきまえるがいい。貴様ごときに<神殺しの焔>を使う価値はない」
「後悔、しますよ・・・・・レン・アッシュベル!」
衝動に呑まれたレオノーラが一気に踏み込んだ。
一瞬後、庭園の石床がむすうの破片となる。
「いい動きだ。しかし、ティアラほどの速度ではないな」
相手がティアラなら、私は死んでいただろう。
「・・・・・っ!?」
振り返るレオノーラに掌打を撃ち込む。
「っく!?」
身体をくの字に折ったレオノーラに囁く。
「あるいは、<魔王>に<竜>をぶつけてみるのも一興か。これほどの力であれば、彼の覚醒の一助けとなるかもしれん」
「・・・・・貴方、カゼハヤ・カミトが好きなのですか?」
・・・・・・なにをほざいているのだろう、この娘は。
「ふふふ、面白いこと言うね、この娘」
「精霊か」
こいつはよく分からないやつだ。
戦力としては我々の中では最高だ。
「ま、彼女の言う通り、カミトくんの覚醒の手助けをしてね」
魔法精霊を名乗る男、リューラが指を動かし虚空になにかを描き、レオノーラの身体に押し込む。
「がんばってね」
レオノーラが倒れる。
「なにをした、精霊」
「君がしようとしたことをちょっとね」
「そうか」
「ああ、そうそう、君に渡すものがあるんだ」
「なんだ?」
短剣を渡された。
「なんだこれは?」
「その時になればわかるよ」
それだけ言って精霊は無数の札となり消える。
「まあいい持つだけ持っておいてやろう」
私はそれを鞘に納め、懐にしまう。
久しぶりの投稿。
まだ終わらんよ。