精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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魔法って剣で斬れるんだって、カミトも似たようなことできたけどさ

side ライナ

 

弁当を食べ終わったので執務室に戻る。

 

「ーーーーーってな訳で、決闘することになったんだ」

「怪我はするなよ、精神崩壊するなよ!崩壊しても全力で私が治すが、万全ではないからな!いいな!仕事は後でいいから決闘に備えて寝ろ!」

 

本当に過保護過ぎる。

昼寝できるしいいか。

グレイワースに仮眠室で寝かされた。

フカフカとベッドで凄くいい寝心地だ。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「ふぁー、三十分前か」

 

目が覚めて、時計を見ると一時三十分だった。

 

「そろそろ行かねーとな」

 

顔を洗い、頭を目覚めさせる。

 

「ライナ、油断するなよ」

「わかってるって、母さん。いってきます」

 

俺は仮眠室から出て、決闘の場所へ向かう。

 

「ライナ」

 

<門>の前にリンスレットがいた。

 

「リンスレットか、それに、カミトとクレアもいるな」

 

巨大な石の円環の後ろからカミトとクレアが出てきた。

 

「なにしに来たんだ?」

 

俺は聞いてみる。

 

「いや、俺たちはリンスレットにお前が決闘するって聞いたから参考になるかと思ってな」

「私はカミトが行くっていうから」

「私はライナ応援に来ました」

 

なるほどな。

 

「んじゃ、開けるぞ」

 

精霊語で開門の言葉を唱えると、光陣が光を増す。

複写眼を発動させて見ると面白い構造になっていた。

 

「なるほどな」

 

俺は十分解析できたので光陣の上に跳び乗る。

途端、視界が白い閃光に満たされる。

味わったことのある感覚が全身を襲う。

それは最後に運命が俺を転生させた魔法によく似た感覚だった。

ーーーーー目を開けると、異世界の風景が広がっていた。

ねじれた木々の深い闇の森。

血のように紅い月。

紫がかった霧がたちこめている。

ここが元素精霊界ーーーーー精霊たちの棲まう世界。

 

「む、一対一だぞ」

 

先に着いていたエリスがカミトたちを見てそういった。

 

「観客だよ。カミト、試合開始の合図を頼むぞ」

「わかった」

 

リンスレットとクレアは後ろに下がった。

 

「邪魔をしないのならいい」

 

俺はある程度エリスから距離をとる。

 

「いいぞ、カミト」

「こちらもいつでもいける」

 

カミトが頷くき、手を挙げる。

 

「始めっ!」

 

カミトが手を降ろした瞬間、俺の契約精霊、グリフォンとエリスの契約精霊らしき大鷲が衝突し、強風を生み出す。

 

「俺も避難しとくか」

 

カミトはさっさと下がる。

 

「はぁぁぁ!!」

「って!やっぱり物理攻撃かよ!」

 

俺はその剣を避ける。

あきらかに昼の剣とは速度も威力も変わっていた。

 

「っぶね!?」

 

複写眼で見ると、剣に風を纏って切れ味を上げつつ、さらに剣の速度も上げていた。

 

「こりゃ、一時撤退だな。ーーーーー気高き空の王者よ、空を踊るための我が翼となれっと」

 

エリスに対抗するために造った精霊魔装で上空に逃げる。

 

「ここなら、剣は届かな!?」

 

届かないと言おうとしたのだが、大鷲にエリスが乗って飛んでいた。

 

「はぁっ!!」

 

大鷲の背中を蹴ってこちらに跳んでくる。

 

「うお!?」

 

スペック的にはこちらが上なのだが、先程造ったばかりなのでなれていないためスピードを出せないでいる。

それでも大鷲より速度は上なのだが、エリスの跳躍が加わればその速度は俺の速度を越す。

 

「でも、落ち着いて見ると直線にしか進めないよな」

 

右に避けることで剣を避ける。

 

「ふ、対策済みだ」

 

後ろから風を感じたので、上昇する。

 

「隙あり!」

 

間合いの外の筈なのにエリスが剣を振るう。

 

「って!なんじゃそりゃ!?」

 

纏っていた風を斬撃にして翔ばしてきた。

あれが精霊魔装じゃないことに納得がいかない。

 

「はぁっ!」

 

俺は精霊魔装<暴風の飛翼>を羽ばたかせ、風の刃を無数に生み出す。

隙ができるからあまり使いたくないんだよな。

現に後ろから大鷲が迫ってきている。

 

「解除!グリフォン!!」

 

二体一はキツいのでグリフォンに戻す。

 

「グリフォン、大鷲を頼むぞ」

 

グリフォンはコクりと頷くと大鷲へ向かって飛ぶ。

 

「って!あー!タンマタンマ!」

 

指示するのが遅かったため、すぐ近くにいた俺は強風に巻き込まれた。

 

「って!マジかよ!」

 

強風に襲われた俺は、エリスの方へ飛ばされている。

 

「ふっ」

 

エリスの剣に風が集うのがわかる。

 

「求めるは疾風>>>・風刃!」

 

比較的一番いい名前がついた魔法を発動させ、風の刃を翔ばす。

 

「っち!」

 

エリスは舌打ちしながら斬撃を放ち、風刃と相殺させる。

 

「なるほどな」

 

風刃のおかげで俺はエリスと離れて行く。

 

「っと」

 

空燕を無詠唱で使い、落下速度を緩める。

が、それの判断は間違っていた。

 

「隙ありだ」

 

先に着地したエリスがもの凄いスピードでこっちに向かって来ているのだ。

 

「求めるは雷鳴>>>・稲光!!」

 

俺は咄嗟に稲光を使う。

 

「フン!」

「はぁ!?」

 

エリスには驚かされてばかりだ。

なんと稲光を剣で斬ったのだ。

 

「はっ!」

 

さらにその剣を蹴ってこっちに翔ばしてきた。

 

「うお!?っぶねぇ!!」

 

なんとか回避する。

その剣は地面に突き刺さり、その地面をえぐった。

 

「我・契約文を捧げ・大地に眠る悪意の精獣を宿す」

 

俺は剣を持っていないエリスを攻撃する前に脳のリミッターを外す魔法を使った。

剣が無いとはいえ体術の技量もそれなりにある。身体能力はエリスの方が上なので俺の攻撃に対処しながら剣を取ることは簡単にできるだろう。

だからこそ使った。

俺がこの魔法を発動させるのは一秒とかからない。

 

「はっ!」

 

速度は俺の方が若干速い。

 

「これで若干だけとか、どんだけだよ」

 

エリスは拳を振るう。いや、違う。

 

「っち!」

 

エリスは風で剣を作り振るったのだ。

 

「ほう、これを見破るか」

「眼がいいんでな」

 

複写眼を発動させてなければ避けれなかった。

 

「どうするかな・・・・・」

 

稲光は斬られるし、紅蓮は風で威力を増して俺に襲いかかることになる。崩雨は簡単に避けられるな。光燐は発動まで時間があるのですぐに距離を詰められる。風刃も切られて終わりだろう。

 

「はぁ、武器複製」

 

カミトが使う魔術を発動させて大剣を造り出す。

 

「はぁっ!!」

 

エリスの風の剣を造り出した剣で防ぐ。

 

「便利な魔術だ」

「お前にとってはな」

 

どうやらエリスには重さの無い剣を振るうのは苦手なようで、軽いはずなのに剣を振る速度が遅くなっている。

 

「さて、そろそろだな」

 

俺は後退する。

まあ、大きな隙ができるが、誘いだ。

 

「む?」

 

誘いだと読まれたようで近づいてこなかった。

エリスが来るであろう地点にグリフォンが急降下する。

 

「あー、外したか」

 

グリフォンは少々傷疲れた様子だが戦闘に支障はない程度だ。

少し遅れて大鷲が落下し、量子になって消える。

 

「お疲れ」

 

俺はグリフォンを<暴風の飛翼>に変える。

それと同時に嫌な感覚を感じた。

 

「っ、おい!逃げるぞ!」

「どういうーーーーー」

 

言いかけてーーーーーエリスは口をつぐんだ。

どうやら気づいたようだ。

 

「む、この気配は・・・・・」

 

小首を傾げていたリンスレットとクレアも気づいたようだ。

 

「カミト!動けるようにしておけ!」

「お、おう!」

 

カミトは俺の隣に立つ。

 

「エリスはリンスレットたちを頼むぞ。俺たちが殿を務める」

「いや、私が殿を務める」

「無理すんなよ。神威を使いすぎただろ」

「・・・・・わかった。任せるが、不甲斐なければ替わるからな」

 

エリスは剣を拾ってリンスレットたちの前に立つ。

 

「精霊魔装は?っち!回路がちゃんと繋がってねーじゃねーか!あー!もう!無理やり繋げるぞ!痛いだろうが我慢しろ!!」

 

力を一段階解放させる。

眼に水の雫が浮かび上がる。

 

「回路の解析・・・・・接続!!」

 

久しぶりに使うのでかなり疲れた。

 

「ぐおぉ!?」

 

カミトは右手を抑えている。

 

「カミト、エリスがやったこと、できるか?」

「この剣なら、できる。と思う」

 

空の裂け目から巨大な顎が現れた。

頭部も胴体も尻尾も尻尾も存在しない。ただ、ズラリと歯の並んだ不気味な顎だけが、ガチガチと音を鳴らしていた。

 

「っ、待て!」

 

エリスが後ろから叫ぶ。

 

「クレア!?」

 

カミトが叫ぶ。

 

「あいつ、魔精霊と契約するつもりか!?」

 

カミトの言葉を聞いて、立ち上がろうとするが、久しぶりに『すべての式を解く者』の力を使うため、かなりの負担がかかり、乗り物酔いのような症状に襲われ、立ち上がれない。

あの怖がりのクレアが魔精霊に立ち向かっている姿をカミトは見つめる。

 

「クレア!!下がれ!!」

「嫌!!私は、強くならなきゃいけないの!!」

 

カミトが大声を出して止めるが、クレアは<炎の鞭>を握りながら、木々の太い枝から枝へと跳び移りながら、魔精霊に近づく。

 

「やあっ!」

 

クレアは炎の鞭を振るうが、魔精霊はびくともしない。

 

「私の契約精霊になりなさいよ・・・・・」

 

クレアは半泣きで鞭を振るおうとする。

だが、勝手に精霊魔装が解けて、火猫精霊が魔精霊へ跳んで行く。

 

「スカーレット!!」

 

カミトと俺は同じ魔法を使う。

 

『求めるは光陣>>>・縛呪!』

 

俺はスカーレットを、カミトはクレアを狙う。

 

『目標を捕縛、収縮せよ』

 

俺の腕にスカーレットが、カミトの腕にクレアが吸い込まれる。

 

「大丈夫か?クレア」

「火猫も無事だぞ、ほら」

 

俺はクレアの頭にスカーレットを乗せる。

 

「カミト、さっさと精霊魔装を展開しろ」

 

俺はカミトを背に乗せる。

 

「ーーーーー冷徹なる鋼の女王、魔を滅する聖剣よ、いまここに鋼の剣となりて、我が手に力を!」

 

カミトの手のひらに光の粒子が生まれ、剣の形に変化するーーーーー

 

「行くぞ!」

「ああ!」

 

カミトは俺の背中を掴む。

俺は翼を広げて飛び立つ。

 

「求めるは殱虹>>>・、タイミングは俺が合わせる。お前のタイミングで翔べ!」

「ああーーーーー」

 

俺は魔精霊の周りを周回する。

魔精霊の真後ろに来た瞬間、カミトが飛び上がる。

 

「光燐!!」

 

光燐は聖剣にぶつかり、吸収され、極光を放つ。

 

「ーーーーー消え失せろ、顎野郎」

 

振り下ろした聖剣は、極光を放ちながら、魔精霊を真っ二つに切り裂いた。

 

「っつ!?ライナ!!」

「はいはいっと」

 

落下していたカミトを脇に抱える。

 

「あー、疲れた。今日の授業休む。なにがあっても休む」

「確かに・・・・・この後授業だと思うとな・・・・」

 

カミトはぼやく。

地上についたのでカミトを下ろす。

 

「中々の剣技だったぞ。あの魔法もな」

 

そういや、堂々と使ってしまったな。

 

「なんで、レン様の魔術が使えるの?」

 

クレアが怖る怖る聞いてくる。

 

「俺、師匠だし」

 

リンスレットもクレアも驚いた顔をする。

 

「あー、でも、内緒な。バレたら騒がれるし、めんどくさい」

 

リンスレットもクレアも目を輝かせている。

 

「言っとくけど魔法、あー、俺の使ったやつな。は教えないぞ。だって時間がかかるし、最初の段階で嘘ついたとか言われたらたまんねーもん」

「・・・・・一応聞いておこう。どんなものだ?」

 

エリスが聞いてくる。

 

「一年以上瞑想。才能の無いやつはここで何年も、最悪、最後まで無理だな」

 

彼女たちは落ち込んだ顔をする。

 

「うおっ!?」

 

後ろからカミトが倒れてのしかかってきた。

 

「おい!しっかりしろ、って、気絶している・・・・・俺もしてぇぇ!!」

 

宿舎まで神威を消費したカミトを運ぶことになった。

俺もあそこてま全神威を使って気絶すりゃ良かったと、後悔した。

グレイワースが俺をベタベタと触ってきたのは別の話だ。




バカだな。俺。
ストブラの書き溜めが無いってのに書いちゃってさ。
あ、よければそちらも見てください。

あっさりと魔法を使う主人公。
変だと思ったでしょうが、主人公は半寝ぼけ状態だったのと、エリスが思ったよりも強かったため、魔法を使いました。
精霊剣舞祭の本選になれば嫌でもバレるから秘密にしても無駄なのにな。

そして『すべての式を解く者』。
出ましたね。ちょっとだけですけどね。
このライナは元の世界から『運命を解放する者』の力を手に入れて、伝勇伝の世界で『すべての式を解く者』の力と、魔法を習得したという設定です。

そしてこの世界での伝勇伝の魔法は、伝勇伝と同じ概念の精霊を使っています。
どこかの運命がサービスしました。

一年の瞑想。
これは言わずもなが、伝勇伝の大体の魔法使いが通る道。
まあ、天才なら期間を短くできる、複写眼はそんなことしないでも最初から見える。
カミトは半年と、かなり早いペースで精霊が見えるようになりました。

魔法を斬って、威力をプラスする。
これはフェリスが原作でやっていた技?です。
光燐と聖剣で威力が増幅して凄いことになりました。
後々、ライナが弟子のために剣への属性付加魔法を開発します。
次回か次巻くらい。
身内にはとっても甘いライナ。
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