精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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夜の魔王の誘惑

side カミト

 

過去のエストの記憶であろう光景が目の前で繰り広げられていた。

そしてそれは終わりを迎える。

光り輝く聖剣が魔王の心臓を貫く。おぞましい断末魔の咆哮を上げ、魔王はこの世界から消滅した。

 

「っ!?」

 

前と同じように視界が歪み、光景が変わる。

 

「んーと、どっからだっけ?」

 

そこには小さな俺と小さなライナがいた。

 

「勇者を封じるとこから」

「あー、そうだったな。

そしてなんとか、『狂った黒い勇者』を封じる術を生み出しました。

『人間』という名の、結界です。

その結界によって、『狂った黒い勇者』を遥か南の地の封じることに成功しました。

封印されてしまった彼は、南の地でしか力を使えなくなってしまいました。

それから長い時間、世界はなにごともなく、平和に包まれました。

しかし、『狂った黒い勇者』はあきらめていませんでした。

すべてを黒く塗り潰してやる。

すべてを黒く塗り潰してやる。

すべてを黒く塗り潰してやる。

彼はそう、唱え続けていました。

本当に彼は狂っているのです。

ですがいくら彼が暴れても、『女神』たちの創った封印は解けません。

平和は続きます。

長い平和は続きます。

しかしその平和の中で、『女神』たちも気付くことができない、問題が起きてしまいました。

南の果てにはもう一人、化物が住んでいたのです。

もう一人、悪魔が住んでいたのです。

彼は生まれながらに孤独で、寂しくて、泣き叫んでいました。

しかしその声は誰にも届きませんーーーーー」

 

なぜか視界がぼやけてくる。

 

「ーーーーー」

 

視界に映るライナが小さな俺にシーツをかけた瞬間、一気に視界が暗く染まる。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「ーーーーーカミト、カミト」

「う、ん・・・・・クレア?」

 

肩をゆさゆさと揺さぶられ、目を覚ました。

 

「ご飯の用意ができたわ」

「早くしませんと冷めてしまいますわよ」

 

野営地を見つけ、夜の見張りのために仮眠を取っていたのを思い出す。

 

「ライナ、ありがとな、よく眠れたぜ」

「ん、あー、うん」

 

なにか真剣な表情で作業するライナ。

複写眼を取り戻す作業だったか?

 

「だー!!めんどくせぇー!!」

「五月蝿い」

「あだっ!?」

 

ライナがエリスに頭を叩かれ倒れる。

 

「何すんだよ!」

「大声を出すな、奇襲されたらどうするつもりだ」

「あー、悪かったよ」

「わかればいい。飯の準備ができたそうだぞ」

「おう」

 

木で作ったテーブルの前に座るライナ。

 

「おー、旨そうだな」

「そうですか?」

「リンスレットが作ったのか?」

「ええ、さ、冷めてしまいますので早くお召し上がりください」

 

ライナがリゾットを口に運ぶ。

 

「旨いぞ」

「ありがとうございます」

 

リンスレットが嬉しそうにしていた。

俺たちもそれから食べる。

 

「本当に旨いな!」

「リンスレットの料理はいつも美味しいわね!」

 

美味しい料理を食べ会話が弾む。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

遠くから女の子たちの声が聞こえてくる。

なんらかの攻撃があったような様子ではないので大丈夫だろう。

 

「ーーーーーカミト、少し気になることがあるから離れる」

「なら、俺も一緒に行った方がいいんじゃないか?」

 

はぐれると危険だし、あり得ないとは思うが覗きにいくかもしれない。

 

「大丈夫だって、少し気になっただけだ」

 

と、さっさと行ってしまう。

風呂とは反対方向なので大丈夫だろう。

 

「ーーーーー何者だ」

 

気配を感じ、木立こ奥を睨む。

気のせいならいいが、そうじゃないならフィアナの結界が破られた。もしくはすり抜けられたことになる。

 

「そんなに怖い顔しないで、カミト。女の子に嫌われるわよ」

 

それは、自分のよく知った人物だぇた。

闇色のドレスに身を纏った美しい少女。

 

「レスティア!?」

 

目を見開いて、少女を見つめる。

複写眼(仮)を発動させる。

幻覚じゃない。なら、本物?

でも、なんで?

 

「構ってもらいに来たのか?」

「そんな空気じゃないでしょ!?」

 

レスティアが感情を表しツッコんできた。

 

「まったく、なにを考えてるのかしら」

「悪かったよ、レスティア」

 

頭を撫でてやると、気持ち良さそうにする。

 

「ふぅ、あの寝坊助ですら空気を読んだっていうのに・・・・・」

 

ライナが行ったのはレスティアの気配を感じたから?

 

「随分とあの剣精霊にご執着じゃない」

 

と、拗ねたような顔をするレスティア。

 

「ねぇ、もう一度私を使ってもいいのよ」

「いいのか!?」

 

レスティアの手を握る。

 

「っ、べつに驚くことではないわ。私はいまでもあなたの契約精霊なんだから」

 

ほんのりレスティアの頬が赤くなっている。

 

「今、あなたには資格があるわ。本来の力を開花させつつある今のあなたならーーーーー昔みたいに、私を使いこなすことができる」

 

レスティアが微笑むが・・・・・。

 

「言ったはずだ。レスティア。お前の主は魔王じゃない、俺だってな」

「あなたは魔王でもあるわ」

「ああ、けど、お前が見てるのは魔王で、俺じゃない。だから俺の契約精霊にする」

 

無理矢理唇を奪う。

 

「っつーーーーー!?」

 

パチン!と頬をひっぱたかれ、走って逃げられた。

 

「求めるは光陣>>>・縛呪!」

「っぐ!?」

 

なんとか逃げるレスティアを捕らえる。

 

「逃がさないぜ。レスティア」

「カ、カミト強引すぎよ!」

 

構わない。

 

「強引じゃなきゃ、お前に振り向かせられないだろ」

「ーーーーー!?」

 

顔を真っ赤にしてジタバタするレスティア。

 

「ふふ、大丈夫かい、レスティア」

 

いつの間にかティアラの精霊が目の前にいて、レスティアを拘束していた縛呪を分解される。

 

「っ、た、助かったわ。リューラ」

「残念そうだね。あのままの方がよかったのかい?」

「そ、そんなわけないでしょ!?わ、悪くはなかったけど・・・・・」

「レスティアを渡せ!求めるは雷鳴>>>・稲光!」

 

即座に魔法を発動させ、迎撃する。

 

「『稲死光』」

 

稲光は、同系統の魔法で打ち破られ、吹っ飛ばされた。

 

「っ!?稲光だと!?」

「そういえば君はライナの弟子でもあったね。だったら忠告をしておこう。君の中の化物は『悪魔』の片割れにすら匹敵する力をつけようとしている。呑み込まれないように頑張りなよ」

 

それだけ言って、無数の紙を散らしながら、レスティアと男が消えた。

刹那、赤い熱閃が空から降り注いだ。

 

「っ!?」

 

咄嗟に魔法障壁を張り防御する。

 

「なっ!?」

 

爆発した地面の中心に、巨大な翼を広げた、漆黒の魔竜が降り立った。

燃え盛る炎に照らされる夜の闇。

 

「これがドラクニアの騎士の作法かよ・・・・・。随分と不作法だな。レオノーラ」

「ーーーーー言ったはずですよ、カゼハヤ・カミト」

 

舞い散る火の粉の中から、黒い軍服を着た少女が現れる。

 

「ドラクニアの竜は、獅子を狩るにも全力を尽くすと」

 

竜精霊<ニーズヘッグ>の口腔から灼熱の熱閃が放たれた。




放置から数ヵ月。
バックアップが消えて書く気になれず放置。
最新刊が出たので読んで創作意欲が沸き投稿しました!
頑張った!俺!超頑張った!
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