精霊使いの伝説   作:テルメン(白)

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復活の聖剣

side ライナ

 

カミトから離れ、気配のする場所についた。

そこには最強の魔眼保持者で俺の義姉・・・・・。

 

「よく来てくれたわね。ライナ」

「あんたの相手は俺くらいしか勤まらねーからな」

 

ティアラ・ルミブルがそこにいた。

 

「親父もいないみたいだし、今がチャンスだろ」

「随分と舐めた口をお姉ちゃんに叩くじゃない。お仕置きが必要ね!」

 

瞬間、ティアラが視界から消えた。

 

「っ!?」

 

背後から気配がし、咄嗟に裏拳を繰り出す。

 

「あら、私の攻撃を防ぐなんて。気絶させるつもりだったのに」

 

裏拳はティアラの手刀を止めていた。

どうすっかなー。

精霊も喰われるらしいから精霊魔装も使えない。

魔法も無理。親父みたいに倒地でやるか?

 

「求めるは震牙>>>・・・・・」

「それは知っているわよ!」

 

一気に距離をつめられる。

やっぱ対策されてるよな・・・・・。

 

「求めるは焼原>>>・紅蓮!」

 

魔法を書き換え紅蓮を発動させる。

すぐに吸収されるが、一瞬だが視界を炎で遮ることができた。

 

「よっと!」

 

視界を遮っている隙にそのまま俺は突進してティアラを押し倒し、首にナイフを当てる。

 

「動くな」

「さすがね。でも、甘いわよ」

「『稲死光』」

 

降ってきた雷撃をかわす。

 

「姉弟喧嘩はダメだよ」

「子供の喧嘩に親が口出しするなよ」

「ごめんごめん、でも、親が姉弟の喧嘩を止めるのは当然だろ?」

 

軽口を叩きながら作戦を考える。

どうやって逃げるかな・・・・・。

 

「ティアラ、撤退するよ」

「・・・・・どうして?」

「目的は達成したからね」

 

目的・・・・・?

 

「仕方ないわね。わかったわ。また会いましょう。ライナ」

 

符が舞い、二人は札とともに姿を消す。

 

「だぁー、なんとか乗り越えた・・・・・」

 

五分にも満たない戦闘だったが、どっと疲労が襲ってくる。

プレッシャーも半端なかったし、タイミングが少しでもずれていたらこっちがやられていた。

 

「短期戦にして正解だったな・・・・・」

 

長期戦にしてたら確実に負けてた。

もう寝よう・・・・・。

いや、無理っぽいな。

 

「悪いが貴様をレオノーラ様のもとへ行かせるわけには行かない!ここで倒れてもらうぞ!」

 

鎧からしてドラクニア代表、さっきの奇襲から判断してかなりの実力者だろうな。

そして上手く気配を隠しているがもう一人。仲間かどうかはわからないが、乱入されると厄介だ。

 

「死と再生を繰り返し、不死を現す炎の鳥よ。我が手に集いすべてを凪ぎ払う剣となれ!」

 

<業火の剣>を顕現させ、大鎌の精霊魔装を受け止める。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side クレア

 

戦闘音が聞こえ、急いで風呂から出て着替える。

 

「結界はどうなってるの?」

「せ、正常よ!どうやって!?」

 

結界をすり抜けそれを感知させないなんて・・・・・

これは気を引き締めないとダメね。

 

「伏せろ!」

 

エリスが叫び、私たちはそれに従い伏せる。

 

「うぐっ!?」

 

少女のうめき声が聞こえた。

 

「ふむ、入浴の時間を狙う不届き者は、この私が成敗してやろう!」

 

エリスの手には精霊魔装の剣が握られておりその正面にはドラクニアの甲冑を身に纏った人たちがいた。

その内一人は鎧を切断されていた。

 

「ここは私に任せろ。お前たちはあの二人の援護に行け」

「相手はドラクニアの竜皇騎士団よ!やるなら全員で!」

「私一人で十分だ」

「行きますわよ!」

「リンスレット!?」

 

三人を一人で、それもドラクニアの竜皇騎士団相手に無謀だってわかっているはずだ。

 

「大丈夫ですよ。エリスは」

「ああ、そうだ。さっさと行け!」

「必ず、戻るまで持ちこたえて!」

「ふっ!持ちこたえる?全員倒せの間違いだろ!」

「私たちを嘗めてるのかしら!」

 

降り下ろさせるハルバードを、エリスは軽々はじき返す。

 

「はっ!」

「うぐっ!?」

 

一閃。

カウンターが決まる。

 

「貴様っ!?」

「ささっさと行け!」

「任せたわ!」

 

私たちは戦闘音が聞こえた方角へ走る。

 

「逃がすか!」

 

木々の隙間を縫い、邪魔をするように飛竜が降下してくる。

 

「遅い!」

 

氷の弓矢が飛竜の翼を凍てつかせる。

 

「なっ!?」

 

竜精霊の特徴は圧倒的な剛力と魔術攻撃に対する耐性だ。リンスレットの弓矢では大したダメージを与えることは出来ないが、リンスレットは竜ではなく、翼の間接を凍てつかせることで、浮力を無くさせ、飛竜の精霊を撃墜した。

 

「その程度、予測できないとでも?」

「っく!」

 

最後の抵抗か、飛竜精霊にまたがっていた精霊使いは腰の剣を抜き、向かってくる。

 

「エリスほどではありませんわね」

 

リンスレットがそれを弓につけられた刃ではじき、カウンターをいれる。

うん、有効なのはわかるけど、その使い方はどうなんだろう・・・・・?

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side カミト

 

「求めるは水雲>>>・崩雨!!」

 

漆黒の竜精霊から放たれる灼熱の閃光を崩雨で威力を弱める。

 

「おいおい、弱めてもこれかよ・・・・・!」

 

その閃光は大地を焦がす。

 

「レン・アッシュベルの精霊魔術、やはり噂は本当だったようですね」

「あー、やっぱり知ってるよな・・・・・」

 

参加者全員が俺たちが魔法を使うことを知ってると考えていいな。

 

「めんどうだな」

 

相手が精霊魔装を展開し始めた。

 

「ちょっ!?我・契約文を捧げ・大地に眠る悪意の精獣を宿す!」

 

慌てて魔法を使い、リミッターを外す。

 

「ーーーーー破っ!」

「うおぉぉ!?」

 

上段から降り下ろされる剣をなんとかかわす。

 

「ちょっ!?それほぼ完全に具現化してるじゃねーか!」

 

複写眼(仮)で解析したからわかった。

かわして無かったら死んでた。

 

「<竜の血>の影響ってやつか!?」

 

夜闇に煌々と輝く、レオノーラの紅い瞳。

理性の殆ど吹っ飛んでるな。

 

「求めるは雷鳴>>>・稲光!」

 

魔法を完成させ設置する。

遅延タイプの魔法で、レオノーラはそれに引っ掛かり防御の構えを取っていた。

 

「フェイントっ!?」

「遅い!!」

 

その一瞬の隙をついて、懐に入り込み、腹に一撃くらわせる。

 

「っぐぅ!?」

「求めるは水雲>>>・崩雨!」

 

吹き飛ぶレオノーラに崩雨で追撃する。

それと同時に稲光が発動し、崩雨を伝い、稲光がレオノーラにダメージを与える。

 

「っぐぅ!?」

「求めるは雷鳴>>>・稲光!!」

「ふん!!」

 

レオノーラは精霊魔装の剣を盾に、稲光を凌いだ。

その反応速度は純粋に感心する。

 

「っうぉ!?」

 

次の魔法を準備している間に、レオノーラは距離を詰め、剣を薙ぎ払う。

 

「っぐぁ!?」

 

回避するが、凄まじい風圧に吹き飛ばされ、木に背中を打ち付けた。

 

「なんつう怪力だよ!?」

 

リミッターを外した俺より上のパワーだぞ。

 

「もっと私の血を滾らせなさいっ!カゼハヤ・カミト!」

 

完全に理性が飛んでるじゃねーか!?

 

「こっちは苦手なんだけどなっ!」

 

精霊魔術、武器複製で剣を造り出す。

 

「求めるは雷を宿す剣>>>・雷剣!」

 

付与魔法で拙い精霊魔術を補う。

それでも打ち合えば三回が限界、運が悪ければ一回で折れる。

 

「はっ!!」

「っぐぉ!?」

 

なんとか攻撃を受け流す。

 

「求めるは雷鳴>>>・稲光!!」

 

ゼロ距離稲光。

加減したとはいえ痺れたりはするだろう。

俺だったら痺れて動けない。

 

「なかなか効きましたよ!」

「元気だな!?」

 

ピンピンして痺れた様子など見えない。

 

「反則だろ!求めるは雷鳴>>>・稲光!」

 

また遅延型の魔法を仕掛ける。

 

「また同じ手ですか!」

 

魔法を無視して突っ込んできた。

 

「っぐ!」

 

剣を受け流すと同時に、武器複製で作った剣が砕け散る。

俺は反動を利用して後退する。

 

「求めるは雷鳴>>>・稲光!」

 

稲光はすぐに発動し、レオノーラに直撃する。

そして、怯んだとこに遅れて稲光が発動し、これも直撃する。

 

「っぐ!?まだまだ!!」

 

してるはずなんだが、大して効いていないように見える。

どんだけタフなんだよ。

 

「求めるは水雲>>>・崩雨!!」

 

水流で強引に押し返し、距離を取る。

 

「ふん!!」

 

水流を裂いて、精霊魔装の剣が飛んできた。

 

「っ!?」

 

顔を逸らしてかわす。

 

「貰いました!!」

 

レオノーラの拳を左腕で防ぐ。

 

「ぐぁっ!?」

 

だが、その防いだ腕の骨が折れ、腕が上がらない。

 

「なんて力だよっ・・・・・!」

 

これはキツイな。

一か八か、かけるか。

 

「冷徹なる鋼の女王、魔を滅する聖剣よ、いまここに鋼の剣となりて、我が手に力をーーーーー!」

 

来い、エスト!

 

「何をしているのですか、隙だらけですよ!」

 

レオノーラの剣が俺の胸に落とされる。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side ライナ

 

「はっ!」

 

<業火の剣>で薙ぎ払い、炎を飛ばす。

 

「そんな脆弱な攻撃、竜の前には効かない!」

「あー、うん、だろうな」

 

蝕走もこの眼じゃ使えないしな。

 

「はぁっ!!」

 

大鎌が振るわれる。

 

「っと!」

 

その延長線上に不可視のなにかが通る。

 

「ほー、エリスと同タイプの能力か」

 

風の刃か。

こいつじゃ相性が悪いな。

 

「考え事とは余裕だな!」

「<暴君の鎧>」

 

<業火の剣>を消し、精霊魔装<暴君の鎧>を展開し、風の刃を無効化する。

 

「なにっ!?」

「こいつに生半可な攻撃は効かねぇよ」

 

なんせ俺の精霊魔装でも一番神威を消費する精霊魔装だからな。

 

「オラ!」

 

地面を殴り、大地を揺らす。

 

「なっ!?」

「らぁ!!」

 

足元を取られた相手に、拳を叩き込む。

 

「がぁ!!」

 

相手は木々を折りながら吹き飛ぶ。

 

「やり過ぎたか?」

 

一応は手加減したんだがな。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side クレア

 

「見つけたぞ!チーム・スカーレット!」

「なっ!?ヴェルサリア!?」

 

不運なことに、ヴェルサリアと遭遇した。

 

「ん?ライナとエリス、それとカミトがいないようだな?」

「別のとこよ」

 

こんな時にヴェルサリアと遭遇するなんてっ!

 

「そうか、まぁ、あとで見つければいいか」

 

ヴェルサリアが両手に槍の形の精霊魔装を展開し、突撃してきた。

 

「っ!」

 

その槍を、リンスレットが弓につけられた刃で受け流す。

 

「ほう?奇妙な弓の精霊魔装だな」

「ええ、エリスを相手するために改良しましたから!」

 

リンスレットはヴェルサリアのお腹を蹴り、その反動で離れながら、凍てつく弓矢を放つ。

 

「ふん!」

 

その弓矢は、ヴェルサリアにあっさりとはじかれる。

 

「流石、元学園最強といったことですね」

「ああ、エリスに譲ったとはいえ、私が弱くなったわけではない!」

 

槍と弓、二つが激しくぶつかり合う。

いや、弓で本職の槍使いと互角近く渡り合うってどういうこと?

 

「クレア!」

 

リンスレットの合図と共に、木々に巻いてあった<炎の鞭>に炎を灯し焼いて、木々を倒す。

前にカミトがしていたのを参考にして、やってみたが、

 

「いい作戦だ。だが、遅いな!」

 

ヴェルサリアが一瞬で木々の包囲網を抜ける。

 

「まさか、貴様ら相手に全身展開することになるとはな」

 

ヴェルサリアは腕の槍だけではなく、全身を甲冑に包む。

 

「魔氷の雷雨!!」

 

リンスレットが弓矢を放ち、空中で分裂し大量の氷の弓矢が降り注ぐ。

 

「数撃てば当たるという考えか、だが、私に当てるには弾幕が薄いぞ!」

 

ヴェルサリアは凄まじい速さで弓矢をかわし続ける。

そして撃ち尽くしたのか、弓矢が止まる。

 

「弾切れのようだな、では、次はこちらからだっ・・・・・!?」

 

ヴェルサリアが体勢を崩した。

 

「私が考えなしに攻撃していたとでも?」

 

ヴェルサリアの足元を見ると、地面が凍っていた。どうやらそれに足を取られたようだ。

 

「終わりです!魔氷の矢弾!!」

 

リンスレットの放つ氷の矢がヴェルサリアに突き刺さる。

 

「っく!中々楽しませてくれる!」

 

ヴェルサリアは大したダメージを受けた様子はない。

やはり、元とはいえ学園最強は伊達ではない。

 

「まさかこんなに早くこれを使うことになるとはな!」

 

ヴェルサリアの精霊魔装が巨大化する。

 

「あの一撃で決めきれないとは・・・・・」

「大丈夫?」

「ええ、しかし、相性が悪いです」

 

私たち三人に足りないのは火力だ。

 

「くらえ!」

 

巨大な精霊魔装から、大量の砲撃が放たれる。

 

「<ゲオルギウス>!!」

 

フィアナの契約精霊が、降り注ぐ弾幕を防ぐ。

 

「そういえば姫殿下もいたのだな」

「また忘れられてる・・・・・」

 

えっと、ごめんなさい。私も忘れてた。

 

「だが、私相手に何分持たせられるかな!」

 

砲撃は苛烈さを増し続ける。

早くカミトのとこに向かわなければならないのにっ!

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side カミト

 

闇に沈む意識の中、映像が流れ込んでくる。

 

「マス・・・・・ター・・・・・?」

「エスト、そんな顔しないで」

 

魔王を滅ぼした聖女の身体は、美しい精霊鉱石の結晶に変化していく。

そのアレイシアは、まだ動く右手をエストの頭にのせ、喘ぐように言葉を紡いだ。

 

「最初から、わかっていたことよ」

 

わずか十六歳の少女とは思えない、大人びた表情。

そう、<魔王殺しの聖剣>は、あらゆる呪いを滅ぼす剣。

しかし、その呪いは消滅したわけではない。その呪いを溜めこむ。

数多くの呪いを溜めこんだ聖剣は、ある瞬間を迎えたとき、その呪いを契約者に与えるのだ。

精霊兵器ーーーーー<テルミヌス・エスト>は精霊などではない。

 

「そん・・・・・な・・・・・」

 

エストを撫でる華奢な少女の手が、硬質な精霊鉱石の結晶に変化していく。

 

「マスター!私は、知らなかったのです!私が、こんなーーーーー」

 

アレイシアは微笑む。エストに優しい眼差しを向ける。

怖いだろうに、エストを気づかっている。

 

「わかっているわ、エスト」

「マスター・・・・・あなたは、こうなることを知って・・・・・・」

「ええ。だから、エストのせいじゃないのよ」

 

エストの頭を撫でながら、穏やかに頷く少女。

しかし、その声は震え、目にはかすかな涙が浮かんでいた。

そうだ。彼女は普通の女の子なんだ。

死に際に戻れたんだ。

 

「マスター・・・・・」

「さようなら、エスト。私のたった一人のお友達」

「だめ、です・・・・・マスター・・・・・」

 

精霊鉱石化が上半身にまで進んでいく。

 

「いや・・・・・アレイ・・・・・シア・・・・・」

「・・・・・はじめて、名前を呼んでくれたわね。嬉し・・・・・・い・・・・・」

「・・・・・っ!」

 

首もとまで結晶が侵食する。

 

「エスト、私ーーーーー」

 

ぽたぽたと涙がエストの頬にこぼれ落ちる。

 

「本当は、聖女になんてなりたくなかった」

「ーーーーーアレイシア!」

 

魔王の城に慟哭が響き渡る。

民衆の期待を背負わされ、孤独な戦いを続けてきた聖女、いや、アレイシアという一人の少女の最後だった。

 

そして、エストはみずからの存在を、魔王の佩刀の中に封印した。

誰とも関わりを持たないように。もう二度と、大切な人を失わないように。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

「ーーーーー私には、カミトの剣となる資格はありません」

「それがどうした」

 

エストの頭をくしゃくしゃ撫でる。

 

「ふぁっ・・・・・カミト・・・・・やめて、くい・・・・・」

「お前も辛い過去を背負ってるってのはわかった。けどな、俺の中にも化け物がいる」

 

俺はエストに語る。

 

「所有者を殺す魔剣?それがどうした。お前はお前だ」

「カミ・・・・・ト・・・・・」

 

エストの身体を抱き寄せ、唇を塞ぐ。

 

「・・・・・っ!?」

 

制約の口づけ。

精霊使いが高位精霊と契約するときの儀式。

 

「お前は俺の剣だ、だから、俺に従え!」

「強引過ぎです、カミト・・・・・」

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

落とされた剣を弾き飛ばす。

 

「・・・・・なっ!?」

 

レオノーラの紅い眼が見開かれる。

 

「<魔王殺しの聖剣>を呼び戻したか・・・・・」

 

レオノーラの紅い瞳が輝きを増した。

 

「それでこそ、あなたを倒す価値がある!」

 

咆哮するように叫び、魔剣が振るわれる。

 

「ーーーーー薙ぎ払え!暴虐の魔竜!」

 

剣の先端から、真紅の閃光が一直線に放たれた。

大地を焼き、森の木々を一瞬で消滅させるほどの熱閃。

 

「はぁっ!」

 

その熱閃を切り払う。

 

「・・・・・っ!?」

 

驚愕に目を見開くレオノーラ。

 

「行くぜ!レオノーラ!!」

 

エストを構え、レオノーラに向ける。

最高の一撃で決める!

 

「ーーーーー我が血の呼び声に応え、魔竜よ、猛り狂え!」

 

レオノーラも俺に合わせるように、剣を構え、雄叫びを上げる。

俺とレオノーラは同時に走り、距離を縮める。

 

「おおおおおおおおおっ!!」

「あああああああああっ!!」

 

眼前に迫る大剣。

わずかでも触れれば砕け散るほどの神威を纏い、レオノーラが突進してきた。

だが、恐れることはない。

俺には最強の剣があるのだから!

 

「ーーーーー我が血の滾り、その身で受けるがいい!!」

「身で受けるのは勘弁だ!」

 

二振りの交わり、<魔王殺しの聖剣>がいっそう眩い光輝を放ち、レオノーラの剣を一撃で粉砕した。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side クレア

 

「求めるは雷鳴>>>・稲光!!」

 

雷が、ヴェルサリアの精霊魔装に直撃する。

 

「来たか!ライナ・リュート!」

「お前の相手はめんどくさいから嫌なんだけど・・・・・」

 

ライナが物凄く嫌そうな顔をしている。

 

「ふむ、確かに一対一なら厄介だな」

 

エリスが飛び上がり、ヴェルサリアの精霊魔装を突き刺す。

 

「っち!流石にお前たち二人を相手にはできん!」

 

ヴェルサリアは分厚い装甲をパージし、視界を奪ったと思えば、すぐに消えていた。

 

「流石に引き際は心得ているか・・・・・」

「今のうちに仕留めたかったんだけどな」

 

ん?そういえば、エリスはドラクニアの竜皇騎士団の三人を倒した?

 

「エリス、もしかして、一人で三人を倒したの?」

「残念ながら、やつらのコンビネーションは中々のもので、攻めきれず、撤退された」

「エリスでも攻めきれなかった・・・・・流石はドラクニアこ竜皇騎士団・・・・・」

 

いや、精鋭三人相手に攻勢で、しかも無傷な方がおかしいからね?

 

「そういや、カミトは?」

「そういえばあの四人、足止めみたいだったし、その、本命がカミトの方に・・・・・」

 

まずい!?

今のカミトはエストとの契約が切れている。

 

「急いで向かいましょ!」

「んじゃ、任せた。俺は連戦で神威や神経をすり減らしたから寝る。うん、無理、本当に」

 

ライナがフラフラしている。

うーん、いつもこんな感じだから嘘か本当かわかりずらい。

 

「じゃあ、リンスレットとエリスはライナをよろしくね」

「ええ、任されました」

「まったく、世話のかかるやつだ」

 

肝心のライナは立ったまま寝ている。

 

ーーーーー◇ーーーーー◇ーーーーー

 

side カミト

 

「・・・・・なぜ、私の<魔石>を奪わないのですか?」

 

地面に倒れたままのレオノーラが訊いてきた。

彼女の紅い眼は、静かな黒い瞳に戻っていた。

 

「エストを呼び戻すきっかけをくれた礼、ってわけじやないがーーーーー」

 

俺も木にもたれかかって座りこんだ。

 

「今回は勘弁してやるよ。それに、こんどは、<竜の血>に支配されたお前じゃなくて、本当の竜騎士レオノーラと剣舞を舞っていた」

「・・・・・甘いですね、あなたは」

「そうだな・・・・・」

 

だけど、あの頃よりはマシだ。

 

「それとも、なにかもっと別のことを期待してるのか?」

 

レオノーラの頬を撫でる。

 

「や、やはり、あなたは危険です!」

「冗談だよ」

「っく!この淫獣!」

「おっと・・・・・」

 

レオノーラが俺を押して来たが、力が入っていない。

 

「ほら、立てるか?」

 

レオノーラは俺の手を取り、立ち上がる。

 

「次は負けませんよ、カゼハヤ・カミト」

「ああ、俺もだ。負けるつもりはない」

 

レオノーラはふっと微笑むと、燃え立つ炎の中に消えていく。

 

「・・・・・カミトは、本当に節操がないご主人様です」

 

隣から、少し拗ねたようなエストの声を聞きながら、意識を失った。




お久しぶりです。
本当に、遅くてすみません。
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