「来たか、待っていたよ。」
「お待たせしました~」
「久しぶりね、カイト!」
「あぁ、そうだね。」
カノンはあの電話のあと無事ルピコ、プレイヤーと合流し、たった今研究室に到着した。カノンはカイトに会うのは久々になるためなんだが懐かしい気分になる。何度か見たことのある研究所を見回すと他の見知った顔触れがカイト以外にあと4人程いるのを確認する。それに加えカイトのそばに相棒であるクリーチャー、キリコもいるのが見えた。カノンは皆にも挨拶をしようととある4人に近づく。
「他の皆も久しぶりなのだわ!」
「おう!待ってたぜ、カノン!」
まず最初に反応したのは火の守護者のであるグレンだった。デュエマに対する熱さは人一倍あり、とても頼りになる人物である。
「お久しぶりです、カノンさん。」
次に言葉を返した人物は、光の守護者、エレナである。彼女は高貴な光文明の使い手に相応しい、とても聡明で優しく正義感溢れる勇敢な人物である。
「おーカノンだー!ひっさしぶりだねー」
次に挨拶を返した人物は、自然の守護者、チュリンだ。自然を愛するが故森が家のようなものになっており、このデュエマシティにおいて自然の知識を語るのならば右に出るものはいないだろう。
「あら、もう来たのね。元気にしてたかしら?」
最後に反応した人物は、闇の守護者、ルカ。彼女の放つ異彩なオーラはどこまでもそこが見えず、まさに闇と言っても差し支えないだろう。妖艶な雰囲気すらも感じさせるほどのミステリアスさは彼女特有の魅力を感じる。
「皆……!集まってくれてありがとう!」
多忙な身でありながら自分の話に乗ってくれた守護者の皆に感謝する。本来なら集まることなどイベントなどでしかないことだが、今まさに守護者が同じ場所に集まった。
「よし、皆集まったな。」
カノンが久しぶりに会った面々達の顔を眺めながら感傷に浸っていると、カイトが皆が揃っているのを確認しながら声を上げた。それに反応するようにその場にいる全員の視線がカイトに向けられる。
「では、今回集まってもらった理由を今からカノンに説明してもらおうと思う。お願いできるかな?」
「わかったのだわ。」
カイトは今回守護者が集まる要因となったカノンに説明を求めた。それに対して話せることは全て話そうと意気揚々に口を開くカノン。そんな様子をルピコ、プレイヤーキリコを含む計8人が静かに見守るのであった。
「…………ということがあったの。」
一通り説明を終えたカノンは辺りを見回す。反応の仕方は、憤る者や不思議に思う者、思考する者等様々であり、まずはどう思ったのかを聞こうと考えたカノンはその光景を暫く眺めることにした。
「ほ、本当にそのようなことが……?」
ルピコはその内容に明かにショックを受けている様子だ。その顔には信じられないといったような苦悶の表情を浮かべている。
「なるほどな…………謎のクリーチャー、か……」
カイトはカノンの話に出てきたクリーチャーらしき化物について思考していた。考えているようにも見えるがその顔には苦虫を噛み潰したような浮かない顔をしており、あまり良い気分とは言えない様子である。
「チッ……んなことが起きてたのかよ……」
グレンはシティの住民が被害に会ったという事実に憤りを感じていた。誰ご見てもわかるほどに怒りを顕にしており、その目には既に事件を起こしたクリーチャーに対してどうしてやろうかといった気概を感じさせる。
「ひどい…………一体目的は何なのでしょう…?」
エレナは一体何故そんな残虐なことが出きるのだろうと思っていた。正義から反するその行為からは並々ならぬ悪意を感じ取っており、その目的がとても気になる様子だ。
「うーん……なるほどねぇ……」
チュリンは他の守護者たちと比べ多少呑気な反応に見える。しかし、本人がマイペース気味な性格なのでそう見えるだけでありこう見えても本人なりに何が起こっているのかを分析していたりする。
「はぁ……また面倒なことになりそうね……」
ルカはカノンから話された内容に頭を抱えていた。一見すると面倒くさそうにしているように見えるが、彼女も守護者の一人である。デュエマシティに被害が出た事実に苛立ちを感じているがルカはそれをうまく隠しているだけである。
「しかし、驚いたな。それほどの事件が起こっているというのに全く情報が入らなかった。被害者の話を聞く限りでは失踪しているか死亡していることになる。それなのになぜ情報が行き渡らないんだ?噂くらいになっていてもおかしくはないはずだが……」
カイトは初めて聞いた話に疑問を浮かべる。何故そのような事件が起きていながら、風の噂にすらなっていないのか。その意見に同調するように各々が口を開き思ったことを話し始める。
「そうね……私も初めて聞いたわ。」
「確かに……私もその様な話は耳にしたことがありません。」
「僕も聞いたことないねー」
「俺もねぇな……」
どうやら他の守護者たちも同様に聞いたことのない話らしく、不思議そうな表情を浮かべている。
「プレイヤーさんはさっきのお話、どこかで聞いたりしませんでした?」
ルピコは普段からシティの様々な場所に赴きなりふり構わずデュエルを申し込むプレイヤーならと思い、問う。
「っ……そうですか……」
しかし、プレイヤーは首を横に振った。ルピコの宛は早くも外れる。
「カノン、他にその子から聞き出せた情報はあるかい?なんでもいい。」
「他の情報……」
「あぁ、例えばそのクリーチャーの場所や容姿、その他の事で関係ありそうなものなら思い出せる範囲で答えてほしい。」
あまりにも情報が少なくこのままでは埒が明かないのでカイトはカノンに新たな情報を求めた。
「そういえば、森の中の洞窟にクリーチャーがいたって言っていたわ。」
「洞窟か……チュリン、心当たりはあるか?怪しい洞窟があったりしなかったか?」
森の中の洞窟と聞き真っ先にチュリンが思い浮かんだカイトは、すぐさまチュリンに怪しげな洞窟がなかったか確認をする。
「怪しい洞窟……むむむ……ちょっと多すぎるかなー……」
洞窟と言っても森には無数にあるため、記憶にある洞窟を片っ端から思い出していっても流石にわからなかった。
「ねぇねぇカノン、なんか特徴とかなかったの?」
洞窟だけでは抽象的すぎるので次は具体的な内容に迫る。
「特徴…………」
具体的な話ともなるとやはり考え込む時間が増えてしまう。進から聞いた話を思い出しながら、要約して具体的に伝えなければと必死になる。
「あっ」
「おっ何かわかった?」
カノンが何かを思い出したかのように声をあげる。チュリンはカノンの言葉をじっと待っていた。
「確か、その洞窟は入ったときは狭い道だったけど、進むに連れて段々広くなっていったって言っていたのだわ。あとは、真っ暗だったって事くらいしか……」
「真っ暗で段々広く……あーもしかして……」
カノンからもらった情報を元に自信の記憶にある洞窟を思い出す。この中に1つだけそれっぽいものを見つけたチュリン。
「わかったのか、チュリン?」
カイトが確認を取るように質問をした。
「うん、多分ね。」
対してチュリンは確信まではできないが、それでも自信はあるようで、胸を張ってそう答える。
「フッ……流石ね、チュリン」
「へへっ、まぁね~」
流石の森に対する知識量に、ルカが純粋にチュリンを褒め称える。チュリンは満更でもなさそうな表情で相槌をうった。
「んで、その洞窟はどこにあるんだ?」
「それがね……」
グレンの問いに対してのチュリンは神妙な面持ちで少し考える素振りを見せる。
「多分皆に言ってもわからないと思うんだ。」
予想外の返答に各々が驚きの反応を示す。
「それはどうしてなんだい?」
カイトは何故なのか聞き出すためにチュリンに更に質問を投げる。
「そうだねぇ……その洞窟の場所なんだけど、普通じゃ絶対に見つけられないような所にあるんだよねー。だからいまここで説明しても皆には伝わらないと思ったんだ。多分直接行った方が早いと思うよー」
「ふむ……そういうことか……」
誰よりも自然に詳しいチュリンの事だからきっと本当にわかりにく場所にあるのだろうと、チュリンの説明に全員納得する。
「その……一応確認しておきたいのですが、その洞窟で間違いないと思った理由はあるんですか?」
疑っているわけではないが万が一と言う場合もある。ルピコは念のために何故そう思ったのかとチュリンに尋ねた。
「さっきカノンが言ってた特徴がまんま僕の知ってる洞窟と同じだったってだけだよ。でも確かに入り口は狭くて僕も最初は洞窟なのかなって思ってたなー。でも進んでみたら不自然なくらいに開けてきて、最後にはすっごく大きな空洞になってたんだよねー。それに光が届いてないから真っ暗だったし。あんなユニークな洞窟そうそうないからはっきりと覚えてるし間違いないと思うよ!」
「なるほど。チュリンがそう言うのなら、カノンの言っている洞窟の可能性としては十分に期待できそうだ。」
自然の守護者なだけあってやはり自然物の知識は凄まじく、カノンの拳げた少ない特徴だけで場所を特定してしまった。カノンも思わず「すごい……」と呟く。
「それでは次の質問に移ろうか。カノン、その化物というのは具体的にはどういった見た目をしているんだ?」
場所の問題をとりあえず解決したところで、カイトが本題である化物の話題を繰り出した。他の皆もそれが知りたかったと言わんばかりにカノンに視線を向ける。
「確か先程話されていた内容には、大きな虫のようなものがいたと仰っていましたが、おそらくそれとはまた別なのでしょう?」
エレナは先程カノンが話した内容を振り返りながら、自信の考察を口にする。カノンがざっくりとした話をした際に出てきた大きな虫のような生物。この世界からするとその虫も十分あり得ない存在なのだが、恐らく本題の化物はそいつではないのだろうと話を聞いた時点でなんとなく察していた。
「それが先輩に聞こうとしたんだけど……できなかったの。」
暗い顔をしながら申し訳なさそうに答えるカノン。
「それは……何故なんだい?」
カイトはカノンの様子が変わったのを見て、何か問題があることを察する。慎重に質問をするとカノンは言いづらそうに答えた。
「その……先輩、あの出来事が少しトラウマになってしまってて、聞こうとしても『ごめん、あの時の事あんまり思い出したくないんだ』って言われてしまったの。私もそれ以上詮索するのも悪いから、余り情報と言う情報がなくて……」
カノンは進の相談を聞いた後、カイト達に情報を多く伝えるべく化物について質問をしていたのだが、本人は余り話したくなさそうにしていたことを思い出す。その時の自分の行動を思い出すと、少し嫌な気持ちになってしまう。今でも何故少しでも考えればトラウマになっていることなどわかった事なのに、そんな過去を掘り返すようなことをしてしまったのだろうと思う。
「そうなのか……」
「くそっ……胸糞わりぃな……」
「確かに、トラウマになっていても仕方がありませんよね……」
「流石に可哀想だねー……その子……」
「まぁ、無理もないわね。」
「進さん……」
思った以上に被害者の精神的ダメージが大きい事実に他の面々は、カノンの言う先輩といわれる人物に同情する。本人達はクリーチャー世界に行ったり、様々な事件に巻き込まれているので少々感覚麻痺していたようだった。
「その、すまない。少々配慮に欠ける質問だったな。忘れてくれ。」
カイトはそこまで頭の回らなかった事に謝罪をする。
「そ、そんな……私の方こそ、自分から相談しに来ているのに、肝心の化物の情報を持っていないなんて話にならないわよね……こちらこそ、ごめんなさい。」
カノンは相談してほしい身でありながら、肝心の情報が曖昧なものしか持っていない、そんな自分に対して不甲斐なさを感じていた。多少の罪悪感からかカノンは謝罪をする。
「あら、どうして謝るのかしら?」
そんなやり取りを見てか、ルカはカノンに疑問に思ったことを質問した。
「え?だ、だって私から皆に集まってほしいなんて言ったのに、私がその肝心の情報が曖昧なものばかりで……これじゃ時間の無駄になってしまうのだわ。だから申し訳なくて……」
「本当にそうかしら?」
「え?」
予想外の返答に戸惑いを隠せないカノン。
「少なくとも、あなたのお陰で私たちは初めてそんな事件が起こっていることを知ることができた。嘘かどうかはおいておいて、ね。その時点で話し合いをする価値はあるんじゃないかしら?」
「そうなのかしら……」
フォロー?されているのかわからないが何となく悪い事は言われていないような気がする。そんな会話を微笑みながら眺めていたエレナが口を割って参加してきた。
「ふふっ素直じゃありませんね。カノンさん、ルカさんはありがとうって言っているんですよ。」
「っ!エ、エレナ!」
エレナの発言に図星なのか少し動揺するルカ。そんなルカを尻目にお構いなしにと話を続けた。
「そ、そうなの?」
「えぇ、そうです。ルカさんもそうですけど、私たちも感謝しているんですよ?こうやってカノンさんが今回お話の場を作ってもらえなかったら、私たちはそのようなことが起きている事にすら気づかなかったかもしれません。それを教えてくれただけでもとても意味のあることだと、私は思います。」
「エレナ……」
エレナの励ましに少し自信を取り戻すカノン。自分の不甲斐なさに感情だけで動いてしまった、また皆に迷惑をかけてしまったと思っていた後ろめたい気持ちが取り除かれていく。これがエレナを光の守護者たらしめる所以なのかもしれないと、そう思った。
「あぁ、そうだね。エレナの言う通りだ。」
「だな!気にすることないぜ、カノン!」
「うんうん、僕もこのままだったら多分知らなかったことだろうしねー」
エレナの小さな演説に他の守護者たちも同意する。
「まぁ……そういうことよ……」
遠回しに自信の気持ちを伝えたつもりがエレナのお陰でストレートに伝わってしまい、ルカはやりにくそうに目線をそらせながらもエレナの意見を肯定した。
「皆……ありがとう!」
カノンは気持ちが楽になり満面の笑みを浮かべながらお礼を言った。そんな表情に皆が和んでいると思い出したかのようにカノンが話を始めた。
「でも、化物についての情報がないわけではないの。それでも本当に少ないのだけれど……」
「っ!そうなのか?なら是非教えてほしい。」
全くないと思われていた情報が僅かながらあるという吉報にカイトの表情が若干柔らかくなる。
「もちろん!えぇと、先輩の話によるとその化物はとっても大きくて、紫色に光っていたらしいの。あと、喋ることも出きるっぽいのだわ。本当に少ないのだけれど、参考になってくれれば嬉しいわ。」
カノンの示した数少ない情報を聞き皆が一斉に思考し始めた。確かに少なくはあるが、それでも特徴的な部分はある。まずはこの場にいる全員の持ち得る知識を出し会うことが先決だろう。カイトはそう考えて、場にいる全員に話を持ちかけた。
「皆、色々と思うところはあるだろうが何か考えが浮かんだ者から一人一人話してほしい。何か思うことがある人は手を挙げてくれないか?」
そんなカイトの提案にルカが真っ先に口を開いた。
「あら、私最初はカイトの意見を聞いてみたいのだけれど。」
「それは……何故だい?」
カイトはルカの考察ではなく自身の意見を聞きたいという要望が飛んでくるとは思わず、少々困惑しながらも理由を問う。
「何故って、やっぱり私たちの考察力だけじゃ限界があるじゃない?でも、あなたの考察は私たちのものとはレベルが違うわ。確かに私も私なりに考えてはみているけど、あなたの意見を聞いてから話をして行った方が良いとは思わない?」
「ふむ、そういうことか。」
要するにルカは今この場で一番頭のキレる者であるカイトに考察を話してもらい、そこから皆で考察を出し合いその過程で訂正したりしていけばいいのではということだ。確かに頭の良さについてはそれなりに自負しているし、自分の意見を最初に求める気持ちは理解できた。カイトはルカの説得に納得して、おとなしく自分の考察から話そうと口を開いた。
「なら、僕の考えから話させてもらおうか。」
1拍おいて話を始める。
「といってもこの情報の少なさだ。余り宛にしない方がいいと思うけどね。」
「大丈夫よ。」
カイトの懸念点に対してルカは相槌を打った。
「まず考えたのが、その化物の目的だ。」
「目的、ですか?」
ルピコが首をかしげながら声をあげる。
「あぁ。僕が考えるに、その化物とやらは人間を襲うことを目的としているわけではないと考えている。」
「なっ!襲うことが目的じゃないだと?」
カイトの考察にグレンが少しピリついた態度で声を出す。グレンは先程まで被害者が出てしまったその事実に怒りを覚えていたのだが、人を襲う事が目的ではないという考察に対して理不尽さを感じ、その気持ちが声に乗ってしまっていた。
「そうだ。確かに被害が出ていることは事実だ。けれど思い出してほしい。僕たちが今まで対峙してきたクリーチャーの目的は何だった?少なくとも人食などという小規模なものではなかったはずだ。」
この場にいる全員が過去にであってきたクリーチャー達を思い出す。確かに人を食べるようなクリーチャーはこのシティにいた記憶はない。クリーチャー世界ならばいたりするかもしれないが、少なくともシティで対峙してきたクリーチャー達は世界を滅ぼすだったり、ザキラのような悪の思想を持つものに使役されているようなものだったりとどれもこれも大規模だった気がする。ならば何故人を食べたりしたのだろうか。
「では、どうして人を食べたりしているのでしょうか?」
皆の思っていた事を代弁してエレナがカイトに尋ねた。
「それはわからない。だが、もしかするとその化物は他にも目的を持っていて、その目的を達成するためには人を食べる必要があるのではないか?と考えている。」
「何故他の目的があると思ったのかしら?」
次はルカが疑問を投げる。
「そうだね……カノン、確かにその化物が人を食べていたとき少し特殊な食べ方をしていなかったかい?」
少し考える素振りを見せていたカイトが突然カノンに名指しで質問をする。いきなり質問されたので反応するのに少し遅れたが、質問された通り進から聞いた話を思い出し、それをカイトに伝えた。
「えっと……確か男の人が岩みたいになってしまって、それを食べていたって言っていたわ。」
「いつ聞いても酷い話です……」
カノンの話に再び不愉快になったルピコがそう呟く。
「そうだったね。確か『スイショウノハナ』と言っていたんだろう?」
「えぇ、話によればだけど……」
一体それとこれがどう関係するのだろうと不思議そうにカイトを見つめなから相討ちを打つカノン。
「人を食べるにしては余りにも不自然とは思わないかい?やるにしても普通に食べれば良いものを、何故かそいつは態々食べにくいであろう岩にして食べた。普通、食人を目的とするならそんな非効率的な事はしないはずだ。僕はこの岩にこそ何かがあるのではないかと睨んでいるんだ。まぁ、ただの食人という可能性もないわけではないとは思うけどね。ただまぁ限りなく低いとは思うよ。」
圧倒的な考察を前に各々が息を飲む。ルカは流石と言ったような顔ぶりでカイトに話しかけた。
「フッ……流石ね、カイト。」
「それほどでもないさ。」
カイトは満更でもなさそうな表情でルカからの褒め言葉を受け取った。
「私もそこまでの考えには及びませんでした。まだまだ精進しなくてはなりませんね。」
エレナはカイトの考察ぶりに感心していた。
「つまり……そいつはとんでもない悪者ってことだな!?」
「グレン、話聞いてた?」
「おう!ちょっと意識が飛びかけたけどな!」
「えぇ~……」
一方でグレンは途中から小難しい内容に対して睡魔が襲ってきてしまい、曖昧なままの理解度を示す。それに対してチュリンが突っ込みをするも堂々と眠かったことを告白するグレンに対して、チュリンは理解させることを諦めた。
「それに、人語を喋れるほどの知能があるんだ。何かの手下という訳でもなさそうだね。その大きな虫とやらがそいつの手下の可能性もあるだろう。兎に角、今回の敵は並大抵のやつではないかもしれないということだ。以上。」
カイトは結論として、今回の敵は厄介なものであろうと断定した。ここでカイトの考察が終わりを告げる。
「っし!皆、考察も良い感じに終わったところだしいつ調査するか決めようぜ!」
全員がカイトの考察を噛み締めているとき突然部屋中にグレンの大きな声が響き渡る。
「あなた、少しは空気読めないの?」
ルカがグレンに対して毒づく。それに対し、グレンは頭を横に振った。
「いや、多少は読めるぞ。」
((((多少……))))
グレンの発言に全員が心のなかで突っ込みをいれるも誰かがそれを口にすることはなかった。そんなことなど露知らずグレンは語り続けた。
「とにかく、俺は早くその化物とやらをぶっ潰してぇんだ!」
グレンは語気を強めて話を続ける。熱血なグレンにしては珍しく、熱くなっていないのにも関わらず勢いのあるトークに全員がどうしたのだろうと疑問符を浮かべた。
「確か白守進だっけか?」
そういってカノンに視線を向けるグレン。カノンは自分に訊いていることを察し、すぐさま質問に答える。
「えぇ、そうだけど……」
「プレイヤーから聞いたんだが、良いデュエルをするらしいじゃねぇか!」
「そうなの?初耳だわ。」
「私も初めて知りました。」
「へぇーそうなのー?」
「フッ、なるほどな。」
グレンの提示した初めて聞く情報に守護者達は興味を惹かれる。一人を除いては。カイトはなにかを察したかのような顔をしてグレンの話を聞いていた。
「だからこそ、俺はその化物が許せねぇ!そんなデュエルに熱いやつを酷ぇ目に合わせるなんざ俺がすぐにでもぶっ潰してやりてぇんだ……!」
グレンは今すぐにでも化物の洞窟に赴いて倒してやりたいと思っていた。正直目的がどうとかは余り彼には興味がない。兎に角デュエマが好きな奴が傷ついている。その事実がとても許しがたいことだった。
「グレンの言う通りだな。」
グレンの意見に珍しくカイトが同意する。
「結局そいつがどんな奴であろうと、この町に手を出したんだ。それに対してトラウマを抱えているデュエリストがいる。僕も早く対処したいと思っている。」
それに同調するのように守護者達が頷いた。守護者達は情熱の形こそ違えど皆それぞれがデュエマに対する強い思いを抱いている。それは守護者でない人であっても同じである。そんな思いを持った人が傷ついている。そんなことをほっとけるわけがなかった。今ここに皆の気持ちが1つになる。
「それじゃ、何時調査に向かおうか。」
「私はいつでも良いわよ。時間ならあるしね。」
「私も、いつでもで大丈夫ですね。」
「僕も大丈夫だよー!」
「俺もいつでも行けるぜ!」
「あ、私もプレイヤーさんもいつでも行けますよ!」
カイトの質問にカノン以外はいつでも行けると自信満々に答える。カノンはそんな皆がとても頼もしく見えた。
「あとはカノンだけだが……」
残るカノンに対して皆からの視線が集まる。もう返事は決まっていた。カノンは口を開いて、こう高らかに宣言する。
「もちろん、私も行くのだわ!!」
こうしてシティに今5人の守護者に加え一人のナビゲーターと試練の塔覇者、そして無垢の守護者を加えた化物討伐チームが結成されたのだった。
小説見返したら恐ろしいくらいに誤字を見つけるもんでちょくちょく修正してます。読みにくい思いをさせてすみません。今後も皆さんが読みやすくなるよう努力していきますのでよろしくお願いします。