無垢の守護者と甘い恋   作:しゃべる

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歪み

「なぁなぁーまだ行けねェのかよ。」

 

「シット、黙ってて。集中が途切れるでしょ。」

 

「ブハハハハ!そんなに暇なら一戦どうだ!」

 

「や、やめてよ!ここ結構繊細な空間なんだから!」

 

現世でもあの世でもない、不可思議な空間に四種の声が木霊する。

 

「でも、本当に遅い。大丈夫なの?」

 

「うーん……それがね、なんだかこの世界の時間との繋がりが薄くて、私たちが入り込める隙間がないの。」

 

「時間が薄いだァ?ンなこと有りえんのかよ。今までは普通に行けてたじゃねェか。」

 

「デッドゾーン!お前は少し頭が固いんじゃないのか?つまり答えは単純、敵がいつもより強いということなだけだろう!」

 

「あァ!?ンだと!?単細胞野郎には言われたかねェよ!」

 

「ブハハハハ!言ってくれるじゃないか!」

 

「………ヴィヴィ、あの二人は放っておくとして確かに手間取っているのは事実。ここで時間を取られるくらいなら、その世界は後回しにするのも手の一つ。」

 

「でもあと少しで行けそうな気はするんだ。だからもうちょっとだけ待っててくれないかな?」

 

「ったく、しょうがねェな。」

 

デッドゾーンの言葉にありがとう!とお礼を返すヴィヴィ。

 

彼女らの名前は、デッドゾーン、サンマッド、アダムスキー、ヴィヴィ。四人はギュウジンマルというクリーチャーがやらかした事件の後始末をしている者達だ。その中の内の一人、ヴィヴィはいつか全てを終わらせ、大好きなプレイヤーさんやルカ姉達の元へと帰るのが目標として掲げていた。そんなヴィヴィに着いていっているのが、S級侵略者のこの三人である。

 

そんな彼女らは今、目の前にあった次元の穴に手間取っていた。ヴィヴィの力で歪んだ時空を直していた彼女らは、どこでどう異変が起きているのかを、この穴の出現と共に知ることができる。内容までは分からないものの、基本ギュウジンマルと戦うかちょっとした世界の異変に立ち向かうだけで大体は終わるのだが……今回はそれ以前の問題のように見えた。 

 

「なんで入れないんだろう…ここはこうして…あれは……」

 

ぶつぶつと呟きながら作業を再開させるヴィヴィ。困り果てている彼女の様子を見ていたデッドゾーンが、突然口を開いてこう言った。

 

「なァ、一つやってみてほしいことがあンだけど聞いてくれねェか?」

 

「え?別に良いけど…何かな?」

 

「その作業、一回だけで良いから力ずくでやってみてくれないか?」

 

「え……えぇぇぇえぇ!?」

 

「デッドゾーン、貴方の言動が理解できない。無茶振りをする余裕なんてない。幾ら私達がさっき体力を最高値まで取り戻してるからって、流石にヴィヴィ無しじゃ厳しい。」

 

戸惑うヴィヴィを庇うようにアダムスキーが異議を唱える。

 

「でもよ、こうして居る間にもその世界のルカとか困ってるかも知れないんだろ?プレイヤーも、ルピコも、全員が悪い方向に進んでくんだ。早く行かねェと取り返し着かなくなるかもしれないぜ。」

 

「それは……否定はできない。でもデッドゾーンは分かってる筈。それにはヴィヴィの力を膨大な量使う上、もし入れたとしてもヴィヴィはしばらく戦えなくなるかもしれない。流石の私達もギュウジンマルとヴィヴィを相手には難しい。」

 

「…そうかよ。俺達の力がそんなに頼りねェってお前は言いたいわけだな?」

 

「ミステリー……どうしてそんな解釈になるの。理解不能。」

 

デッドゾーンはかなり頑固な部分がある。一度決めた信念は絶対に曲げないのだ。こうなれば話は水平に進ばかりで埒があかなくなる。困り果てたアダムスキーがあれこれ思案していると、そこに突然ヴィヴィが口を挟んできた。

 

「ありがとうアダムスキー、心配してくれて。」

 

「別に、心配した訳じゃない。私は変に力を使うのは非効率だと思っただけ。」

 

「それでも、だよ。」

 

「おい、結局どうするんだ。楽しく話すのもまた一興なのかもしれんが、それだと一生このままだぞ。」

 

サンマッドが不満を漏らす。

 

「私デッドゾーンの作戦やってみようと思う!」

 

「!で、でもそれだと───」

 

「良いじゃねェか、やらせてみようぜ。」

 

「デッドゾーン…!貴方、自分が何を言っているのか分かってる!?デンジャー…!このままじゃ自滅するようなもの。」

 

ヴィヴィの考えを支持するデッドゾーンに苛立ちを隠せないアダムスキー。もとはといえば、デッドゾーンの訳が分からない提案のせいだ。ヴィヴィの性格を考えれば、そんなことやりたがるのに決まっている。それを分かっててわざとあんな提案をしたんだ。これは、長い間ずっと一緒に行動してきたからこそ分かることだった。

 

「ヴィヴィ…!この歪みは後回しにしよう。他にも歪みはあるんだし、入るまでの時間がもったいない。だからっ…!」

 

「私は平気だよ。」

 

「っ……はぁ…貴方はいつも…そう言う。」

 

「あはは…ごめんね?でも、なんだか私感じるんだ。この歪みだけは無視しちゃいけない様な気がするって。」

 

「ブハハハハ!野生の勘というやつか!ヴィヴィにしては面白い判断をしたな!」

 

「ケッ、漸くかよ。これでやーっと暇じゃなくなる!安心しろ、もしお前が動けなくなっても指一本すら触れさせてやらねェからよ。」

 

「……ギブアップ。そこまで言うのなら、私はもう止めない。その代わり、必ず無茶だけはしないで。約束できる?」

 

「勿論だよ!みんな、こんなワガママに着いてきてくれてありがとう!それじゃ───行くよっ!!!」

 

ヴィヴィがそう宣言をした瞬間、辺りが白い光で包まれた。まだ見ぬシティはもうすぐそこだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おい!あんたこの街の関係者なのか!?なぁ、何なんだよこれ!クリーチャー?デュエリスト?世界が滅ぶ?さっきの演説聞いてたが全く訳が分からなかったぞ!?何とかしてくれるんだよなぁ!?あの化け者共を!!なぁって!!」

 

「ピィ……えっと、その…」

 

(た、助けてくださいぃ…プレイヤーさん……)

 

黒幕捜索隊を結成してから翌日。住民への注意喚起と状況説明を終えた後、力を持つ者各々が指定の作業へと取りかかろうとしていた時だった。アリーナ内の廊下をプレイヤーと歩いていたルピコは、前から歩いてきていた男と肩がぶつかってしまう。即座に謝ろうとしたルピコだったのだが、その男の様子がどうもおかしかったのだ。身体中が震えており、目も据わっている。言動の節々に焦りを感じられ、ルピコに迫る姿はどこかしらに狂気すら見えていた。

 

「っ!…ちっ、なんだよお前!横から割り込んで会話に入ってきやがって!は?落ち着けだと?貴様っ、そんなこと言えるような状況じゃな……っ…………!……す、すみませんでした…」

 

「っ?!」

 

突然正気に戻ったかと思うと、まるで別人かと見違えるほどに態度を変え頭を下げ謝罪してきた。どこか不気味に思いながらも、その男から目が離せないルピコ。なぜかは分からないが、今ここで一秒でもこの人から目をそらしたら、何か恐ろしいことが起きそうな気がしてならなかったのだ。

 

「あ、あっはははは……いやはや、本当に申し訳ない…僕としたことが、こんなに取り乱してしまうなんて。ですが、貴方の介入のお陰で何とか冷静になれました。改めて、先程の無礼をお詫び申し上げます。」

 

「え、あ、いやっ大丈夫ですよ!誰だってあんな突拍子もない話を聞かされたらああなりますから。私達にはその感情を受け入れる覚悟はあります。なので、顔を上げてください。」

 

「いや本当に……本当に申し訳ない…」

 

そう言って、男は頭を上げた。心の中で一息着いていると、男はクリーチャー退治頑張ってください!と此方を鼓舞してくれるかのような応援を残し去っていった。

 

「…ふぅ…こ、怖かったです……って、ダメダメ!あの人だって苦しい思いをしているんです。ここで折れてちゃ戦にだって勝てません!」

 

そう己を勇気づけるルピコ。だが、彼女たちは気付けなかった。非日常の体験により失われてしまった僅かな判断力。そのせいで、この"世界"において最も重要な分岐点を無視してしまったことに。

 


 

ルピコのちょっとした騒動から数時間後のことだった。

 

「……流石に、見つかるか。」

 

「へぇ…態々自首してくれるなんて、もしかして本当は優しいのかしら?」

 

「ルカ姉っ…こいつ、何かヤバい気がする!警戒して!」

 

「おやおや、口に出してしまっていたかな?まぁ良いだろう。遅かれ早かれ何れはバレていた。こんなものは変数の内にも入らない。」

 

知的な話し方をする目の前の男。その見た目は白衣を見に纏っており、一部分がまるで機械でできてあるかの様に思えた。非常にメカメカしい格好をしているこの者の正体とは──

 

「貴方、何者?」

 

「ふむ…貴様ら如きに名を名乗るなど、無駄も良いところだが……どうせ滅ぶ運命。冥土の土産に教えてやろう。その変わり、貴様の脳にとくと刻み込むが良い。この偉大なる天才の崇高な名前をな。私の名は───」

 

ギュウジン丸と言う

 

男は、己をギュウジン丸だと名乗った。不適な笑みを浮かべているソイツは、二人が不気味だと思うに十分な存在感を醸し出していた。

 

「一応確認しとくケド、アンタは敵?それとも巻き込まれただけ?」

 

「ははっ、これはこれは…鋭い指摘だ。答えは…そうだな、貴様らが私を敵でないと判断するのなら、丸腰で私に近づいてみれば良いんじゃないか?」

 

JJをバカにするように、少し演技掛かった物言いでそう告げるギュウジン丸。

 

「なるほどね、大体分かったわ。」

 

「ほう、たかが猿ごときに考察なんて芸当ができるのか。」

 

「考察?変なこと言わないで貰えるかしら。こんなのは考察でもなんでもない。私は貴方が敵だってことを"確信"しただけよ。」

 

「ハッハッハッ…どうも貴様は良い性格をしているらしい。私はな───貴様のような思考回路の生物が一番ニガテなんだよ。」

 

雰囲気が、変わった。

 

「っ!チッ……!」

 

「ルカ姉!?」

 

瞬間、背後から迫っていたクリーチャーが攻撃を仕掛ける。それを間一髪で召喚したクリーチャーを使い防いだ。

 

「おお!まさか防がれるとは。気配は完全に消していた筈だが…口だけではないらしい。」

 

「アンタッ!さっきから聞いてればねぇ…!人のこと見下しすぎ!ルカ姉に比べればお前なんて全然大したことないんだから!」

 

舐めた物言いに苛立ちを隠せないJJ。ウガーッ!と吠えるJJを横目に、ルカは口を開いた。

 

「街にいたクリーチャーと特徴が似てる…これは、宣戦布告と受け取っていいわよね?」

 

「随分な猛獣だな。少しは闘気を押さえてはくれないかね。暑苦しくて敵わん。」

 

「ふっ………上等ッ!!」

 

最初に動いたのはルカだった。デュエリストの力を存分に発揮するべく、カードを掲げる。そして、大型クリーチャーや小型クリーチャーが召喚されギュウジン丸を討つ戦いが始ま───ることはなかった。

 

「まぁまて、落ち着け。」

 

「?……なに?今さら怖じ気づいたのかしら。」

 

「まさか、その逆だ。私は交渉をしたいんだよ。」

 

余裕の表情を一切崩さず話を続けるギュウジン丸に、二人は少しだけゾッとした。得たいの知れない空気感がペースを乱してくる。JJが『そんなやつの話を聞く必要ない!』と必死にルカに呼び掛ける。本人もそう思っていた。こんな奴の戯れ言に時間を割くわけにはいかない。そもそも、コイツが親玉なのかすら分からないのだ。もしかしたら幹部クラスの只の駒なのかもしれない。或いは、時間稼ぎのための雑魚の可能性だってある。そうだとしたら、現時点でかなり会話をしてしまっているため既に作戦にハマってしまっていることになるが……兎に角、ろくでもない奴には変わりない。早く倒すべきなのだ。倒す…べきなのだ。べきなのに───

 

(この違和感は…?二対一……私とJJの連携は唯一無二よ。こんな奴、本気を出さずとも瞬殺できる。これは間違っていない筈なの。だと言うのに…なぜ、コイツは終始余裕そうなの?虚勢?ハッタリ?それともなにか裏がある?……くっ、情報が少なすぎて分からない!でも多分、今全てを知っているのはコイツだけ………少し、熱くなりすぎてしまってたのかもしれないわね。すぐに倒すより、先ずは情報を引き出してみるのも良いかもしれない。)

 

「……そう。どの立場から物を言っているのかってのはあえて触れないであげるわ。で?こんな状況で、貴方はいったいどんなふざけたお願いをするのかしら。」

 

「な、なに言ってるのルカ姉!」

 

態度は変えない。常に高圧的で、圧をかけていく。心の底から舐められないように、自分自身が少しでも気を緩まないようにするために。最大限の警戒の手は緩めない。

 

「場所を変えてはみないか?」

 

「……は?」

 

待った末に出された願いが、これだった。

 

目の前の男、何を言った?場所を変えたいと言ったのか?何を呑気なことを言っているんだ。此方は街中破壊されて混乱状態だ。恐怖で怯え、気が気でない住民もいると言うのにこんなことをしている場合ではない。

 

ルカは呆れを通り越して関心すら覚えていた。

 

「はぁ……貴方、並みの神経じゃないわね。」

 

「生憎、私は研究者というタチでね。長い年月をかけることが多い都合上、根性はある方だと思っている。」

 

(研究者、ね。)

 

思わぬ失言だった。本人は気付いていないようだが、ルカにとっては貴重な情報。この情報だけでもかなり考えられることは増えた。JJもしっかり会話は聞いていたらしく、「へぇ、その成りで研究者なのね~」とわりと酷いことを言っていた。

 

「見ての通り、ここは確か地下デパートとやらなのだろう?地下空間に点在する人工施設内で暴れても見てみろ、全てが壊れ、壊れ……瓦礫にでも潰されたらどうする。貴様は愚か私ですら危うくなってしまうだろう。そんなリスクを負ってまで戦うメリットがない。それに、戦うにしては少々狭苦しいと感じていてね。だが、それは貴様とて同じな筈。力を持ち戦う者ほど、最終的には開けた場での戦程やりやすいと結論付ける傾向にあるのだ。」

 

「ふぅん…根拠は?それって一方的な決めつけじゃないかしら。」

 

「決めつけ?有り得んな。この天才的な頭脳を持つ私に間違いなどない。私の分析力、経験、知識…その類い稀なる才能をもってすれば、貴様の心理など把握するのにそう難しくないわ。」

 

内心、なんて馬鹿馬鹿しい交渉だと思った。これは確実に裏がある。安易に乗ってしまえば、厄介事は避けられないだろう。だが、ギュウジン丸の言うことも一理あった。

 

(何が起きたのかは知らないけど、ここもかなりボロボロになってる。あらゆる地下施設は、その性質上他の建物や施設よりも頑丈に作られている筈。そんな場所が僅か二日間程でこの有り様……警戒をするに越したことはないわね。)

 

とは言え、はいそうですかと頷くわけにもいかない。多分、倒せるのならここですぐに倒した方が被害を食い止めるのに最も優れた方法なんだろう。しかし、そうすると己の身は愚かJJですら流石に危うくなってくる。もし戦っている最中にギュウジンマルが地下デパート崩落させ始めたら?もし敢えて交渉を決裂させるために今のタイミングにこの話を持ちかけてきたのだとしたら?

 

あらゆる可能性が巡りめぐる。こんなに慎重になるのも、恐らく目の前の男の異常なまでの余裕感を前にしているからであろう。

 

「……良いでしょう。その話、聞いてあげる。」

 

「なあっ!?ダメだってばルカ姉!!!」

 

「くははっ、話が分かるようで助かるぞ。」

 

「勘違いしないで。何も戦わない訳じゃない。安全な場所へと移動した瞬間、貴方に攻撃を仕掛けるわ。少し寿命が延びたくらいで調子に乗らないことね。」

 

「いや、それで十分だ。何故なら───」

 

「?アンタ、一体何して……っ!?」

 

いち早く異変に気がついたのは、クリーチャーであるJJであった。何者かが強大な力を使い、何かをしている。それだけは分かった。だが、何となくでしか感じとることができない。それでも、心の底から震え上がったのはこれが始めてかもしれなかった。

 

(あ、あり得ない…!私が怖がってるの?皆に普段恐怖のイタズラをしてる、この私が?どこ?どこなの!?この圧倒的な威圧感はなんなの?絶対的な存在だって錯覚しそうになるコイツの正体って、一体なんなのよっ!!!)

 

「はっ…!はっ…!はっ…!ル、ルカ姉…」

 

「っ?ど、どうしたのJJ?急に顔色が悪くなったけど……気分でも悪いのかしら?まぁ、あんなの相手にしてたら誰でもそうなるわよね。」

 

「ちっ、ちがっ…!なんか分かんないケドッ…いる!おぞましい何かが!!気をつけてルカ姉!」

 

声を荒げ警告をした直後だった。電気の灯っていないデパート内部の、その奥から影よりも濃くドス黒い何者かの影が見えたのは。ルカがJJの警告でその存在に気付いたときには、何故か声が出なくなっていた。生まれたばかりの雛の様に、己の小ささを自然と自覚してしまいそうな程に、"それ"は圧倒的な存在感を放っていた。

 

「あ、貴方は……!!何…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはこれは…丁寧なお出迎えをどうも。」

 

「報告通り、気味の悪い奴だな。ご苦労だったルカ。」

 

「よく頑張った、えらいえらい。」

 

「ほんとよもう…まだ戦ってないっていうのに、すごく疲れたわ。」

 

「あれがギュウジン丸さん、なんですか?」

 

「そうよ!自分のことを天才だのなんだの言ってるムカつくやつ!ルカ姉をバカにしたこと絶対許さないんだから!」

 

「オイ、もっと他に怒ることあるだろ?」

 

シティの都心部にて、複数人の声が響く。分かる範囲だけでも、ギュウジン丸、カイト、キリコ、ルカ、ルピコ、ダピコ、JJと幅広い者達だ。いや、複数人と言うには余りにも多すぎるかもしれない。何故ならここには

 

「にしてもどういうつもりなんだ?俺らをここに集めろ何てバカみてぇな事をアイツはルカに。」

 

「さぁ…何か企んでいるのは確実なのでしょうが……」

 

「なんか不気味だねー。」

 

「んなことどうでもいいだろ!アイツが街を襲ったってのに間違いはねぇんだ。ならやることは一つッ!この手でぶっ潰すだけだ!」

 

「早まるな!まだ情報が少ないじゃろ!会話できるのならしておいて損はない筈じゃ。カノンの時の事を思い出せ!」

 

「とは言いますが…あの男、瞳の奥に邪悪な野心を感じます。姉上の思惑は希望的観測となりそうです。」

 

「なぁアイラ、あの姿って科学者…なのか?」

 

「…にしか見えないよね。」

 

「あの男…なにか私と似た波動を感じます。」

 

主戦力となる守護者やプリン達、それにグレンモルトらもが集結していたからだった。それに加え、他にも大勢のクリーチャーを後方に引き連れている。恐らく、アリーナから貰った戦力のものだろう。

 

「…………」

 

だが一人、無言を貫き通している者がいる。ギュウジン丸の側に居る"ソレ"は、まるで操り人形かのようにその場に突っ立っていた。

 

「お前がギュウジン丸だな?」

 

「如何にも。貴様らの境地では決して及ばぬ頭脳を持つ天才、ギュウジン丸とはこの私の事だ。」

 

カイトの質問に堂々と答えるギュウジン丸。

 

「やめてください。天才とはそう易々と宣言するものではありません。先ずは、その天才の称号に見合った行動を伴わせてから語ることですね。」

 

「ほう…貴様は確かQ.E.D. か。なるほど、こんな者も居ると言うのか。面白い、実に不思議な時間軸だ。」

 

「何言ってんのか知らねぇが、さっさと正体を明かせよ。」

 

意味不明なことを呟き続けるギュウジン丸にしびれを切らしたのか、鬼丸が無理やり話を終わらせてきた。どうでもいいと、強気に思考を吹きとばし兎に角目の前のことに集中させなるべく会話が続くようにした。。知りたいのは、現在の情報ではなくこの二日間の内に起きた出来事についての詳細なのだ。

 

「そう焦るな。自ずと分かることを急かすんじゃない。」

 

「貴方、さっきもそうだったけどフワフワした言動が多いわね。天才を自称しているようだけど、実はそうでもないんじゃないのかしら。」

 

余りにも態度が一変しないため、ルカが揺さぶりをかけてみる。しかし、その不気味なにやけ面を無くすことはなくギュウジン丸は飽くまで自分のペースで話を続けた。

 

「結構結構、思う存分罵倒してくれればいいさ。どうせ貴様らは滅びる運命にあるのだからな。よしっ、馴れ合いはここまでにしよう。察しが悪くても分かると思うだろうが……この襲撃騒動は私が起こした。」

 

「「「「っ!!!」」」」

 

これが、開戦の幕開けだった。

 

「ギュウジン丸を驚異と判定。マスター、戦闘の指示を要請します。」

 

「皆、敵は数が多い!ギュウジン丸の強さが不明な以上、戦いに行くのは腕に自信のある者で頼む!他はなるべくシティを守りつつクリーチャーの相手を!」

 

そこからは早かった。カイトの指示通りに動き、まるで合戦かのようにシティを中心にして両者がぶつかり合う。アリーナから戦力を分けて貰ったのもあり、若干強さ的にはシティ側の方に軍配が上がる。それでも尚、今まで戦ってきた雑兵のようなクリーチャーよりも遥かに強く、そして遥かに早かった。

 

「皆のもの!ここは何としてでも食い止めるのじゃ!この世界の住人から受けた恩を今こそ返すときぞ!」

 

「私達はあの男の対処に当たります。その間貴方達はあの軍勢を相手にしてください。なに、心配することはありません。私達は共に逆境を乗り越えてきた仲間ではありませんか。大丈夫です、天才であるこの私が保証します。」

 

『おー!!!』

 

プリンプリン達の世界のクリーチャー、Q.E.D. 達の世界のクリーチャー、其々が手を取り合い強悪を打ち倒さんと進軍を開始する。二人の呼び掛けもあり士気は十分であった。

 

「オラァ!口だけなのはお前の方なのか!!」

 

「戦う所かクリーチャーを盾にし逃げるばかり…拍子抜けにもほどがあるぞ。」

 

「言っておけ。私は対峙こそすれど真っ向からやり合う気は更々ないのでね。」

 

先に仕掛けたのは鬼丸と修羅丸だった。鬼丸が近接攻撃を仕掛け、そのアシストを修羅丸が行っている。見事なコンビネーションだと言う他ないのだが、その悉くがギュウジン丸の手下に受けられてしまっていた。

 

「鬼丸さ~んっ!!」

 

「この声は…ルピコか!!」

 

「ハァッ、ハァッ………な、何とか合流できました。無事ですか?」

 

遠くから駆け寄ってくる二つの影。その正体は、ルピコとプレイヤーであった。最早お祭り状態の戦場を無傷で駆け抜けてこれているのを見て鬼丸と修羅丸は、やはりコイツらは他とはなにか違うと感じた。

 

「無事って言うより、意味わかんねぇって言った方がいいかも知れねぇ。」

 

「意味が分からない、ですか?」

 

「あぁ、あの男さっきから攻撃を避けてばかりでまともにやり合うが気があるかすら怪しい。」

 

ギュウジン丸をじっと見据えるルピコ。相変わらず何を考えているのか全くわからないが、良いことでないのは何となく伝わってきた。それに、気になる点は他にもある。

 

「ギュウジン丸さん、一つ聞いても良いですか。」

 

「何だ…呑気なものだな。こんな状況で質問の許可を取ると言うのか。」

 

ギュウジン丸はこの世の何よりも、頭の悪い生き物が嫌いだった。純粋で、単純で、そして何でも信じ込む。そんなやつがこの世に実在すると言うのだから、呆れて物も言えなくなる。目の前にいる小娘だってそうだ。態々聞く為にそんな言葉を投げる必要はない筈だ。だというのに、コイツはしてやってのけるのだ。苛立ちを隠せないのも無理はなかった。

 

「そうですか。なら、お構い無く聞くことにします。あの奥に立っている方は────一体何者なんですか。」

 

ギュウジン丸の背には常にソイツがいた。まるで彼が戦いに巻き込まれないようにソイツを守っているようにも見える。

 

ソイツは、容姿から見るに女の子だろうと推測できた。少し幼いその顔からは想像も着かない位の体躯をしており、紫のナニかを身に纏っている?姿は禍々しくおぞましい印象を与えてくる。加えて、両腕が機械で出来ているのかと思ってしまうほどにメカメカしく、明らかに人間ではなかった。

 

「あれだろ?ルカが連絡してくれてたやつじゃねぇのか?」

 

「…確かに、報告通りどこか居心地の悪い感情になるな。」

 

あの時ルカは、ギュウジン丸を広場へと連れていく前に、一度だけカイトに報告の電話をした。そんな暇があるのかと一同は疑問に思ったが、その相手の要求が理解できずそれどころではなかったので一旦口に出すのは控えておこうとなっていた。それよりも気になったのが、ギュウジン丸の他にいた異質なクリーチャーの話だ。

 

 ───そう、だからお願いねカイト。…ええ、助かるわ。でもね、まだ言いたいことはあって……もし戦うことになったら、真に警戒すべきなのはギュウジン丸じゃない方が良いかもしれないわよ。その、何て言えば良いのか分からないんだけど…少女?……には気を付けてほしい。意味不明かも知れないけど皆にもそう伝えてちょうだい。じゃあまたね───

 

一通の電報。ルカの直接の報告に当時のカイトは息を呑んだという。何故なら、当事者である彼女の声音が明らかに震えていたからである。異常事態なのは容易に想像できた。ルカ曰く、ギュウジン丸に見られながら電話できた理由はある種の停戦状態の様な状況だったかららしい。

 

「ルカさんをあそこまで動揺させた何て、普通じゃありません。そもそも、この戦場にあのような子がいるのがおかしいです。ギュウジン丸さん、もう一度聞きます。あの子は一体何者…なんですか?」

 

「はぁ…口うるさい小娘だ。しかしまぁ……隠しても意味はない、か。おい!私のもとへ来なさい───VV-8よ。」

 

「……はい。」

 

VV-8と呼ばれた少女は、大人しくギュウジン丸に従い移動した。その声に感情は乗っておらず、ロボットなのではと錯覚してしまう位に冷たかった。

 

「VV……エイト…?」

 

「そうだ。それがコイツの名前になる。親……と呼ぶべきなのかは知らんが、私がコイツを作ったのに間違いはない。だから、形式上は父親と言うものになるのかもしれんな。」

 

「作っただと……!?」

 

「おいおい、なんつー技術力してんだよ…それをもっと別の方向に活かしてほしいもんだぜ。」

 

「黙れ。凡人ごときが技術を語るな。この使い方が最も有意義であり、正しいのだよ。」

 

己を正しいと信じ疑わないギュウジン丸。天才故の思考回路なのか、それとも本人の性格なのか…常人には永遠にたどり着けない答えだろう。だが、そんなのは今どうでも良かった。

 

「今度こそお喋りはおしまいだ。さて、続きをやろうか?」

 

「…あぁ、そうだな。これ以上時間を無駄にしたくはない。」

 

「兄貴、警戒緩めんなよ。」

 

「わ、私達も行きましょうねプレイヤーさん…!」

 

次の、瞬間だった。戦争に合図なんてものはない。掛け声もなしに突っ込んでいく鬼丸と修羅丸。今度は二人同時の攻撃だった。息の合ったコンビネーションにルピコは一歩遅れる。3m、2m、1mと距離を縮める二人を相手にギュウジン丸は余裕の表情を全くといって良いほど崩さなかった。

 

「歯ァ食いしばれぇぇ!!!」

 

「隙だらけだぞ!」

 

そして鬼丸の拳が、修羅丸の剣が眼前にまで迫った

 

 

筈だった

 

 

「……は?」

 

「……なんだと?」

 

気付けば二人は、飛び出す前にいた場所にぼうっと突っ立っていた。

 

「ほう、戦場で呆然とする阿保がいるのか。興味深いな。」

 

「……!…ぐっ、あぁぁぁ!!」

 

「鬼丸っ!チッ、貴様ァァ!!」

 

棒立ちの鬼丸を狙い、ギュウジン丸のしったぱクリーチャーが自爆特攻を仕掛けた。いくら戦力に差があるからといっても、自爆特攻レベルの攻撃は効いてくる。地面に伏した鬼丸を見て、修羅丸が負けじと再び攻撃を仕掛けた。だが

 

「……っ!?…クッ!!またか!」

 

「い、今!!見ましたかプレイヤーさん!明らかに修羅丸さんの位置が変わりましたよね!?いえ、戻りましたよね!?」

 

訳も分からず戦闘を眺めてしまっていたルピコは、その明確な違和感を口にした。

 

「良い表現だ。戻った……戻ったか。ある意味では、そうなのかもしれんな。」

 

一瞬の静寂が場を支配する。困惑と混乱に思考が追い付かない。生き物というのは、大量の情報を一気に吸収するとフリーズするらしい。脳のキャパを越えてしまい、情報を正式に処理しようと体を動かすのをやめてしまうとのことだ。そんな時だった。

 

「おーい、ルピコ!此方はあらかた片付いた!今助けに来たぞ……って、鬼丸!?お、おい!プリンプリンッ、鬼丸が!」

 

後方から、ダピコの声が聞こえてきたのだ。どうやら、ギュウジン丸のクリーチャーを倒しきったらしい。残党が少し残っているものの、それはアリーナからの戦力だけで対処可能だった。その為、主戦力級の者はダピコに続いて続々とギュウジン丸のもとへと駆けつけてくれたのだが……まず最初に着いたダピコが、鬼丸の惨状を目撃し直ぐ様プリンプリンへと報告をした。

 

「なぁ!?お、鬼丸ッッ!大丈夫なのか!?」

 

急いで駆けつけたプリンプリン。鬼丸の上体を起こし支え、安否を確認している。すると、必死の呼び掛けに反応するように鬼丸はその重く閉じていたであろう瞳をゆっくり開いた。

 

「ねぇ、ちゃん?へ、へへへ……わりぃ、ヘマしちまった。」

 

「いや、良くやった鬼丸。わらわ自慢の弟じゃ。暫く休んでおると良い。動けるかの?」

 

「あ、あぁ。一瞬だったが、何とか致命傷だけは避けたから大丈夫だぜ。……任せた、ねぇちゃん。」

 

フラフラと立ち上がる鬼丸。そのまま彼は、駆けつけてくれた仲間達の背後へと周り、地面へとへたり込んだ。途中、心配の声が聞こえてきたが、身体中の節々が痛む為気にする余裕すらなかった。

 

「あの鬼丸がこんな呆気なく…?キリコ、何が起きたか分かるか?」

 

「……異常を検知。時間の流れに謎の歪みを確認した。マスター、あの子は…いや、あのクリーチャーは恐らく時間を操っている。」

 

「!やるじゃないか、人間にもこんなものを作れる脳があったのだな。少しだけ見直したぞ。」

 

一瞬瞳をピクリと動かしたギュウジン丸。だが、そんな動揺を隠そうと直ぐ様言葉を紡いで誤魔化した。

 

「成る程。貴方、伊達に天才を名乗ってはいない訳ですか。尤も、頭が良くとも行動でマイナスなので結局は天才ではありませんが。」

 

Q.E.D.の厳しい言葉にギュウジン丸は優越感のある笑みを浮かべ

 

「後半の批評はアレだが……私の力を素直に認めるのは賢い者のすることだ。やはりQ.E.D. ……貴様は同じ、天才同士なのだろう。」

 

と研究者らしく反応をしていた。

 

「ルカ姉…」

 

「ん、どうしたの?」

 

「私、初めてあの子を見た時……正直焦ったの。こんな奴に本当に勝てるの?ってバカなこと考えちゃったんだ。」

 

少し前の、情けなかった自分を思い返すJJ。ルカは、いきなりどうしたのかと疑問に思うことはなく静かにその独白を聞いていた。

 

「でも、今はなんだか……悲しそうに見える。」

 

「…そう。それで貴方はどうしたいの?」

 

「わかんない……わかんないの。でも…わかんない…ケド、っ……心のどこかで───助けなきゃって思った。だから私───」

 

あの子を助けたいッ!!!

 

「ふふっ」

 

「な、何?やめてよ!た、確かに私らしくないこと言ったかもしれないけど!だからって、そんなっ……目で…見ないで…ホントに……やめて…」

 

ルカの優しい視線に一気に顔が赤くなるJJ。手で顔を隠しているJJに対しルカは話を続けた。

 

「まぁ確かに意外とは思ったわ。でも…いや本当に……不思議ね。」

 

「どこが不思議なのよぉ…!」

 

「だって、さっき私も───貴方と同じことを考えたんだもの。」

 

「……え?そ、それってどういう───」

 

「何をこそこそと話し合っている?」

 

ルカの発言の意図を聞こうとした瞬間、ギュウジン丸にそれを遮られてしまった。明確な悪意がこちらに向けられているのを感じ、会話を中断する二人。仲間も二人の会話に気付かなかった様で、一気に注目を浴びる形となってしまった。

 

「はぁ…不愉快だ。無駄に足掻く上、無駄にどうにかしようと画策する。意味の無い行為を繰り返すこと程呆れるものはない。」

 

難色を示すギュウジン丸。まるっきり合わないと一同は感じるも、ここで言い返したところで意味がないと悟り黙り込む。

 

「どうしたんだ、ルカ。何か言いたいことがあるのかい?」

 

希望を模索するようにルカに質問するカイト。

 

「別に、そんなに重要な会話じゃないわ。」

 

そうぶっきらぼうに答えると、極限にまで達していた緊張感が幾分か緩和した。理由は分からない。

 

「なんだ、それなら早く目の前の相手に集中しようぜ。」

 

「そうだよー!こっちはえーっと…VV-8?の能力をどう突破しようかで悩んでるんだらさ、ルカも一緒に考えよう!」

 

「なんだか少しノリが軽い気がしますが……チュリンさんの言う通りです。皆さんの力を合わせればきっとどんな困難も打ち砕けます!」

 

「うーん……ですが、そう簡単に思い付くものなんですかねぇ。お姉ちゃんは良い案ありますか?」

 

「私に分かれば苦労しないと思うが…あの二人と違って天才じゃないんだ。思い付く限りだと……VV-8に情を訴えかけるとかか?」

 

「おおっ!悪くないんじゃないか!?あの無表情はきっと退屈の表れだ!例えばこのシティの楽しさなんかを教えてやれば、この街を壊したくなくなるかもしれないぞ!」

 

「ちょ、モルト!それはあの子に感情がある前提の話でしょ!多分あれ、機械だから無いと思うんだけど……」

 

「呑気じゃのぉ。こっちは鬼丸の仇を打ちたくて堪らないのじゃが。」

 

「ですが、彼ららしいと言えばらしいです。ここは我らも作戦立案に協力してみては。」

 

「……マスター、騒がしくなってきたけどどうする?時間操作となると、私の力ではどうしようもない。」

 

「難しいな…様々な思考実験の例に当てはめて弱点を探ってみたが、それぞれの解釈に可能性がある点を考慮すると……駄目だ。正解が見えてこない。」

 

「皆さん!何故私を頼らないのです!ここに居るではありませんか!全てを解決する天才がッ…!!」

 

ワーワーと連鎖的に煩くなっていく。まるでギュウジン丸達そっちのけで会話をしているんじゃないかと思える位、騒ぎは大きかった。

 

「…馬鹿にしているのか?」

 

一言、そう告げるギュウジン丸。

 

「馬鹿にしてるですって?どこをどうみたらそんなひねくれた発想になるのかしら。此方は真剣よ。」

 

「チッ…頭が痛くなるな。ふざけている。時間を操るのだぞ?勝てるのか?貴様らの弱い頭脳と経験で。それとも、舐めているのか?私達の実力を。言っておくが、VV-8は戦闘においても───」

 

「うるさい!アンタちょっとはその減らず口を治しなさいよ!」

 

「っ!?」

 

ギュウジン丸の言葉を、JJが大声で遮った。

 

「時間を操る…えぇ、強いわ。トンデモないくらい強いわよ!でも、だからって私達は止まらない!やるって決めたからには最後までやり遂げるのが私達なんだから!」

 

「JJさん…」

 

JJの言葉にルピコが感慨深そうに呟く。

 

そうだ、今までの問題を解決してきたのも最終的には全部諦めなかったからなのだ。そこにいろんな物語があろうとなかろうと、結局運命は諦めなかった方に味方してきた。ならば今回もやる遂げるべき何だろう。この、問題の解決を。

 

「皆、聞いてッ!!」

 

さっきよりも更に力強い声に、自然と一同の表情がグッ固まる。JJは、手に持っていたカットちゃんを握りしめながら、こう告げた。

 

「さっき作戦を思い付いたの!滅茶苦茶だし、意味不明だけど……私に着いてきてくれるなら協力して!!いい?一度だけしか言わないんだからね!私は今から─────」

 

VV-8を……いや、ヴィヴィを助ける!!!!




キャラが多すぎて処理しきれない……マジで書きにくかったです。
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