無垢の守護者と甘い恋   作:しゃべる

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今後の展開を考慮した結果タグに曇らせを追加しました。念のためにR15タグも追加しました。元々つけるか迷ってたんですが、何かタイトル詐偽みたいになってしまったかもしれません。ただただ甘い展開を想像していた方は、申し訳ありません。それでもいいよって方は引き続き楽しんでいってください!まだ曇らせは先になりそうですがね。


襲来!白守くん!

「いや~今日も疲れたな~!」

 

「お疲れさまです、先輩。」

 

今日も今日とで仕事が終わった。今はその帰り道である。カノンがバイトに来てから判明したのだが、どうも途中まで帰り道が同じらしい。仲良くもなれるし、話したいことや訊きたいこともあるのでバイト終わりは2人で帰ることが日常と化していた。

 

「それにしてもさ、よくプレイヤーさんとかと知り合いだったな~一体どこで会ったんだ?」

 

一昨日、カノンに誘われて遊びに行ったのだが、そこにデュエマシティでは知らない人なんてほとんどいないんじゃないかレベルの超有名人に会ってしまった。会えたその日は帰った後、一日中興奮が止まずよく寝られなかったのを思い出す。そのときに考えていた素朴な疑問を、進はカノンに訊いてみた。

 

「えっ!?あーそっそれは-…………」

 

「なんだぁ?もしかしてとんでもない出会いかたしちゃったりしてんのか~?」

 

このこの~と少し茶化しながらカノンに迫ってくる進。かくいうカノンはというと、前にルピコに話していた通りまだ本当の自分を話す勇気がでておらず、まだまだ考え中であるためひとつの懸念点が生まれていた。

 

(このまま正直に話したら絶対に、私のことを話さなきゃいけなくなる!ど、どうしよう……)

 

進に迫られているカノンはあたふたしながらうーん、えーと、と繰り返しながらどんな言い訳を作ろうか考えていた。そんなことを知るよしもない進は、カノンの様子を見て

 

(あちゃ~やっちゃったな~……ちょっとやりすぎたかも。知られたくないことだってあるはずだもんな。)

 

と少し反省して、話さなくてもいいよといった旨の話をしようと口を開きかけたそのとき、進の肌に何かが当たったのを感じた。

 

「ん?」

 

不思議に思い、当たったものが何か確認するために手の甲を見る。

 

「なんだ……?水滴……?」

 

「うーんと、えーっと、これはあのー説明しづらいと言います…………ん?」

 

どうやらカノンにも当たったらしく、さっきまであたふたしていたのが急に静かになった。

 

「な、なぁカノン……」

 

「はい……何でしょうか……先輩……」

 

「今日の降水率とかって、覚えてるか?」

 

「確か……20%くらいだったと思います……」

 

不穏な空気が当たりに漂う。もう当たったものの答えなんてわかりきっていた。

 

「いまからさ……多分雨、降ると思うんだけど……」

 

「い、いやですねぇ先輩!き、きっと小雨かなにかですよ!」

 

「だ、だよな!天気予報じゃ晴れだったし、まさか大雨なんて降るわけ無いよな!俺、傘持ってきてないし降られると困るし」

 

「わ、私も持ってきてません!けど、先輩が言うなら大丈夫ですよね、きっと!」

 

会話を続けている間、進達の頭上を灰色とは言いがたいほどの黒々とした雲が青空を覆っていくのが見える。それを確認した2人は空が曇っていくのに比例してどんどん顔が曇りだす。

 

「カノン……」

 

「はい……」

 

進は意を決した様にカノンに告げた。

 

「ここから分かれ道、そして家まではまだ距離がある。ならやることは1つ、だよな?」

 

「も、もちろんです……!」

 

カノンも同じ気持ちらしく、こちらに同調してくれる。そして2人口を合わせてこういった。

 

「「全速力で走って帰ろう(りましょう)!!!」」

 

「うおー!!!!!」

 

「あっ!ま、まってくださ~い!?」

 

とたんに走り出す進に、それを追いかけるカノン。しかし、はしり始めた瞬間

 

「うおー!!!…………あっ!?」

 

「せ、せんぱ~い少し遅く走ってくだ…………きゃっ!」

 

とてつもない勢いの豪雨が2人を襲った。

 

「マジか……!こんなに降ることあるかよ!?」

 

「び、びしょ濡れになっちゃう……」

 

「あ、雨宿りできる場所は…………!ね、ねぇ!」

 

必死に雨宿りできる場所を探す進だったがそんな希望はいとも容易く打ち砕かれることになる。

 

(クソッ!これじゃ俺もカノンも風邪ひくかもしれねぇじゃねぇか!どうしたものか……)

 

どうしようか考えていた進だったが、動転していたのか上手く思考がまとまらない。

 

「せ、先輩!こ、此方に!」

 

「うおっ!い、いきなりどうした、手なんか繋いで!?」

 

いきなり、カノンがてを繋いできたので混乱がピークに達する。それに、結構強い力で引っ張ってくるカノン。その顔には何か考えがあるようだった。

 

「な、なんか考えでも!?」

 

「はいっ!なので私についてきてください!」」

 

雨の音で声が聞こえにくいので、普段のカノンからでているとは思えないほどの声を出している。兎に角、それなばということでカノンを信じ、大人しく引っ張られていく進なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ここって……」

 

「私の家です!」

 

連れてこられたのは大きなビル。未だに雨の中を走っていたカノン達だったが遂に雨をしのげる建物の中へと入ることに成功した。

 

「ほら、早くエレベーターに乗ってください!」

 

「お、おぉう……」

 

びしょ濡れのまま2人はエレベーターに乗る。少し寒いので体をさすっている進。カノンの家につくまでまだ時間がかかりそうだったので、ある質問をしてみることにした。

 

「あー……さっさみぃ……な、なぁ……なんでカノンの住んでるマンションに」

 

「それはですね!あっ、す、すいません……」

 

どうやら質問が読まれていたらしく、質問途中で話を遮られてしまった。申し訳なさそうにしているが、それよりも早く訳を知りたかったので、別に気にしていないと伝える。

 

「そ、それでですね、何故私のマンションに連れてきたのかと言いますと……先輩の家より私の家の方が近かったからです!」

 

ドヤッ!と自信満々に答えるカノン。

 

「へ?そ、それだけで?」

 

「え?これだけですが……なにか問題でもありました?」

 

「いやいや!脳筋思考すぎでしょ!」

 

「え?の、脳筋?」

 

よくわからないといった顔で見つめてくるカノンに進は唸り声を上げた。

 

「そのっ、の、脳筋?だったらなにか問題でもあるんでしょうか……」

 

どうやら脳筋という言葉がよくわからないらしく、進の言動がカノンを否定しているかのように聞こえてしまったようだ。

 

(一杯あるわ!そもそも、仲良くなってきたとは言えの男を家に招き入れるやつがいるか!?それに、俺ん家より近いからって……なにか策があるって聞いたから近くに雨宿りできる場所しってんのかなとか思ったら、まさかの家かよ!)

 

心の中でそう思うものの、カノンはカノンなりに考えてくれたたのだろうし、あまりそう言うことを気にするタイプではないと一昨日遊んだときから何となく察していたため、思いを直接本人に口出すという行為はしなかった。

 

「いやー問題はあるかもしんないけど……」

 

「そ、そんな!な、何が悪かったんですか!?」

 

不安そうに訪ねてくるカノンに、悪いことをしたなと思い誤魔化すことにする。

 

「そんな大したことじゃないから気にしなくていいぞ!はっはっはっ!」

 

「…………先輩、それ本当ですか……?」

 

あまり誤魔化すのが得意ではないためすぐに怪しまれてしまう。一体どうしたものかと頭を悩ませる進。

 

「あ、あぁもちろん!ほんとほんと!な~んも問題ないって!…………ホントダヨ……」

 

「うーん……なんだか怪し……あっ、着きました先輩。」

 

危ないところだったがやっとエレベーターか目的の階にとまったようだ。九死に一生を得た。

 

「こっちです先輩。ついてきてください。」

 

「わ、わかった」

 

案内してくれるカノンについていくと、1つのドアの前でカノンが止まった。

 

「ここです。ちょっとまってくださいね……」

 

そういって鍵をとりだし鍵を開けようとするカノン。進は内心気が気じゃなかった。

 

(まずいまずい!これ、カノンの家にはいるってことだよな!?こんなに濡れてるのにか!?は、初めての女の子の家、それなのにこんな濡れてることってあるのかよぉ!)

 

そんなことは露知らず、カノンが鍵を開けてドアを開き進に向かって

 

「先輩、遠慮しなくていいです。さ、あがってください!」

 

と、誘ってくるのだった。もう断れる雰囲気ではない。進は覚悟を決めた。

 

(覚悟を決めろ!白守進!これはカノンの純粋な、優しさからくる行動!気にすることなんてなにもないじゃあないか!焦ることなんてないんだ!お邪魔しまぁぁぁぁぁすぅぅぅぅう!!!)

 

「お邪魔しまぁすぅ!」

 

「………………」ビクッ!

 

「あ、す、すまん……驚かせるつもりはなかったんだ……」

 

「い、いえっ、大丈夫です。」

 

どうやら気合いを入れすぎてつい声が大きくなってしまったらしい。変にビックリさせて申し訳ないなと思いつつも家には上がらせて貰う進。続けてカノンも入り扉を閉めた。

 

「でっ、でお、俺は一体どうしてたら良いんですかね……?」

 

過度な緊張からか変に敬語になってしまっている進。

 

「先輩?いきなりど、どうしたんですか?」

 

「あ、いやっこれは、な、なんでもないっ!とにかく俺はどうしてたら良い!?さすがにこんなに濡れんのに中にまでは入れないぞ!」

 

緊張しているのがバレたら恥ずかしい思いをしてしまうため、急いで取り繕う。

 

「あ、そうでしたね!そしたら先輩は……先にシャワーを浴びて下さい!風邪を引いてはいけませんから!」

 

バレなくてよかったと思っていたのも束の間、カノンはとんでもないことを言い出した。今、シャワーを浴びろといったか?

 

「カノン……」

 

「はい?」

 

「断る。」

 

「えぇ!?な、なんで!」

 

「当たり前だろ!先に入るなんてとんでもないわ!それに、俺服なんて持ってないんだぞ!シャワーはいった後に出たら…………」

 

ここまで喋っていて途中で気がついた。カノンの顔が真っ赤に染まっているのだ。

 

「あ、あ、あ、わた、私……そこら辺何にも考えてなかった………」

 

「うっそだろおい……」

 

カノンは雨に打たれていた影響なのかそこまで頭が回っていなかったようだ。顔を手で覆い「どうしよう……どうしよう……」と小さな声で呟いている。

 

「…………わかった」

 

「え?わ、わかったってな、何が……」

 

先ほど思い付いたことだが、もうなりふり構っていられなかった。

 

「俺、下着までは濡れてないからシャワー浴びた後は下着を着て出よう。」

 

「え!?ダメですよ!それじゃあ結局……」

 

「大丈夫、俺だって男(漢)だ!それにボクサーパンツだからあんまり恥ずかしくない……はずだ!見苦しいかもしれんが……背に腹は変えられないんだ!風邪を引くより、動き回ってカノンの家を汚しまくるよりも断然良いはず!」

 

若干やけになっていた進は、超理論を展開する。こうなったら恥は捨てるしかない。そう思ったのだ。

 

「わかり、ました…………うぅ……もっと私がちゃんとしていれば……」

 

どうやっても恥をかくしかない進に対して罪悪感が湧くカノン。何とかフォローして上げようと声をかけてみる。

 

「なぁに、気にすんな。別に全裸をみられる訳じゃないんだしさ。」

 

なんだか、悟っているようにも見える進。結局良い案がそれ以外にありそうになかったので、この案で行く事になった。

 

「じゃあ、せ、先輩。お風呂はあそこのドアを開けるとあるので……」

 

「わかった。じゃ、先に風呂かりさせて貰うぜ。」

 

「は、はい……わかりました……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……カノン~!出たぞ~!」

 

「は、はいっ!今いきます!」

 

シャワーを浴び終わった進はカノンに風呂から出たことを伝え、次はカノンにはいって貰うように催促する。そして、扉を開け、シャツとボクサーパンツだけになった進を目にするカノン。

 

「わ、わあぁぁ~…………」

 

顔を赤くしながら目を手で塞いでいるが、完全に塞げば動けなくなってしまうため、隙間がどうしても空いてしまう。なので結局あまり意味はない。なるべくみないようと、努力してくれてはいるのだが服が乾くのにはまだまだ時間が掛かりそうなので、しぱらくはこの姿でカノンの家にお邪魔することになりそうだ。なのでその努力もあまり意味はないだろう。

 

「す、すぐに出るから大丈夫!」

 

そういって外に出てドアを閉める進。そこでふと思ったことを訊いてみる。

 

「な、なぁカノンはそっちに服とかあるのか?」

 

記憶では服は、この扉の奥の部屋にはなかったはず。家の構造をよく理解していないので、念のために訊いてみたのだ。

 

「大丈夫です!洋服ならちゃんと持ってきていますから!」

 

なら安心だ。ずっと風呂前のドアにたっていてもあれなので。そろそろリビングにでもお邪魔させて貰おう。そう思い、リビングへと移動した進。

 

「!?ひっろ……!」

 

アパート住みの進からすると、マンションの一室というのはとてつもなく広く見えるようだった。

 

「結構設備も整ってるな……」

 

興味津々に部屋をみて回る。下着姿のまま。

 

「まてよ!?俺なにやってんだ!ここは女の子の、カノンの家なんだぞ!?それを、こんな姿でみて回ってるなんてもしかしなくとも変態だろ!」

 

自身の過ちに気づき自制するためしばらくはソファで待機することにした。しばらくまっていると中折れ戸の音が聞こえてきた。どうやら出たらしい。やっと落ち着ける、と思ったそのときだった。

 

「あーーっ!!!!!!!!」

 

カノンらしからぬ大きな声、いや悲鳴が聞こえたため何があったのか心配になり急いで風呂場前の扉を開けた。

 

「カノン!どうし、た…………!?」

 

「え!?せ!先輩!?!?!?」

 

そこには、服を着ていない全裸姿のカノンがいた。その姿はまるで神話に出てくる女神のごとく美しい、白い肌色だった。浅はかだった。着替えているだろうと思っていた。全てが甘かったのだ。

 

「きゃぁぁー!!」

 

「す、すまん!!!!」

 

急いで大切な部分を隠すカノンに、急いで後ろを向き身を瞑る進。何もかもが上手く行かない。幸い、直ぐに目を閉じたので大事な部分は多分見ていない…………と思う。

 

「な、なんで開けてきたんですか……!」

 

恨めしい、それも泣きそうな声音でそう訊いてくるカノン。

 

「いや、だってスッゴい大きな悲鳴が聞こえたから何かあったのかって心配になって……わ、悪気はいんだ!それに、その……あまり見てない……から……あ、安心して、い、いいと思う…………」

 

「わ、わかりましたから!早く出てってください!」

 

「もちろんです!」

 

急いで風呂前の扉を閉めリビングに戻ろうとする。

 

「ま、まってください!」

 

「な、なんでしょうか!?」

 

カノンに呼び止められた進は、もしかしたらとんでもない罰が待っているのではないかとヒヤヒヤしながら、カノンの返答を待つ。

 

「そ、そのっ、とってもいいにくいのですが……そのぅ…あのぅ…」

 

なかなか応えてくれないカノンに対して、進はいくらでも待つから早くこの場から解放されたい……と思いながら返答を待っていた。

 

「さ、さっきの悲鳴の意味、じ、実は……し、下着がなくて……」

 

「!?!?!?!?!?」

 

何度目の驚きだろうか。心臓が持つかわからないが、話を聞くために集中する。

 

「下着って私の部屋にあるんです……その、と、とってきてはくれませんかね?」

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

下手なホラーゲームよりもSAN値を削られていそうな進はある意味冷静に物事を分析する。つまり、俺に下着を持ってこいと言うのか。

 

「な、なんで俺なんかに!?」

 

「す、すいません!本当にすいません!でも、私の来ている服下着を着ないと、む、胸とか結構、き、際どいところが見えちゃったりして……」

 

なるほど。確か遊んだときのあの服だったような気がするぞ。元々結構な服だとは思っていたが、考えてみるとブラなどをつけていなかったら微妙に収まり着れなかったりしそうだ。そうなれば下乳をさらすことになるかもしれないな。

 

(俺キモちわるっ)

 

度重なる衝撃による冷静な分析がキモすぎて引いてしまうが、理由はわかったので取りに行くことにする。

 

「でもどこにあるの?」

 

「し、下着はその、ま、まとめて白いタンスの一番したに……」

 

「なぁ、俺が取りに行くってことはその……みられるってことになるんだが……いいのか?」

 

一応聞いておく。ここまで来ればもう大丈夫だと言われているようなものたが一応確認をとった方が良いと思った。

 

「もうっ!聞かなくてもわかりますよね!?早くしてください!」

 

「ご、ごめん!じゃあいってくる!」

 

そういって進はカノンの部屋にいき白いタンスを見つけた。そこの一番したの段に手を掛け開ける。中にはシンプルな色のパンツとプラがきれいにしまってあった。あまりじろじろみるものでもないので適当に手に取り足早にその場を後にする。進は無心でいることにしているのでノーダメージ(笑)である。

 

「持ってきたぞ!ほら!」

 

そういってドアの隙間から下着を手渡す。

 

「あ、ありがとうございます!助かった……!」

 

そんな声が聞こえてきた。進はドット疲れが溢れてきてその場に座り込む。

 

「マジで、人生で一番疲れたかもしれん……」

 

暫くその場でカノンが出てくるのをまっていると

 

「せ、先輩……さ、さっきは、ありがとう、ございました……」

 

「あ、あぁ…………ど、どういたしまして……」

 

顔を真っ赤に染めたカノンが扉を開けて出てきてお礼の言葉を進に伝えた。2人でリビングへと移動してソファに座るのだが、会話が1つもなく無音の時間が暫く続いた。

 

「な、なぁ……」

 

「は、はい……」

 

進が話しかけはするものの、如何せん進自身が下着姿な為顔を会わせての会話すらままなっていない。カノンはそっぽを向きながら、進の声に耳を傾ける。

 

「雨……止まないな……」

 

「そ、そうです、ね…………」

 

全くといって良いほど会話が弾まず地獄のような空気が流れてしまう。そのとき

 

ドーン!!

 

突如、雷音が鳴り響いた。

 

「うおっ!」

 

「きゃっあ!」

 

2人が驚き一斉に反応する。しかし、いつの間にか進にカノンが抱きついている、という姿が目についてしまった。いい匂いがする……なんて思っている場合じゃない。シャワーを浴びたばかりなのか若干色気もあって心臓に悪い。

 

「!?!?!?!?!?!?カノン!?」

 

「……え?……っ!うわぁ!」

 

慌てて突き放してしまったカノンがやってしまったといわんばかりの表情で不安そうになる。

 

「あ、いやっご、ごめんなさ…………」

 

「もしかして……雷、苦手なの?」

 

「……っ!そっそんなことっ!ない……です…………」

 

否定しようにも抱きついてしまったことを否定できないカノンは、恥ずかしいのか今回何度目かの顔を赤くしながら俯く。

 

「…………フフッ」

 

「せ、先輩!……うぅ…………」

 

意外なギャップが可愛らしくてつい笑ってしまった。対してカノンは、恥ずかしさのあまり顔が茹で上がっているかのように真っ赤に染まっている。この静かで気まずい空気を覆すチャンスと思った進は勢いのまま別の話題を切り出そうとした。兎に角、無音が一番辛かったのだ。

 

「カノン、さ、さっきは…………ごめんな……その……み、見ちゃったりして……」

 

最悪の話題だ。頭の回らない人間はここまで退化するものなのかと進は心のなかで嘆く。しかし、それ以外に話すことがなかったのだから仕方ない。

 

「……!…………~~~~っ!」

 

カノンは先程のトラブルを思い出したのか、また顔を赤くし、もじもじしながら悶え苦しんでいた。一刻も早く別の話題へと切り替えたかったので、今度はカノンから話を切り出す。

 

「わ、私こそ…………その……先輩を、そ、そのような姿にさせてしまって……す、すみません……!」

 

「いや、別に気にしてないから……それよりもカノンの方が……」

 

「いえっ!わ、私なんかよりも先輩の方が……」

 

お互いよくわからないところで意地をはるので会話にならなかったが、とりあえず話すことは出きるようになってきたのでこの気まずい地獄は抜け出せたようだ。

 

「1つ聞きたいんだけど…………」

 

「ど、どうしたんですか……?」

 

カノンは未だに進の方を一切みらずに相槌ばかりうつ。

 

「俺が下着取りに行かなくても良くなかったか?」

 

「え……な、なんでですか!?」

 

先程の先輩の行動が意味がないかもしれないと言われ驚愕するカノン。どう考えてもあの場で何とかできる人間は進以外考えられないと思っていたのだが、どうやら違ったようだ。

 

「いや、何でって言われても……」

 

「は、早く教えてください!」

 

風呂場で叫んでいたのと変わらないくらいの声量と勢いで訪ねてくるカノン。

 

「だってさ、あんとき俺が目を瞑ってればさカノンが自分の部屋にいって、忘れ物を取りに行けたじゃんか。」

 

「あっ!」

 

盲点だった。自分が取りに行くとなると先輩との接触は避けられないと思っていた。接触=際どい部分をみせてしまうかもしれない、になっていたのだ。見られなければなにも問題ないという考えにまでは至らなかったのだ。何故なら頭がショートしてしまっていたから。

 

「俺、無駄にカノンの……見ちゃったからさ。その事についても、本当に悪かった!許してくれ……」

 

進からの全力の謝罪に、少し冷静になることができた。そうだ先輩は私の……裸を見てしまったこと、下着を見て触ってしまったことにとんでもないくらいの罪悪感を感じているはずだ。

 

(なのに……私ばっかり恥ずかしい思いをしているとか大変な思いをした。なんて思っていた……けど、それは今の先輩も同じ、いや先輩の方が恥ずかしいかもしれないのに……)

 

カノンは進の姿を見て少し悲しげな表情をみせる。

 

(先輩が苦しんでいるのなら、私が少しでも緩和さてなきゃ……元々は私が家に連れてきたのに被害者面なんておかしな話しなのだわ!)

 

心のなかで決意を固めて先輩の罪悪感が取れるよう、精一杯の言葉をかけてあげようと思った。

 

「確かにはずかしかったです……」

 

「やっぱりそうだよな……俺、さいて……」

 

「でも……せ、先輩になら下着までならみ、みられても問題ないというか…………」

 

「…………え?」

 

いまいちカノンの言っていることが理解できない。なんだ?さっき下着をみられても問題ないって言ったか?そんなわけないだろう!まだ仲良くなり始めたばっかなのに、それはない。きっと何かの聞き間違いだろうと思った進だったが

 

「だ、たからっ!…………先輩にならっ!見られても問題なんてないですっ!」

 

聞き間違いではなさそうだ。そんな事実に驚愕を飛び越え困惑が前へといってしまった。何を話せばいいのかも頭から抜け落ちてしまい、上手く口を動かせない。

 

「うぅ~…………あぅ~…………な、なんてことを私は……」

 

カノンはボソボソとなにか喋っていたがそんなことをきにする余裕は今の進にはなかった。

 

「つ、つまり何が言いたいんだ?」

 

やっと絞り出して口にした言葉がこれだ。もう、変に考えたりすることはできなかった。正直に思ったことを、ストレートに伝えることしかできない。

 

「つ、つまり……先輩はさっきのこと、あまり気にしなくていいんです!あ、安心してください!無理をしている訳じゃないですから!」

 

明らかに気にしているだろう。カノンはきっと無理をしているはずだ。そんなネガティブな考えが頭のなかを埋めていく。そんな顔を見たカノンは慌てて補足を付け加えた。

 

「私は、嘘なんて言っていません!」

 

「そ、そんなわけないだろ!誰だって恥ずかしいはずだ!」

 

「正直に言うと、恥ずかしすぎてあまり頭が回っていないんです。今の私。」

 

「な、何をいって……」

 

いるんだと言おうとした瞬間、カノンの声が部屋中に響いた。

 

「だから!今話していることは全部!本音なんです!」

 

「な!?」

 

少し肩で息をしながら落ち着いて話をすすめるカノン。

 

「わかりましたか!?もう変に取り繕うことなんてできないんですよ!」

 

「マジかよ……」

 

つまりさっきまで嘘だと思っていたことはほぼほぼ本当のことだったということになる。当然下着の下りもだ。ここまで必死に訴えてくるカノンを見る限り嘘ではないのだろう。ならば、認めるしかない。進は大人しく降参するしかなかった。

 

「いいですか?」

 

「はい……」

 

「私は、先輩にとっても感謝しているんです。初めてだらけの私を優しく導いてくれたのは先輩でした。それに、あの事件のとき失敗してしまった私のことを、先輩は否定してくれた。私、嬉しかったんですよ?あのときの私は凄いネガティブで、くらい気持ちになっていましたから。それを、大丈夫だって、私の失敗に比べたら自分の方がまだ酷いからって励ましてくれた。そんな些細な優しさに、心が救われていたんです。」

 

「そう、だったのか……」

 

「だから……あまり私のことで思い詰めないで下さい。その程度のことで先輩のとこを嫌ったりなんてこと、絶対にありませんから!逆に私のことで先輩が苦しむなんて見ていられません。なので今回のトラブルもあまり重く考える必要はないんです。」

 

カノンは今まで進に感じていた感謝の気持ちを伝えた。

 

「俺が苦しむ姿……」

 

そうか……俺はカノンに本当に酷いことをしてしまったと思っていた。こんなやつは嫌われて当然だと、そう思っていた。ならせめて謝れるだけあまやって自分の気持ちを伝えてきらわれようと、そう思っていた。しかし、それによって思い詰めてしまっている進の姿にカノンは心を痛めていたのだ。確かに今回してしまったかとは謝るべきことだろう。だが、カノンはそこまでして思い詰める必要はない。気にしなくていいんだよ、といってくれたのだ。なら、その優しさを無下にするわけにはいかない。そう思うのだった。

 

「……ありがとな。励ましてくれて。あと、許してくれてさ。」

 

「どういたしまして、です。それに許したとはいっても恥ずかしかった思いはちゃ~んと、あったんですからね!」

 

「ははっわるいわるい。」

 

「………………それでこそ先輩です!」

 

険悪になりかけていた2人だったが、何とかわかりあえることができ、親交が深まったように感じた。

 

「ところでさ……見られてもいいってのはその……そういう趣味だったり……ぐはぁ!」

 

「ありません!!!!」

 

やはり、深まっていないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、なんかやんできたったぽいぞ!」

 

「ほんとですか?よかった~」

 

服が乾くまで暫くまっていたが乾いたあと、カノンが傘をかそうと思っていたところだったが、どうやらその必要もなくなりそうだった。

 

「服も乾いてきたし、そろそろ帰りますかぁー」

 

「そうですね。そろそろ夜ご飯の時間ですし。」

 

「おう。世話になったな。」

 

「いえいえ。どうせなら次は遊びにきてくださいね!おもてなししますから!」

 

「わかった。次がたのしみだな!」

 

そう言って進は玄関のドアノブに手を掛けて扉を開く。

 

「じゃ!また明日!」

 

「はい!また明日!」

 

そう言って2人は別れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……つかれたのだわ……」

 

そう言って進を見送った後、リビングのソファへと座るカノン。

 

「カノン、お疲れさまでした。」

 

「ん、ウェディング。どうかした?」

 

いきなり現れたウェディングはカノンに労いの言葉を贈る。

 

「いえ、特に用はありません。」

 

「それならなんで、声かけてきたの?」

 

「少し、気になったことがありまして……」

 

気になったこと、と聞き首をかしげるカノン。

 

「気になったこと?」

 

「はい。カノンはあの男にならなぜ下着を見られても良いと思ったのか、それが気になりまして。」

 

「!?!?!?!?!?!?」

 

考えもしなかった斜め上の質問に面食らったような表情になるカノン。

 

「……?カノン?どうかしたのですか?」

 

「い、いやっ!な、何でって言われても……」

 

顔を赤くしながら考えるカノン。

 

(考えてみれば、何故そのようなことを思ったんだろう?なんだか…………先輩にならいいかなって、そんな曖昧な感情があって……ってそ、それじゃ私、へ、ヘンタイってものになるんじゃ……)

 

何故見られても構わないと思ったのか、考えてみたが曖昧な考察しかできずに辟易としてしまう。それに、もしかしたら自分が変な趣味があるんじゃないかと考えてしまい、更に羞恥心が増してしまった。

 

「……応えづらいのなら応えなくても結構ですよ、カノン。」

 

「ありがとう……ウェディング。まだ、わからないから暫くは気にしなくて良いわ。」

 

「わかりました。」

 

カノンは自身の感じた感情に困惑の表情を浮かべるのだった。

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