ヴィクトリア家政の女装メイド   作:ゆうぐれ

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ヴィジョン戦はこれでラストです。



13 悪夢からの脱出!!

「エーテル耐性を持った人はこっちよー!」

 

「大丈夫!揚陸艇には全員乗れるわ!慌てずに進んで!」

 

「耐性が無い奴は駅の方に行ってくれ!後から列車が来るからよ!」

 

ここは東カンバス駅に併設された地下商業施設。

 

ヴィジョンの拠点からひと足先に戻ったアンビーとビリー、猫又、更には11号率いる正規軍はニコに今までの事情を説明すると、早速避難民の誘導を開始していた。

 

ホロウからの脱出方法として一つ目が11号ら軍が使った上陸用舟艇で川を下り、外界に出るというもの。

 

しかしこれには一度ホロウの中に生身で入る必要があるため、エーテル耐性のある人間しか連れて行けない。

 

よって残った避難民は当初の予定通りに列車を用い、ヴィジョンが整備していた線路を使って脱出をするつもりだ。

 

今は列車の準備を済ませたスズツキ達が、ここ東カンバス駅へ来ることを待っているところで、駅構内には既に沢山の人々が列を作って待機していた。

 

「……本当に大丈夫なのかしら?」

 

兵士達の誘導に従って駅へと向かう避難民の、その膨大な数を前に11号は不安に駆られた。

 

そこへニコが手を振って近付いてくる。

 

「耐性のある人はこれで全員!準備オッケーよ!」

 

「分かったわ。」

 

11号が通信機を介して指示を出すと、200人以上からなる避難民の第一段が軍の護衛のもと、ホロウ内部へ出発する。

 

予定通りに行けば列車組より早くホロウより脱出することが出来るだろう。

 

あとは列車の到着を待つだけだが、指定のホームはいつまで経っても静かなままだった。

 

ホームの一番端っこに腰掛けたビリーとアンビーは赤い陽光に照らされながら迎えが来るのを待ち続けていた。

 

「はぁ……スズツキは上手くやってるだろうかねぇ……。」

 

「列車は車とは違うわ。あれから1時間も経ってないし、準備に手間取ってるのかも。」

 

「だと良いんだけどなぁ……。」

 

「心配ないわよ。あの執事とメイド達は強い。きっとエーテリアスなんて容易く蹴散らしてるわ。」

 

「まあ、そうだな。店長もついてることだし心配は……って……。」

 

「……ビリー?」

 

いきなり立ち上がったビリーはアンビーに向かって人さし指を立てると、ホロウがある方向へ耳を済ませた。

 

すると微かに聞こえてきたのは金属同士が擦れ合う、又は軋むような甲高い音。

 

アンビーもそれに気付くと目を見開く。

 

「私、皆んなを呼んでくる!」

 

「ああ!頼んだぜ!」

 

音は次第に大きくなっていき、遂にはホロウの境目を突き破って2つの赤い光が外に出てくる。

 

それが最後尾の電車が点けているテールライトだと気付いた時、これまた予想外な音が耳に入ってきた。

 

「うおっ!?」

 

ボオォォォ!!!と耳をつんざく汽笛の音が空間を駆け巡ったのだ。

 

突然の轟音に重わずビリーは尻もちをつく。

 

ゆっくりとホームに入ってきたのは水色のラインが特徴の在来線。

 

かと思えば途中から線の色が黄緑色、橙色の順に変わり、更にはレトロな雰囲気を漂わせる茶色の客車が繋がってくる。

 

そして思考戦車を載せた平たい貨車が2両続き、最後に古めかしい真っ黒な車両が現れた。

 

旧文明の、また更に昔の遺物。

 

完全にカビの生えた太古の技術を用い、その巨大な動輪を動かす列車。

 

通称『SL』こと蒸気機関車だった。

 

「なっ、何じゃこりゃあ……って、ゲホゲホッ!」

 

金属が軋む音を立てながら機関車は停止すると、プシューッ!っと白煙を吐き出し、ビリーの身体を包み込む。

 

周囲に立ち込める大量の煙に咳き込んでいると、運転席から誰かが飛び降りてくる。

 

そちらを見れば、ススで顔と身体の所々を真っ黒に染め上げたスズツキとライカン、イアスの姿があった。

 

「す、スズツキ!あと狼の旦那!店長まで!」

 

[ごめん!ちょっと遅くなった!]

 

テンダー式(炭水車付きの機関車)という都合上、後進は安全を考えて低速しか出せなかったので……。」

 

「いや、こっちもちょうど全員が集合したところだから大丈夫だぜ!それより、これはSLってやつか……?」

 

「ええ!C62形蒸気機関車、その48号機です!列車基地の奥にモスボール保存されていたんですよ!」

 

「良い趣味してるぜ。よくこんなの動かせたな?」

 

「リンさんとボスのおかげですよ。ね?」

 

[えへへ、そんなことないよ〜。]

 

「今までの依頼主様の中に列車コレクターの方が居ました。その時の経験が活きましたね。まあ、そんなことより避難民の乗車を。」

 

「おうよ!」

 

少しして、アンビーとニコが避難民をホームへと誘導してきた。

 

それぞれの車両に待機していたエレンやリナ達も出てくると、後部に繋げられた客車へ人々を乗せていく。

 

とにかく使えそうな電車を継ぎ接ぎにくっつけて客車だけでも10両の編成を確保したため、スカスカとは行かずとも、乗車率は100%程度には収めることが出来そうだった。

 

「ボイラーの圧力、規定値まで達しました。スズツキ、石炭はそれくらいで良いでしょう。」

 

「はい!」

 

焚口戸から火室に石炭を放り込んでいたスズツキは、シャベルを置くと、額に流れた汗を拭う。

 

「ふぅ……ん?」

 

ふと後ろを見ると11号がこちらの運転席を覗き込んでいた。

 

「何かありましたか?」

 

「いえ、こんな古いもの、初めて見たものだから……。」

 

「僕もですよ。ワクワクしますね。」

 

「貴女、こういうのが好きなのかしら?」

 

「大好物です!」

 

「ふーん……。」

 

何やら訝し気な視線を向けてくる11号。

 

対してスズツキは不思議に思っていると、その時、11号の背後から1人の兵士が慌てた様子で駆け寄ってきた。

 

彼が装備していたのは背部の大きな通信機で、手には有線で繋がったマイクスピーカーを持っている。

 

「どうしたの?」

 

「ヴィジョンの社長です。隊長に繋げと。」

 

[えっ!?]

 

「……貸しなさい。」

 

11号はスピーカーを手に取り、通信機についたツマミを回して音量を最大にする。

 

スズツキ達が周りに集まってくると、一度息を軽く吸ってから話し始めた。

 

「11号よ。聞こえるかしら?」

 

[フッフッフ……ああ、愚かな奴の声が聞こえるよ。]

 

通信機から発せられる如何にも悪そうな声。

 

しかし今はどこか焦りが感じられるような気がした。

 

それに対して11号は怒りの感情を込めながらも、平常を保ったまま言葉を続ける。

 

「……愚か者は貴方でしょう?金の為に無辜の人々を殺そうと企んで、私達まで騙してその片棒を担がせようとした。ここまでの完璧な悪人はそうそう居ないわ。」

 

[それは私にとっては褒め言葉だね。業界ではズル賢くて卑怯な奴だけが生き残れるんだ。悪事なんて日常的なことさ。]

 

「けれど貴方のそれは常軌を逸している。まあ、それで?わざわざ通信をしてきた目的を教えてほしいわね。」

 

[ふふっ……挨拶だよ。最期のね。]

 

その不気味な発言を聞いて11号は固まる。

 

すると隣からライカンが割って入り、マイクスピーカーを手に取った。

 

「ヴィクトリア家政のライカンです。それは貴方様の最期と捉えてよろしいでしょうか?」

 

[おお、ヴィクトリア家政。君達まで居たか。いやはや、今後ライバル社に君らを使われる前に処分してしまおうと考えていたのだが、やはり一筋縄ではいかないものだな。]

 

「ええ、しぶとさが我々の売りですので。それと今回の件は相応の対処をさせていただきます。今後の依頼に影響したら堪ったものではないので。」

 

[心配は無用だよ。もう後片付けはしなくて良いのだから。]

 

「?何を……。」

 

[やはり『保険』は複数かけておくべきだね。]

 

パールマンの言葉に誰もが首を傾げる。

 

リンもその中の1人だったが、次の瞬間、沢山のウィンドウが視界に割り込んできたかと思えば、珍しく焦ったようなフェアリーの声が聞こえてきた。

 

[マスター、早くその場から離れることを強く勧めます。]

 

「どういうこと?何これ?」

 

おそらく近隣の軍事施設かUAVに侵入したのか、画面に映し出されていたのはレーダーに反応する1つの物体。

 

それも高速で右から左へと移動していく。

 

[先程、エリー川河口から数十キロ離れた海面より何らかの飛翔体が発射されました。高高度を通ってそちらに向かっています。]

 

「えっと……つまりミサイル?」

 

[はい、おそらくそうでしょう。平たく言うと潜水艦から撃ち出されるミサイルです。敵は証拠隠滅を諦めていません。]

 

「そ、それは良くない!」

 

リンはすぐにイアスとリンクし直すと、目の前に居たスズツキのスカートを引っ張る。

 

[スズツキ君!ミサイルがこっちに飛んで来てる!]

 

「へっ!?」

 

[潜水艦から発射されたとか何とか……!]

 

「SLBMですか!?」

 

リンの報告に誰もが言葉を詰まらせる。

 

ただ1人、笑い始めたパールマンを除いて。

 

「何がおかしいのかしら?」

 

[ふふふっ……お前たちはもうオシマイだよ!そっちに向かっているのは高純度のエーテル爆薬を満載した高威力のミサイルだ!カンバス通りごと、いや、街ごと全て吹き飛んでしまえ!]

 

ここでブツリと通信は切れてしまった。

 

いきなりのことに唖然とする一行だったが、コンマ数秒後に再起動すると、それぞれ動き出す。

 

「避難民の収容を急いで!貴方達も列車をいつでも出せるように頼んだわ!」

 

「もちろんです!スズツキ!発車の準備を!」

 

「はい!」

 

ここからは着弾までのタイムアタックとなった。

 

説明する暇も無く、避難民を無理矢理客車に詰め込み、兵士達も全員が乗車すると、11号が準備完了の報告を入れてきた。

 

ライカンは頭上の鎖を引っ張り、ボォォォォ!!と発車の汽笛を鳴らす。

 

逆転機を操作し、ギアを後進から前進に切り替えると、加減弁ハンドルを手前に引いた。

 

するとバルブを介して送られた蒸気によってシリンダーが動き、巨大な動輪がゆっくりと回り始める。

 

「プロキシ様!ミサイル到達まであとどれくらいですか!?」

 

[えっと……だいたい3分!着弾予想地点はここ!]

 

「ヤバいヤバいヤバいぃぃ……!!」

 

運転席に座ったライカンの隣で、スズツキは必死になって石炭を火室に放り込み続けた。

 

動き出した機関車は一度車輪を空転させながらも、徐々に加速を始める。

 

駅のホームを出ると、どうにか全車両がホロウへと突入した。

 

しかしフェアリーが算出した、ミサイルによる推定加害範囲は非常に広大だった。

 

通常のミサイルが狙うのは対象そのもの。

 

対して弾道ミサイルは狙うのは対象とその周りを含んだ全て。

 

徒歩で逃げるよりかは遥かにマシだとはいえ、とてもあと数分で脱出出来るとは思えない。

 

案の定、出発してすぐにリンからの悲痛な報告が上がってきた。

 

[飛翔体が接近!着弾まであと……20秒!]

 

「全員、何かに捕まってください!」

 

ライカンがそう通信機に叫ぶと、後方の車両でリナやエレン達が避難民に頭を下げるように指示する。

 

スズツキはイアスを胸に抱え、運転室の隅っこに縮こまった。

 

汽車にブレーキがかかり、前方に向かって身体が押し付けられる。

 

[5、4、3、2……!]

 

「うぅ……!」

 

激しく揺れる空間の中、スズツキはイアスの柔らかい後頭部に顔を埋めた。

 

遂にカウントがゼロになろうとする。

 

が、実際に起こったのは爆発とはまた別のものだった。

 

「うわっ!?」

 

[きゃあっ!?]

 

ガガッッッ!!!っと何かが空気を切り裂く轟音が響く。

 

恐る恐る窓から外を見れば、街の中より一筋の光の束が空に向かって伸びていた。

 

何だろうかと思った次の瞬間、今度はカメラのフラッシュのような眩い光が照らしてくる。

 

そして軽い衝撃を感じると、胸に抱いたイアスごと床に倒れてしまう。

 

視界の大半を埋める何か、硬い筋肉とふかふかの体毛、鼻腔に漂う香水の匂いからライカンに押し倒されたと理解した時、再び轟音が、先ほどとは比べ物にならないほどの爆音が鼓膜を叩いてきた。

 

「あぁぁぁぁ……!!」

 

ドッッガッッッッ!!!!っと、まるで世界がひっくり返ったかのようだった。

 

キーンと耳がおかしくなり、視界も白みがかる。

 

ぐわんぐわんと世界が揺れるような気持ちの悪い感覚と戦っていると、頭上より低音の声が微かに聞こえてきた。

 

「スズツキ……大丈夫……ですか……?」

 

「ええ、何とか……ありがとう、ございます……。」

 

[あー……前にライカンさん、後ろにスズツキ君とか最高かよ……。]

 

「プロキシ様は……問題ないようですね……。」

 

[うん、感覚の切断が間に合ったみたい。それより何が起こったんだろう?]

 

ライカンが身体を起こすとイアスはスズツキの腕から抜け出し、機関車と炭水車の間から空を見上げる。

 

ボンプの目が、ビデオ屋の3体の中でも一番高性能なセンサー群が捉えたのは赤い空を埋め尽くさんばかりに巨大で真っ黒な爆煙だった。

 

それを眺めていると、しんしんと雪のような白い物体が辺り一面に降ってくる。

 

[うわぁ……綺麗。]

 

「エーテルの灰ですね……けほっ……。」

 

「あまり吸わないように。身体にとって良いものではありませんから。ああ……各車、聞こえますか?状況の報告を。」

 

[こちら3号車……どうにか異常無し……!]

 

[6号車よ……えっと、子供が泣いちゃってるくらいね。]

 

[は、8号車です!軽傷の人が居ますが、軍人さんが手当てしてくれてます!]

 

「分かりました。引き続き警戒を頼みます。」

 

大したダメージが無かったことにライカンは胸を撫で下ろした。

 

だがすぐにミサイルを撃ち落とした犯人について思い出すと、落ちていたシャベルを拾い、スズツキに手渡した。

 

「早く出発しましょう。嫌な予感がします。」

 

「同感ですね。」

 

煙突より黒煙を吐き出しながら列車は再び動き出した。

 

先程の車両センターの傍を抜けると、市街地に入り、動きや光、音の無い荒涼とした寂しい街中を汽車は進み続ける。

 

「おいおい、流石に不気味だぜ。」

 

「何が?」

 

「いや、さっきからエーテリアスが1体も居ねえじゃねえか。こんなシュポシュポデカい音立ててんのによ。」

 

「確かに……映画だと大抵この後ラスボスが出てくるわね。」

 

「ちょっ……バカ!そういうこと言うのやめろ!本当になったらどうするつもりだ!」

 

一方、客車のひとつに乗っていた邪兎屋一行。

 

周囲の異変に気付いたビリー達だったが、唯一ニコだけは緊急事態というのに未だにお金に関して妄想を膨らませていた。

 

だがある時、彼女はふと窓から見えた景色に目を凝らした。

 

遠くに位置する住宅の上に人型の何かが立っていたのだ。

 

「うへへ……ん?あれは……エーテル結晶……?」

 

「ニコ、どうかした?」

 

「いえ、不思議なものを見たから。ほら、あそこの家。」

 

「……何もないわよ?」

 

「あそこだって。屋根が無くて、四角い家の上に……。」

 

ニコは先程の建物に指をさし、確かに何も無いことに気付く。

 

その直後だった。

 

『グオオォォォォ!!!』

 

「うえっ!?」

 

「おわっ!?」

 

ズン!!と少し離れた位置に巨大な何かが降り立ち、列車と並走してくる。

 

禍々しい色の体表、2本の腕の他に肩部からも生えた大きな腕、背面に浮かぶ真っ黒な球体、額に空いた小さな穴。

 

炭水車の上に登ったスズツキも遠目に見えるそれに目を凝らす。

 

姿形が前と比べて若干違ったとはいえ、すぐに何かを思い出した。

 

「ぼ、ボス……!」

 

「スズツキ!状況は!?」

 

「や、奴です!『デッドエンドブッチャー』です!」

 

「っ……死んでいなかったと……!?」

 

「は、はい……しかも最初の時より大きくなってて……!」

 

「スピードを上げます!捕まってください!」

 

「うわっ……!?」

 

ライカンは汽車の速度を上げると、どうにかデッドエンドブッチャーを引き剥がそうとする。

 

しかし相手もその巨体に見合わぬ足の速さで追いついてきた。

 

肩から生えた腕が車両の最後尾へと伸びていく。

 

「早く!前の車両へ行くのよ!急いで!」

 

11号と兵士達が避難民を前方の車両へと誘導し始める。

 

その時、天井付近の壁を突き破って鋭い指が車内へと侵入してくると、ベキベキベキ!!と天蓋を丸ごと剥がそうとしてきた。

 

「くっ……今度は化け物か……!」

 

無理矢理こじ開けられた隙間よりヌっとバイザーのような眼が覗いてくる。

 

11号は背面に備えたヒート・ブレードの柄を掴むと、次に来るであろう攻撃に備えた。

 

しかし敵が腕を振り上げた時、突如飛来したミサイルがその頭へ見事にクリーンヒットした。

 

「やった!当たった!」

 

スズツキの目の前では思考戦車が左腕に装備したミサイルコンテナのハッチを開放しており、そこから第2射が白煙を噴出させながら飛んで行く。

 

トップアタックモードに設定されたミサイルは一度空へ上がると、デッドエンドブッチャーを目掛けて急降下を始めた。

 

再び発生する大きな轟音と爆煙。

 

これには流石の要警戒型も堪えたようで、派手にもんどりうって転倒すると、そのまま離れていってしまう。

 

「ボス!敵が振り落とされました!」

 

「警戒を続けてください!きっとまだ追ってきます!」

 

「はい!」

 

ライカンの言う通り、デッドエンドブッチャーはすぐに起き上がると走り出し、再び列車との距離を詰めてきた。

 

だが今度はすぐに車両へ取り付こうとはせず、何故か2本の腕をコアの近くへと掲げて、円のような形を作り出す。

 

すると手の間に極彩色の輝く球体が生み出された。

 

「っ……全員退避!前の車両へ逃げなさい!」

 

嫌な予感を覚えた11号は1つ前方の客車へ部下の兵士達を押し込むと、自身も遅れて飛び込む。

 

直後、カッッッ!と眩い光が背後で発生した。

 

「くうっ……!?」

 

デッドエンドブッチャーから発射された光線は、最後尾の車両を斜めに穿ち、次の車両の壁を一部削り取った。

 

照射が終わると、射線上で爆発が発生する。

 

先程まで乗っていた車両が11号の目の前で爆散し、焼け焦げた床や車輪からなる残骸も線路から脱線すると、連結器を根元から引きちぎりながらゴロゴロと転がっていく。

 

するとそれは少し離れたところでバゴン!と玩具のように弾き飛ばされて宙を舞い、その向こう側から疾走する敵の姿が現れた。

 

「マズい……避難民を前に移動させて!ここも危ないわ!」

 

悲鳴や泣き声が飛び交う中、どうにか前方の車両へ人々を逃がそうとする11号達だったが、予想に反して相手はまた違う動きをしてきた。

 

一旦距離を取って列車の側面に回ると、先頭の方に向かって走り出したのだ。

 

「な、何だアイツ!?今度は追い越そうとしてるぞ!」

 

「機関車を狙っているのかも。先に足を潰す方が相手にとって戦いやすい。」

 

「ビリー!早く撃ちなさいよ!この中で銃持ってるの貴方だけでしょ!」

 

「分ぁかってる!てか、親分だってエーテル銃とサブマシンガン入れたトランクがあるだろ?」

 

「これは近距離で乱射する護身用!遠くは当たらないわ!」

 

「へいへい!」

 

隣の道路を走るデッドエンドブッチャーに向けてビリーは胸のホルスターから抜いた大型リボルバー拳銃を照準する。

 

他の兵士達も窓のサッシを上げるとそこからライフルを覗かせた。

 

並んでいた建物が途切れ、隠れていた敵が見えると、幾多もの破裂音と共に列車の各所から一斉に火線が伸びていく。

 

しかし悲しいかな。

 

軍の5.56mm弾はもちろんのこと、ビリーの454カスール弾すらも敵への有効打とは足り得なかった。

 

「うわぁ……全然効いてなさそう……。」

 

「スズツキちゃんのエーテル弾ならまだしも、通常の実体弾ではねぇ……。」

 

エレンとリナの視界に映るのは弾幕を物ともせずに走り去っていくデッドエンドブッチャー。

 

だが前方の車両に誰が居るのかを思い出すと、彼女達も慌てたように後を追い始める。

 

端っこの車両まで行き、窓から外を覗けば、必死に迎撃をする思考戦車2機とスズツキの姿が見えた。

 

「ぼ、ボス!敵がこっちに来ます!」

 

「あと少し保たせてください!この先で振り切れます!」

 

「了解っ……!」

 

そうこうしているうちに、遂にデッドエンドブッチャーは機関車とほぼ並走する位置にまで前進してきた。

 

思考戦車が腕部の榴弾砲と肩部の重機関銃を放つが、相手は軽快に跳ね、被弾を最小限に抑えてくる。

 

そして再び2つの手を円形に掲げ、極彩色の球体を生み出す。

 

スズツキは射撃をやめると、石炭に身体を汚しながら急いでその場へ伏せた。

 

「うっ……!?」

 

発射された光線は片方の思考戦車の脇腹と右腕を丸ごと吹き飛ばした。

 

先ほどより短く照射が終わり、間髪入れずに第二射が放たれる。

 

それはもう1機の戦車の胴体部、機体中枢部を的確に撃ち抜き、丸ごと抉り取った。

 

デッドエンドブッチャーは最初に攻撃した方の機体に手刀でトドメを刺すと、貨車に飛び移ってくる。

 

「あっ……あ……。」

 

ズシンズシンとすぐそこに迫る大きな影。

 

スズツキはその威容を前に震えながら、へたりと座り込むことしか出来ない。

 

まさに万事休すといった場面。

 

だがその時、敵の後ろに小さな影が見えた。

 

直後、肩部から生えていた方の右腕がスパンと手首を切断される。

 

「このっ!!」

 

『グオォォォォ!!?』

 

「先輩!」

 

ヒーローの如く現れたのは大型鋏を手に持ったエレンだった。

 

デッドエンドブッチャーに一撃を加えた彼女はそのまま相手の肩を踏み台に軽く飛ぶと、スズツキの隣に着地する。

 

「コレデモ食ラエ!」

 

「コンニャロメ!」

 

「や、やあぁぁ〜!!」

 

続いて浮遊ボンプであるドリシラとアナステラの青い閃電が周囲を飛び回り、敵の身体に電撃を浴びせると、その隙を突いてカリンが頭に回転鋸の一撃を加える。

 

しかし流石に頭皮は硬かったようで、なかなか刃が通らない。

 

「うぅ……きゃっ……!?」

 

「はい、失礼しますわ〜。」

 

敵がカリンの存在に気付き、叩き落とそうとしたところで背後からリナが現れ、カリンを回収する。

 

そして炭水車の上にゆっくりと降り立った。

 

「スズツキちゃん、大丈夫?怪我は無い?」

 

「は、はい……何とか……。」

 

「全く……間一髪だったね。てか黒すぎでしょ。」

 

エレンの手を借りてスズツキは立ち上がる。

 

目の前ではデッドエンドブッチャーが不機嫌そうに唸っていた。

 

きっと矮小な存在達にここまで手こずる羽目になって怒り心頭なのだろう。

 

が、そのおかげで周囲の状況に気付かなかったようだ。

 

次の瞬間、スズツキ達の頭上を鉄筋コンクリートの天井が勢いよく過ぎ去っていった。

 

ここは線路と幹線道路が交差するポイント。

 

ちなみに今の速度は時速80kmくらいである。

 

背の高いノッポが呑気に突っ立っていればどうなるかは言うまでもない。

 

「ばーか。」

 

コンマ数秒後、ゴシャッ!!っという鈍い音と共にデッドエンドブッチャーは後ろへ弾き飛ばされ、列車の外に落ちていった。

 

その爽快な一撃に誰もが溜飲を下す。

 

車両最後尾に居た11号からも敵が離れていったことを聞くと、武器を下ろし、運転室に降りる。

 

そこには先ほど以上に身体をススまみれにしたライカンとイアスの姿があった。

 

「あらあら、ライカンってば、真っ黒じゃない。」

 

「やはり白い毛というものはこういう時に不便なものですね……。」

 

「うわ……プロキシまでススだらけじゃん……。」

 

[エレンも石炭入れるの手伝ってー。これ疲れるよー。]

 

「やだ、めんどい……分かった分かったから、その身体で近寄るなって。」

 

橋の下を抜けると、遂にホロウの端が見えてきた。

 

あそこを抜ければ新エリー都は目と鼻の先だ。

 

「ふぅ……もう少しで一息つけますね。」

 

「あ、あの……お茶、飲みます?ライカンさんも。」

 

「ありがと、カリンちゃん。」

 

「すみません、いただきます。」

 

スズツキは受け取ったペットボトルの中身を口に含みながら窓の外の景色を眺める。

 

そしてブッと軽く吹き出した。

 

「汚っ……何?」

 

「あ、あれ!」

 

スズツキが指さす先に居たのは懲りずに追ってきていたデッドエンドブッチャー。

 

肩から生えた右腕の手首から先は無くなったままで、元々あった方の左腕に至ってはぶつかった時のおかげなのか、ブラブラと垂れ下がったまま動いていない。

 

その他にも身体の各所に傷があったが、足は止めずに、むしろ機関車を追い抜いていってしまう。

 

相手の目的がまるで分からなかったが、嫌でもすぐに判明した。

 

何とホロウの境目まで行くと、汽車が走っているレールの上に立ち塞がってきたのだ。

 

ライカンは急いでブレーキをかけ、汽車を減速させる。

 

「……意地でもこの列車を止めたいようですね。凄まじい執念です。」

 

「アイツもヴィジョンの回し者だったりして。」

 

「多分キレてるだけでは?僕なんか頭に穴空けましたし。」

 

「じゃあスズツキを外に放り出せば……。」

 

「冗談キツイですよ。」

 

どうにか突破したいところだが、あいにくと残った手持ちの火器にデッドエンドブッチャーを吹き飛ばせるものは残っていない。

 

今度こそお手上げかと思われたが、ここでライカンが内ポケットから小さなパーツを取り出し、スズツキへ手渡した。

 

「ボス、これは?」

 

「チャンスは1回限りです。全員、よく聞いてください。」

 

ライカンが説明を始めると、スズツキ達はその突拍子も無い、彼にしては脳筋過ぎる作戦に驚愕の表情を浮かべる。

 

そして話が終わると、即座にそれぞれが動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

⬛︎

 

気付けば周囲はすっかり暗くなっていた。

 

街には誰もいない為、もちろん光源は存在しない。

 

そんな暗闇の中、デッドエンドブッチャーは線路の上にただ立ち尽くしていた。

 

身体はボロボロで、見ていて痛ましさを感じさせてくる。

 

回復は出来ないことはなかったのだが、激突によって損傷した頭部と、自身のスペック以上に走ったことによる脚部の摩耗に対して修復を最優先としている為、他の傷はそのままだ。

 

よって余剰のエネルギーは残っておらず、先程のような光線はしばらく使うことが出来ない。

 

しかし両脚と右腕、肩から生えた方の左腕は未だ健在である。

 

格闘戦に限るなら十分以上に戦うことが可能だろう。

 

『グゥゥゥゥ……!!』

 

唸るデッドエンドブッチャーの視界の先。

 

止まるくらいにスピードを落としていた機関車は汽笛を鳴らし、今度は一気に加速を始めた。

 

煙突より大量の黒煙を吐き出し、ヘッドライトをいっぱいに光らせながら、その黒い鉄塊は徐々に近付いてくる。

 

デッドエンドブッチャーは足を開き、残った腕を前方に構えた。

 

ジッと待ち構えていると、徐々に機関車のシルエットが大きくなっていく。

 

すると汽車にしては見慣れないものが上に乗っていることに気付いた。

 

煙突のすぐそばに伏せている人のような何か。

 

少しして、片目をスコープに添えた顔が、覚えのあり過ぎるそれが目に入ってくる。

 

『グアァァァ!!!!』

 

凄まじい咆哮を周囲へ響かせると共に、地面へ足をしっかりと固定し、腕にも力を込める。

 

そして次の瞬間、眩い光が視界の大半を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⬛︎

 

「スズツキちゃん、気をつけてね?」

 

「は、はい。」

 

スズツキはリナの手を借りて蒸気機関車の上に寝そべると、九八式を前方へと構えた。

 

そして懐から取り出したのはライカンから貰った手のひらサイズの四角いパーツ。

 

それをピストルグリップの下部にある小さな穴に押し込んだ。

 

セレクターが動かなくなり、強制的に銃が『斉射モード』へと移行する。

 

リグから取り出した新しい弾倉を、ちょうど最後の1個を挿し込めば準備が完了した。

 

「ぼ、ボス、準備出来ました。」

 

[スズツキ、頼みましたよ。]

 

「はい……!」

 

スズツキはライカンからの説明を思い出す。

 

再チャレンジは認められず、いきなりぶっつけ本番だ。

 

万が一にも外さないようにスコープの中心をデッドエンドブッチャーに合わせ続ける。

 

ここで機関車が加速を始め、ぐんぐんとそのスピードを上げていった。

 

小さかった敵のシルエットが次第に大きくなっていく。

 

幸いにも相手は光線を使わずに手で受け止める算段のようだ。

 

「まだ……まだ遠い……!」

 

恐怖と緊張から人差し指にかかろうとする力を抜き、確実に当たる距離まで引きつけ続ける。

 

そして遂には目標との距離が100mを切った。

 

不思議なことに極限の環境であるおかげか、スズツキは周囲の景色が非常に遅く感じた。

 

デッドエンドブッチャーの額。

 

そこに成形炸薬弾で空けた穴がよく見える。

 

「……っ。」

 

スズツキはスコープのレティクルをその穴に合わせると、引き金をめいいっぱい引き絞った。

 

すると弾倉に溜まったエーテルのエネルギーが機関部へと引き抜かれる。

 

今までとは違って一部ではなく、弾倉内全てのエネルギーが。

 

それらは集約され、一点に圧縮される。

 

そして銃口から勢いよく飛び出していった。

 

ドン!!!という大きな音と共に放たれたのは紫ではなく真っ赤な色をした極太の光線。

 

直後、デッドエンドブッチャーの額にそれは見事突き刺さり、穴を広げながら反対側へと貫通した。

 

「スズツキちゃん!」

 

「うひゃっ……!」

 

スズツキはリナに抱えられ、運転室に滑り込む。

 

敵の姿はすぐそこに迫っていた。

 

「……衝撃に備え!」

 

ぐらりとバランスを崩した敵要警戒型に、今度はC62が高速のまま突っ込んだ。

 

バゴン!!!と相手の身体が割れ、汽車の除煙板が歪む音が響く。

 

しかし敵はまだ諦めない。

 

弾き飛ばされないように両手で車体を掴んでくると、ゆらりと上体を戻し、足を地面につけてブレーキをかけようとする。

 

対して機関車もシリンダーを動かし、線路との間に火花を散らしながら全力で押し込んだ。

 

「行っけぇぇぇぇ!!!!」

 

ホロウとの境目がどんどん近付いてくる。

 

そして速度がついたまま列車はそこへ突入した。

 

外の空気を感じ取った時、デッドエンドブッチャーはエーテルの存在しない空間に耐えられず、バラバラに分解していく。

 

ストッパーの居なくなった機関車は僅かに再度加速し、置いてあった車止めを粉砕すると、線路を超えて奥にあったヴィジョンの施設へと突っ込んだ。

 

いきなり現れた黒い化け物に驚く現場作業員を他所に列車は暴走を続ける。

 

「ああくそ……報告はまだか?」

 

「いいえ、近隣に展開していた部隊からの連絡はありません。おそらく爆発による機械的なトラブルかと。」

 

「奴らの死体くらいすぐに……ん?何か変な音がっ……!?」

 

「あらまあ……。」

 

C62はブレーキをかけながらも様々な建築資材を吹き飛ばし続け、バキャッ!!と反対側の壁をブチ破った。

 

見えて来たのはヴィジョンの本拠点と沢山の構成員を擁したパールマン及びその秘書。

 

機関車は彼らをも轢き殺さんばかりの勢いだったが、ここでようやく目に見えて速度が落ちてくる。

 

そしてパールマンから僅か数メートルの位置で動きを止めた。

 

「ひ、ひいぃ……!」

 

「これはこれは……流石に予想外ね……。」

 

プシューっと汽車から吐き出され、周囲に立ち込めた白煙の中に複数の人影が現れる。

 

それらはゆっくりとした足取りで近付いてきた。

 

「……ヴィクトリア家政。」

 

「なっ……何で生きている……!?」

 

ススと煤煙でそれぞれ執事服とメイド服を黒く汚しながらも、ライカンとリナは優雅な佇まいで一礼する。

 

「ご主人様、依頼の完了を知らせに参りました。残りの手続きを済ませたいのですが、お時間よろしいでしょうか?」

 

「大丈夫ですわ。残りの依頼料と規約違反による追加料金をお支払いしてくれさえすれば私どもは一旦手を引きます。」

 

その発言に対してパールマンは狼狽えるばかりだった。

 

ライカンは怪訝に思っていると、何故か隣の秘書が前に出てくる。

 

「意外ね……金さえ払えば許してくれるというのかしら?」

 

「ええ、少なくともこの場は身を引きましょう。詳しい話はまた後ほど。」

 

「ふーん……なら。」

 

秘書はスッと片手を上げた。

 

カチャカチャと、周りに居た治安官モドキ達が手に持ったライフルを照準してくる。

 

「ごめんなさいね、関係者は一切残したくないの。そこの客車に乗っている全員含めてね。」

 

「……やはりそう来ますか。」

 

沢山の銃口を向けられているというのにライカンとリナは一切表情を崩さない。

 

その時、今度は2人の背後に幾つもの光源が発生し、同時にまた別の沢山の銃口がヴィジョン側へと指向された。

 

更には機関車の背後から大きな影が持ち上がり、その頭頂付近のサーチライトが秘書とパールマンを照らし出す。

 

「あーもう……やっぱりこうなるわよね……。」

 

「この期に及んでまだ諦めないつもりかしら?」

 

「ホントそれ……早く帰って寝たい……。」

 

[ライカンさん!何とか動かせたよ!]

 

「プロキシ様、ありがとうございます。丁度良いタイミングでした。」

 

客車から降りて来た軍の兵士達がライフルを手に、迅速に周囲へ展開していく。

 

ライカンとリナの後ろからも11号やエレン、ニコなど残りの面子も続々と顔を出してきた。

 

たちまち状況が逆転してしまう。

 

「さて……ここからどうしましょうか?」

 

「あら、これで勝ったつもり?」

 

「我々の優位性は揺るぎないものになっているかと。」

 

「残念ね。あいにくと善悪を決めるのは世間よ。情報を操作できる我々に貴方達が勝つことは出来ないわ。」

 

「ふむ……。」

 

黙り込むライカンと小さく笑みを浮かべる秘書。

 

彼は懐中時計を取り出し、パチンと蓋を開ける。

 

「どうやら、我々の行動が少し早かったようですね。本来ならほぼ同時に到着する筈だったのですが。」

 

「何を言っているかよく分からないわ。どちらにせよ我々の勝利は……。」

 

その時、秘書の背後でけたたましい破壊音が響く。

 

敷地を囲むバリケードフェンスを突き破ると、中に押しかけてきたのは濃緑色の迷彩塗装が施された機動戦闘車。

 

続いて装甲兵員輸送車が後からワラワラと現れ、尻のハッチを開くと中から沢山の兵士を下ろしてくる。

 

更には少し遅れて聞き慣れたサイレン音と赤青の警告灯が近付いてくる。

 

空には()水色(治安局)(救急)赤とオレンジ(報道機関)など様々な組織のヘリコプターが飛び交っていた。

 

これには秘書も唖然としてしまう。

 

「それで我々の勝利が何と?」

 

「……別動隊が居たのね。」

 

「ええ、私の部下と一部の避難民を先に川から逃げさせたわ。『保険』として、ね。」

 

周りを完全に取り囲まれたことによって、ヴィジョンの構成員は戦意を喪失し、次々にライフルを地面へ捨てていく。

 

パールマンも膝をつき、ガックリと項垂れる。

 

後に『スーパーゼネコン、ヴィジョンによる歴史的な大不祥事と汚職事件』と世間に知れ渡るこの出来事はここで幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⬛︎

 

「さて……逃げましょう。」

 

「えっ、パールマンはどうするんですか?」

 

「公的機関に身柄を拘束してもらえばいつでも会えます。それより治安官と憲兵に顔を覚えられる方が今後の支障になるでしょう。」

 

「ヒーローは黙って徒歩で現場を去る……か……トホホ……。」

 

「何?もてはやされたかったの?」

 

「だぁって……避難民を助けた上に要警戒型を倒したんですよ?少しくらい褒められたって……おふっ。」

 

「よしよし、スズツキちゃんは頑張りました。偉いですよ〜。」

 

「……満足です。」

 

[ちょっ……リナさんズルい!]

 

 





『斉射モード』

九八式に秘められた奥の手。弾倉の中に込められたエネルギーを1点に圧縮して発射する。破壊力と貫通力が跳ね上がる代わりに衝撃によって銃そのものがガタガタになり、再使用には部品交換が必須となるため、常用は出来ない。

朱鳶がストーリームービーでサプレッサーK22から極太ビームを撃ってたので、こっちでも出してみた感じです。



注)) 劇中に出てきた汽車は空を飛びませんし、スズツキの小銃で超構造体を貫通させることは不可能です。細かいことは気にしないでください。作者が出したかっただけです。



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