ヴィクトリア家政の女装メイド   作:ゆうぐれ

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どうも、ブルアカに移籍した作者です。

嘘です。本当はクレタ編を頑張って書いていたのですが、不確定要素が多かったことから数話分の試作品を全てボツにしました。

で、ネタ探しに詰まっていたところ、ブルアカの筆がつい走ってしまった始末です。よければそちらもどうぞ。

それで今回の話は、しばらく前に書いたボツ作品を流用したものとなっています。原作としては1個飛びますね。

ちなクレタはもう出さないなんてことは無いのでご安心を。ただ保留するだけです。



第三章 非常なる潜入任務
16 パシリ、奉仕をする


夕暮れの赤い陽光が差し込む中、小さくウヴーンとアイドリング状態のエンジン音が車内へ響く。

 

空調機が前方のレジスターから冷たい風を吐き出し、広々としたこの空間を適温に保ってくれる。

 

しかし出発からずっと当たっているおかげか、身体の方は寒さを感じたようで、メイド服仕様のスズツキは軽くクシャミをした。

 

口を押さえて、下品に見えないようにしながら。

 

依頼人はまだ来ていないのだが、念の為である。

 

リナとライカンからの教えだ。

 

「ぐすっ、先輩、エアコン切っていいですか?」

 

「別にいいけど……大丈夫?風邪でも引いた?」

 

「寒いだけですよ。ちょっと温度を低くし過ぎましたね。」

 

スズツキはハンドル横に並んだツマミを、如何にも高級な白黒の装飾が施されたそれを恐る恐るゆっくりと回す。

 

今はメイドとして依頼をこなしている最中で、その内容はとある大財閥の令嬢のお世話係。

 

4回目の任務にて初めてヴィクトリア家政の名に相応しい仕事が来たわけだ。

 

奉仕する立場になったことに緊張感を覚えていると、隣の助手席からガタリ何かの音が聞こえたかと思えばダッシュボードへ靴下を履いた足が乗せられた。

 

そちらを向くと、思いっきり後ろへシートを倒しながら、うつ伏せの姿勢で全身を伸ばしているエレンの姿があった。

 

サメの尻尾も身体の動きに合わせてピーンと伸びる。

 

ちなみに今回は戦闘が目的ではないことから彼女のメイド服にトゲトゲは付いておらず、スズツキと同じクラシカルな仕様となっている。

 

「……先輩、行儀が悪いですよ。」

 

「いーじゃん、どうせまだ暇なんだしさ。」

 

「そうですけど……。」

 

伸びをすると、暇そうにパタパタと足を動かすエレン。

 

スカートがはだけ、スラリとした生脚が顔を覗かせてくる。

 

いつもはタイツに阻まれて見えないそれを前にして、スズツキはついつい横目で見てしまう。

 

本人にとっては気付かれていないつもりではあったが、対して見られているエレンはそこまで鈍感ではなかった。

 

彼女はむしろ敢えて露出を激しくし、狙い通りに視線が刺さってくると軽い笑みを浮かべる。

 

「えっち、すけべ、変態。」

 

「い、いきなり何ですか?」

 

「へー、やっぱ女の子の見た目してても男なんだー。そんなチラチラ見ちゃってさ。」

 

「……悪かったですね。こちとら思春期真っ盛りなんです。」

 

「じゃ、夜ご飯よろしく。」

 

「罠は卑怯ですよ。」

 

「そのハニトラに引っかかったアンタが悪い。」

 

「むぅ……。」

 

ぐうの音も出ないとスズツキは黙り込むと、運転席横の大きな液晶を弄り、夕方のニュース番組を表示させる。

 

アナウンサーが話している内容についてはハッキリ聞かずとも分かった。

 

何度目かも忘れた話題にスズツキはウンザリしたように呟く。

 

「まだヴィジョンのことやってますね……もう2週間以上経ってるっていうのに……。」

 

「官公庁からヴィジョンとの内通者が見つかったんだよ?そりゃここまで話題にするでしょ。」

 

「それにしたってこればっかりでつまんないですよー。」

 

「下手すれば1000人以上が死んでたし、メディアにとってはこれ以上無いくらいのネタなんだろうね。」

 

今から2週間と少し前、ヴィジョンによる人権無視のコストカットはメディアで報じられると、途端に場所を問わず人々の話題を全て掻っ攫っていった。

 

不正を受けて内部調査が始まると、議会、正規軍、治安局、建設省、国土省、運輸省、果てはエリー放送協会の中で一連の出来事に手を貸していた人間が多数存在していたことが発覚した。

 

もちろんこれが炎上しないわけがない。

 

実際に沢山の命がかかっていただけあって、その燃え広がり具合は激しく、事件からしばらく経った今でも未だ新聞やテレビ、ラジオ、ネット記事、個人ブログなど様々な媒体でヴィジョンについての話題が扱われていた。

 

ちなみにヴィクトリア家政に関しては一切の情報が乗っておらず、全て治安局と邪兎屋、正規軍がやったこととなっている。

 

メイドや執事の文字は欠片も無い。

 

流石はヴィクトリア家政といったところだろう。

 

「……ん、先輩、そろそろじゃないですか?」

 

「え、まじ?」

 

しばらくニュースを眺めていると、車の外から授業の終わりを知らせるチャイムの音が聞こえてきた。

 

すると時間差で、近くの正門から堰を切ったように沢山の学生達が外に出てくる。

 

その中にむさ苦しい野郎は存在せず、全員が気品溢れるお嬢様達だ。

 

「うわぁ……ウチの学校の女子とはまるで違いますね。」

 

「……あ?何?喧嘩売ってる?」

 

「いえいえ、もちろん先輩とカリンちゃんは除外しますよ?2人とも気品あるレディですからね。だから超高級なヴィッカース(ショーファードリブン)のダッシュボードに足を乗せたりはしませんよね?」

 

「はいはい。」

 

足を下ろし、席も元に戻すエレン。

 

ここで窓の外にとある少女が近付いていることに気付く。

 

「先輩、手番です。」

 

「メンド……。」

 

「ハンバーグと唐揚げ、餃子、どれが良いですか?」

 

「ハンバーグ、ちゃんと牛肉100%のデカいやつにしてよね。」

 

「はーい。」

 

エレンは咥えていた棒付き飴をドリンクホルダーに引っかけると、今までとは打って変わって丁寧な所作で外に出た。

 

そして車体後部の傍に立ち、令嬢が近付いてきたところでドアを開ける。

 

めんどくさがり屋の彼女ではあるが、一応メイドなだけあって、やればちゃんと出来るタイプなのだ。

 

「あら、今日はあのオオカミさんじゃないのね。」

 

「ボス……ライカンは別の用事があるので、今回のお迎えだけ私共が代行することになりました。」

 

「そう、わざわざごめんなさいね。」

 

「いえいえ、これが仕事ですので。」

 

中に入ってきたのは金髪の如何にもな御令嬢。

 

スタイル良し、顔超良し、性格めっちゃ良しの完璧美少女だ。

 

そんな彼女に対して、スズツキは営業スマイルを忘れないように気を付けながらバックミラー越しに話す。

 

思わず見惚れてしまいそうなほどの品位と美貌を前に、作った笑みが照れの笑みに変わりそうになるが、太ももをスカート越しにつねられたことで我に返った。

 

「いっ……!?」

 

「?どうかしましたか。」

 

「い、いえ……何でもありません。では発進します。」

 

いつの間に戻ってきていたエレンの鋭い視線を受けながらスズツキはシフトレバーをドライブに入れ、パーキングブレーキを解除した。

 

そして方向指示器を出し、前後を確認してからアクセルを踏み込む。

 

ちなみに何故未成年で運転が出来るのかというと、リナによるメイド授業の中に普通自動車免許の取得が含まれていたからだ。

 

もちろん新エリー都にて免許取得は18歳以上の為、完全に違法だが、組織の力を使えばグレーにすることが可能とのことらしい。

 

「うぅ……怖ぇ……。」

 

そこらの宝くじの1等よりも高い車をビビりながら運転していると、大きな交差点に差しかかり、ちょうど信号が赤になった。

 

スズツキは車間距離に余裕をもって止まる。

 

そのまま信号を待っていると、ふと前方の景色が暗くなった。

 

「……あれ?」

 

「どうかした?」

 

「いえ、あそこの街灯、消えてませんか?」

 

夕日のおかげで多少分かり辛くはあったが、交差点の向こう側に並ぶ街灯が一部消えてしまっていた。

 

対してこちら側は全て健在だ。

 

「あー……多分寿命じゃない?」

 

「5つが一気にですか?」

 

「それ以外に何かある?誰かぶっ壊したわけでもなさそう……だし?」

 

その時だった。

 

突如としてバツン!と周囲の信号機と街灯、建物から一気に光が消えてしまった。

 

異変はまだまだ続く。

 

低い位置にあった太陽を何かが遮り、前席に影が差し込んだ。

 

「……車?」

 

「えっ……。」

 

何と複数の乗用車が勢いよく宙を舞っていた。

 

まるで幼児が手に持ったミニカーを勢い余って投げたように。

 

くるくると回転したそれらは右から左へと突き抜けていき、建物の影に入って見えなくなる。

 

直後、ドガシャッッッ!!!っと車体越しにでもよく聞こえるほどの金属の破砕音が響き渡った。

 

「なっ、なんですの!?」

 

「だ、大丈夫です。おそらく車同士の接触事故かと。先輩、一応ボスに連絡を。」

 

「分かった。」

 

エレンはポケットから業務用の携帯端末を取り出す。

 

しかしそれはいくら操作しようとも画面が黒いままだった。

 

「嘘……壊れた?ねえ、そっちのは使える?」

 

「えっと……あれ、使えない?」

 

うんともすんとも言わなくなった端末と格闘していると、あることに気付く。

 

周りの車全てからエンジン音が消えており、乗っていた人が外へと出てきていたのだ。

 

慌てて車の状況を調べるが、エンジンにもバッテリーにも特に異常は見当たらない。

 

「……ん?」

 

首を傾げていると、サイドミラーに怪しげな集団が映り込んだ。

 

コンビニの駐車場に停まったバンから降車し、一般人に紛れて近付いてきている。

 

顔には黒いバラクラバを被り、片手はシャツの下に突っ込んでいた。

 

ひゅっと息が詰まる。

 

「せっ、先輩!」

 

「どうかした?あー……そーゆー感じね。」

 

焦るスズツキとは対照的にエレンは平静を保っていた。

 

彼女はダッシュボードを開けると、中から折り畳み式の薙刀を取り出す。

 

遅れてスズツキもスカートを捲り、太もものホルスターから拳銃を抜くと、スライドを引いてチャンバーチェックを行う。

 

「ど、どうしますか!?」

 

「落ち着いて。こういう場面に遭遇した時、まずボスは何をしろって言ってた?」

 

「えっ、えっと……確か……。」

 

ライカンの授業を思い出しながらスズツキは目の前のコンソールを弄り、車を防護モードへと移行させた。

 

四方の窓の下から特殊な防弾板がせり上がり、強化ガラスを全て覆うと、代わりに外の景色を映し出す。

 

「おぉ、スゴい。こーやってやるんだ。」

 

「覚えてなかったんですか?」

 

「うん、メカ担当は基本ボスだし。」

 

「えぇ……ってそれどころじゃなかった。敵は?」

 

「8時の方向。数は6。武器は多分ピストルかサブマシンガン。」

 

「了解です。お嬢様!シートベルトを!」

 

「わ、分かりましたわ!」

 

スズツキはハンドルを切り、現場からの離脱を図ろうとする。

 

ここで敵の集団が反応し、それぞれシャツに隠していた腕を外に出した。

 

見えてきたのはピストルや機関拳銃、そしてグリップに太い筒がついた玩具みたいな銃。

 

簡素な見た目のそれを目にしたスズツキは急いでコンソールに手を伸ばした。

 

「頭を低くして!!」

 

「は、はいっ!きゃあっ!?」

 

車体にシールドを展開した直後、飛来した擲弾が車に直撃した。

 

轟音と衝撃が響き、スクリーンにむらが発生する。

 

「っ……グレネードランチャー……!」

 

「ただの榴弾です!防殻を抜くことは出来ません!」

 

「う、撃ってきましたわ!」

 

「頭を守って!揺れますよ!」

 

続いて他の敵も発砲し、車体のあちこちに火花が発生する。

 

スズツキは反対車線に出ると、逃げ惑う人々に向けてクラクションを鳴らしながらアクセルをめいいっぱい踏み込んだ。

 

幸いにも事故と何らかのトラブルのおかげで道路を走る車は居ない。

 

12気筒のエンジンが唸り、一気に速度が上がっていく。

 

「先輩!近くのセーフハウスは!?」

 

「ええっと……少し先に大きめのが1個。近くに治安局のルミナ分署もあるね。」

 

「案内してください!」

 

「そこ右。」

 

交差点に勢いよく飛び出すと、事故現場に停まっていたパトカーを掠めながら右に曲がる。

 

背後からサイレン音が聞こえてくるが気にしない。

 

「右に敵車両!」

 

「うわっ!?」

 

追ってきていたパトカーが突然煙を吹いて落伍すると、そこへ横から例のバンが滑り込んできた。

 

敵はライフルに持ち替えたようで、先程よりも大きな銃声が響き、飛来した弾丸がシールドに当たって跳弾を繰り返す。

 

「大丈夫なの?」

 

「避弾経始圧、現在6割まで低下!ちょっとマズくなってきたかもです!」

 

いくつもの車線が束ねられた広い幹線道路に車は飛び出ると、敵を振り切らんと一気に加速を始めた。

 

「よし、敵は離れていってる。」

 

「このまま逃げ切ります!」

 

遂に敵のバンとの距離が離れてきたことにスズツキは安堵の息を吐いたが、その時、再び異変が起こった。

 

「……ん?危なっ!」

 

再びパチンと周辺の街灯の光が消えたかと思えば、前を走っていた一般の軽自動車がいきなり失速し始め、こちらとの車間距離を一気に詰めてきたのだ。

 

慌ててスズツキは右の車線に逃げるが、今度はタクシーが同じように速度を落として接近してきた。

 

というよりも周りの全ての車が何故か失速していた。

 

ガンゴンと頭と尻をぶつけ合いながら、ブレーキを踏む気配もなく、次々と団子状態になって後ろへと離れていく。

 

遂には衝突でひっくり返る車まで現れた。

 

「何なのこれ……?」

 

「ヤバい……丸見えだ!」

 

遮蔽となっていた一般車が次々と落伍していき、スズツキ達の周りには敵車両を除いて誰も居なくなってしまった。

 

追手のバンが背後から迫り、両側のスライドドアが開けられると、手に銃器を持った男達が身体を乗り出してくる。

 

マズルフラッシュの光が輝き、けたたましい破裂音と共に何百発もの鉛弾が撃ち出されてくる。

 

ここで更に嫌なものがバックミラーに映り込んだ。

 

「耐圧限界まで……ってRPG!」

 

次の瞬間、激しい揺れが車を襲った。

 

爆発の衝撃から斜めに滑り出しそうになるが、スズツキは急いで反対にハンドルを切り、姿勢を安定させる。

 

「ちくしょ……防殻消失!」

 

「反撃は?」

 

「ハンドル持っててください!」

 

「あ、ちょっ……!」

 

スズツキは車を防護モードから戦闘モードへと移行させると、『バックファイア』と書かれた兵装を選んだ。

 

シフトレバーの前からピストルグリップがせり上がってくると、車体後部に貼り付けられたエンブレムが横へ移動し、空いた穴から銃口が突き出す。

 

「お返しだっ……!」

 

スズツキが手動で照準を定め、引き金を絞ると、口径7.62mmのフルロード弾からなる弾幕がバンに降り注いだ。

 

たちまちエンジンルームが穴だらけになり、フロントガラスが内側から真っ赤に染まる。

 

コントロールを失い、ぐらりと進行方向が左にズレると、今度は車体側面から横へ薙ぐように弾痕が空けられていく。

 

開けたドアにしがみ付いていた敵が血しぶきを上げながら倒れるが、スズツキは気にせず射撃を続ける。

 

すると次に何か可燃性のものに当たったのか、ボン!と軽い爆発が発生し、バンの荷台が破裂した風船のように千切れ飛んだ。

 

「お、やった。」

 

「ですね。」

 

「……終わりましたの?」

 

「はい、お嬢様。騒がしくして申し訳ありませんでした。すぐに御屋敷へ戻るので今しばらく……。」

 

「あっ……前!」

 

「うそっ!?」

 

反射的にハンドルを左に切った直後、車のすぐ隣をRPGの弾頭が勢いよく通り過ぎていった。

 

同時にフロントガラスに被せられた防弾板へ幾多ものライフル弾が直撃する。

 

窓の外を見れば、左の合流車線から新たに2台のセダンが入ってくるところだった。

 

「や、やっぱり今しばらくお待ち下さい!」

 

「スズツキ、前に武装は?」

 

「これを!操作はほぼアーケードゲームと変わりません!」

 

「りょーかい。」

 

今度は車体前方のエアインテークのひとつが開き、中から銃口がにゅっと突き出してくる。

 

だがエレンが引き金に指をかけようとした時、車の頭上を何か大きな物体が通過していった。

 

「治安局のヘリ……今さらか……。」

 

「これ撃たれないですよね!?」

 

「むさ苦しい男達がギチギチに詰まったやっすい商用車と大手財閥の御令嬢が乗った高級車。どっちを撃つべきかは明白でしょ。」

 

治安局のマークが施されたヘリコプターは上空で急旋回し、敵車両の前方に占位したところで機体側面のスライドドアが開かれた。

 

中から顔を出してきたのはスピーカーを手に持った1人の女性治安官。

 

長い黒髪を後ろで束ねており、前髪には赤いメッシュが入っている。

 

[そこの不審車両!ただちに止まりなさい!]

 

「あ、これ撃ち落とされるパターンだ。」

 

エレンがそうボソリと呟いた直後、案の定というか、敵車両の窓からRPGを構えた男が身を乗り出してくる。

 

交戦はまだまだ続くことになりそうだと、スズツキは更なる兵装の準備をするが、予想に反して状況はすぐに終わった。

 

ヘリは高度を上げて敵の攻撃を回避したかと思えば、機内から擲弾らしきものが撃ち出され、セダンのひとつが爆散した。

 

「わお、やるじゃん。」

 

「映画と同じ展開にはなりませんでしたね。」

 

2人が話している間にもう1台のセダンも吹き飛び、ゴロゴロと横転しながら後ろへ離れていく。

 

脅威が去ったことに胸を撫で下ろすが、すぐに新たな問題があることに気付いた。

 

「もしかして事情聴取とか……?」

 

「大丈夫、その心配はいらないよ。」

 

「だと良いんですが……。」

 

周りからパトカーが集まってくると、事件現場を治安官達が封鎖し、交通整理を行っていく。

 

スズツキは指示に従って車を路肩に停車させると、ガラスを覆っていた防弾板を格納させた。

 

目の前にヘリが着陸し、先程の女性治安官が降りて来る。

 

おそらくは防弾性や動きやすさを考慮してか、特殊なラバースーツのようなものを身に纏っており、誇張抜きでピチピチだ。

 

特に胸部と臀部が凄まじい。

 

「へぇ……。」

 

そのスタイルを前にスズツキは鼻の下を伸ばしまくっていたが、瞬時にエレンに看破されると頬を強く引っ張られた。

 

「スズツキ?」

 

「にゃ、にゃんでもないれす……。」

 

「モナカアイスよろしく。ああ、もちろんラクトアイスじゃなくてアイスクリームの方ね。」

 

「……あいまむ。」

 

毎度毎度どうして分かるのだと、女の観察力に恐ろしさを感じるスズツキだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

⬛︎

 

「スズツキさんとエレンさん、遅いですね……。」

 

「道に迷ってしまったのかしら?」

 

「ふむ……電話にも出ません。もしかすると何か……。」

 

[速報です。先程国道16号線において銃撃事件が発生しました。具体的な被害内容はまだ不明ですが、少なくとも3台の車両が炎上したとのことで……。]

 

「あらあら……。」

 

「あっ!あの白い車って……!」

 

「敵に襲撃されましたか……リナ、ここは任せますよ。」

 

「ええ、お嬢様と2人を頼んだわ。」

 




プロは多くを語らない………完全無ケツ、いいよね。


よろしければ高評価又は感想をお願いします。作者のモチベが爆上がりするので。

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