「ですから、何度も申し上げますが私としては別にそのような義理もなければ関係性もありません。あるとすればそれはビジネスだけの関係としか言いようがありません、それで態々連絡するのも可笑しなお話です。確かに私はコルサの弟子ですがそれはあくまで芸術家であるコルサの弟子という側面でしかなく貴方方だってそちらに深く干渉している訳でもない。仕事に関する事であればするでしょうが、そうでもない事で首を突っ込むなんて事はしませんししたくもないんですよ」
「仰る事は分かります、ですがあのお二人がどれほどの立場なのかも貴方ならばご理解していられるとも思いますが?」
「それは当然です、理解しているが故にパルデアで可能な限り平穏なお時間を送って頂きたいと思う事はそれほどまでに罪深い事ですかね?」
「その言い方は少々卑怯ですね」
「これは失礼致しました、謝罪致します」
別に敬語なラビは珍しいわけではない、配信では常に敬語な訳だしどうも思わないが……それ以上に珍しく思うのが四天王の一角でありコガネ弁を常としているチリが敬語で話している点に尽きる。矢張りこういった真面目な話をする場ではそう言う事も気にするという事だろうか。そんな話の内容は―――
「フゥッ……これ以上は意味を成しませんね、解りましたトップには上手く言っておきます」
「ご理解いただけたようで幸いです、サザレ紅茶のお代わりを頼むよ。今度はブランデー入りで」
「うん分かった」
「うぉい真面目な話が終わったら速攻で酒かい!?よぉまあいけしゃあしゃあと飲めるなぁ」
先程までの敬語はあっさりと崩壊して親しみ易さを前面に押し出した口調へと変貌を遂げるチリ、そんな彼女から呆れたような咎めるような視線を向けられてもラビは動じない。
「こう言うのもなんやけどお酒は控えるべきちゃう?真面目に話してたんやけどこっちは」
「酒はポケモンを超える程に長い間、人類の友として君臨してきた存在ですよ。生憎私は友人を見捨てられる程薄情ではありませんので」
「ただ飲みたいだけやろ自分」
「そりゃ勿論、態々ポケモンリーグから来て下さったチリさんとの応対で私も疲れてますから。貴方のような美人な方との対談には大いにエネルギーを消費してしまいますからね、友の力を借りて英気を養わなければ」
言外に此方とは関わり合いを持ちたいとは思っていないという言葉にチリはまあだろうなぁ……と思ってしまう。良くも悪くも柵も多い場所に好き好んで入り込む方が少数派だ。
「ハッキリ言うけどリーグは貴方に振り回されとるような物なんやから。もう少し自重っちゅうか、此方に協力して貰えると有難い」
「時と場合に寄りますね」
「はぁ……こりゃ強敵やなぁラビさんは……」
「伊達にもう少しで三十路になる訳じゃないんですよ」
因みに現在サトシとレッドはパルデアリーグの方に出向いている。流石に話を付けに行った、チリが来てから。
「はぁ……まあ兎に角トップに言っときますんで」
「お願いしますよ」
漸く帰ってくれたチリ、まあ今回ばかりは意図的にリーグにも報告は控えていたので自分も悪いと言えば悪いから甘んじて迎え入れて話し合いにも応じた訳なのだが……。
「それでサトシさんとレッドさんはこれからどうする訳なの?」
「レッドさんは取り敢えず少しの間此処に残留、サトシさんは彼方此方回りながら抜き打ちでジムに現れてはジム戦するんだと」
「……それ色々と大丈夫なの?」
「ナンジャモさんには言ってあるから平気平気」
まあもう既に核爆発級のインパクトを味わっているナンジャモならサトシが来た所でそこまで驚きはしないだろう。寧ろドンナモンジャTVの視聴者が増えてWINWINだと考える事だろう。
「どうもナンジャモさん!!折角ですからジム戦にチャレンジしに来ました」
「うえええええええええええええええ!!!!!!?????ちょっラビ氏絶対知ってたでしょぉぉぉぉ!!?」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方」
「ドラァァァァァアアアア!!!」
「おっとぉっ!!」
「ピカチュウアイアンテール!!」
「チュゥゥゥゥゥゥピッカァッ!!!」
「ピァァァァ……!!」
「ガァッ……ドゥゥゥゥラァァァァァ……!!!」
「おやサトシさん、もういいんですか?」
「ええ纏まりましたって、いやいやいやのんびりしている場合じゃないでしょ!?どうしてドラピオンに思いっきりクロスポイズンされてるんですか!!?」
「まあ色々ありまして、という訳でドラピオンです」
| ・そのまま進めたぁ!? ・何シレっと進めてんの!!?というか今の回避何なん!!? ・クロスポイズンに向かって飛び込んで回避した!!? ・どうやったの!!? ・というかこいつも色違いか!!? ・というかサトシさんもナチュラルに参加してるし!!! |
|---|
「あれは友人に教えて貰った回避術です、何でも代々伝わるポケモンとの距離を適切に保つための技です。その気になれば今みたいなことも出来るって訳です」
「すげぇ!!俺も出来ます!!?」
「出来ます出来ますサトシさんなら楽勝ですよ」
| ・いやいやいや出来て堪るかぁ!! ・動きが出来たとしてもクロスポイズンに向かって回避とか狂ってるわ!! ・マジで何なんだこのクソ度胸は…… ・ドラピオンの力ってマジでやばいんだぞ…… ・ほんそれ |
|---|
「さてドラピオンは通称砂の悪魔と言われる程に獰猛な事で有名なポケモンさんです。その力強さは自動車を容易くスクラップにしてしまう程です、此処に加えて猛毒に全身も刀さえ弾く固い甲殻で覆われているほか、首が180度回転するので後ろに回り込まれた際も対抗できるなど攻守共に隙が無いです。なのでサトシさんのピカチュウさんに援護されてなかったら危なかったかもしれませんね……いや近くにダイケンキが居たから大丈夫ですね」
| ・いやなんなのその信頼は ・いやまあ相棒だから信頼するのは分かるけど一応自分のポケモンなんだよな!? ・懐いてないのかよwww ・いやこれまで懐かれまくってるぬしがそれは考えにくい。 ・どうなってるんだよ |
|---|
「ドラピオンの特性はカブトアーマーにスナイパー、夢特性が鋭い目です。カブトアーマーはシェルアーマーと同じですね。スナイパーは急所に攻撃を与えた際のダメージを増加、鋭い目は命中率が下がらず、回避率が上がっていてもそれを無視出来るという物です」
| ・あ~なんか納得のラインナップ ・スナイパーは主軸にするのはきつそう…… ・急所は狙って出そうとすると大変だからなぁ……。 ・それだと急所が出なくなるカブトアーマーの方が楽か? ・まあもしもが無くなるから有用だと思う。 |
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「それにしても相当に獰猛ですね……俺のリザードンもこういう時期ありましたけど、それとはまた違ったやばさを感じましたよ。確実にラビさんを襲いに行ってましたよ」
「まあそうでしょうね。私のドラピオンは色違い故に群れから迫害され、人間からは珍しいという理由だけで追い回された経験がありますから基本的に孤独を好みます。ゲットされているのも私を倒したいと思っているからです」
| ・何そのいびつな関係 ・冗談抜きでいびつすぎるんですが ・倒す為に手持ちに入るって…… ・それで攻撃してきてるの? ・やばすぎん? |
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「と言っても私もゲットするつもりはなかったんですけどね、偶然出会った時も相当な死闘をした後なのかボロボロでした、緊急処置としてポケモンセンターに連れていく為にゲットしたんですが……戦わずしてゲットされてしまった事が酷く屈辱的だったんでしょう」
「何か分かる話だな……俺の仲間にも居ましたよ、ストライクだったんですけど結構お爺ちゃんなストライクで若いオスにリーダー争いに負けて追い出されてボロボロになった所を見つけたって感じでした」
| ・色違いで狂っちまった感じか…… ・群れには追い出され、人間には追いかけまわされる……か ・その果てにゲットされたか。 ・なんて波乱万丈 ・う~ん……。 |
|---|
「それで私は時折挑戦を受けているんですよ、バトルだったり今みたいだったりと。私の事を認めていない訳ではないと思いますよ、その証拠にさっきのクロスポイズンだって中央が甘かった上に振り向いての追撃もしなかった。戯れだと思ってくれているのかもしれませんね」
「あ、あれでですか?」
「ガチでやばかったらダイケンキかオノノクスが止めますよ、それかその空気を感じ取ったアーマーガアですかね」
| ・通じ合ってる、のか? ・わからん ・甘かった、か? ・完全に首取りに行ってるようにしか見えんかった。 ・同じく。 |
|---|
「まあそんなドラピオンですが能力は相当なバランス型で長所は短所がない所ですね。タイプの関係で弱点も地面タイプのみですが、アクアテールを習得できるので対応可能です。スナイパーの事を踏まえると急所に当たりやすい辻斬りやクロスポイズンなどをメインに据えるのもいいですね。そして起点作成から相手が逆に積んで来る事を無効化する技も備えています」
| ・えっ毒悪ってそんな優秀なの? ・うわマジで確認したらマジで地面だけだ。 ・これ、テラスするとしたら地面頼りにして来るのを狩る為に飛行とかあり? ・普通にありだと思う。 ・んで積みを無効か? ・なにそれ、そんな技あるん? |
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「吹き飛ばしです、この技は相手を別のポケモンさんと強制的に交換させる事が可能です。これによってバトンで強化を図ろうとするのを阻止したり、剣舞とか龍舞、蝶舞などを事実上無力化出来ます。その一方でドラピオンは高速移動や鉄壁に剣舞、ツボを突くなどが充実してます。その上で挑発や毒々に毒びしと言った相手へ打ち込む技も豊富ですので急所の心配をせずに場面を整えたり、逆に急所の恐怖を高めた一撃で相手を追い詰める事も出来ますよ」
| ・はぁ~成程、吹き飛ばしにそんな活用方法が…… ・風起こし以上にどうすればいいのか分からんかったけど強かったんだな。 ・というかドラピオンが想像以上に怖いんだが? ・実際マジで怖い。 ・見た目も相まってな。 |
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「硬い甲殻を持ちながら鋭い一撃で相手を刈り取る砂の悪魔ドラピオン、相手へと怯む事なく戦いを挑む悪魔の心強さを味わってみては?」
そこで配信を切る。ドラピオンともそれなりの付き合いだが、懐いてはくれているとは思うがその一方で一貫して対応を変えてくれないポケモンでもある。それ故かアブソルやオノノクスと言った自分を大切に思ってくれている面子からは相応に警戒されている、今だってアブソルが威嚇の声を上げている。喉を撫でてご機嫌を取っておく。
「パルデアリーグへの挑戦は見込めそうですか?」
「ええ、許可貰えました!!いやぁオモダカさんも話の通じる人で良かったですよ」
「それは何よりです」
会話をしているラビをジッとドラピオンは見つめている。両の腕を見る、あと少しだったのに……あと少しで、この腕の中にあれを捕らえて自分の物に出来たのに……
「シャアアアアアア!!!!」
「コラコラ、駄目ですよアブソルさん」
あれの声が聞こえる、余計な物が傍に居て威嚇をして来る……望むならば来るがいい、何時でも相手をしてやる……そして何時の日か―――あれを自分の番にする。
「へっくしゅ!!」
「あれ、風邪ですか?」
「いやなんか急に鼻が……」
「風邪薬一応飲む?」
「一応飲んどくかなぁ……?」
別に複数の番がいたとしても気にしない、だから……お前は絶対に逃さない。
砂の悪魔に相応しい邪悪だが何処か病的なまでに歪んだ瞳はラビを捉えて離さなかった。
イクハが何時の間にかレッドさんに化けたので、その代役のドラピオンでした。