週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:天恵トゲキッス

「こうして会うのも久しぶりね、元気にしてたかしら?」

「見ての通り元気ですよ―――あの時はお約束を果たせずにすいませんでした」

「気にしてないわよ、寧ろあれだけの所まで行った貴方を責めるなんてあり得ないわ」

 

この日、また来客が来た。シンオウ地方のチャンピオン、シロナがそこにいた。サトシから来るという連絡を受けた翌日の事だった。即断即決というレベルではない、サトシ曰く、ラビから了承の返事を貰えたと連絡したら丁度空港にいるから今から向かうと言ってきて慌ててラビに話をしてきた程だった。

 

「あの後、オーバはバトルを辞退したのよ?貴方とのバトルでのダメージが回復には時間が掛かるからってゴヨウとのバトルを辞退して、私とゴヨウのバトルになったの」

「そ、そんな事になってたんですか……色々ショックであの後見てなかったからなぁ……」

「随分と落ち込んでたって聞いたから私も心配したのよ、それで尋ねてみたらもうホウエン地方へ旅立ったって聞いて安心したけどね」

 

あの時の自分はかなりショックを受けていたしその後の事は余り覚えていない、サザレに励まされて一念発起して今度こそホウエンに向かう!!という流れだった。チャンピオンズリーグについてもニュースで軽く流し見する程度だったのでそんな結末になっていたとは……知る由もなかった。

 

「それにしても……あの時の子がこんなに立派になるなんてね……私なんかよりもずっと有名なんじゃない?」

「ご冗談を。サトシさんと激戦を繰り広げたシロナさんと私を比べちゃいけませんって」

「んもう相変わらず自己評価が低いのね、貴方も苦労するわねサザレ」

「でもそこが良い所でもありますから」

 

ラビを肯定するサザレにシロナは何処か機嫌良さそうに笑みを浮かべる。そんな時にラビのガブリアスがラビに噛みついた。

 

「おいガブリアス顔はやめろ顔は、ボディにしなってそうじゃなくて前が見えない!!っていったぁ!!?マジでボディ噛むなっつうか甘噛みじゃないだろそれ!!?」

「ガブ」

「痛い本気で痛い!!?」

 

自分がこの子に興味を抱いたのもこの点だ。ラビは一般的なトレーナーと比べてもポケモンとの距離が近いのだ。サトシ以上と言えるかもしれない程に、サトシはピカチュウを筆頭に大切な友達や仲間だと公言するがラビのそれは明確にそれを凌駕している。最早家族の領域だと言える。

 

「仲良しね」

「いやこれ見て何でそういう感想、いててててっ!!?おい血が出る寸前だぞこれ!?」

「ガァア~ブ」

 

ある意味でトレーナーの理想形の一つとなっているのがラビなのだ。だが、そのスタンスが明らかにポケモンとの距離が近すぎる結果となり、シンオウに伝わる昔話のようになるかもしれないという危惧はあるが……まあ大丈夫だろう。

 

「そうだ、折角だから私も配信に参加させて貰えないかしら?」

「どうせ来ると思ってましたよ……」

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方、の前に今回もゲストさんがいます。さあどうぞ」

「どうも皆さんこんにちは、シンオウリーグチャンピオンのシロナです。レッドさんやサトシ君の後だと物足りないかもしれないけど宜しくね」

 

・いやいやいやいやいや!!!

・十分!!十分すぎるからね!!?

・シ、シロナ様が俺のスマホロトムの画面内に!!?

・何なのだこれは、どうすればいいのだ!?

・ありがたやぁ……

 

「思った以上に反響があって嬉しいわ、流石にあの二人の後だと霞むと思っていたのだけど」

「あの二人の後なら誰だって霞むと思いますよ?」

「あらそうかしら」

 

・普通はチャンピオンクラスが配信に出るとかあり得ないからな!!?

・あったとしてもキバナの所にダンデが出てきてバトルするぐらいか?

・あれはライバル同士だからまだわかるんよ

・ナンジャモの所を見てみろ!!こんなこと絶対あり得ねぇぞ!!

・寧ろナンジャモが地味になりつつある。

・ナンジャモ:異議あり!!ラビ氏の所が可笑しいだけだから!!ボクは悪くない!!

・そして当たり前のようにいるナンジャモである。

 

「さて今回紹介するのは此方です」

「トゥ~ス♪キ~ッス♪」

「あらっトゲキッスね?」

「はいトゲキッスです」

 

・あっ可愛い……。

・速攻で落ちてる奴がいてww

・まあ実際可愛いし

・にしてもまた、さん付けなし……

・何か法則性あるのか?

 

「トゲキッスはフェアリーと飛行タイプの複合タイプです。背中にあった翼が手と一つになって大きな翼となった感じですね、翼の先を手として使うことが出来るので翼の先でドレインパンチやメガトンパンチが出来ますっ―――」

 

・えっ何!?

・いきなり地面を割ったぁ!!?

・えっトゲキッスってそんなに好戦的な性格なの?

・い、いやそんなはずは……

・なんか自慢げに胸張ってるよ

 

「トゥ~ス」

「いや、技打てって意味ではなかったんですけど……」

「キッス!?トゥ、トゥ~ス……」

「あらあら、大丈夫よ怒られてる訳じゃないんだからそんなに落ち込まないの」

 

・あ、あ~……そういう事か

・前にも似たような事あったよな

・ああゴルーグさんのあれか

・ゴルーグさんは探したけど対象がないからなにもしなかったっけ

・こっちはついやっちまったかwww

・でもションボリトゲキッスきゃわわ

 

「トゲキッスはトゲピーさん、トゲチックさんの進化形なだけあって性格は極めて温厚で優しいです。争いがない平和な土地に訪れ、無駄な争いをしない人々のために様々な恵みを分け与えるといわれている為に縁起物の題材にもされている事が多いですね」

「トゲキッスのアクセサリーも多い物ね、私もそういうのを商品化しませんかって誘いが来た事もあったわね」

 

・あ~俺も見た事あるわ

・彼女に強請られた事あったな……どこもかしこも売り切れで凄い怒られてそれで……

・もういい、もう、思い出すな……!!

・な、なんか縁起物なのに縁起が悪くなってる気がするぜぇ……!?

・なお、その彼女にはフラれた。なんか、フラれた

・今日は飲もうぜ兄弟。

 

「さてそんなトゲキッスですが、ぶっちゃけ滅茶苦茶強いです。特性を含めて強いです。特性は張り切り、天の恵み、夢特性が強運です」

「あらっ強運なのね。私のトゲキッスは天の恵みね、この子は?」

「この子も天恵ですね」

 

・強運はアブソルさんと同じだけど、張り切り?

・なに、張り切りガールなん?

・ヌシのトゲキッスはてっきり張り切りかと……。

・同じく。

・俺も思った。

 

「張り切りは自身の攻撃を大幅に上げる代わりに技の命中が下がってしまうという特性です。ポケベースで言えば長打狙いで長くバットを持つ感じですね」

「どの位上がるのか分かる?種族値やらを知ってる貴方なら知ってそうだけど」

「私調べで約1.5倍になりますね、命中率は0.8倍です」

「―――軽く言うけどこれは凄い重要な情報よ、分かってる?」

 

・相変わらずやべぇ情報をサラッと出しやがるwww

・本来夢特性だって特性を専門に調べてる研究者だって把握しきれない位なんだぞ?

・えっそれマジ?

・まじまじ、タマムシ大学で聞いてみたらそう言われた

・じゃあこの主何なん?

・化け物

・を扱うトレーナー

・ポケモントレーナーって言えやぁ!!

 

「天の恵みは技の追加効果が発生しやすくなります。火炎放射で火傷になりやすくなったり、アイアンヘッドで相手が怯みやすくなったりなどです、シロナさんもサトシさん相手にエアスラッシュ連打とかやってましたね」

「そうでもしないと止まってくれないと思ったからね……まあそれでも超えられちゃったけどね」

 

・出たよトゲキッスの極悪戦法wwww

・というか天恵持ち全員にいえてしまうわ。

・俺、頭突きでずっと怯み続けて負けた事が……

・俺も……

・状態異常引きまくりました……。

 

「更に怖いのがトゲキッスは中々に厄介な変化技も覚えるという点ですね。電磁波とアンコールで行動を封じ、悪巧みで特攻を上げつつも朝の陽ざしで体力も回復する。これだけ出来たらそりゃサトシさんも苦戦しますよ、しかもダイマックスまで切るというね」

「フフフッでも呆れる程に有効な戦術だったでしょ?」

「ホントですよ」

 

・なんというかやべぇポケモンを凄い人が使った更に凄い

・正にそれだわ

・チャンピオンが使ったら更にやばくなったみたいな感じだったな。

・相乗効果でマジで怖い。

・でも天恵面白いな、原始の力も使いやすくなるんだろ?

・そういう事でもあるな。

 

「吉兆の縁起物、天の恵みを受けて相手を威圧し封殺するトゲキッス。対策するのも使うのも一興です」

 

と、そこで配信を切っておく。シロナ効果もあってか配信視聴者も凄い数になっている。流石はチャンピオンの中でも屈指の人気がある人の効果だ。

 

「貴方の配信ってかなりアットホームね、見ている人達の仲もいいみたいだし、素敵な雰囲気よ」

「そう言って頂けると嬉しい限りですよ私としても。さて、シロナさんはガチグマについてご所望でしたね。原種から見ますか、それとも赫月の方から?」

「何方もよ」

 

 

御客人がいらっしゃっている時に何と恥ずかしい所をお見せしたのか……とトゲキッスは落ち込んでいた。久しぶりにラビから技の指示が貰えたと勝手に舞い上がって物理面も特訓して強くなったことを見て貰いたくてつい、地面を殴ってしまった……愛想をつかされていないかが酷く不安げなトゲキッスにダイケンキが軽く背中を叩いてフォローする。

 

「ケェン、ダァァイキ」

「トゥゥス……」

 

優し気な言葉に少しだけ、気が楽になる。こうなれば少しでも挽回できるように頑張らなければ!!そうと決まれば自分のなす事は一つ―――バトルの特訓だ!!何時呼ばれても活躍できるように自己研鑽を欠かさぬようにしなくては……と奮起しながら飛びたっていくトゲキッスをダイケンキは呆れたような目で見ていた。ホント、よくもまあ相棒はあんな連中を統率出来る物だ……。

 

トゲキッスは別にラビの番になる事を望んでいる訳ではない、主人に相応しいポケモンになろうとしている努力を欠かさないお嬢様なだけだ。やや脳筋な所があるのが問題だが……あれでも実力は確かなのだから少しは落ち着きを会得してほしいと思うダイケンキであった。

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