「~♪」「……♪」
「いや離れてくれない?」
「嫌よ」「やっだも~ん♪」
放課後、生徒によっては部活動に精を出したりと色々な時間を過ごすだろうがラビの弟妹達もその生徒だった筈。現にリーグ部の部室へと顔を出している訳なのだが……レビとロルはラビに抱き着いて兄吸いを楽しんでいるのか笑みを浮かべている。レベはそんな姉と妹を見て呆れている。
「もう少ししたら多分他の部員来るよ、こんな所見せる気なん?」
「妹が兄さんを好いて何が恥ずかしいのかしら?尊敬出来て親愛厚い兄さんへの行為を恥ずかしがる理由なんて存在しないわ」
「全く以てその通り~♪」
「取り合えずお前ら、俺の首元で思いっきり呼吸するのやめろ」
「お日様の匂いがするわ……」
「それ多分ウルガモスの匂いだろ」
多分部員がこれ見たら卒倒するんだろうなぁ……レビは絶対零度の女傑とされ、そのクールさと美貌からそれなりの男子生徒に好意を寄せられている。ロルはロルで明るい性格から男女問わず人気が高い、そんな二人が見ようによっては年下にすら見える兄に抱き着いて兄吸いをしているのだから……と思いつつも自分もラビに絡みたいという気持ちを抱いているレベであった。
「いやぁそれにしても、ラビって本当に童顔だね。レベ君と並んでも兄弟で通じるよ」
「下手したら兄さんの方が弟」
「やめろ、俺から兄の威厳を奪うな」
そんなラビの懇願を他所にリーグ部の扉が開けられた。レベはあっやべと思ったが、問題はなかった。何故ならば―――
「わ、わやじゃ!?ラ、ラビさんどうしてここに……!?」
「授業終わって速攻でなんか此処に走ってる二人がいたけどそう言う事なの!?」
そこに居たのはスグリとゼイユだった。二人も一応リーグ部に籍を置いている身、放課後になったからこっちに来たのだが……まさか部室にラビがいるなんて思いもしなかったらしい。流石に授業が終わって直ぐに配信のアーカイブを確認する事はしてなかったらしい。
「あ~俺が呼んだんだよ、特別講師としてな」
「ラ、ラバイ先生が?弟って話マジだったんだ……」
「だってどう頑張ってもラビさんの方が―――あっいやごめんなさいなんでもないです」
ゼイユが喉奥まで出かかった言葉を飲み込んだ。如何足掻いてもラバイの方が身長も上だし大人の魅力もあるから普通に年上だと言いそうになってしまった。無理もない、ラバイの方が身長は187位はあるが、ラビは171しかない。卒業と同時に成長が止まってしまったと言われても致し方ない程に変化がないのである。
「スグリさん、グライガーは元気にやってますか?」
「あっえっと実は、グライオン!!」
「グライオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」
繰り出したのはグライオンだった、ラビが譲ったグライガーは元々ラビのグライオンの子供なだけあってバトルの才覚もあったらしくメキメキと頭角を現していく。スグリもそれに負けじと努力していった結果、ランキング4位へと入った。その過程で進化させたらしいのだが、グライオンはラビの姿を見ると笑いながら駆け寄った。
「グライ、オオオオン!!」
「元気そうですねグライガー、いえグライオン」
「あはははっお兄ちゃん急な敬語で受ける~!!」
「大人にはそういう時があるんですよ、理解して下さい」
「いや別に敬語じゃなくてもいいよラビさん、ほらっウチ等からしたら友達のお兄さんな訳だし、スグも別にいいよね?」
「うん、ラビさんとは友達だし」
「―――それなら楽に行かせて貰うよ」
改めて仲良くしようという事で決まった所でスグリは鬼様ことオーガポンは元気にやっているのかと聞こうとしたのだが―――そこで再び扉が開けられた。が、入ってきた少年は部室内の光景に腰を抜かしそうになっていた。
「お、おおっ!!?いやなんだこりゃ、レビがデレデレしながら男に抱き着いてる!?ロルならまだしもレビがこれって何が起きてんだい!?おいスグリマジで説明してくれ!!というかその人週刊ポケモン放送局のラビさんじゃねぇかよい!?どうなってんだ!?どうなってんだ!?」
「あ~……普段は部室に来ないくせになんで今回は来るのかなぁ……」
「……ラビさん、この人はカキツバタ。ランキング5位で四天王の一番手だべ」
彼が噂のブリジュラスへと進化させたというカキツバタ、本当に髪型が歯磨き粉みたいな色合いしてるなぁ……と割とどうでもいい事を思うのだが妙に言葉が強いというかマジで困惑している感じがする……。
「アンタ忘れた……って報告してる時アンタサボってていなかったわね……特別講師よ特別講師。ラバイ先生が特別講師としてお兄さんであるラビさんを呼んでくれたのよ」
「いや詐欺すぎねあの見た目でラバイ先生より年上ぇっ!?いやぜってぇ嘘だろ!!?」
「……」
「お、お兄ちゃん……確り!!」
遠い目をし始めたラビを必死に慰めるレベ、だがその光景は如何見ても一つ下の弟が兄を必死に慰めているようにしか見えないのでサザレは笑いを堪えるので必死だった。
「あ、あ~……とりあえずよ、レビお前さんそんな抱き着いてると学園での評判に傷つくぞ?」
「あら、傷塗れの大先輩が言うと違うわね。だけどお生憎様、この程度で傷つく程度の名誉なんて最初からいらないわよ。兄が好きな妹、それの何が可笑しいのよ」
「いや可笑しいっつうかよ……キャラが崩壊してるっつうか……」
「何も取り繕っても居なければ崩壊もしてないわ」
「同じく~♪」
「ス、スグリおいらが可笑しいのか……?」
「いやレビさん達普通にラビさんの事大好きだって俺達聞いてるし」
「私も聞いてるし別に可笑しくはないんじゃない?寧ろ久しぶりに会うならこの位普通でしょ」
「……えっマジでオイラが可笑しいのか……?」
混乱するカキツバタ、その言には一理あるかもしれないがあくまでそれは当人が気にする事がなければ灰燼に帰す程度の理しかない。なのでレビが気にする事がなければ意味がない。
「兄さん、折角だから氷ポケモンの紹介をしてほしいわ」
「だと思って連れて来てるよ」
「パーフェクトよ兄さん」
「感謝の極み」
カキツバタが呆然とするのはそれだけではない、常日頃から自分に苦言を呈する上に一度も勝つ事が出来ないあのレビがあんな顔をする事が信じられない。そんな事を気にする事もなく、ラビは配信の準備をするのであった。
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。引き続きブルーベリー学園からお送りします」
| ・おおっ?珍しく当日連続配信だな! ・珍しい事もあったもんだ。 ・週刊放送局とは一体。 ・確かに週刊放送じゃねぇぞ。 ・名前負けしてんぞ。 |
|---|
「いいですよ別に、週刊なのは何となく語呂が良くなるからですから。というかこれまでだって短期間に放送した事はありますから今更過ぎです」
| ・確かに。 ・連続なのが珍しいだけであったな。 ・今更感。 ・なんだ建前だったのか。 ・それでも律儀な週刊配信が多かった模様。 |
|---|
「今回はブルーベリー学園で妹からのリクエストを受けまして、それを反映させる事にしました」
「ブルーベリー学園リーグ部、ブルーベリーバトルランキング1位のレビと言います。今回は頼りになる兄にお願いして私にもおすすめの氷ポケモンを教えて貰おうと思いまして」
| ・あら可愛い。 ・いや美人だな妹さん!? ・光沢のある水色のロングヘアーが美しい……。 ・あっブルベリ学園のHPのランキングに乗ってるチャンピオンじゃん!! ・えっじゃあブルベリ学園のバトル№1? ・じゃあ学園で一番強い生徒さんなのか ・結婚したい ・おい |
|---|
「本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「グレイブッ……!!」
「セグレイブさんです」
| ・おおっ!? ・ドラゴンか!? ・ド、ドラゴーン!!! ・ハッサク先生おらへん? ・いないだろ ・ハッサク:おりますけど? ・うわぁ!? ・なんでいるの!? ・キバナ:俺もいるぞ ・ナンジャモ:ボクも~ ・まあナンジャモはいいか…… ・ナンジャモ:何でじゃ!? |
|---|
「セグレイブさんは氷とドラゴンの複合タイプ、この刃のような背鰭から熱エネルギーを吸収し冷気に変換するという生態がセグレイブさんの進化前のセビエさん、セゴールさんにはあるのですが、セグレイブさんは更にそれが強化されています」
| ・カッコいい~ ・おっ~確かに立派な背鰭だ ・どの位凄いんですかね ・気になるな。 ・ハッサク:どんなふうにご紹介してくれるかワクワクです。 ・ナンジャモ:わかる~ボクもハラバリーの時はワクワクした~ ・キバナ:オレ様もだな!! |
|---|
「この冷気の凄まじさはとんでもなく、なんと溶岩地帯を一瞬で凍結させてしまう程のパワーを秘めています。その冷気は口から放出する事で推進力として利用する事も可能で、自らを吹き飛ばしながら背鰭で相手を攻撃する事も可能な程です」
| ・ひえええええ…… ・寒いからひえええってか? ・お前…… ・あえて触れなかったことに…… ・野暮な事を……。 |
|---|
「特性は熱交換、夢特性はアイスボディです。熱交換は炎技を受けると攻撃が上がりますし火傷にもならないという特性です。セグレイブさんは攻撃が特に優秀なので火傷で火力が下がらないと考えるとかなり有難い特性ですね、しかし鬼火を受けても攻撃は上がりませんけどね」
| ・氷とドラゴンで等倍だもんな、ちょっと不安があるな。 ・火傷無効がメインと考えると有難いな。 ・でもなんで鬼火で攻撃上がらんの? ・ハッサク:それは鬼火は火傷にする、がメインですのでそれを無効化されてしまうからです。 ・キバナ:そもそも無効にされちまったら炎技を受けて発動する特性も不発になるって訳だ。 ・ナンジャモ:受けて発動、だけど無効化しちゃったらそりゃ無理だよ。 ・なるほど~ ・何この豪華すぎるコメ欄。 |
|---|
「セグレイブさんの凄さは純粋な攻撃力はあのオノノクスにも肉薄している事、そしてかなりタフネスな上に防御面も高いです。総合的に見ると素早さを防御面に回したガブリアスと表現してみるとそのポテンシャルの高さが分かると思います、それでも決して鈍足という訳でもありません」
| ・ガブ並に硬い上にガブよりタフネス? ・なにそれ強い。 ・純粋に強くて笑う。 ・ハッサク先生的にはこの評価は如何でしょう ・ハッサク:実に嬉しいですね、私の相棒を此処まで評価してくださるとは…… ・しかもこのヌシの事だから一切優遇とかしてねぇんだろなぁ……。 |
|---|
「そんなセグレイブさんの最大の技は巨剣突撃、口から冷気を放出した勢いで全体重を乗せたまま背鰭を向けて突撃するという技です。この威力は凄まじくフレアドライブや逆鱗並と言えますが、この技には反動は存在しません―――が、その代わりにその後は体勢が著しく崩れてしまう為に相手の技をほぼ確実に受けてしまう上にダメージが2倍になるというデメリットを背負っています」
| ・背中から突撃するって事? ・そりゃ崩れるわな。 ・反動はないけど、攻撃必中にダメージ2倍はキッツいなぁ…… ・そうなると運用は難しいかも……。 ・でもこの威力は…… |
|---|
「それを解消するのは氷の礫です、言ってしまえば相手が攻撃するよりも先に此方が攻撃してしまえばこのリスクを大きく下げる事が出来ます。そこで先制技でもある氷の礫で相手を牽制すればこのリスクを打ち消す事も可能です、因みに守るやフェアリータイプなどに無効化された場合にはリスクは発生しません」
| ・あっ成程!! ・先制技でカバーするって手があった!! ・ハッサク:そう来ましたか……!!いや確かに極めて単純かつ簡潔!! ・キバナ:オレ様も思いつかなかった其れ……最後の一撃で繰り出すしか思いつかんかった。 ・ナンジャモ:ボクも…… |
|---|
「デメリットとしては大きいかもしれませんが、逆鱗などに比べると技選択の自由などもあるので意外と小回りの利く技でもあります。加えて逆鱗はダブルバトルでは相手を文字通りにポケモンさんに任せてしまうので、指示を飛ばせる点でも優れています」
| ・確かにこのメリットは逃せねぇな…… ・この威力の技を、か…… ・タイミングさえ間違わなければ最高の技だ ・う~んデメリットをそうやって回避する方法もあんのな。 ・難しいなぁ~楽しいな~ |
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「耐久もありますから、倒される心配をする事なく龍舞や剣舞をする事が出来ます。スケショの打ち分けで何方かを採用するかを決めてもいいでしょうね、連続技として氷柱針もありますから、防御ダウンを気にしない場合は剣舞、する場合は龍舞という選択もあります」
| ・ハッサク:スケショは素早さ上がりますが防御下がりますからね ・キバナ:オレ様は気にならねぇから剣舞スケイルショットだな。 ・ナンジャモ:ボクなら龍舞氷柱針かなぁ…… ・おおっ意見が分かれてる。 ・まあ好み別れるだろうからな。 |
|---|
「防御が心配なら、オーロラベールなんかを張っても良いと思うわ。特にダブルバトルならば気にならないわ」
「ですね。加えて氷タイプは天候が雪だと防御が上がりますからスケショの防御ダウンを気にしないという選択もなくはありませんね。地震や雷の牙というサブウェポンにも恵まれていますから中々手強いです」
| ・えっ雪だと氷タイプって硬くなるの? ・あれ、クレベースさん恐ろしい事にならん? ・キバナ:ってなると、雪にさせない天候支配も重要だな……晴れは論外だな。 ・ナンジャモ:熱交換の攻撃アップも怖いし、天然が有効かな。マリルリもいいかも。 ・キバナ:オレ様の相棒で鉄壁積んでボディプレスなんて悪くねぇかもな。 ・ドータクンもいいじゃない? ・ハッサク:いい目の付け所ですね、浮遊且つ鉄壁も覚えるので良いと思いますよ。 ・おおっ先生に褒められたぁ!! |
|---|
そんな所で配信を切っておく。気づけば周囲にはリーグ部の部員が集まっており、拍手の嵐だった。そんな彼らに見せ付けるかのようにレビは躊躇なく、ラビに抱き着いた。
「リーグ部部長として言っておきます。此方の特別講師、ラビは私の兄です。皆リーグ部としての自覚をもって恥ずかしくない行動を心がけてください」
「いやいやいや……今のお前さんが言っても説得力ねぇって……」
「社会に出る気もない留年生は黙っててください」
「ええ~……」
「まあそれに関してはレビ姉のいう事は正論パンチな訳だししょうがなくね?というかウチも引っ付く~!!」
そんな感じでリーグ部部員の一部生徒の脳が焼き切れるような音を誘発させる二人にラビは苦笑いしつつも特別講師として挨拶をするのであった。
「セグレイブ……成程、私も採用したいわね」
そんな風に私を見つめて来るボスの妹君、冷たい視線に同族に近い物を感じるが彼女の持っているボールからは全て冷気を感じる。成程そういう事かと納得する。
「興味ある?」
「勿論。氷統一パーティを組んでる身としてはね、偶に挑戦者来るけど分かりやすく炎タイプ統一なら勝てるだろみたいな馬鹿も多いのよ。その程度で負けるならランキング上位にすら入れないのにね、物理アタッカーを増やそうと思ってたのよ」
セグレイブは何処か慈愛に満ちた目でレビを見ている。まるで背伸びをしている我が子を見ているような気分になってしまう。ボスを慕う姿もそっくりだ……
「あら、何か面白い事でもあったかしら?まあいいわ、そのうち私とバトルしてね。貴方の力を私の氷で逆に凍て付かせてあげるわ」
「レェェィィブ」
そんなレビにセグレイブは望む所だと言わんばかりに冷気を少しだけ吐いた。普通のトレーナーなら寒がるのだが、レビは眉一つ動かさない所が益々気に入った。息子のトレーナーを推してはダメだろうか……と思うセグレイブであった。
この後、レビはセグレイブとバトルをするのだが……冷気を放出して空高く舞い上がりながら巨剣突撃するセグレイブに度肝を抜かれるのであった。
ラストがどんな状態かって?ヘドラを追いかけて空飛ぶゴジラ。