「……」
ジュラルドン、いや今はブリジュラスを見ながらカキツバタは珍しくノートを取っていた。周囲から驚きの視線を向けられるが、ラビからの忠言が効いた……というよりも半ば脅しだろうか、それを流石に嫌がっての行動に近いと思う。進化してくれた事は嬉しい、が……何とも面倒な事になってしまった。
「厄介な事になっちまったなぁブリジュラス」
「ジュ、ジュラァ……」
「お前さんも元気ねぇなぁ?ラビさんのブリジュラスに一蹴されちまって、辛いか」
「ジュゥゥ……」
お互いに今の状況に戸惑っている、いい加減に立ち直るべきなのは分かるが難しいのも事実、まあブリジュラスのそれはまだ何とかなる可能性の方が高いだろうけど……。
「まああの姉御さんはお前さんの態度だけが気にくわなかった感じだし、今度は真正面から話し掛けてみようや。初めての同族に不安だったんだろ、分かってくれるよ。そういう感じだったぜぃ」
「ジュ、ジュゥ?」
「分かるやぃその位、これでも……ドラゴンタイプジムリーダーの孫だぜオイラ」
言葉にする事すら嫌だった言葉を慰めに使う、いやこの程度だった幾らでも使うべきだろう。こんな程度で彼が元気になるなら幾らでも言ってやるべきなのだ。
「勇気出して行けば何とかなる筈だから気張っていこうや」
「ジュッ!!」
勢いよく返事する相棒に頷く。その一方で自分は……如何するべきなのかと悩み続ける、いや諦めているに近いのかもしれないが……視線を退かせばそこには指導をするラビの姿があった。
「話せば、聞いてくれんのかな……?」
彼も同じイッシュ出身の人間、話を振ってみるのも悪くないのかもしれない……カキツバタ、彼に明確な変化が起きようとしていた……。
「しかしそれでは、予期せぬトラブルの元なのでは?」
「予期せぬではありません、起こり得る事と捉えるべきです。彼らは生き物です、如何に機械然としたポケモンさんがいたとしても彼らには意思があり感情があり魂がある。そこに絶対などは存在しませんよ」
特別講師の仕事の一環としてポケモンとのコミュニケーションの仕方などをレクチャーしている時、とある少女に声を掛けられた。少女の名はネリネ、ランキング上位の一人で鋼タイプの使い手である。そして妙に寡黙な雰囲気且つ機械的な喋り方をする。
「ですが、話を聞く限り貴方のポケモンはほぼ無秩序なだけでは」
「否定はしませんよ、ですが秩序はあります。必要以上に暴れるな、暴れた場合は黙らせる。これだけです、ウチには問題児がいますから」
「ならば対処すべきでは?」
「出来ると思いますか?あのバ鴉を」
ラビの牧場の敷地の秩序を乱している筆頭のアーマーガア、それを黙らせる事はほぼ不可能。だが、残念ながらネリネはその事を把握しきれていない。
「お噂は聞いております、ですが可能だと思案しております」
「出来たら俺もダイケンキも苦労してねぇんだよなぁ……」
何せ伝説のポケモンにも恐れずに向かっていくだけではなくその攻撃を受けても戦意を失わないのだから、思わず素で毒づいてしまった。
「それでも私が放置しているのはそうした方が活気が生まれるからです、バトル大好きな連中にとってアーマーガア程、戦いの相手として相応しい者も居ませんから」
「……納得しました。出過ぎた発言をお許しくださいラビ先生」
「お気になさらず、仲直りの証に今回は鋼タイプにしましょう」
「それは、ネリネにとっても光栄です」
心なしか声色が高い、喜んでくれているようでホッとしてしまったラビであった。
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。引き続きブルーベリー学園から特別講師としてお送り致します。今回紹介するポケモンは此方です」
「ガァァァァネエエエエエルッッッ!!!!」
「ハガネールです」
| ・ギャァッ出たぁ!!? ・でっっっっっけぇ!!? ・いやマジででっかぁ!!? ・ハガネールってこんなにでかいんだっけ!!? ・10メートル以上はあるぞこいつ!!? ・ナンジャモ:ひょえええええ……こんなのも持ってたんだラビ氏……。 ・キバナ:おおっでかくていいな!!何もしなくてもダイマックスみたいな迫力あるな!! |
|---|
「ハガネールは鋼と地面の複合タイプです。ハガネールはメタルコートによってイワークさんから進化させることが出来ますが、野生でも100年以上生きた個体が土と共に食べてきた金属によって変異を起こし進化する事が分かっています。野生のハガネールはその殆どが長生きした個体だという事になります、食べた鉄分が多かった場合は若い個体でも進化はするらしいですけどね」
| ・へぇ~そうなんだ。 ・成程、ハガネールの年齢で土の鉄分含有量が分かるのか。 ・それはそれで地質学的に面白いかもな。 ・にしても立派なハガネールだぁ…… ・なんかキラキラしてるな。 |
|---|
「生息域はイワークさんよりも深い地中、そこでの高い圧力と熱で鍛えられた身体はダイヤモンドにも匹敵する程とされています。ハガネールの特性は石頭に頑丈、夢特性が力尽くになります」
| ・なんか、納得の特性だ。 ・ダイヤモンド並みに硬いとか、こんなに軽く叩かれただけでも死にそうだ。 ・ポケモンって頑丈だなぁ~ ・反動無効化、超防御、火力増強、こう見るとバランス良いな。 ・俺頑丈派。 ・俺力尽く。 |
|---|
「ハガネールの強みはその防御力です。クレベースさんとも比較出来る程の防御力はボディプレスで圧倒的な火力へと変貌します。そして何より凄い長い身体をしています、これによるリーチも魅力的です。本来であれば避けられやすいアイアンテールもハガネールが使うと一転します。私のハガネールは力尽くなのですが、その威力は自爆に限りなく近づきます」
| ・えっそれやばくね? ・タイプ一致があるとはいえ、自爆並の火力? ・命中率が怖いならアイヘって選択肢もあるしな。 ・でも怯まなくなるんでしょ? ・尚超火力。 ・悩むな。 ・掌くるっくるやぞ。 |
|---|
「イワークさんよりも遅くなる?甘い甘い、スピードは遅く見えますがその巨体故に移動距離はかなりあるのです。加えて地面を掘る事が得意ですので地中からの奇襲戦法もお手の物です。鋼タイプ故の弱点もありますが、それを砂嵐で防御する戦術も出来ます」
| ・あ~そうか地面タイプで鋼の苦手をカバーするのか。 ・そう言えばリーグ中継でも見るな、砂嵐で炎技防御。 ・割とメジャーな使い方だよな、防御としての砂嵐。 ・尚、砂嵐は岩タイプ ・やめてはずかしい ・キバナ:オレ様のフライゴンは砂嵐下で相手を探す為に超音波と嫌な音をミックスさせるぞ? ・あの、超音波で相手探しつつ防御下げないでくれません? ・あわよくば混乱も狙ってますよね? ・それで何度も負けました(4敗) ・うわっ実体験者が |
|---|
「ハガネールはそれなりに器用なポケモンでして、三色牙で攻撃できますし龍の息吹と波動、ラスターカノン、大地の力、悪の波動、熱砂の大地にメテオビームと特殊もそれなりに出来ます。私のハガネールは力尽くなので特殊面でもそれなりに火力が出るので重宝してます」
| ・あ~結構いいラインナップ。 ・威力期待しなくても追加効果狙いもあり、じゃないかこれ? ・ナンジャモ:悪くはないと思うよ。麻痺に火傷、特防ダウンに怯みも狙えるって思うと ・キバナ:牽制のついでと思うと十分すぎるな……メインはボディプレスにしつつって感じか ・ハッサク:小生は龍の舞で加速しつつも面白いと思います。 ・えっ龍舞覚えるのこいつ。 |
|---|
「覚えますよ?なんだったらボディパージという技で体重を軽くしつつ素早さを上げる事も可能です、ヘビーボンバーを使うならロックカットですかね、あとサイコファングも覚えますから壁にも強いです」
| ・やめろよこんなバカでかいのがハイスピードとかいやだよ ・自由自在にコース変えながら接近してくる鋼鉄蛇 ・なにそれ怖い。 ・ナンジャモ:やめてよマジで怖いじゃん。 ・しかも両壁食い破って来ながら ・ただのホラーじゃねえか!! |
|---|
「因みにハガネールはメガシンカが可能です。生憎私は持ってませんけど……ラバイ、確か貴方のハガネールはメガシンカしますよね?」
「ああするぜ、ガブリアスと迷う時はあるけどそれが如何した?」
「聞いただけです、あのラバイというのはブルーベリー学園のリーグ部で顧問をしている私の弟です。ラバイから誘いを受けて私は講師をしているんです」
| ・え~弟さん!!? ・えっロマン好きの弟さん!? ・いや、なんか違う気が……それはもう一人のレベ君じゃなかったっけ ・というか本当に弟か?普通に成人しているように見えるんだけど…… ・ヌシが合法ショタなの忘れてない? ・合法ショタに挟まれてんの? ・なにそれうける |
|---|
「……」
「に、兄さん気にするな!!俺もレベも兄さんの事頼りにしてるから、なっなっ!!?」
| ・あっ無言になった ・ちょっと男子、先生泣いちゃったじゃん~ ・帰れ!!って言われてほんとに帰ったら怒られる奴。 ・にしても見た目兄貴が見た目弟を励ます光景……シュールだ。 ・キバナ:まあ特性と物理面が厄介だから特殊で攻めるべきだな。 ・ナンジャモ:まあそれが分かりやすいよね。型破りでもよくない? ・ハッサク:鉄壁ボディプレスをされる前の対処が鍵ですな。 |
|---|
そんなこんなで配信を切る、ネリネは通常よりもずっと大きいハガネールを興味深そうに見ている。恐らくラバイのハガネールと比較しているのだろう。
「ラバイ先生のハガネールよりも屈強且つ巨大、どんな育て方をしたら此処までの物に……」
「兄さんのハガネールマジでデカいんだよなぁ……何処で見つけてきたんだよ」
「禁則事項です」
「折角だ、力試しさせてくれ!!」
「いいですよ、ねぇハガネール?」
「ネエエエエエル!!!」
「ガアアアアアネエエエエエエルッッッ!!!!」
弟のハガネールが吠えて来る、メガストーンが似合ってる。これは久々に面白くなりそうだとラビのハガネールはそれを上回る声を上げる。ラビのハガネールはテンガン山の地下で発見した個体、遭遇した時は目が赤く爛々と輝いていたので驚いた、そう親分個体だったからである。
「行くぞハガネール、鋼鉄の意志と金剛の輝きを得て目の前の強敵を噛み砕け!!メガシンカぁ!!」
「遠慮はいりませんよハガネール、存分に相手をしてあげなさい!!」
「ンガアアアアアネエエエエエエルッッッ!!!!」
言われるまでもない、臨む所だ操り人!!と応えるようにハガネールがラバイのメガハガネールを真正面から迎え撃つのであった。