週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:レギオンドラゴンサザンドラ

「なあ兄さん、カキツバタのことどう思う?」

「話で聞いていた以上に駄目な奴って印象は正直ないな。寧ろ才能自体はかなりの物だと思ってる、シャガさんが期待するに十分すぎる位の物が」

「だよな」

 

ラビが特別講師を始めてそれなりの時間が経とうとしている、ラバイとは弟というだけではなく顧問且つ教師という立場もある為に話し合いの機会も多い。そんな中で話題になる事と言えばリーグ部のあれこれだったり弟妹の事だったりとまちまちだが今回の話題はカキツバタについてだった。

 

「何であれで三留してるんだって印象もあるな、ドラゴンタイプの扱いは正しく一流―――いや一流手前の一流半だな、ワザとそうしてる節すらある。なんか諦観もある」

「俺もそれは感じてるんだけどさ、あいつ話してくれてないんだよなぁ……何が思い当たる?」

「そうだな……」

 

教師として赴任してきて其処まで経っていないラバイは旅で様々な事を経験している兄へと助言を求める。ラビも様々な人と会ってきた、その中でスランプになったり後継者問題で苦しんだり、上手くSOSを出せなかったりした人も見てきたつもりだ。

 

「……シャガさんは孫を甘やかしすぎた覚えはないし厳しくし過ぎたつもりもないってさ、だから三留してるのもちゃんと理由があってうまく一歩を踏み出せない、だけど自分が行ってしまうと孫を追い込んでしまうから様子を見て来て欲しいって言われたんだよ俺」

「シャガさんがねぇ……アイリスさんとの関係ってあんのか?」

「ある、と思う。つってもなぁ……」

 

この世界のアイリスはアニポケのアイリスとは異なる、言ってしまえばゲーム版のそれとのミックスのそれに近い。龍に愛され、龍を愛す天才少女という感じだ。サトシよりも年下、10歳という最年少でのポケモンリーグチャンピオンに就任したというレコードまで保持している。

 

「アイリスさんと比べて劣等感を持った、とかか?」

「それだけじゃねぇとは思うがな……そこん所どうなんだカキツバタ」

「―――ありま、バレてたのかぃ?意地が悪いぜラビさん」

 

物陰に隠れて此方の様子を伺っていたであろうカキツバタが困ったような少しだけ嬉しそうな顔をしながらやってきた。

 

「ンでどうするんだい?オイラの事、爺ちゃんになんていうんだ?」

「さあな、それはその時まで考えないようにしてる。俺はお前の事を知らなさすぎるしな」

「それはそれで、おいらに取っては有難いような辛い言葉だ……なあラビさん、一つリクエストって奴をしてもいいかぃ?」

「リクエスト?何をだ」

「紹介さ―――あるドラゴンポケモンの」

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。引き続きブルーベリー学園から特別講師としてお送り致します。今回紹介するポケモンは此方です」

「ドラァァァァァ!!!」

「サザンドラですっと。ステイ」

「ドラ」

 

 

・うわ出たドラゴン屈指の暴れん坊!?

・凶悪そうな面してるわぁ……

・あっ一言で大人しくなった。

・狂暴、本当?

・キバナ:いやマジだぞ、上下関係が叩き込まれてるなこりゃ

・ハッサク:あのサザンドラを此処までとは……。

・おおっドラゴン有識者のお言葉だ。

 

「サザンドラはドラゴンと悪の複合タイプです。進化する度に頭が増え遂に三つ首のドラゴンとなったのがこのサザンドラ、と言っても腕に当たる部位の頭には脳は存在せず頭部の機能を備えた腕というのが正しいかもしれませんね」

 

・手の代わりに頭……って事?

・またキワモノな進化を……

・どうなってんだよ本当に……威圧感はたっぷりだけどさ。

・でもこいつすげぇ狂暴なんでしょ?

・キバナ:ドラゴンマスターになるならサザンドラを御せるかで変わるって話はあるな。

 

「性格は皆さんも知っての通りに極めて凶暴です、6枚の羽で空を飛び続け動く物を敵もしくは獲物と判断して襲撃、3つの頭で全てを喰らい尽くし破壊してしまう言い伝えも多く残っています。ですが、これは人間がサザンドラの事を必要以上に恐れてしまったが故の狂暴性とも言われています。ドラゴンタイプと共に暮らす竜の里には昔のサザンドラはもう少し落ち着きがあったとされています、当時の人が邪悪なる竜と忌み嫌い攻撃したために種族全体が狂暴化してしまったとされており竜の里ではそうならないようにモノズさんの頃から愛情を込めるそうです。そうすればサザンドラの狂暴化は抑えられるそうです、それでも暴れてしまう事はあるそうですがそれは進化による変化に戸惑うからだそうです」

 

・こいつも悪タイプあるあるなのか……

・それでももう少し落ち着き、なのか……

・まあ古来よりドラゴンは狂暴なのがお約束みたいなもんだし

・そういえばジヘッドの二つ頭って仲悪いんだっけ?

・キバナ:そうだな、何時も喧嘩してるらしいぞ。

・アイリス:してるね、偶に仲良い子もいるにはいるけど殆ど喧嘩してる。

・それが三つ首になるんだからそりゃ戸惑うわな。

・そりゃ暴れる位に取り乱すわな

 

「サザンドラの特性は浮遊のみです。夢特性は確認されていません、さてサザンドラですが進化にはかなりの根気が必要とされるポケモンさんでもあります。ウルガモス程でもないんですが、あちらはメラルバさんからの進化が遅いだけであって、サザンドラはモノズさんからジヘッドさんという2段階進化を遂げます。このジヘッドさんから進化させるのが本当に大変なんです」

 

・アイリス:うん本当に大変だよねぇ……

・キバナ:レベルだけで言ったらドラパルトよりおせぇからな。

・えっおそ!!?

・ハッサク:軽はずみにモノズ育ててみて後悔する方の大半は此処ですね。

・アイリス:しかもジヘッドの特性は張り切りなのよね……

・うわぁ火力アップだけど命中ダウンのあれ?

・そりゃキッツいわぁ……

 

「こんなサザンドラですが戦闘面では浮遊のお陰もあって独自の耐性を構築しているのでハッキリ言って無類の強さを発揮します。特攻は高めでそれを活かしてガンガン攻める戦いを得意とする一方で攻撃もあるのでそちらを活かすのも手です。ガブリアスには一歩劣りますが素早く、かなりカスタマイズ性が高いドラゴンです」

 

・あっそっか、地面タイプ効かないって結構いい特徴だわ。

・地面タイプに頼る事って少なくないもんな。

・やっぱり強いのか。

・そりゃドラゴンだし。

 

「悪と龍の波動を主力に据えつつ、ラスターカノン、火炎放射、大地の力、気合玉、ハイドロポンプとバリエーション豊富な技で相手を攻める事が出来ます。流星群も当然習得可能で特攻ダウンを蜻蛉返りで帳消しにしつつ、交代したり、悪巧みで威力を上げて圧を掛ける事も可能です」

 

・流石、圧倒的な攻撃力が魅力……。

・どれも高火力な上にバリエーション豊富。

・フェアリーにも自力で対応出来るのか。

・4倍弱点だけど、これなら戦えるな。

・悪巧みから流星群はありですか?

・ありですな、連続で撃って蜻蛉で撤退とか。

 

「これ程に強力ですが、ステロに追い風に電磁波に挑発に身代わりとサポート役としても十分やっていけます。その場合に相手の能力を下げる岩石封じやバークアウトなども使えますので、先発起用して起点作成を託すのも悪くないと思います」

 

・こんだけのドラゴンに起点作成って贅沢だなぁ……。

・キバナ:だけど有効な戦術だと思うぜ?絶対に重要な攻撃役だと思う奴多いし。

・アイリス:私もそう身構えるだろうなぁ~……。

・ナンジャモ:思ったのとは違う!!って時の立て直しって人によっては致命的な隙になるしね。

・アイリス:しかもダメージが大きい能力低下って思うとシンプルにきついよ。

・サポートでも十分な打点あると思うと恐ろしい。

 

「互いの弱点を完璧に補えるという意味でギルガルドやサーフゴーという相棒が最適とされていますね。この何れかでサイクルを回して自分の苦手な相手を相棒に任せるという完璧な相互関係を作り出す事も可能です」

 

・フェアリーと格闘、龍、虫、氷が辛いサザンドラと

・炎、地面、ゴースト、悪が辛いギルガルドとサーフゴー

・あれ、マジで完璧に補完取れてるじゃん!?

・肝っ玉とか複合タイプだと変わって来るけどマジで使いやすいじゃん。

・しかもどっちも強豪……。

 

「特性込みで考えると矢張りサザンドラの強さは全く衰えていないのが恐ろしい所ですね。扱うにはトレーナーとしての腕が問われる事になりますが相性やらもあるので育てられなくてもドラゴンマスターになれないという事はないと思います。というかドラゴン全般育てるの大変ですし」

 

・それは言えてる。

・何匹も育成してるアンタが言うな。

・キバナ:いや全くだぜ。にしても改めてサザンドラ……いいかもな。

・ナンジャモ:でもフライゴンとちょっと被らない?

・キバナ:いや悪の通りの良さを生かしてぇな、ドヒドイデとかマタドガスもいいな。

・ナンジャモ:ボクならマリルリで突破試みるかな、鋼軽減できるし。

・アイリス:……まあ本当に大変だもんねサザンドラは。

 

 

そんな所で配信を切ってカキツバタに視線をやる、そこには何処か複雑そうな笑いを浮かべているカキツバタが拍手を送っていた。

 

「いやいや流石だねぇいラビさん、此処までサザンドラを扱い切れてるとか凄いぜ」

「そうでもないです。彼とも長い付き合いですが最初は私に反抗しまくりでしたから、シャガさんも暴れん坊過ぎるから自分が預かろうか?とも言わしめるほどでしたから」

「爺ちゃんが……?」

 

祖父がそんなことを言う程に狂暴だったサザンドラ、当時ジヘッドはバトルの時は言う事を聞くがそれ以外は暴れまくりで抑えるのにも苦労した。シャガとのジム戦中に進化してサザンドラになったがその時にはもう大暴走、必死になって止めた物だ。

 

「でも今はそんな様子ないけど」

「そりゃ長い時間を掛けて認めさせましたよ、認めてくれたのはシンオウ地方を旅してる時ぐらいでしたかね……彼は父のサザンドラの子供だったんですがね、本当に我が強くてね」

「サッザァン」

 

この人ですらサザンドラを手懐けるにはそれ程の時間を要する、そうなると……と考えそうになった自分を励ましつつもカキツバタは言葉を紡ぐ。

 

「……情けねぇ話になっちまうが、聞いてくれるかぃ?」

「良いですよ」

「俺は外そうか」

「いや、ラバイ先生にも迷惑掛けちまってるし聞いてくれ」

 

 

 

話をするラビを見つつもサザンドラは改めて自分を見る。そして本当にラビには苦労を掛け過ぎたなぁ……と反省する。あの頃の自分は調子に乗っていたのだ、自分なら何でも出来る、気に入らないこいつにも、もう一つの頭にも負けて堪るかと、ラビの事は認めていたがそれでも何時かは自分の方が凄いんだぞという事を見せてやると思っていた、だが―――

 

『サザンドラ!!』

『この土壇場で化けたか……!!』

 

シャガとのバトル中、自分は進化してサザンドラになった。だがその時に長い間ずっと頑張ってきたもう一つの頭がいなくなった事が理解出来ず、忌々しいとさえ思っていたもう一つの頭が無くなって得た物は耐えがたい虚無感と寂しさだった。それに耐えきれずに暴れまくり、ラビとシャガには本当に迷惑を掛けた。

 

『大丈夫だサザンドラ、お前は一人じゃない。俺がいるから』

 

その言葉を受け止めるにも長くかかった……今思うと本当にバカすぎて溜息が出る。だから自分はラビの為に頑張ると決めた、その為にもアーマーガアを止められるようにならなければ……古参と言える立場なのにダイケンキに任せっきりなのは申し訳ない……何とか勝てるようにならなければ……。

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