ブルーベリー学園の教室の一つに人数が集った、ブルーベリー学園側からはブライアとラバイ。そして交換留学中のアオイとハルト、そして特別講師として来ているラビも同席している。それらと対面するようにパルデアリーグのトップチャンピオンたるオモダカと四天王のチリが来ている。
「では、改めて説明をさせていただきます。今回この場にお集まり頂いたのはパルデア地方中心部、通称エリアゼロと呼ばれる危険区域に関しての調査申請をこの度認可させて頂いたためです。その理由としては昨今、研究が終了したとされるエリアゼロから危険なポケモンが出現し、あわや外界へと出そうになりました。その為の対処する時間と人員を、恥ずかしながらパルデアリーグからは捻出できませんでした」
「そこで以前より調査申請を出していた私に白羽の矢が立ったという訳ですね」
声色が明らかに浮ついているブライアにラビとラバイは溜息を吐いた。それを聞いて尚ブライアのテンションは高いまま、以前の話を忘れているのか、それとも念願の調査が出来る事への喜びが勝っているのか……。
「おいブライア先生、貴方兄さんからの忠告忘れたのか?護衛の話は如何すんだよって事を完全に忘れてる訳じゃねぇだろうな?」
「も、勿論忘れていないとも。幸いなことにリーグ部はラビの影響もあって今最も活気があると言っても良い状態だ、故に四天王やチャンピオンに護衛を―――お願い、したかったのだが……」
「「だが?」」
「ラ、ラビとラバイから厳しく止められておりまして……」
それを聞いたオモダカとチリは少しだけ驚いたような顔をしていた。ラビの代わりにラバイが毅然とした態度で言い放った。
「形式と環境が整えられた競技としての腕前だけがある生徒達を危険区域へと行かせるのは一人の教師として、リーグ部顧問として容認出来かねます。生徒達よりも格上且つ自然の脅威をその身で体感した方に護衛をお任せしたい」
「そうなりますと何方にお願いすると?」
「それは私の方で何とかします」
そこで声を上げたラビにオモダカとチリは少しだけ鋭い視線を向けてみた。それだけ言うんだから余程の人材を揃えられるのだろうな?と言いたげだ。
「しかしラビさん、ラバイ先生を納得させられる方を手配出来るのでしょうか?」
「出来ますよ。今私の家で留守番を頼んでいる方々です、信頼も信用もあり、何より旅の経験も十二分にある」
「お名前をお聞きしても?」
「シロナさん、サトシさん、そしてレッドさんの三人です」
「―――なんつう心当たりだよ……いやまあ確かにその三人なら大丈夫、ですね……うん。しかし許可を得られます?」
「もう取りましたよ、電話したらすぐにOKでした。というかレッドさんに至っては早く行かせろ的な空気出してました」
人材的な問題はラビによって解決出来る、それよりもパルデアの二人が驚いているのは
「(チャンピオンに、留守番……!?)」
「(ワールドチャンピオンにレジェンドチャンピオンに何させてねん!?)」
とんでもない立場の人間に留守番をさせるというラビの行動そのもの。と言っても三人は特に気にしていないどころか、普通に楽しんでいる節まである。
「あ、あの私達も行っていいですか?その、実は……エリアゼロ、行った事ありますし……道案内じゃないですけどその脅威についても身をもって知ってるつもりです」
「ブライア先生の護衛役、俺達にもやらせて頂けませんか……?」
そんな所に手を上げる二人。実際アカデミーとしても学園としても、それだけの人達に護衛をお願いするならば此方からも人を出さないというのは避けたい。そこで二人の参加を認可する事になった。同時にエリアゼロへの無断の侵入への注意もされる事になったが、二人はあのチャンピオンたちと御一緒出来るという事に興奮してしまっているのか、あまり耳に入っていない様子だった。
「いやはや……ラビ、君はどうなっているんだ。というか何でそのお三方が君の家の留守番をしているんだ?」
「人徳ですかね、貴方にはない」
「うぐっ……!!」
一先ずその場は解散。それぞれが準備に入る事になった、アオイとハルトは一時的にブルベリーグ挑戦を断念しつつも大急ぎで荷物を纏め始めた。ラバイも行きたそうにしているが、顧問が部員を放り出して行く訳にも行かないために血涙を流しながらも我慢した。教師の鑑な弟の為にサインなどを貰って来る事を約束するのであった。
「ラ、ラッビさんお待たせしました!!」
「ハルト&アオイ、準備完了しましたぁ!!」
息を荒げながら迫ってくるアオイとハルト、一刻も早く行きたい気持ちは分かるがそこまで急がなくても……と言いたくなった。
「そう言えばオモダカ氏とチリ氏は?おっと、ナンジャモさんのが移りましたか」
「ブルーベリー学園のあれこれを見学するって言ってましたよ」
「ホントは是が非でも俺達について行きたいらしいですけど、既にスケジュール決めちゃってるから難しいとか……だから俺達にチャンピオンの皆さんに対して絶対粗相するなってキツく言ってきましたよ、そんな問題児に見えるのかな俺ら……」
「エリアゼロに無許可で入ってますから何とも言えませんよね、いやまあ両博士の許可はありますけどそれも有効なのかも微妙ですし」
「さて揃ったな!!」
自分達が集合した事にブライアは目を輝かせた、これで漸く悲願だった調査に漕ぎ出せるのだから嬉しいのは当然か……一先ずここからパルデア地方へと向かう事になるのだがブライアは先導するように歩きだしていくのだが、それに続こうとするアオイとハルトを止める。
「お二人共、ペパー君にご連絡を取れますか?」
「へっ?そりゃ取れますけど如何してです?」
「エリアゼロを調査するに当たって矢張りゼロラボ関連に触れる事は間違いなく、そうなると博士の息子さんのペパーさんも一応許可を求めるべきだと思いまして……」
「あ~そうか、それは確かに……なんだったらボタンとかネモも呼びます?」
「いやボタンは兎も角ネモは絶対チャンピオンの方に夢中になるのが見えてるだろ」
「ほほう?ボタンは兎も角……?」
「うるせぇよ恋愛クソ雑魚アオジャ」
「んな!?」
「お~い早く来たまえ~!!!」
僅かな不安を抱きながらもラビは再びエリアゼロへと向かう事になる、サザレも来たいと言っていたが流石に遠慮して貰った。サザレにはガーディとリーフィアがいるのでブライアと比べて相当にマシ、がそれでもブライアを守らなければならないので手が回らなくなる可能性が高い。
「……あの二匹の捕獲、可能ならばしないとな」
パラドックスポケモンを持つ身として、残されたあの二匹……その捕獲を目指してラビはパルデア地方へと向かうのであった。