「はい、これでいいかしら?」
「有難う御座います!!ま、まさかシロナさんのサインを頂けるなんて……わ、私シロナさんのバトルを見て本気でバトルが好きになれたんです!!女でもトレーナーとして大成出来るんだって!!」
「好きな事に性別なんて関係ないわよ、男だの女だの言う奴なんて本気でする人のやる気になんて勝てないんだからね♪」
「こんな感じでいいのかな?ごめんな、俺未だに良い感じの写真の映り方とか全然分からなくてさ……ロトム任せになっちゃったけど大丈夫かな?」
「全然大丈夫です!!いやむしろ最高な写真と思い出になりました!!ピカチュウも肩に乗ってくれて有難う御座いましたぁ!!!」
「……別にいい」
パルデア地方へと戻って来たラビ達、まずは―――チャンピオンたちとの合流だった。今回の護衛を引き受けてくれたチャンピオンたち、彼らへと顔合わせ。アオイとハルトは憧れのトレーナーであるチャンピオンに出会う事が出来た為に一応自分達もチャンピオンクラスである事なんて完全に何処かに投げ捨ててファン丸出しになって接していた。尚、ブライアも混ざっていた。
「それでアオイさん、ペパーさんは?」
「あ~……如何やら難しいみたいです、何でも秘伝スパイスを探したりしてる間に危なくなった単位の獲得に必死になってるみたいで付き合えない……って言ってました。でも許可は貰いました」
「まあしょうがないでしょうね、マフィティフさんの事もありましたし。ボタンさんは?」
「ボタンもボタンで色々、そのね。今はSTCの事もあるみたいで」
ペパーの方は分かるが、恐らくボタンの方はスターダスト大作戦の時にアオイやハルトに供給していたリーグペイ関係だろうか……まあ割と深刻な事をしていたのでしょうがないと思っておこう。気を取り直して、このメンバーでいよいよエリアゼロへと踏み込む事になった。この面子のブレーキ役をしないといけないのかぁ……とラビはブルーになっていた。
「ここが、此処こそが―――夢にまで見たエリアゼロ!!!!」
遂にエリアゼロへと足を踏み入れたブライア、心の底から待ち望んでいたことが本当に分かる大喜びっぷり。アオイとハルトの久しぶりに来たなぁ位のテンションとは酷い落差である。
「ここがエリアゼロ!!すっげぇっすっごいなピカチュウ!!あそこにアーマーガアが飛んでる!!あそこにはライチュウもいる!!」
「ピィカ~……」
「……(うずうず)」
「エリアゼロ、興味が尽きないわね……だけど今は護衛として来てるんだから自重しないとね」
ブライアの瞳に妖しい光が灯っているのに比べてサトシの純粋な反応が極めて眩しく、ピカチュウも素直に感動しているのが分かる。レッドはまあうん……平常運転過ぎて何も言う事がないがシロナが自重気味なのは素直に嬉しく思ってしまうのであった。
「おっと感動に浸っている場合ではなかった……今回の調査の目的はテラスタル現象の調査と結晶の採取、だが私がしたいと思っているのはその先、最深部の更に奥へと踏み込む事なんだ!!」
「最深部の」「更に奥?」
「すげぇ更に深い所があるんですか!?」
アオイとハルトがある意味満点過ぎる反応をする裏で素直に驚くサトシ、こういう所を見るとなんだか郷愁にも似た懐かしさを感じてしまってなんだか涙ぐみそうになるラビであった。ブライアが持つ手記、ヘザーの手記には最深部で更に深く下へ落ちてしまったと記されているらしい。その真偽を確かめるという意味でもまずは最深部を目指したいとの事。
「最深部ってなると……ゼロラボだよね?」
「ああ、そうなる筈だ。だけどあそこから更に奥になんて行けるのかな……?」
「ゼロラボの先があるかの事も気掛かりですが、ブライア先生重ねて言っておきますよ。私の、学生時代、それを思い起こさせるような、行動だけは、謹んでくださいね……?」
「う、うむ承知しているッ!!」
「どうだか……何せここには―――……ダイケンキ!!」「ピカチュウ!!」
「ケェキ!!」「チュゥゥゥゥピッカァッ!!」
言葉の途中でラビはダイケンキを、サトシはピカチュウを繰り出した。頭上からアーマーガアとライチュウが襲い掛かってきたのだが指示を受けるまでもなく、技を発動させた二匹。シェルブレードとアイアンテールが直撃するとアーマーガアとライチュウは目を回して倒れた。
「私のアーマーガアに比べたらぬるいです、出直してきなさい」
「ふぅっ吃驚したぁ、ピカチュウよくやったな」
「ピッカピカチュッ!!」「ケンッ……」
どんなもんだい!!と言いたげなピカチュウと鼻を鳴らしながらも造作もないと言いたげなダイケンキ、その強さに目を輝かせるアオイとハルト、当然だねと言いたげなシロナとレッド、そして吃驚して硬直しているブライア。
「このようにエリアゼロは通常の場所よりも数段危険です、護衛をお三方にお願いした理由も頷けるでしょう?」
「確かにこれは必要ね。交代交代でポケモンを常に出して警戒させておきましょう、最初は二人に任せてもいいかしら?」
「大丈夫です、なっピカチュウ」
「ピカチュ」
「任されました」
「正直、此処はまだまだ上層に当たる部分ですよ。まだ優しい部類ですから覚悟してくださいね」
「楽しみ」
「流石レッドさんだ頼もしい」
と護衛チームはやる気を出したりローテーションを決めたりする中で漸くブライアは再起動を果たした。そしてその前にラビが出て笑顔で言った。
「単位確保の為に貴方の調査してきた土地とはレベルが違うんですよ此処は、ハッキリ言っておきますけど此処には私達の時代に不相応の存在だっている。原始的で暴虐、冷徹で残虐な存在がいる。それを胸に刻んでおけ、ハッキリ言って俺はアンタの事が嫌いだけど死んでしまえとは思ってないから。本懐を遂げたいならちゃんと俺の指示を聞く事、OK?」
「わ、分かった……分かったよラビ……」
「昔も今ぐらいに物分かりが良ければ苦労しなかったんですけどね」
そんな小言を零しながらもエリアゼロを進んでいく。その中でもレッドは強そうなポケモンの気配を探したり、サトシは純粋にエリアゼロの光景を眺めつつも周囲を警戒している。シロナも同様だが、鋭い視線のままでエリアゼロの環境を調べている。
「いやぁ……凄いね、私達凄い人たちと一緒にいるよ」
「人生、何があるか分からねぇもんだな……」
若い二人は単純に今の状況に感激しているらしい、まあこれも若さの特権だろう。そんな事を思いながらも前を歩くダイケンキを見てラビも笑ってしまった。笑みを感じ取ったのかダイケンキが振り向いてきた。
「何であれ、また一緒にこうして歩ける事が嬉しいよ俺は」
「―――ケン」