週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:レックウザ

「駄目だ、これでもない……」

「ブルゥゥ……」

「難しいなぁ……」

 

色違いのレックウザを描くために奮闘中のラビと仕事のパートナーであるドーブルのメープル。後は色を付けるだけなのだが……問題のレックウザの黒を如何にも表現する事が出来ない、パソコン上であらゆる黒という黒を塗ってみたのだが如何にも納得出来る色合いにならない。

 

『おやおや、貴方を此処まで悩ませるとは……ですが私は貴方ならば成し遂げられると思っております。是非頑張ってください、色の調合に必要な物は言ってください、揃えますので』

「悪い……他の依頼を回してくれ、こりゃ長引く」

『承知いたしました』

 

という訳で別の絵を描きつつも色の調合に最近は熱心になっている、様々な黒の特色を合わせてみたり、敢て明るくしてみたりと様々な事を試しているが如何にもピンと来る物がない。

 

「黒いレックウザ、か……俺も見た事ねぇからなぁ……」

 

そもそもレックウザを間近で見た事が無い、伝説のポケモンを見ること自体が稀なので致し方ない上に色違い、ハッキリ言ってこの依頼はかなりの無茶ぶりだと言っても良いだろうが……残念ながら違う意味で黒いレックウザは沢山見てきた為か意地でも描きたくなっている自分がいる。

 

「納得の行く物じゃないと完成と言いたくない辺り俺もコルさんの弟子って訳だにゃぁ……全く以て面倒くせぇな」

「ブルゥ」

 

自分の言葉に全くだと言わんばかりに頷くメープル、自分達だってその事は承知しているがこればっかりは絵描き、引いては芸術の分野に身を置く者の習性や意地と言ってもいい。

 

「オノノクスの黒だと深さが足りず、ブラッキーの黒だと明るすぎる、ドンカラスの黒だと悪さが出てしまい、ギラティナの黒は虚無の黒で合わない、ダークライの黒は何処か薄くて、シャンデラの黒は灰色っぽくてアウト……艶と気品、気高くありながらも獰猛さを引き出せる黒……我ながらとんでもない色を作ろうとしてるんだな俺達」

「ブ~ル、ルルブルルド」

「ああ、でもそうでもしないとこれは表現できない」

 

こう思うとディアルガとパルキアを描けているのは間近で見たというか戦ったからこそ、その姿が鮮明且つ全身で理解しているからこそ……だがそう思ってしまうと……。

 

「本物を探すしかなくなってくるんだよねぇ……」

「ブルルル~」

「分かってるっつの無茶なことを言ってるのは」

 

普通のレックウザを探す事だって至難の業、それなのに色違いなんて……想像以上に馬鹿な事を言っている事は分かる、だがそうしなければこの絵は完成しない。息吹を吹き込むには大真面目に黒いレックウザの色を探し当てるしかないのだ。

 

「だけどそうするしかないだろ、俺は本気で―――」

『ラビ、熱心ニ話シテル所悪イケド電話ロト』

「……誰だよ、如何でもいい奴なら切れ」

 

人が熱中して話している時になんなんだ全く……ロトムは切るべきか切らざるべきなのか迷っているようにも見える。本来ならば如何でもいい相手として切る相手ではあるらしい、だがロトムが悩んでいるという事は今この状況においては繋げても良いかもしれないと思っているという事だ。溜息交じりに誰なのかを聞く。

 

「誰からだ?」

『フリードロト』

「フリード、フリードかぁ……う~ん……やべぇクソ悩む」

 

思わず思案を重ねてしまう、連絡してきたのは一応友人のフリード。悪い奴でない事は分かっているのだが、如何にも反りが合わない。向こうは良い友人と思ってくれているらしいが……まあ態々連絡をして来るという事は何かあるのだろうと思って繋ぐ事を決めた。

 

『おっ漸く繋がった、よっ久しぶりだなラビ!!配信いつも見てるぜ、なんだよあんな面白い事をしてるなら教えてくれてもいいじゃないか』

「完全に趣味でやってる事だ、個人の領域に入りこませるかよ」

『相変わらずクールな奴だなラビは』

「そっちこそ変わってないな」

 

フリードはポケモンの博士号を取っており、各地方の野生ポケモンの分布図を製作し旅をするトレーナーからは重宝されている。戦うポケモン博士とも呼ばれておりその実力も折り紙付きだ。

 

『パルデア地方に行く事になってな、久しぶりに会わないか?実は今とんでもない事になってな、お前の力も借りたいんだ』

「また厄介事じゃないだろうな、お前のそれで俺酷い目に遭ったぞ」

『あの時の事は本当に悪かったって謝ってるだろう?それにあれは俺のせいじゃないぞルギアに襲われた件は!?あれはエクスプローラーズがドンピシャにルギアの真上に攻撃したせいじゃないか!?』

 

まあそれはそうなのだが……フリードの頼みごとを聞くと如何にも毎回ひどい目に遭ってる気がしてならないのだ。

 

「悪いがこっちも立て込んでるんだ、絵の仕事で行き詰っててな……」

『ラビにしては珍しいな、なんだとんでもない絵の依頼でもされたのか?』

「レックウザの依頼が来てな、普通のレックウザなら如何とでもなるんだが色違いだからな」

『黒いレックウザ!!?なら丁度いい、今俺達は黒いレックウザを追っているんだ!!』

「―――おい何の冗談だ?」

『嘘じゃないって!!話すと長くなるが、実はとあるモンスターボールから黒いレックウザが出てきたんだ、それでそれを追いかけてるって訳だ』

 

何という偶然、いやこれは本当に偶然なのかとすら思える。何かの意思すら感じさせるほどの流れにラビは言葉を詰まらせてしまった。フリードは更に言葉を続けた。

 

『ラビ、お前のポケモンに対する凄い知識とバトルの腕を見込んで新メンバーの特訓とかも頼みたい。キャップが面倒見てやったりしてて見込みがあると思うんだよな』

「キャップが……分かった、話を聞こう。パルデア地方に来たら教えてくれ、訪ねに行く」

『助かるよ、あっそうだ配信もどうせならやってくれないか?』

「調子に乗るな、んじゃこっちも色々あるから」

 

そこで通話を切っておく事にした。どんなトレーナーなのか、少しだけ楽しみになっている自分が居て存外単純だなと溜息が出てしまった。寝転ぶと視線の先では自分のピカチュウがテラパゴスと遊んでいる姿が目に入る。

 

「ピピピピッピチュピ」

「パァ~ゴッ!!パゴ?」

「ピッピッピッ」

「パァ~ゴ~」

 

まるで猫じゃらしを追いかける猫、尻尾を上手く使ってテラパゴスをあやしているピカチュウ。素直に感心する、シロナ達はエリアゼロの報告をしつつも未だブルーベリー学園に残ってステラの研究協力と折角だからと特別講師もしている。その為か、久しぶりに我が家は静かだ。故にテラパゴスの楽しげな声が木霊する。

 

「さて、俺も気分を切り替えるか」

 

 

 

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」

「サ~フゴッ☆彡」

「サーフゴーです、相変わらずウィンク上手いなアンタは」

「ゴゥッ☆彡」

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