「パァゴッ!!」
「パゴ?パァアアゴッ」
「テラ~パゴ」
「パゴ~♪」
テーブルの上で挨拶をする二匹のテラパゴス、一方はラビのテラパゴス、そしてもう一匹はリコが連れているテラパゴス。最初こそフリードはリコのテラパゴスが何らかの拍子に迷い込んでしまったのを保護したのかと思っていたが、改めて二匹のテラパゴスを目の当たりにしてそれは氷解するのであった。
「本当にもう一匹のテラパゴスがいるなんて……フリードから話を聞いた時は信じられなかったけどなぁ……」
「俺だって信じられなかったんだぞ、あの時は本気でテラパゴスが迷子になってラビの所に来てたんじゃないかってリコに大慌てで連絡した位だ」
「それでリコが慌ててたって訳ね」
「す、すいません大騒ぎしちゃって……」
「いやこればっかりはしょうがないわよ」
ライジングボルテッカーズの面々が集結している中に混ざるラビとテラパゴス、ラビとしてもまさかもう一匹のテラパゴスを目の当たりにする事になるとは思わなかった。リコの持っていたペンダントが休眠状態だったらしく、それが覚醒した話を聞かさせて貰う中でロイと別室からスマホロトムの通信で参加しているドットが声を上げる。
『それにしてももう一匹テラパゴスがいるなんて……本当に驚いた』
「うん、もういないかもって話があったのにね」
「あり得ないなんて事はあり得ない、ポケモンが関わるのであればそれはより一層真実味のある言葉になる物。何せ、時や空間を司り神と崇められるポケモンもいれば過去と未来を自由に行き来する時の旅人のポケモンだっている、もしかしたら他にもテラパゴスがいたとしても私は驚きませんよ……それよりまずは黒いレックウザの事では?」
一先ずテラパゴスの事は打ち切っておく、ライジングボルテッカーズがこれから対応するべきなのは黒いレックウザを呼び出すというエクスプローラーズの計画を妨害する事。その事で有力な情報が入った、ハッコウシティの港近くの島に灯台のような謎の建造物を発見したとの事、それだけならば気にも留めないだろうが……その建物近くを巡回するようにエクスプローラーズのポケモンも確認されている。
「何らかの方法でレックウザを呼び出す、この建造物がその一手という可能性はある。機械であるならばキャップの電撃で破壊出来る、こっちから乗り込むのが手っ取り早い」
「なら俺はこっちで待機するべきだろうな―――フリード」
ラビは手持ちのボールから一つをフリードへと投げ渡した。
「ムーランドだ、雷の牙やワイルドボルトも使えるしキャップの相性の悪い地面タイプにも強いから連れていってやってくれ、ムーランド、フリードの言う事を聞いてやってくれ」
その言葉にボールが震えた、フリードは素直にラビの気遣いが有難い。ムーランドはラビの主力の一匹で実力は折り紙付きだしラビの言葉さえあれば自分の指示も聞いてくれるはずだ。
「でも、それだとラビさんの手持ちが」
「テラパゴスを抜きにしても後4匹います、それに―――全員一軍ですのでレックウザとガチバトルになっても対応可能だから大丈夫ですよ」
何と頼もしい言葉だろうか、チャンピオンズリーグに出場できるほどのトレーナーのガチメンバーという事なのだからこれ程頼りになる物もないだろう。
『一応、僕の方で強制停止プログラムを組みます。これを流し込めればどんな機械でも一発で状態が危険だと誤認して動作を停止します』
「サラッととんでもないプログラム組むって言ってますけどハッカーかなんかですか貴方」
「ドットに掛かりゃ朝飯前だな、安心してくれよ!!」
『流石に朝飯前ではない……』
まあ其方は其方で任せるとして……自分は直ぐに動けるようにしておいた方がいいかもしれない、身体中の何かが既に反応しているのか疼いている。
「動くなら早めに動いた方がいいでしょう、エクスプローラーズには私も借りがあるんです。フリード、ついでにルギアの時のあれらも纏めて返してやりましょう」
「その意気だぜラビ、その気になったお前は頼りになるな。んじゃムーランドは有難く借りるぜ、お前はブレイブアサギ号に待機しててくれ。ライジングボルテッカーズ行動開始だ!!」
エクスプローラーズの計画を破壊する為の行動が始まった、テラパゴスをボールに戻しながらラビはブレイブアサギ号の屋外バトルコートで待機、何時でも動けるように態勢を整えている。
「にしてもまさかラビとの再会がこんな事になるとはな」
「全くだ、せめてケーキ屋でバイトしてる時だと思ってたよ俺は」
「ダイケンキは元気?また会いたいなぁ~」
「せめて後にしない?こういうのんびりした話はさ」
ライジングボルテッカーズの面々とはそれなりに交友がある、状況が刻一刻と変化しようとしている時なのに如何しても懐かしい雰囲気が流れそうになってしまう。
「因みにテラパゴスとムーランド以外は誰連れて来てるんだ?」
「メインがカイリュー、アシレーヌ、サザンドラ」
「―――ガッチガチじゃねえか……いやすげぇ頼りになるけどさ」
漏れなく全員が超実力派なポケモンに思わずマードックがそんな言葉を口にした、この状況において極めて頼りになる面子な事は間違いはないのだが……だが此処である事が気になった、まだ最後の一匹を答えていない、それが何なのかと聞き出そうとした時―――厚い雲に覆われていた空の一部が、割れ始めた。そこからは天の恵みたる太陽の光が降り注ぎ始める。
「な、なんだあれ!?」
「もしかして」
「本当に……」
「エアロック……天候を無効にする力―――あれが、レックウザッ……!!」
虹色に輝く光を纏い天空から舞い降りるは、大地と海を鎮める調停者、天空の化身……漆黒のレックウザがその姿を遂に明らかにした。全身を貫くような衝撃にラビは打たれるが自然と口角が上がっていた。