黒き龍、レックウザの出現。伝説にも謳われる程の存在のポケモンがいる。その事への興奮がどうしても湧き上がってしまう自分は矢張りポケモントレーナーなんだなと実感させられる。同時にリコやロイたちから情報の共有が成される。建造物は囮、本命はハッコウシティの外れにある灯台。そこに装置とエクスプローラーズがおり現在レックウザと交戦中。
『早くしないとレックウザが危ないよ!!』
「弱点を突いた所で3人程度で何とか出来るなら苦労はしませんよ、さて私も行きますか」
「待って!!」
サザンドラを繰り出そうとした時、背後から声が響いてきた。そこには息を荒げているドットの姿があった。リコとロイ曰く、部屋から滅多に出ないらしいのだが……この状況で出て来たらしい。
「停止プログラムが完成した、だけどこれは直接撃ち込まないと効果を発揮しない……だから僕が直接撃ち込みに行く!!ラビさん僕も連れて行ってください!!」
「お、おいドット何言ってるんだ!?幾らラビがいるって言っても危険って言葉じゃすまないぞ!?」
「そんなの分かってる!!」
マードックの心配を振り切るように前に出ながらラビへと問いかける。
「リコやロイだって頑張ってる、僕だってやってやる!!」
「良い目をしますね、あいつによく似てる―――いいだろう、マードック、ドットは俺が守ろう。掠り傷一つとて付けさせないさ」
「くぅぅぅぅっでっかくなったぁドットぉ!よし分かったぁラビ任せるぞ!!」
マードックの思いを受け取りながらもサザンドラを繰り出す、サザンドラの背中に乗りながらもドットをサザンドラとの間に入れて固定する。
「サザンドラ、フルスピードであの灯台を目指せ!!」
「ザァァアアアアドラァァァァ!!!」
浮き上がったサザンドラ、それらを見送るボルテッカーズの視線を受けながらもドットは静かに灯台を見据えていた。それに応えるようにサザンドラは凄まじいスピードを出しながら灯台へとまっしぐら。
「な、何このスピードぉぉ!!?」
「カイリューは優し過ぎて俺達を気遣う、だけどサザンドラはそれは最低限!!さあ飛ばせっ!!」
ドットは何故カイリューじゃないのかと軽く疑問だったが直ぐにラビが答えた。単純にカイリューの速度は身体に堪えるから、それをカイリュー自身もちゃんと分っているので加減してしまうので今回ばかりはサザンドラの方が速く着くのは良いのだが―――
「ドット」
「何です!?」
「飛び降りるよ」
「ハイッ―――えっ!?うっそおおおおおお!!!!?」
あと少しで灯台に着くというところでラビはドットを抱えたままサザンドラから落ちるように降りる。理由は単純、スピードが乗り過ぎて止まれないからである。だが即座にラビはカイリューを出すと今度はカイリューが優しく受け止めて灯台の高台へと下ろしてくれた。
「き、貴様―――ラビ!?」
「エクスプローラーズ、レックウザは諦めて貰うぞ」
カイリューを背にしながらも言葉を紡ぐラビ、その隣でドットもヨロヨロとしながらも立ち上がった。流石にサザンドラのトップスピードが効いてしまったか……と反省しながらもその背中を優しく押してやる。サザンドラはオニゴーリに乗っている少女と戦闘に入っているが、サザンドラなら自己判断で何とかなるだろう。
「奴は任せて、カイリューチャーレムを抑えろ!!!」
「アウウウゥゥゥ!!!」
「チャーレム、飛び膝蹴り!!」
「龍の舞!!」
黒い肌のエクスプローラーズのチャーレム、それが勢いよく飛び膝蹴りを放ってくるがカイリューはその場で高速回転の龍の舞を行う事で防御を行う、そして同時に攻撃と素早さを上昇させる。
「ちっサイケ光線!!」
「舐めるなっ炎のパンチ!!」
サイケデリックな光線を発射するチャーレムだが、その勢いに全く動じる事もなくカイリューは炎を纏った拳をチャーレムへと叩き込んだ。
「チャァァッ……!?」
「チャーレム!!?」
「今だっロトム、接続!!プログラム流し込めぇ!!」
『ロトロトロトロトロトロトロトロットッ!!』
機械のプラグへと突き刺さったドットのスマホロトム、そしてドット謹製の停止プログラムが流し込まれていく。それによって装置の安全装置が起動、完全に機能が停止してしまう。
「貴様、何をした!!?」
「よしカイリュー、装置を潰せ!!」
「リュゥゥウウ!!!」
装置の停止を確認するとカイリューは装置を抱えると、そのまま思いっきり抱きしめて潰してしまう。完全停止してからでないと何か問題が起きるというのはお約束だからそれを待っていた。これで少なくともレックウザは此処に留まる事はしない筈……。
「やったなラビ!!こっちもムーランド大活躍だったぞぉ!!」
「フリード!!そっちも無事だったか、キャップも」
「ピカッチュ」
フリードもリザードンに乗って合流、囮であった建造物では待ち受けていたエクスプローラーズと戦闘になったが、そこでムーランドがキャップと見事な連携をして切り抜けたとの事。後から聞いた話だが、ボルテッカーとワイルドボルトの併せ技で建造物は崩落したとか。
「ガアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
その時だった、黒龍が叫び声をあげた。自らを留めていた物が無くなったが故か、それとも自らを傷つける氷と塩漬けに激怒したのか、天へと向けて巨大な咆哮を上げた。それは徐々に形を成し、もう一匹の竜となって空へと昇ると……無数の流れ星になって地上へと降り注ぎ始めた。
「マズい流星群だ!!カイリュー、サザンドラ龍の波動!!アシレーヌ、ハイドロポンプ!!フリード、ムーランドにリコ達を守らせろ!!」
「ああ分かった!!もう一度頼むぞムーランド!!リザードン、リコ達を守るぞ!!キャップは迎撃だ!!」
伝説のポケモンの技だけあって流星群の加害範囲が異常に広い、このままではハッコウシティにまで被害が及ぶ恐れがある。先程まで戦闘をしていたサザンドラも呼び戻して迎撃に当たらせる。
「テッメェッ調子に乗ってんじゃねぇぞ!!」
「オンニゴォオオオッ!!!」
「うわなんか来た!!?」
先程までサザンドラと戦っていたオニゴーリ使いの少女、サンゴは急にバトルを放りだした姿に自分をバカにされたと思ったのか酷く激昂している。オニゴーリは加速しながらも此方へと向かって来る。
「オニゴーリ、自爆ゥ!!!」
「オンニゴォオオオオオ!!!」
真っ直ぐに此方へと向かって来るオニゴーリ、サンゴの指示通りに自爆をする気だ。だが此方も迎撃で手一杯、ならばっ―――もうこれを切るしかない!!
「カイリュー、ドットを守れ!!サザンドラも守る!!」
「ウリュウ!!」「ドラァ!!」
「そして、いけっ―――!!」
その指示は成立したのか、自爆の閃光と爆炎が灯台を飲み込んだ。
「ドット!!」「ラビさん!!」
悲鳴のような声が木霊する中、爆発の煙が収まり始めた時、虹色の光が煙を割くように広がった。そこには爆発で崩れてこそいるがまだ健在の灯台とカイリューに抱き締められるような形で守られていたドット、咄嗟に守るを使ったサザンドラを壁のようにしてやり過ごしたアシレーヌと呆れたようなサザンドラ……。
「あ、有難うカイリュー……」
「アウゥゥッ♪」
「あっラビさんは!?」
周囲を見回すドット、そこにはラビの姿が無い。一体どこへと思ったら……それは目の前にいた。大きく広げられた翼とまるで戦闘機を思わせるような美しく洗練されたフォルム、その背中に乗ったラビは笑っていた。
「危ない危ない……すんでの所で間に合ったな、久しぶりに力を貸して貰うぞ―――ラティオス」
「クォオオオンッ!!」