「あのポケモンは―――まさかラティオスか!?マジかあいつラティオスまで持ってるのか!?」
「ラ、ラティオス?」
上げられる驚きの声、フリードはまだまだラビの事を知らなかった事を自覚する横でロイはラティオスと呼ばれたポケモンを見ていた。リコは思わずスマホロトムを向けてしまった、あの綺麗でカッコいいポケモンの事が知りたいというトレーナーとしては当然の本能に従って。
『ラティオス、むげんポケモン。ドラゴン、エスパータイプ。人間の心を敏感に感じ取り、悪意を感じると光を屈折させる羽毛で姿を隠す。心優しく誠実な人間にしか懐かない』
「むげんポケモン、ラティオス……」
「凄まじく珍しいポケモンだ。俺も初めて見たぜ……」
「ラティオス、龍の波動!!」
「コォォ……オアアアア!!!」
迫り来る流星群、それに向けて龍の波動を放つ。が、龍の波動は途中で分裂すると無数の小さな龍へとなって流星群を穿って行く。その隙にドットを抱えて下へと降りる。
「ドット大丈夫!?」
「な、なんとか……カイリューが守ってくれたから……」
「ウリュウ♪」
「だがよくやったぞ!!後はあのレックウザを何とかするだけだな……」
幸いなことにエクスプローラーズは戦力が大幅に低下した為か撤退を選択してくれた、これで大分戦いやすくなったことは事実だが……相手は伝説のポケモン、此方も準伝のラティオスがいるが、それでも互角なんて都合のいい話はない。
「だがやれる事はある。ラビ、サザンドラを借りれるか!!」
「サザンドラ!!」
「ドラァ!!」
「よし、ロイは俺と来い!!地上と空中から二正面作戦をやるぞ!!」
その言葉に頷いたロイはホゲータと共にリザードンへと乗り、サザンドラはそれに追従する。
「灯台側に追い込むぞ!!」
「「火炎放射!!」」
リザードン、ホゲータ、サザンドラの火炎放射がレックウザに襲い掛かるがそれをいとも簡単に回避する。炎タイプの技はそこまで効かない筈だが、流石に氷と岩タイプの技を受けて消耗しているのかもしれない。
「来るぞ!!アシレーヌ、ムーンフォース!!」
「きゅうぅううん!!!」
満月のようなエネルギーを生成し殴りつけて発射するアシレーヌ、その弾速は異様に速くレックウザもギリギリの所で回避する。が背後で爆発した事で起きた爆風に押されて動きが遅くなる。
「キャップお願い!!」
「ピッカァ!!」
キャップはリコの声を受けてボルテッカーを行いながら輪を描くように走り始める、それによって生まれる爆発的なエネルギーの渦、ニャオハとクワッスはそれに飛び込む事で空へと打ち上げられた。二匹によるマジカルリーフと水鉄砲はレックウザの顔面を捉え、更に真上からホゲータのチャームボイス、サザンドラの龍の波動が襲い掛かった。
「やった作戦成功!!」
「効果は抜群!!」
「だけど……」
「グアアアアアアアアア!!!」
爆炎が晴れたその先にはいまだ健在のレックウザの姿がある。この程度で参ってくれるようなら伝説のポケモンの捕獲は苦労しない。そんな様子に不安げな瞳を向け続けているテラパゴス、リコが慰めるように抱き上げる様を見ながらラビは思わず呟く。
「さて、此処からどうするか……」
「決まっている、レックウザをこの手にする」
その声に思わずそちらを見ればそこにはソウブレイズを連れた青年―――アメジオがいた。アメジオはラビを姿を見ると何処か目つきを鋭くしながらもラティオスを見上げる。
「貴様のポケモンか」
「奪おうとするなら今ここでお前から潰すぞ」
「誰がイッシュの逆鱗に好き好んで触れるか」
「レックウザの逆鱗には触れるのにか」
「斬るぞ」「潰すぞ」
何やら火花を散らしている二人だが、そこへ流星群の一撃が舞い込んで来る。ソウブレイズはそれを一刀のもとに切り伏せ、アシレーヌはそれを腕で軽く逸らして地面へと導いた。ドヤ顔でソウブレイズにこの程度も出来ないの?と言いたげな顔をしていると、ソウブレイズも腹が立つのか剣が少し大きくなっている。
「ソウブレイズ、敵はレックウザだ」
「レイズッ……!!」
「カイリュー!!」
「アゥウゥ!!」
ラビとアメジオは同時にある物を取り出した、それはテラスタルオーブ。周辺の光を吸収し輝きに変えるが如く、周囲の輝度が下がる。夜のような明るさの中で輝くオーブを二人は自らのポケモンへと向けて投げる。
「我が道を貫け、ソウブレイズゥ!!!」
「染め上げろ、自らを、世界をっカイリュー!!!」
結晶に包まれた二体、その結晶が四散すると二体は変貌を遂げていた。ソウブレイズはその身を完全なゴーストの結晶で纏い、カイリューは自らをノーマルに染めている。テラスタイプ:ゴーストのソウブレイズ、テラスタイプ:ノーマルのカイリューがそこにいた。
「ソウブレイズとカイリューが……!!」
「ソウブレイズ、ゴーストダイブ!!」
「カイリュー、神速!!」
ソウブレイズが駆け出す、それよりも早く神の速度へと到達するカイリュー。レックウザの対応を上回る程のスピードで周囲を飛び回りながらもソウブレイズが潜んだ影のゲートから出てくる瞬間に合わせて同時に攻撃する。ソウブレイズも意図的にそれを分かって合わせている、互いは接触するかしないかのギリギリを見極めて同じ個所を攻撃する。
「邪魔をするなラビ」
「どうせ神速が当たってもソウブレイズには意味がない」
「フン……」
「ラビ、俺も加勢するぞ!!可能性を超えろ、リザードン!!」
ロイを下ろしたリザードンを伴ってフリードが隣に立つ、そしてそのままテラスタルを行った。テラスタイプ:悪のリザードン、ゴースト、ノーマル、悪が三者揃った事になる。それを見てレックウザは再びパワーチャージを開始した。
「ラティオス、ラスターパージ!!」
「ソウブレイズをリザードンに乗せろ!!接近戦をする!!」
「チッ……ソウブレイズ!!」
「カイリュー、リザードンのサポート!!」
龍の波動を放つレックウザ、それを真っ向からラティオスのラスターパージが迎え撃つ。全身のエスパーパワーを収束させて放ったそれは龍の波動を完全に抑え込む、が徐々にエネルギーの逃げ場が無くなり空中で大爆発を起こした。その煙に突っ込みながらリザードンとソウブレイズは接近戦を開始する。
「シャドークロー!!」「ドラゴンクロー!!」「エアスラッシュ!!」
三者三様の攻撃がレックウザへと次々と決まっていく、それでもレックウザの勢いは全く衰え知らず。幾度も技を積み重ねてもダメージの兆しすら見えない、それにあの神二匹を想起するラビはこれを使う事にした。
「カイリューで隙を作る、その底に全力を叩き込め!!」
「分かった!!頼むぞラビ!!」「やれるといいのだがな」
「カイリュー!!力強く―――神速!!」
「リュウウウウッ!!!!」
頭上のノーマルテラスが先程よりもより一層激しく輝いた、その輝きはカイリューの全身にも及ぶとそれは一瞬でレックウザの元へと届いた。そしてレックウザの顎へと突撃し、大きく跳ね上げて大きな隙を生み出した。
「今っ!!」
「テラバースト!!」「シャドークロー!!」
リザードンとソウブレイズがその隙を突いて大技を喰らわせようとした時の事だった、レックウザは一際大きく吠えた。その音圧と風圧によって技は妨害されてしまった、それよりも目を見張る事が起きた。レックウザは天高くへと昇り、その身体は深緑色の輝きに満ち溢れていた。
「マズいあれはっ!!!」
ラビが注意を促すよりもずっと早く、レックウザは流星のようになってそのままカイリュー、リザードン、ソウブレイズを貫いた。リザードンとソウブレイズのテラスタルは砕け散って落ちていくが、カイリューはギリギリ耐えきったのか二匹を抱きかかえながら戻ってきた。
「済まないカイリュー!!リザードン戻れ!!」
「ソウブレイズ、よく休め……何なんだ今の技は」
「画竜点睛、レックウザの専用技……カイリュー!!」
「ウリュゥゥゥゥ……」
カイリューはゆっくりと膝をつく、それと同時にテラスタルが砕け散った。マルチスケイルごとカイリューを画竜点睛で穿った事にラビは戦慄すら覚えてしまった、同時に限界だったのに最後まで他者を守ろうとしたカイリューを尊敬する。
「よくやってくれたカイリュー、ゆっくり休んでくれ―――ラティオス今度はお前の番だ!!」
「クオオオンッ!!」
まだまだ此方には切れる手札がある、という事をレックウザには教えてやらなければならない。眼前とレックウザに向き合い続けるラビのその背中を見ていたロイとリコ、そしてラビがメガリングを指に嵌めようとしたその時―――ニャオハが輝きを纏い始めた。
「ニャ、ニャオハ!?」
「ニャアアアアアア!!!」
戦いを見続けて強く願いを抱いた、もっと強くありたいと。その願いは実を結ぶが如く、ニャオハの身体は大きく変化する。
「ニャァロン!!」
「ニャオハが、進化した!!」
「ニャローテ……リコ、ロイ、まだ行けるな!!」
「勿論です、私も、ニャオハいえニャローテも!!」
「ンニャロ!!」
「僕だって、ホゲータ!!」
「ホンゲ!!」
「君達が歩く道は俺が拓こう、道を歩め少年少女!!さあ行くぞラティオス!!あらゆる無限を凌駕する力を今此処に、超克せよメガシンカ!!」