「……それでは、今回はこれで終了とします。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした……妙に事細かに聞いてきますね」
「それについては堪忍したってな、こっちもエクスプローラーズってやつらの情報が欲しいから色々と聞かんならんねや」
オレンジアカデミーへとやって来たラビ、目的は弟妹達の案内……ではなく先日のエクスプローラーズと黒いレックウザとのバトルに関する事情聴取。事前にライジングボルテッカーズに対する聴取も行っているらしく、自分のそれはフリードとの内容のすり合わせに近かった。
「やれやれ美人に尋問されるのも悪い気はしませんが、如何にも犯人扱いな気分ですね」
「すまんすまん。しっかし、アンタも難儀やったね、エクスプローラーズっちゅう奴らだけやのうてレックウザなんて伝説の相手をせないけへんだなんて」
それを行ったのはお馴染みのチリ、眼鏡を掛けた面接官スタイルだったので妙に緊張した……。
「これからラビは如何するん?帰るんやったら送ったるけど」
「何も言わずに帰ったら弟妹達が怒るでしょうから多少顔を出して行きますよ」
「懐かれとんなぁ」
「嬉しいやら恥ずかしいやらですよ」
兎も角、顔を出しに行くとしよう……少し疲れているようなそぶりをするとチリがほらほら行くで~と肩に手を回してくる。自分にはサザレがいるので靡きはしないが、勘違いの元ではないだろうか……などと思いながら廊下を歩いているとハッサクと出くわす。
「おおっラビさん、そうでした聴取ですね?お疲れ様です、チリは中々に容赦ない追問をして来るでしょう?」
「ええ、美人な方に迫られる経験は男としては名誉でしょうが如何せん肩が凝りました」
「よぉ言うわ、ええ感じに流して平気そうな顔してた癖に」
そのように雑談をしていると―――
「あっラビさん!?」
と此方を見つけたような声が聞こえてくる、そこにはリコ、ロイ、ドットの姿があった。フリードの言っていた通り、テラスタルの研修に参加させるというのはマジだったらしい……背後に自分の弟妹がいる事と目を輝かせているネモを除けば。
「ラビさん折角会えたのも何かの縁!!バトル―――」
「しません」
「何でぇ!!?」
「するならするでレビにでも挑めばいいじゃないですか、ブルーベリー学園のチャンピオンなんですから」
「しました!!負けました!!」
「いや負けてんのかい!!」
そのテンポの良さに思わずチリが突っ込んでしまった。その辺りは本能というかやらずにはいられない何かがあるのだろうか……というかレビはネモに勝ったのか。
「余り褒められたバトルでもなかったわ、改善点が大量に出て来たしテラスタルの厄介さも理解したわ……」
「それで気落ち中?」
「私はそんな軟じゃないわよ兄さん、次は完封するって思ってるだけの事よ」
「ウェ~イ!!因みにウチもバトルして勝ったし~!!でも次は完璧に勝つし~!!」
「お~でっかい事言うなぁ……仮にもうちのチャンピオンやで?」
「あら、私もチャンピオンよ。格だけで言えば貴方よりは格上よ、格だけはね」
「間違いなくアンタの妹やな」
「如何いう意味ですかそれ」
笑いながら肩を叩いてくるチリに対して抗議の視線を送らざるを得ない。確かに怖いもの知らずだが良い子なんだぞと言ってやりたい。まあこの場合はチリに此処までいえるレビを褒めるしかない。別の意味で。
「それじゃあ早速もう一戦する!?」
「するなら私のポケモンのテラスタイプを調べてからよ、今度はフェアな状態で戦いたいわ」
「それじゃあレベ君やろう!!」
とネモが意気込むのでそれに合わせてレベも戦闘態勢を取ろうとするのだが―――丁度良く授業開始のチャイムが鳴った。
「皆さん、授業の時間ですよ」
「こ、此処でお預けなんて……なんて生殺し……」
「年頃の乙女がなに言うとんねん……」
呆れたようなチリの言葉を背中に受けつつも、一同はテラスタルの授業を受ける為に教室へと移動していった。律儀に自分に頭を下げるリコ達も見送って自分は如何するかな……と思った時にチリが笑った。
「そうだ、折角やからアカデミーで配信してくれへん?」
「なんですか藪から棒に」
「ラビの配信の内容は授業としても重宝さしてもろうててバトル学でも配信の内容について考察したり議論したりするのが流行りやねん」
「ええ、キハダ先生もよく使っていると仰っておりましたよ。彼女は貴方が敢て全てを紹介していない事も分かって自分ならどう活用するか、そしてそれを如何思うかをそれぞれに考えさせる事をさせてますね」
それ自体はかなり良いとは思う、全てを紹介するなんて時間が掛かり過ぎるし正直やる気はないので省略している部分や明かしていない部分なども普通にある。
「なのでネタを提供しろ、という事ですか」
「まあ言うてしまえばそう言う事になるわな、弟妹さん達もきっと喜んでくれると思うけどなぁ」
まあ思う所自体はあるが、パルデアリーグには結果的に迷惑を掛けている事も多いので少し位はサービスしてもいいかなという気持ちが無い訳でもない。
「……分かりましたよ」
「おおっOKか!?」
「ええ、まあいいでしょう。妹や弟達が世話になる訳ですしね……ついでですからチリさんとハッサクさんも出ます?」
「おおっそれは面白そうですね」
「流石ラビやな!!よっ色男!!」
「帰ります」
「なんでや!!?」
「だからふざけるのも大概にしないと……」
「これチリちゃんが悪いん!?」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう、本日のゲストは此方」
「如何も皆さんこんにちわ、パルデアリーグ四天王のハッサクです」
「毎度、パルデア地方で四天王をしとるチリちゃんやで。美人さんやけど怖がらんとってな」
「本日はこのメンバーでいきます、そしてご紹介するポケモンさんは此方」
「ドダァァァッ……!!」
「ドダイトスさんです」