「今回はわざわざありがとうございました、本当なら私の方が受け取りに参上するのが筋なのに」
「この位なら気にしないでください、イラストを届けるのは慣れてますから」
イラストレーターとして仕事が入ったラビ、新作ケーキの宣伝に使う為のイラストでケーキの周りを楽し気に跳ね回る虫ポケモン達というオーダーをくれたのはセルクルタウンでジムリーダー兼パティシエールをしているカエデ。
「そうです、折角ですから当店の新作ケーキを味わって行ってくださいな~こんな素晴らしいイラストにお代だけというのは私の気が済みません。お持ち帰り用のケーキも準備いたしますから是非味わって行ってください」
「これはすいません、実は何かお土産に何か見繕って行こうかと思ってたんです」
「まぁっそれは丁度良かったですわ♪」
カエデとはコルサ関係でも関わる事が多い。パティシエやパティシエールは言うなれば甘美の芸術家、甘みの中に様々な味わいを忍ばせる事でそれを引き立てたり新たな味覚へと開花させる事もある為にコルサも尊敬する芸術家だと語っているし、ムクロジの宣伝用イラストを頼まれる事も多い。今回の仕事もそれに含まれる。
「さて、どんなものが―――」
「すいませんラビさん、今店長はゴタゴタに巻き込まれてしまって……」
テラスでケーキを待っていると顔馴染みの店員が慌てた様子でやって来ながら頭を下げて来た。如何やら名物のケーキが買えなかった事で文句を言ってきた客がいたらしくその対応に追われているのだとか……
「お気になさらず、此方はゆっくりと紅茶を飲んで待ってます」
「申し訳ありません!!加えてテラスタル研修の子達も来ていて、カエデさんも少し楽しんでる所が出ちゃって……」
「カエデさんらしいってテラスタル研修?もしかして……」
「直ぐにケーキはお持ちしますから~!!」
と走っていく店員とそれについていくアブリボン。如何やら弟妹達のテラスタル研修が始まってもいるらしい、如何なる事やらと思いつつもやってきたケーキを楽しんでいると―――
「あれお兄ちゃん!?」「「お兄ちゃん!?」」
「「「ラビさん!?」」」
「おや、これはまたずいぶんと賑やかになってますね」
テラスタル研修をする子達を引き連れてカエデがやってきたと思いきや、そのメンバーはリコ、ロイ、ドット、そして自分の弟妹達だった。
「あらぁ~やっぱりラビさんの弟妹さん達だったのね、似てると思ったの」
「ええ、厳しくやってあげてくださいね。別の学園でもかなりの上位にいますから」
「フフフッお知り合いのご家族であってもあま~くするつもりはありませんよ」
「ならばいいです」
リコ達とはレベルも経験も違う、カエデは恐らくテラスタル研修では使わないレベルのポケモンを使用して来る筈。そうなると誰がカエデと戦うのかは分からないが相当にキツい戦いになる筈だ……と思っていると平然と自分の膝に乗ってこようとするレビを抑える。
「乗ろうとすな」
「いいじゃない研修前の景気づけよ」
「お前さんなのか」
「ええ、私よ。リコさんと一緒なの」
「はっはい、私もレビさんとカエデさんの所で研修する事になってます」
成程、カエデの所で研修するのはレビとリコであるらしい。これはこれで面白いバトルが見れるかもしれない……と思っているとカエデが思わせぶりな視線を向けて来る。
「折角ですから配信しませんか?私としては虫ポケモンを紹介してくれると嬉しいんですけど」
「う~ん……まあいいでしょう、それじゃあゲストお願いしますね」
「は~い♪」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日のゲストは此方」
「ハ~イ皆さんこんにちわ、セルクルタウンのパティスリーの店長をしておりますカエデです。本日はよろしくお願いしますね」
「其処はジムリーダーでもいいんじゃないんですか?これからテラスタル研修なんですから」
「あら、確かにそうですね」
| ・おおっカエデさんだ ・今日もおやつにケーキかいました~ ・バウッツェルに全部持ってかれた…… ・ド、ドンマイ!! ・あるあるwww |
|---|
「あら~それでしたらまたいらしてくださいね~新作ケーキを近々出しますから、その宣伝イラストをラビさんにお願いしてますの~」
「させていただきました」
| ・えっヌシ絵掛けるの? ・ナンジャモ:描けるも何もラビ氏本業イラストレーターだよ。 ・キバナ:もうトレーナーか配信者としての印象しかねぇからな。 ・尚収益化はしてない。スパチャも未解禁。 ・課金させろっていつも言ってるじゃん!! ・此処までしない人もいないよなぁ…… |
|---|
「そんなに課金したかったら自分で経済を回せるように課金してくださいね、さて今回はカエデさんのリクエストもあって虫ポケモンチョイスです、今回は此方」
「バルゴッ!!」
「あらぁ立派なシュバルゴちゃんですね」
「はいと言う訳でシュバルゴです」
| ・おおっ!?なんか騎士っぽいの出てきた!? ・実際騎士みたいなもんだしな。 ・カッコいいな ・虫タイプでもこんなカッコいいの居るんだ…… ・なんでやペンドラーカッコいいだろ!! ・ペンドラーは可愛いでしょう!? |
|---|
「シュバルゴは虫と鋼の複合タイプです、シュバルゴと言えばその進化条件ですね。その条件というのはポケモンの中でもかなり特異な条件となっていて、進化前のカブルモさんとチョボマキさんを交換すると進化するという物なんです。シュバルゴが纏っている鎧はチョボマキさんから受け継いだ形になり、チョボマキさんは身軽なアギルダーというポケモンに進化します」
「本当に興味深い進化ですね~♪」
| ・はへ~交換進化って割といるけど特定ポケモンと交換進化なのか ・全然聞いた事ねえなこれ ・ある種唯一無二だからなこれ。 ・アギルダーも見てみてぇな…… ・そのうちされるだろ、多分ね。 |
|---|
「それでシュバルゴちゃんは如何いったポケモンなんです?」
「はい、カブルモの時は悪戯好きな子供と言った感じなのですが進化してから騎士然とした振舞をする正々堂々とした性格になります。ガラル地方では極めて人気が高く、同じく槍使い且つ騎士然としたネギガナイトさんとの決闘を描いた絵画は大人気です。私も描いた事あります」
| ・キバナ:あるある、オレ様も好きだぜあれ。 ・へ~そうなんだ、キャラ被り気にしてるのかな? ・それはそれでなんか嫌だな。 ・なにそれみたい、つうか主の絵も見たい。 ・ナンジャモ:リーグの公式絵あるじゃん、あれラビ氏だよ。アオキさんのなんかないけど。 ・マジで!? ・アイリス:あ~アオキさんは顔バレ警戒とかかな? ・シロナ:HPでの公開は本人次第って聞いたわ。あんまり好きじゃないのかもね、顔出し |
|---|
「特性は虫の知らせ、シェルアーマー、夢特性が防塵です」
「あら~豊富ですね……私としてはシェルアーマーかしら、急所ケアって結構難しいのよね。防塵も捨てがたいけど」
| ・俺アーマー派 ・俺も ・此処のマスコットと同じアーマー。 ・キバナ:オレ様は防塵。 ・アイリス:私は知らせ。 ・私防塵 |
|---|
「さて、シュバルゴは極めて攻撃が高いです。ハッサムを超える程の攻撃がありながら、防御面も高く中々に頼れます、その分スピードが無いのですが……図鑑だと高速で飛び回るという記述があります」
「あら、それじゃあそれは間違いなんです?」
「それがその気になったらその位の速度が出るんですよ、でもトリックルームを使ったら滅茶苦茶速くなるんですよ」
「不思議ね~」「不思議ですね~」
| ・えっハッサムよりもやべえの? ・マジかよ。 ・しかも防御面も優れてるのか。 ・いやスピードないって話だけどこれだけ強かったら全然許容できるぐらいやばいぞ。 ・キバナ:やべぇよ?ダイマックスしたサザンドラが一撃で沈むぐらいの火力出るぞ。 ・ナンジャモ:何それ怖い。 ・つうか遅いのか速いのかどっちだwwww |
|---|
「ドリルライナーやシェルブレード、インファイトやメタルバースト、毒突き、アイアンヘッド、叩き落とすと言った技を覚える事が可能でその攻撃力で相手に圧を掛けるのが得意ですが、何よりその攻撃力とタイプ一致の破壊力で相手を穿つ事が最も有効でしょう。私はカロス地方でメガハッサム使いと戦った事ありますけど、メガホーンで貫き通しましたから」
「あら、相性的にはかなり悪いのに凄いのね~」
「その関係で力のシュバルゴ、技のハッサムと言った感じですかね」
| ・おいwww相性www ・それすら貫く程の破壊力あるのか…… ・キバナ:いやマジでその気になったシュバルゴの火力はやべぇからな。 ・アイリス:イッシュだと何もさせずに倒す事が重要視される位にはやばいよ。 ・動かれたらやばいからな…… ・ナンジャモ:ブルーベリー学園のレンタルバトルでもシュバルゴ重宝したなぁ……先制地割れめ ・ナモ公がいます!! |
|---|
「剣舞に加えて鉄壁や身代わり、眠るに寝言などの変化技も中々。パーティでスピードの補助などをしてやれば恐ろしい突破力を備えた近衛騎士になってくれます」
「とても頼りになるんですね~私も欲しくなっちゃいます、ゲットしてみたいわ~」
| ・弱点としてはやっぱ炎か。 ・キバナ:それもあるけど対策としてはアーマーガアだな、有効打がねぇ。 ・アイリス:リザードン良いと思う、ドリルライナー効かないしシェルブレを警戒すればいいし ・ナンジャモ:ボクはヒートロトムかなぁ。 ・なんでこう、虫タイプってちょくちょくやべぇの居るんだろうな。 ・ホントな。 |
|---|
配信を切るとリコ達は拍手を送ってくれるので頭を下げておく。
「素晴らしい配信でした。シュバルゴちゃんの事を本当によく知ってらっしゃるんですね、じゃないと此処までの事は難しいですよ~」
「シュバルゴとはイッシュからの付き合いですからね、私のポケモンとしてはかなりの古株にもなりますからね……酸いも甘いも知るという奴です」
「それはそれは~今度シュバルゴちゃんのケーキを作るのもいいかもしれないわね~♪さてと、それではまずはリコさんから研修を始めましょうか」
「はいっ!!ニャローテ頑張ろう!!」
「ンニャ!!」
フム……あの小娘、悪くない目をしている。これは見ものだなと腕の槍を器用に組んで腕組みをするシュバルゴ。イッシュ時代では自慢の突破力を生かして何度も危機を文字通りに貫き穿ってきたシュバルゴ、昔は相当な突撃思考な脳筋アタッカーだったのだが時間を経て大分丸くなったのか、今では落ち着いた騎士然とした振舞が出来るようになっている。
「レビ、何で受けるかは決めたのか?」
「決めてあるわ、私はグレイシアで挑むつもりよ」
グレイシア、ラビの妹も使うか……と素直に思いながらもリコとカエデの様子を観察するのだが、自分もバトルをしたくなっているのかウズウズしている。疼いてしまっていた事に気づくと、何故か落ち込み始めて自らボールへと戻っていってしまった。
「あら、シュバルゴ自分から戻っていっちゃったわよ?」
「シュバルゴらしさは増したんだけど、なんかどうにも昔の自分が相当に恥ずかしいらしくてな。昔の自分っぽさが出ると自己嫌悪してボールに戻っちゃうんだ」
「可愛い所があるのね」