ナッペ山、パルデア地方の北部に位置する雪山。誇るパルデア十景にも登録されている。そんな雪山であろうとも人は住む、人とは想像している以上に逞しく、熱い生き物なのだ。そんな山に出来ているかまくらの中の炬燵に身体を入れながら、雑煮を食べている二人の男がいた。
「……悪くないね」
「だろ、こっちも試してみるか?」
「貰うよ」
一方はラビ、炭火でお餅を焼きながらも雑煮を食べている。一方はちょくちょくマフラーの位置を直している美男子、絶対零度トリックという異名を持つナッペ山ジムリーダー、グルーシャ。見る者が見たら歓喜しそうな組み合わせの二人である。
「あんたの妹、応用テストで僕が相手にする事になった」
「ああ知ってる、厳しくやってくれ」
「……まああんたならそういうか……偶にいるんだよね、加減しろって」
何処かうんざりしたような表情のグルーシャに手作りのあんころ餅を差し出す、ジムリーダーともなれば良くも悪くも癖の強い人間ともかかわる事もある。だがラビは寧ろその厳しさこそが必要だと思っている。
「あいつはあいつで旅をするだろうからな、厳しさこそ正しい優しささ」
「フゥン……美味いねこれ」
「近頃、そういうのを育てるのが大好きな子が加わったから一緒に作ったんだ」
珍しくお褒めのお言葉を貰えた、グルーシャは良くも悪くも冷たく言葉にはエッジを利かせる。裏が無いとも言えるがその分容赦もない、だからこそお褒めの言葉は中々に珍しい。
「ラビ、仮に君の妹が負けて研修に不合格を出したとして僕を責めるか」
「ンな訳ないでしょうが、それはレビの不足であって貴方に落ち度はない」
「……そう」
開いた口に再び雑煮を流し込んで閉ざす、グルーシャにとってラビは数少ない自分と対等の付き合いをする友人、そんな人間の妹を失格にして折角の関係が崩れると少しだけ不安を感じたのかもしれない、らしくないサムい発想だと自分を戒めている事だろう。
「というか、あいつはブルーベリー学園のランキング1位。旅の経験がないだけで相当に強い部類だから気にする必要はねぇよ」
「そうか……それじゃあ本気で相手をさせて貰うよ」
「そうしてくれ」
こうなると逆に大変なのはリコの方だろう、リコはこれまで多くのいい大人たちと仲間に支えられてやってきたがそれらが全く通じる事のない相手が立ちはだかる事になるのだから……。
「ナンジャモとのコラボ、多いよね」
「まあ多いね、グルーシャ的に今のナンジャモはどう?」
「……少し前よりはずっといいね、下手に取り繕うよりも素を押し出してる方がらしい」
「そう言えば、結構な古参ファンだったっけ……?」
一先ず決めた事がある。グルーシャにはナンジャモとうちの弟が恋仲に近い関係にある事は言わないでおこう。妙な事にはならないとは思うが、そう言う事を言って友人関係に罅を入れたくはない……。
「芸人とか言われてツッコんでるけど、あれはあれで懐かしい気分になった」
「昔如何いう配信者だったんだよあの人」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日は私にしては珍しく外部、ナッペ山からの配信となります」
| ・お~珍しいな、基本主の庭なのに ・そう言われるとなんか一帯の主に聞こえる不思議 ・どっちも似たようなもんじゃろ。 ・そうは……いやにたようなもんか。 ・まあ実際持ってるポケモンが桁違いだしな。 ・言えてる。 |
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「さて今回はナッペ山に相応しいのを紹介させていただきます」
「ムゥゥゥウ!!!」
「マンムーです」
| ・おおっマンムーだ! ・でっか…… ・ふっと ・誰の脚が太いって!!? ・言ってねぇよ |
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「マンムーは氷と地面の複合タイプ、マンムーは氷河期に多く生息されていたとされるポケモンで1万年前の氷の中でコールドスリープ状態だった個体が復活した事で大騒ぎになったというニュースもある程昔からいるポケモンですが、壁画からは1万年前からも人類と共に生きていた事が確認されております」
| ・あ~あったなそんなニュース!! ・そうそう、大ニュースになってた。 ・それで氷タイプのジムリーダーが現地入りして仲良くなって、研究したんだっけ? ・そのはず、シンオウとジョウトのジムリーダーだっけ? ・んで直ぐにジョウトのイノムー進化して更に大騒ぎwww |
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「そう、マンムーはイノムーさんの進化形です。進化には様々な条件があります、進化の石によるアイテム進化、通信交換などによる進化、マンムーは特定の技を習得しレベルが上がると進化するタイプとなります、これはメガヤンマさんと同じですね。原始の力を習得してからレベルアップで進化するので太古の遺伝子が影響してるのでは、とナナカマド博士が言ってましたね」
| ・ホントポケモンってネタが尽きないよな ・面白いもんな本当に。 ・進化ひとつとっても色々あるもんな。 ・石進化ですげぇ分岐するのもいるしな。 ・ブイズの事か~!!! |
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「そんなマンムーの特性は鈍感、雪隠れ、夢特性は厚い脂肪です」
| ・威嚇メロメロ無効、雪で回避アップ、炎氷半減か。 ・どれも強くね? ・強いて言えば雪隠れが雪依存なぐらいか。 ・厚い脂肪いいなぁ炎タイプに強く出られる。 ・個人的には鈍感が良いかな。 |
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「私のマンムーは厚い脂肪でテラスタイプは草です、なのでいざテラスタルをさせると中々に面白い耐性になってくれるので重宝してます」
| ・アイリス:やっぱテラスタルいいなぁ…… ・シロナ:あら、アイリスは行ったついでに研修受けなかったの? ・キバナ:オレ様受けたぜ ・ダイゴ:僕も。 ・なんか、業以外にもスゲェの流出してね? ・まあうん、それはしょうがない。 |
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「マンムーは氷と地面という恵まれたタイプ故に中々の技範囲を持ちます、攻めるという点においては氷と地面は冗談抜きで強いですからね。その反面、技を受ける立場になると途端に弱くなりますから、重量級ポケモンが主に取る技を受けてから反撃をするというのが難しいので上級者向けのポケモンとも言えます」
| ・あ~…… ・氷タイプってそこが難しいよな。 ・でも攻める時はマジで強いからな。 ・う~ん……でも使いたいなぁ ・カッコいいしな~ |
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「だからマンムー使いには兎に角攻めて攻めて相手に攻撃をさせないというトレーナーが一定数居ます。氷柱針、ロックブラスト、氷の礫、その場から動かずに手数を用意出来る技を覚えますからそれで相手の動きを封じた所に強力な技を叩き込む、これを一つの必勝パターンに昇華させるトレーナーが多いですね」
| ・あ~成程、確かに。 ・相手に動きをさせないか……確かにそれも一つの手だな。 ・攻撃を受けない防御のための攻撃か…… ・それもありと言えば有りだな。 ・ナンジャモ:ラビ氏も出来るよね、ドダイトスとかマジでそれ。 ・キバナ:あ~いたいた、他にもいたわ。 |
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「物理防御なら雪景色からの雪展開と鈍いやリフレクターで何とかなりますし特殊面を上手くカバーしてやるのがトレーナーの腕の見せ所ですね。その気になれば草分けで加速したり、凍える風で相手のスピードを落とす事なんてお手の物ですから、やりようなんて幾らでもあるのがポケモンバトルです。サトシさんなんて見てみなさい、他の人が全く出来てない環境利用闘法をする人ですよ。なんですかジュプトルとオニゴーリでマグマラシとリザードン相手に勝つって、訳わからないんですけど怖いんですけど」
| ・まあ極論すればトレーナーの腕次第よな ・それは確かに ・その人を出すなぁ!!! ・あの人は卑怯だろうよいwwww ・いやそれは思うわ。 ・ホウエンリーグだっけ?なんで?ってなったよな。 ・冷凍ビームで火炎放射を防ぐ?何の冗談?って思ったよね ・メガシンカでもしたん?って思ったよね。 |
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「今は色んな人のバトル映像が簡単に見られますからね、それらを吸収して自分のに取り込むのも立派な成長です。さあ皆さんもどんどん前へと進みましょう」
| ・だからってサトシさんを手本にしろはきついぞ。 ・でも誰しもがやる。 ・ピカチュウ10万ボルトだ!!は一回いってみたい。 ・マジでそれな。 ・旅も出てみたいよな ・ガラルとかパルデアは敷居低いらしいからその辺りとかいいんじゃね? |
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そんな話が出てくる中で配信を切る。随分とエラそうに語ってしまった気がする。マンムーはマンムーでマイペースに雪を掘って何かを探している……厚い脂肪ではなく鈍感ではないのだろうかと思う時はあるが、あれはあれでバトルになれば酷く頼もしいのだ。
「さてと、帰るかマンムー」
「ムオオオオ」
こいつを背中に乗せるのは久しぶりな気がする、何時以来だろうか……まあどうでも良い事だ。ワザと身体を揺らして歩くが、こいつは微動だにせずに背の上にいる。ならいい、まだ鈍ってはいないらしい……。
マンムーはとある群れのボス、正確に言えばボス候補だった。ボスに挑戦したが敗北、群れを飛び出したところでラビと出会った。そこで特訓をしてボスに勝ち、新たな長になる権利を得たのだが……どうしてもそのままボスになるのが納得できずにラビのポケモンとなった。
「今日もするのか?」
「ムゥウン」
「分かった分かった、クレベースさんで相手してやるよ」
マンムーは常にラビを倒そうとする、ラビと戦って真っ向から打ち破りたいと心から思っている。ワザと身体を揺らしたのもそのチャンスがあるのか、衰えているのかを確認する為の物。その機会さえあれば……マンムーは迷いなく襲い掛かる……と考えているのだが実際は出来ずにいる。
『ムゥゥ?』
『ああっ寝不足でな……んっゆっくり行ってくれるのか?有難うな』
ラビの体調が悪ければゆっくりと歩き、彼を当たり前のように気遣う。本人はそれを指摘されると万全じゃない状態で勝っても嬉しくないと鼻を鳴らすが……実際はどのように思っているかは、マンムーにも分からないのかもしれない。