「キョウヘイ様とラビさんはお知り合いだったので?」
「ええ、俺が旅に出る切っ掛けになった人なんです。メイ共々遊んで貰ったりしたなぁ……」
「それはそれは」
バトルサブウェイ内の休憩室でスーツから普段着に着替えさせて貰い、休憩室内で事情を話すキョウヘイをノボリは微笑ましく聞いていた。ノボリも最近熱心に挑んでくれている彼の事を可愛く思っていたのかもしれない。
「キョッキョウヘイってイッシュ一のショッピングモール、ジョインアベニューの最高経営責任者の名前じゃん!?元ポケウッドのスーパースター!!」
「アハハハッ……そっちは出来れば忘れて欲しいなぁ……なんて」
その名前を聞いて思わず驚愕するサザレにキョウヘイは苦笑いを強めた。キョウヘイはポケウッドで活動こそしていたが……その時の事は若気の至りと思っているのか好ましく思っていない。それでも活動期間は僅か数年にも拘らず今も活動復帰が望まれているスーパースターとされている。
「しかし、君がアベニューの経営者とは……」
「なんか人助けのつもりで関わってたらあれよあれよとこんな事に……」
ジョインアベニューはイッシュが誇るショッピングモール、シンプルなショップだけではなくポケモントレーナーにとっては垂涎の施設が多く建てられていて地方内外から客足が絶えない超有名なスポットとして名高く、その経営者が目の前のキョウヘイ。
「スーパースターだった自分の知名度も上手く使って経営していったと聞きましたけど、中々にやり手ですねぇ?」
「か、勘弁してくださいよ……俺はもっとゆっくり発展させていくつもりだったのになんか凄いスピードで大きくなって戦々恐々としたんですよ……メイの奴も平然と宣伝するせいで最近はアベニューの拡張計画まで視野に入れないといけなくなって大変なんですよ……」
溜息交じりに忌々し気にメイの名前を呼ぶが、キョウヘイはメイの兄で二人は兄と妹。メイよりも2年先に旅に出て各地を巡った後にイッシュへと戻るとスカウトを受けてポケウッドで俳優として活躍、人気が最高潮に達そうとした所でいきなり引退してアベニューの経営者として転身した時は大ニュースになった。
「それで、彼女とはどうなんですか?」
「いっ⁉い、いやぁそのぉ~……」
顔を赤らめながらも言い淀むキョウヘイ、何やら言い難そうにしているのでサザレはラビに聞いた。ついでにノボリも気になったので聞いてきた。
「では問題です、キョウヘイ君の最後の主演作は何だったでしょう」
「確か……君に捧げるロズレイド、だったっけ?」
「ええ、その筈です。確か……仮面舞踏会で出会った男女が、周囲の反対を押し切って営む愛を描く映画だったと思いますが」
「そう、その女性役が―――今の彼の彼女さんです」
「「ほほう?」」
此処まで行ってしまったらキョウヘイの彼女は一体誰なのかという事は分かってしまったのか、二人は一層いい笑顔をするようになってしまった。敢えての言及はしないが現役アイドルで活躍中のあの子だと。
「でもそれって凄いカップルだよね」
「いやはやお似合いのお二人ですね、もしや二人のW主演というのもそれが関係しての……?」
「い、いえそれは全く関係ありませんから!?確かにあの映画はルッ―――いえなんでもありません!!本当に何でもありませんから!!」
もうそこまで言ったら勢いよく言ってしまえばいいのにと思うラビ、君に捧げるロズレイドはキョウヘイの唯一のキスシーンがある映画としても有名、初々しくも甘酸っぱくも切ないラブロマンスは見る者のハートを射抜き続けたという。
「まあそれは良いとして……スーパートレインの攻略は如何なんです?」
「いやぁそれが中々難しくて……ノボリさんまで行けない事もあれば行く事があっても負ける事が多数でして……色々育てて頑張ってるつもりなんですけど……」
キョウヘイもキョウヘイでトレーナーを引退しているつもりは一切なく、ジョインアベニューを経営しながらもその施設を実際に自分で体験して効果を実証しているとの事。故かアベニュー内のバトル関連施設の評判は頗る良いとの事。
「ノボリさん的にはキョウヘイ君への総評は?」
「そうですね、基本的に攻めるバトルをなさいますね。相棒のエンブオーと共に燃え上がるような勢いで相手を飲み込みに掛かるといった感じでしょうか」
目の前にキョウヘイがいるので何処かオブラートに包んでいるが、読み取ってみるとキョウヘイは良くも悪くも攻撃一辺倒になっているらしい。攻撃技で防御などをしたりするのは上手いが、どうにも受けに回ると脆いのでガンガン攻めて自分が得意な立ち位置に立とうと努力するタイプの戦術を得意とするらしい。
「成程……大体分かりました、そうなるとサトシさんに近いタイプですかね?」
「全体としての評価はそれに近くなるかと思います」
「な、なんか自分の評価をされるって緊張するなぁ……」
「分かる、くすぐったいよね」
そうなると……改善すべき部分は自ずと見えてくるわけだが、それは自分で気づいて貰いたい面もある。教えてもいいのだが……接ぎ木をされるよりも種から育てた方が良いと思う。
「折角です、ノボリさんお手伝いをお願いしても」
「次のダイヤまで余裕がありますのでお手伝いさせて頂きましょう」
「それじゃあキョウヘイ君、やろうか」
「えっええっ!?」
「サザレ、カメラ頼むよ」
「よし来た!!」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう」
「皆様、本日も週刊エンジョイポケモン放送局への御来客誠に有難う御座います。本日、運行の助手をさせていただきますノボリと申します」
「どうも皆今日も一日頑張ってる?偶には息抜きも必要だよね、俺キョウヘイ!!」
「本日はこのメンバーでいきます、そしてご紹介するポケモンさんは此方」
「ブオオオオオオオオオオッ!!!」
「エンブオーです」