家へと帰ってきて矢張り感じるのはこの家こそが自分の帰るべき家だという認識、実家が嫌な訳ではないが両親のせいでどうにも居づらいので此方が自分の本当の家のような感覚がしてならない。まあ兎も角のんびりとお茶を飲みつつも庭を見る。
「ぽに!!」
「プゥピィ」
オーガポンと一緒に菜園の手入れをするチヲハウハネ、相変わらずの我が道を往くマイペースさを発揮しているのか自分が居ない間も菜園の守護者としての責務を果たし続けていたらしい。弟妹達からもパラドックス組の中で大人しい方であるハバタクカミよりもずっと大人しかったというお墨付きを貰っている。
「ぷぴぃぃぃぃぃっ」
「ピィッ?」
「ぴぃぃぃぃ」
「ぷっぴぃぃぃ」
「プルピピピピ」
ウルガモスとテツノドクガからも声を掛けられているチヲハウハネ、ウルガモスも二匹を完全に仲間として認識しており関係は良好、テツノドクガもチヲハウハネ程ではないが大人しく未来パラドックス組としては異例の温厚さを見せている。そんな二匹で世話をしている菜園の木の実を分け与えるチヲハウハネだが、勝手に上げちゃダメ!!許可貰ってから!!とプリプリと怒るオーガポンに頭が上がらないのか素直に頭を下げている姿も見せている。
「ぽに、ぽにぽににぽにおーん」
「いやいいよオーガポン、チヲハウハネは菜園の面倒をよく見てくれてたんだろ?だったら木の実をある程度好きにする権利はあるさ」
「ぽにぃ」
言いたいことは分かるけど、と言いたげなオーガポンの頭を撫でて諫める。菜園を見てくれているポケモンは他にもいる事にはいるが一番見ているのは間違いなくチヲハウハネだ。そんな彼だからこそ木の実をある程度自由に使うのは問題はないと思っている。寧ろチヲハウハネ、テツノドクガは良い方だ、それに比べて―――
「ファアアアアアドッ!!!」「ウィ・ルドン・ファァァァ!!!!」
「あっちは本当に相変わらずだなぁ……」
響き渡る轟音と共に上げられる雄叫びを聞きながら思わずため息が出てしまう。すり鉢状に掘られた大穴、岩や地面、そして鋼タイプが良く利用する周囲に被害を出さないように作られたバトルフィールドで激しくぶつかり合うイダイナキバとテツノワダチ。ロースト砂漠での一件で分かっていた事だが、この二匹は兎に角仲が悪い。ライバルというよりも宿敵と言った言葉が似合う。あれからそれなりの時間が経っているが、イダイナキバはラビをトレーナーとして認めてはいるがその一方でテツノワダチは全く認めてくれない。幾らバトルで勝とうと共に変わらずに。
「本当に元気だねあの子ら」
「それが取り柄みたいなもんだからな……あっ唯一とは言ってないからな?」
「思ってないし言ってもないよ」
パラドックス同士の戦いは他のポケモン達にも大きな刺激となっており、始まると直ぐにフィールドの傍に集まって観戦をしている。気持ち的にはスタジアムに集まる観客だろう。
「イダイナキバの原始的だけど勢いと力強さはピカイチなバトル、テツノワダチの精密かつ正確で無慈悲に相手を追い詰める詰将棋のようなスタイルは見てて楽しいだろうからな……」
「ラビ的にはどっちが好き?」
「どっちも好きだな」
単体で完結した豪快で単純なバトルも、振り返った時にその軌跡を見て満足出来る精密なスタイルもどっちも好み。だからこそテツノワダチとも仲良くなりたいのだが……
「……フリード達に相談するかなぁ……?」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するポケモンは此方です」
「チラララン~♪」
「チラチーノです」
| ・おおっ可愛い!! ・シンプルに可愛い系がきて嬉しい ・なんか嬉しくなるよね ・いい可愛さだ……。 ・結婚したい ・またお前か。 ・Mr.Mがまたキタか ・おい待てなんだそのMr.Mって ・Mr.Marriageの略 ・草 |
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「チラチーノはノーマル単タイプのポケモンです。チラチーノの特徴と言えば身体からマフラーのように伸びているこの白い毛並ですね、これは特殊な油が分泌、それでコーティングされており埃や静電気を寄せ付けず弾き、摩擦などもなくして物理攻撃を受け流す事が出来ます」
| ・なにそれシンプルに羨ましい。 ・グリスとして使えねぇかな? ・なにそれ贅沢。 ・アイリス:あ~だからオノノクスの一撃は受け流されちゃったんだ ・えっあれを受け流すの? ・キバナ:それ凄くね? ・シンプル凄いです |
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「この油は極めて滑らかで人間が使っても大きな効果があります、私も毎朝彼女から油を貰って肌に塗らせて貰ってます。これは美容にかなりの効果があり、肌荒れには特に効果的です。その為にチラチーノから採取、精製した油は高価で取引されています」
| ・何、ですって……!? ・そんなに凄いの!? ・も、もしかしてヌシがマジで合法ショタなのッて……? ・ナンジャモ:あ~そういえばラビ氏の肌の艶って凄かったなぁ…… ・ナモ公がいます! ・どうでもいいんだよそんな事!! ・ナンジャモ:どうでもいい!?ボク、ナンジャモが如何でもいいですと!? ・アンタよりそっち方が優先なのドゥーユーアンダスタン!? ・ナンジャモ:あっはいそうですねすいません ・ナモ公、もうちょっと強く、さ……? |
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「(サザレ?私も使いたい、というか早く教えてよ!?……後で謝ろう)特性はテクニシャン、メロメロボディ、夢特性はスキルリンクです。スキルリンクは連続攻撃技に関係する特性でして、連続攻撃技はその名の通り、連続で攻撃する関係で相手によっては途中で抜けられたり精度が落ちたりして2回だったり4回だったりするのはご存じですよね?」
| ・テクニシャンにメロメロボディ、スキルリンク? ・威力アップに状態異常誘発に……なんだろ? ・あ~往復ビンタの回数が伸びないんだよな ・俺は氷柱針 ・私はロックブラスト。 ・あるある過ぎて泣けるわ。 |
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「スキルリンクは一度命中さえすれば最大限の攻撃を出来るのです、チラチーノの得意技であるスイープビンタも連続攻撃技なのですが、当たりさえすれば最大の5回攻撃が決定されるのです」
| ・マ、マジ!!? ・俺のパルシェンの氷柱針が一気に五連続!? ・なにそれ怖い、殻破からそれいったら泣くわ。 ・マルスケ全然怖くねぇじゃん。 ・いいなぁ。 ・マジで怖い。 |
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「私のチラチーノはテクニシャンなのでスキルリンクではないのですが、そこは道具でカバーします。いかさまダイスという道具があるのですが、これは連続技の連続攻撃数が4回以上になるという物です、と言っても技その物の命中率は据え置きなので外れる時は外れますけどね」
| ・マジでイカサマじゃねえか!? ・456賽かな? ・間違ってない。 ・でもそれだとスキルリンクってなくても良くね? ・キバナ:いや、スキルリンクだと道具を別に出来るから差別化は容易だな。 ・ナンジャモ:スキルリンクハチマキとか、テクニシャンダイスとかかな? ・あっ成程…… |
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「それだけではなく、スキルリンクの場合は王者の印などと組み合わせると相手を怯ませる可能性がグンと上がるので中々侮れません」
| ・あ~持たせて攻撃すると偶に怯む奴だっけ? ・カスミ:えっニョロトノに進化するだけじゃないの? ・あ~あったあった……って ・お、お前はっ!! ・自称世界の美少女!! ・カスミ:そうそう知ってる人も多い―――って何よ自称って!? ・サトシ:いや、言っちゃ悪いけど普通に自称なんじゃ……? ・タケシ:俺もそう思うぞカスミ。というかもう美少女ではないと思う ・サトシ:美女だよな普通に ・カスミ:アンタら今度覚えときなさいよ ・サラッとここで同窓会しないでください。 ・なんでこうも此処のコメント欄はカオスなんだ ・今に始まった事じゃねぇけどな |
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「さてチラチーノの技は基本的に威力が低めな物が多いです、故にテクニシャンではそれによって威力が上がります。スイープビンタ、種マシンガン、ロックブラスト、トリプルアクセル、これらは連続技でスキルリンク、テクニシャンの双方も適用されます。スキルリンクでは安定した火力を、テクニシャンでは理論上は4回以上当たればスキルリンク連続技よりも大きなダメージが出ることになります」
| ・へ~成程。 ・ダイスでサポートしたら威力だけなら確実にテクニシャンが上なのか。 ・でもしるしで相手の怯みも美味しくない? ・キバナ:実際美味いな、威力を取るか相手の行動阻害を取るかだな。 ・アイリス:それにしても面白いこと思い付くなぁラビさん ・ナンジャモ:まあだって、ラビ氏だし。 |
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「と言っても連続技だけをメインにするのは鋼タイプに辛いので他の技や素直に交代をする事をお勧めします。他にはフィールド破壊のアイススピナー、交代の蜻蛉返り、アイテムを落とす叩き落とす、フェアリー対策のダストシュート、岩タイプなどにアクアテール、格闘、悪、ドラゴン対策のじゃれつく、素早さアップの草分け、鋼対策の穴を掘る、体力を削る怒りの前歯と我武者羅に体力依存で威力が上がるじたばたなどです」
| ・悪くないラインナップじゃない? ・あ~……でも鋼に弱点突けるのが穴を掘るだけなのは確かにキツい。 ・アクアテールとかで上手くカバー利くかな? ・キバナ:鋼は地面とか入ってる事も多いからな。 ・アイリス:前歯で素直に削るのもありじゃない? ・あり寄りのあり。 |
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「変化技としてはステルスロックなどを排除しつつ龍舞をするお片付け、相手の動きを縛る電磁波、歌う、防御の身代わり、光の壁、堪える、攻撃を下げる甘える、そしてバトンタッチなどがあります」
| ・でたよお片付け…… ・毒びしとかステロ片づけないでくださいそれ使うんです ・これで攻撃素早さ上がるの詐欺やろ…… ・漸く出来るようになった盤面操作がぁぁぁ!!! ・しかも電磁波とか歌うも出来るとか言うな。 ・んで上がった攻撃と素早さをバトンタッチする ・キバナ:割とマジで厄介だなこいつ…… ・ナンジャモ:可愛い顔してエグいなぁ |
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「かと言っても連続技は相手を見極めてするべきですのでご注意を、鮫肌や鉄の棘、そしてゴツゴツメットと言ったものは直接攻撃するごとにダメージを負うので逆に此方が大ダメージを負う危険性もありますし逆に持久力は一気に防御を上げてしまい物理技での突破が事実上不可という事態も招きかねません。気品高くありながらも舞うような連打を浴びせかけるチラチーノ、如何でしょうか?」
| ・う~ん欲しい!! ・ゲットしてぇけど、そうか相手によってはこっちが苦しくなるのか。 ・う~ん……ポケモンって大変だな。 ・キバナ:オレ様としては相棒で突破確実だな、鋼がキツいのが分かるからな。 ・アイリス:私は~……神速で上から封じるのもいいかも ・ナンジャモ:ボクはシンプルに上からかな、もっと早い子いるし |
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といった所で配信を切るとサザレが直ぐに駆け寄ってきた、目的は勿論……
「ラビ、毎朝使ってたのってチラチーノの奴だったんだ!?」
「そうだ、毎朝新しいのを持ってるんだ。調合の仕方知ってるから作ってるんだよ、欲しい?」
「うんっ勿論!!だってチラチーノ印の化粧品って凄い人気だけど凄い高くて、美容にも凄い効くから乙女の憧れなんだよ!?」
「分かった分かった、使っていいから」
「やった~ラビ大好き~!!」
「ちょっ抱き着くなぁ!?」
「チラチ~チチチララ」
フフフッラビ坊やにも漸く素敵な番が出来たのね?良い事だわ、あの子ったら良い男なのにワザとらしく女性に興味ないふりしてたからちょっと心配してたのよね、そのせいで色々と重い子に好かれちゃってたからそれで満足してたと思ってたけど……無用な心配だったわね。
「ソルルルッ!!」
「チィラ」
駄目よ邪魔しちゃ、坊やの幸せなんだから。野暮な事をしたらいい女とは言えなくなるわよ?苛立っているアブソルを宥めるチラチーノ、アブソルは歯軋りをするが、チラチーノは彼女を抱きしめる。アブソルがラビの事を好きなのは分かっている。
「チィィラ、チラララノ」
「ソルル、ルルルルルブァ……!!」
「チィィラ~」
興奮するアブソルの頭を撫でて宥めるチラチーノ、愛情を捨てろなんて言ってはいない。だからと言ってラビの幸せを邪魔していい訳ではない、自分が認めた男の幸せを守る……それがチラチーノが大切にしている矜持である。
「チィララン」
ラビを坊やと呼ぶチラチーノは何処か不思議な色気を纏いながらも不貞腐れるように自分の毛並に顔を埋めるアブソルを撫でてやるのであった。