「……」
ダイケンキはラビの相棒である。当人もその自覚があり、最古参としてラビのポケモン達を纏める役目を重々承知し、精を出している。旅をする度に相棒は強いポケモンを仲間にしていく、その相棒が弱いとあっては示しがつかないし自分こそが群れのボスに相応しいなどというふざけた考えを持つ愚か者が出かねないためにダイケンキは普段から鍛錬を欠かさない。
「ケンッ!!」
そんな姿勢にオノノクスを始めとしたメンバーは素直に関心と尊敬を向けている、そんなダイケンキを下して自分こそが一番強い!!と証明したい者も少なからずいる訳だが……そんな連中の挑戦を一切無下にせず律儀に全て受けて勝っている。そんなダイケンキも苦戦しているものがある。
「―――っケェンッ!!!」
振るわれた一撃、アシガタナで行う抜刀術。放ったのはラグラージ……ではなくそれを倒したアシレーヌに用意して貰った巨岩、ラグラージより腕力が強い歌姫が居ていいのだろうか……とダイケンキは思わなくもないが実際いるのだからしょうがない、と思いながらも一閃は見事に巨岩を両断し見ていたオーガポンと赫月ガチグマから感嘆の声を貰ったが当人は不満げだった。
「ぽに?」
「ケン、ケェンダキ」
「ワギィィ……ワギ」
上手くいったなのにどうして?と言いたげなオーガポンに事情を察している赫月ガチグマの言葉に頷きながら再びアシガタナを抜刀して半分になった巨岩に向けて剣を振るう、すると今度は岩全体に亀裂が一瞬で入り、崩壊していった。オーガポンは素直に感嘆の息を漏らすが、先程の一撃とは違い過ぎる事に首を傾げている。
「ねぇラビ、ダイケンキですら苦戦するってそれだけヒスイの技って難しいって事?」
「それもある、がそれ以上に今のダイケンキとはうまく波が合わないんだ」
それを見ながらもお茶をするサザレとラビ。初撃は秘剣・千重波、あれが悪タイプの技なので巨岩に対しては等倍の効果を発揮、第二撃はシェルブレードで効果抜群。だから千重波は成功といえるのだが……千重波の真価は周囲にまきびしを撒く事にある、だがそれが不発に終わっている。
「あの技は本来ヒスイダイケンキが習得可能な技、現代のダイケンキからしたら難しい技だ」
「でもかなり上手くいってない?」
「威力だけを見たらな、だが千重波の効果が発揮されてない。あれなら辻斬りでいい、辻斬りなら急所に当たりやすいしな」
やってる事自体は相当に無茶だと言われたらそこまでかも知れないが、それでも相棒がやりたいと望んだならばトレーナーとしてその後押しをするのみでしかない。
「仮にヒスイダイケンキに会えたら如何する?」
「如何もしない、興味が無い訳じゃない。だがそこまででしかないし他のダイケンキなんて、っていい方は失礼だが……―――俺のダイケンキは最強だ、俺のダイケンキはあいつだけだ」
相変わらずラビのダイケンキへの信頼は絶大だ。まあだからこそレッドのリザードンやサトシのピカチュウとも渡り合う事が出来るのだが……それを聞いて益々千重波の習得に精を出すダイケンキにサザレは微笑んだ。
「ああでもさ、ボルテッカーをシェルブレードで防いだ時は吃驚したよ?」
「あの人のゲッコウガなんてメガリザードンの雷パンチを水手裏剣で防いでいるんだ、似たようなもんだろ」
「いや全然違うと思う」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方」
「ロロロゼル」
「フローゼルです」
| ・おおっフローゼル!! ・マキシさんで苦労した…… ・マキシマム仮面だ! ・キバナ:ほぅ結構愛嬌あんじゃねえか。 ・アイリス:サトシが進化前のブイゼルって子もってたな~ ・ナンジャモ:なんで僕水タイプを警戒してるんだろ…… ・トラウマになってんじゃねえか |
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「フローゼルは水単タイプのポケモン、身体の黄色いものは浮袋になっており潜る時はこれを萎ませて潜水します。浮上などにも用いますが、空気を入れた状態では人間が上に乗っても沈む事はないので海難救助隊ではラグラージに並ぶ隊員筆頭ともされております」
| ・ラグラージよりも多い印象あるな ・まあラグラージは珍しいからなぁ ・そうなるとフローゼルが多くなるのも当然だよな。 ・俺の故郷の港町だといっぱいいて、皆から可愛がられてるぞ。 ・俺んところも一緒に漁に行くな。 |
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「これを利用して漁のお手伝いをする事も多いです、これはトレーナーがいる個体だけではなく野生の個体も漁師町に多く生息していて自分の能力をうまく活かして人間と共生関係を築いています。漁のお手伝いのお礼として採れた魚の一部を分けてあげたり、可愛がられていたりと人間とは上手くやっているポケモンです」
| ・俺んところは野生のブイゼルも混ざって来るぞ ・想像したら凄い和むんですけど。 ・私の所は船一隻に付き二匹ついてくれるぞ。それでサメハダーとか来たら教えてくれるの ・嵐が来たら教えてくれたりもするから助かるんだよな ・漁師町出身だとブイゼルが最初のポケモンってのも多いもんな。 |
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「特性はすいすい、夢特性は水のベールです。フローゼルの長所といえばその素早さです、そのスピードはスターミーと同程度でこの上となるとそれこそゲッコウガやカマスジョーさん位になりますね。その反面耐久面は脆くはありますけど……」
| ・耐久面が脆い……? ・それ本当か? ・どっかのブイゼルはエグい位に耐えてたような……? ・うん、凄かったよね。 ・何処のブイゼルなんでしょうね ・ナンジャモ:絶対あの人じゃん。 |
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「サトシさんのポケモンを勘定に入れないでください……そんなフローゼルですが、攻撃面はかなりの物です。ウェーブタックル、アクアテール、アクアジェット、アクアブレイク、滝登り、クイックターン、アイススピナー、氷の牙、冷凍パンチ、けたぐり、噛み砕く、アイアンテール、グロウパンチ……と中々な物です」
| ・やっぱ水技の種類豊富だな ・キバナ:これ水技だけでもかなり戦えるだろ ・ナンジャモ:氷技もいけるのね……これは注意しないと。 ・結構範囲広いなぁ ・そもそも水がな。 |
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「この中で最も強力なのがウェーブタックルです。水タイプというのもありますが、すいすいの発動条件である雨下では更に火力が上がります、更に此処に拘り鉢巻と水テラスタルが加わると……大抵のポケモンが飛びます、ガブリアスだろうがメタグロスだろうと飛びます」
| ・えええっ!!? ・そんな火力出るんの!? ・なにそれこわ…… ・キバナ:……オレ様の相棒もやべぇかもな。 ・アイリス:超火力特化型の強みだね…… ・ナンジャモ:でも鉢巻きまで使うとなると対応力激落ちじゃない? |
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「ナンジャモさんの言う通りです。他のすいすい持ち、ルンパッパさんやキングドラさんと比べるとサブウェポンの火力が足りない上にウェーブタックルに依存してしまっているのでピーキーな面も否定出来ません。ですがやりたい事も分かりやすい分、それを活かしたり補強する事も比較的に容易なので何とかなりやすくもあります」
| ・あ~……素直に壁張ったり? ・対策だと逆にトリル張っちゃうのもありだな。 ・キバナ:オレ様も出されたら天候調整気を付けねぇとな…… ・アイリス:私もその火力の止め方考えないと…… ・ナンジャモ:……ボクならヒスイマルマイン氏で上からかな |
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「雨の中を突き進む驚異の超火力フローゼル、いかがでしょうか」
本日の配信も終わりにしておく。フローゼルは尻尾で器用に立ち上がってそのままスクワットのような事をし始める。彼の自慢はその尻尾の強靭さ、泳ぐ時にも使う為か熱心に鍛えている。
「んっ雨降りそうだな……っておいフローゼル、まあいいか……ダイケンキ相手してやってくれ」
この雨、正しく運命だろう。天は言っている、今日こそダイケンキに勝てと!!水ポケモン最強の称号は今日こそこのフローゼルが頂く!!とダイケンキに宣言するのだが肝心のダイケンキはお前はまだそんな事言ってるのか……と言いたいのか酷く呆れた顔をしている。当人からしたらそんなのはどうでもいいのかもしれない。
「ゼルルルルルル!!!」
問答無用!!雨さえあれば私はアルセウスすら凌駕する存在なのだ!!そしてラビの隣には私が立つ!!と宣言するとダイケンキは目の色を変える、水ポケモン最強とかそんな事はどうでもいい、だがラビの隣だけは絶対に譲るつもりはないと強い意志を瞳に宿す。
「ゼェエルルルルルララ!!!」
「ケエェエンッ!!!」
この後、フローゼルはそれなりに健闘するのだが……ウェーブタックルごと未完成の秘剣・千重波で切り裂かれて敗北を喫するのであった。が、当人は清々しい顔でまたチャレンジすると前向きな様子だったという。