「さて、これからは特別なバトルとさせていただきます」
オレンジアカデミーで行われていた生徒と四天王の交流試合。それも佳境に差し掛かったところでオモダカが大きな声を出してそれを宣言した。
「この度オレンジアカデミーには留学生としてブルーベリー学園リーグ部のお三方をご招待しております。皆さん、その実力がどれほどの物なのかと気になっている方も多いでしょう、それは私達パルデアリーグの面々も同じ、故にそれに相応しいトレーナーとの模範バトルを行いたいと思います!!」
その声に一斉に湧き上がる声、レビ達と仲良くしている生徒達もその実力が気になっていたり、本気の姿を見たいと心から思っていた事だろう。そしてそれはこの交流バトルで何処か蚊帳の外だった当人たちとしても嬉しいサプライズである事には変わりなかった。
「カエデさんと戦えないと思ったらそう言う事だったのね?分かってたから後で良い事があるって言ったのね」
「ナンジャモさんと戦えると思ったのに……」
「なるへそ物語~でも相応しい相手って誰?」
唯一一人が不満げな顔をしているが、三人に概ね不満はなかった、それだけの相手とバトル出来るのであれば問題はない。が、となると一体誰なのかという話になる訳だが……
「シロナさんとか?」
「いやあの人もう帰ったって聞いたわよ?サトシさんかしら?」
「レッドさんかな」
「「「何で普通にこの名前が出るんだろう……」」」
言った自分達ですら疑問に覚える程の事態に頭が可笑しくなりそうになる、自分達もあの二人には色々旅の思い出を聞かせて貰ったり、バトルをして貰ったりしている為か普通に親戚ぐらいの感覚になり始めている……正さないと……。
「お三方のバトルの相手は―――此方です」
一体誰が来る……と誰もが四天王が登場して来た通路を見る、が誰もやってこない。オモダカも一瞬あれ?と首を傾げそうになった所にバトルフィールドに黒い渦のようなものが出現し、そこから人影が出現した。それは全身が現れると纏っていた闇が四散してその正体を露わにした。
「「「お兄ちゃん!!?」」」
「折角だから登場に拘ってみました、気の利いたサプライズでしょう」
それは気の利いたサプライズではなく単純な嫌がらせなのでは……とチリは心の中で思うだけ思うのであった。尚、これをやる為だけにダークライが協力している。ダークライが生み出す闇は単純に相手を眠りに堕とすだけではなく、こういう事も出来たりするのである。
「さてと皆様どうもごきげんよう、私はしがないイラストレーターで趣味で配信者をしておりますラビと申します。ブルーベリー学園からの留学生であるレビ、レベ、ロルは私の弟妹達、故にかオモダカ理事長から折角だから長兄として弟妹達の成長を見たらどうかとお誘いを頂きまして」
刹那、ラビの雰囲気が一変した。温和で人当たりの良さそうから一転して鋭い瞳、不敵な笑み、その手にモンスターボールを乗せる姿は海千山千を潜り抜けて歴戦のトレーナーという様子でしかなかった。特にリコ、ロイ、ドットはその変化に驚きを隠せずにいた。
「という事は……本気のお兄ちゃんと戦える、そう思っていいのかしら?」
「んじゃ俺達も本気でやるしかないね」
「アハッ―――ガチで勝ちに行くのもイイっしょ」
兄は何処か自分達が成長出来るように加減を加えてくれていた、だが今度はそれはない。本気で叩き潰しに来る、だがそれでいい、自分達が強くなれるチャンスなのだから、ずっと本気の兄と戦いたかった。
「最初は誰が来る、誰でもいいが」
「―――俺に行かせてくれねぇかな」
真っ先に名乗りを上げたのがレベだった、それに二人は異論をはさむつもりはなく後ろへと下がった。理由は単純、男の子だからだろう。強い相手と戦いたい、それが最愛の兄であるのであらば尚の事だろう。
「ルールは一対一、ノーリミットルール、いいな」
「―――」
その言葉に頷きながらもさり気無くナンジャモの方を見るレベ、その視線に気づいてナンジャモは笑顔を浮かべながら頷く。そのエールを受けながらボールを手に取った。
「勝ちにいくぞ、バンギラス!!」
「バアアアゴオオオオオッ!!!」
フィールドに繰り出されたバンギラスはすぐさま状況を理解した、そして同時に周囲に砂嵐を展開する。バンギラスが最高のパフォーマンスを発揮出来る場が完成しそれを突破するのは容易い事ではない……が、それはバンギラスを持っているラビとて承知している、故にそれを真っ向から叩き潰すに相応しいポケモンを今回連れてきている。
「ガチグマァ!!!」
「ワギィィィッ!!!!」
繰り出されたポケモンはフィールドに地響きを起こし、力強く登場した。それはピートブロックによって進化し研究者の間で多くの論議や研究が行われ続けているヒスイポケモンであるガチグマ。それがどのように戦い、どんな技を使い、どれ程の能力があるのかはまだベールに包まれているのだが……それを今、此処で見せる事にする。
「ヒスイのガチグマ……お兄ちゃん、分からないポケモンならボクが勝てないとか思ってないよね?」
「試してみるといい―――相手はバンギラス、お前の初戦としては十分すぎる相手だ……さあ初陣と行こうか……打破せよ、ガチグマ!!」
「えっと、設定がこれで用意があれで……よし、んじゃロトム、スタートするから宜しくね!!」
『了解ロト!!』