週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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バトル:ラビ&ロル

「レベ氏……!!」

 

ナンジャモは探していた、ラビとのバトル後にその場から去ってしまったレベを。校舎内を歩き続けると矢張りというべきか、今注目は校庭のバトルフィールドに集中している為に人がいない。

 

「大丈夫、かな」

 

ほんの一滴の涙。気にし過ぎだと言われたらその通りなのかもしれないが、それでも胸がざわめいたのは確かだったのだ。そして漸く見つけた、丁度死角になるような位置でバンギラスの物だと思われるボールを手の中で回していた。声を掛けるべきなのか、それともそっとしておくべきなのかと今更ながら気になったが、意を決して傍まで行く。

 

「レ、レベ氏」

「……ナンジャモさん、恥ずかしい所を見られました。カッコつけた癖にこの有様です」

 

何処かやけっぱちのようにも感じられるような座り方に脚の放り出し方、色々と来ているのが分かった。ナンジャモは途中で買ったジュースを渡しながらも隣に腰を落ち着けた。

 

「正直参りましたよ、お兄ちゃんとは何度もバトルしてるし繰り出したのは相棒のバンギラス、負けないまでも良いバトルが出来るって自負はあった……だけど実際はボロボロ、ガチグマの迫力に気圧されてロクなもんじゃなかった」

 

リングマからの進化なのだから根性の可能性は十分にあった筈、それなのに炎の牙という選択を取ったり、肝心要のテラスタルを使う素振りすらしなかった。と言ってもバンギラスのテラスタルは岩なのでガチグマへの優位性はない……いや格闘技のダメージを減らす位は出来ただろうに。

 

「でも、ラビ氏がそれをさせる戦いをしなかったのもあったと思うよ。テラスタルは時間がいるから接近戦に持ち込んで隙を与えてこなかったし……」

「それはそうです、でも―――お兄ちゃんは早業も力業も使わなかった、手加減されていた」

 

手加減されたというのは的確ではない、使う必要もなかったしあのガチグマがそれらをまだ十全に使えないというのもあり得る……何にせよ自分は負けた、それだけが的確な事実でしかないのだ。

 

「ボクは別にお兄ちゃんに負けた事は悔しくないんです、いや悔しい事は悔しいけど正直なことを言えば負け慣れてるんですよ」

「よくバトル、してたんだね」

「そりゃもう……ボク達の技術は兄仕込みですから」

 

一体何度バトルしただろうか……数えきれないほどに戦った。その度に負けて、不貞腐れたり、奮起したり、泣いたり笑ったりした。でも今回は―――

 

「ナンジャモさん」

「何?」

「……慰めて、貰ってもいいですかね……?」

「ボクとレベ氏の仲じゃない」

「……辛い、よ」

 

素直に吐き出した心中、パルデアに来てテラスタルオーブを手にして前に進めたと思っていたレベ。だがその実は余り大きくはなれていなかった事が良く分かった、兄の全力を引き出しきれなかった自分の弱さに辟易していた。

 

「レベ氏、辛いんじゃなくて上を目指せるって喜ぼうよ。まだまだ、レベ氏は強くなれる」

 

ナンジャモはこういう時にどうしたらいいのか分からない、だから……頭を伏せているレベを前から抱き締め、優しく背中を摩りながら彼を前へと促す言葉を呟くのであった。

 

「……すいませんナンジャモさん、少しこのまま、いいですか……?」

「幾らでも、レベ氏なら、いいよ」

「それと……ボクの事、レベで、いいですよ」

「じゃあボクもナンジャモでいいよ」

 

この日、レベとナンジャモは近づいた。

 

 

「ランクルス、雷パンチ!!」

「ウーラオス受け流せ!!」

 

続くロルとラビの戦い、ロルが繰り出したのは相棒のランクルス。エスパータイプにも拘らず物理攻撃を得意とするランクルスはラビのウーラオスと殴り合いの近接戦を繰り広げていた。

 

「ラスラウラスラスゥ!!」

 

ランクルスは緑色のゼリーのような物体の中に居るが、そのサイコパワーを活かして戦う。エスパータイプのポケモンではあるが、サイコパワーでこのゼリー状物質を操って腕として扱い、その腕で岩を砕いたりする事も出来るという中々に武闘派なエスパータイプとして知られている事でも有名。それはウーラオスにも通ずるのか、ウーラオスもかなり気合を入れながら雷パンチを受け流している。

 

「アクアジェット!!」

「サイコフィールドだし!!」

「っアクアブレイクにチェンジ!!」

 

・えっチェンジとか出来んの!?

・キバナ:出来ない事もねぇけど……威力自体は落ちるな。

・突然変える訳だもんな、でもなんでだ?

・シロナ:サイコフィールドは先制技封じでもあるからね

・オーバ:フィールド展開前に攻撃を当てられるか分からないから確実性を取ったな

・あの一瞬でそこまで考える?

 

水流となって突撃するウーラオスに対してフィールド全体にサイコパワーを張り巡らせようとしたランクルス、それを見て咄嗟にアクアジェットをアクアブレイクへと切り替えさせるラビ。鋭く速い水流は一転して瀑布のように変化してランクルスへと襲い掛からんとする。

 

「ワイドフォースゥ!!」

 

アクアブレイクになったことで到達時間が変化した、ランクルスはサイコフィールドを利用した絶大なサイコパワーの波動を打ち放った。それがアクアブレイクと激突する、突然アクアブレイクへと切り替えた事で技としての完成度は高くはない、そしてウーラオスは格闘タイプ故にワイドフォースとは相性が悪い。

 

「ルルルウラアァァア!!!」

 

アクアブレイクごと吹き飛ばされて地面に転がるウーラオス、それを見てワイドフォースの更なる追撃が行われる。まるでサイコパワーの津波のような波動が迫ってくる、サイコフィールドに強化とワイドフォース自体が持つサイコフィールド下での火力上昇、それがウーラオスへと迫ってくる……がラビは落ち着いている。

 

「ウーラオス、もっと深く、身体の奥深くへ抉りこむように打て―――水流連打!!!」

「ルルルッゥゥゥウウウウウウラァアアアアア!!!」

 

雄叫びを上げる、同時にフィールドへと深く深く撃ち込まれる震脚、そして瞬時にウーラオスはワイドフォースへと飛び込んでそこへ裂帛の叫びと共に流水の連撃が叩き込まれた。

 

「―――嘘っしょ?」

 

バトルにおける思考の停止は危険、それを重々理解している筈のロルが思わずそんな言葉を口にした。ウーラオスの水流連打、両手両足に纏った水をいや全身を水のようにしならせて繰り出される連撃がワイドフォースを穿っていた。そして水は形を変えて、急速に回転して空いた穴を更に広げて波動を両断した。

 

「ルルルルラァァァァ!!!」

 

独特の叫びを放つウーラオスはそのまま突進する、力強くありながらもその動きは極めて流動的且つ変幻自在。ランクルスは再びワイドフォースを放つが今度は一転、柔らかな動きで跳躍し真上を取り、そのまま雨のように真っ直ぐに落下しランクルスの身体へと連撃を浴びせかけた。

 

「ランクルス自己再生!!」

 

回復の指示が飛んでくるが、技の発動すら許さぬ怒涛の連撃がランクルスへと浴びせかけられ続けていく。そしてトドメと言わんばかりに飛び後ろ回し蹴りが炸裂しランクルスは地面へと叩きつけられ、目を回した。

 

「ランクルス戦闘不能!!ウーラオスの勝ちっす!!」

 

・……マァジかこれ

・ロルちゃんだって弱い訳じゃない、寧ろ強い筈なのに

・それを格闘タイプでねじ伏せやがった……。

・キバナ:ウーラオスだからな……一撃じゃなくてこれか

・アイリス:う~ん……やばいね。

・ダイゴ:水の一点集中攻撃でワイドフォースに綻びを作ってそれを強行突破

・並じゃねぇな……

 

「ランクルス、お疲れ様。いやぁやっぱお兄ちゃんマジ強で鬼ヤバっしょ!!まぁったくこれで目標がまた高くなっちゃったなぁ……まあ、ウチはその方がテンション上がっけど……それじゃあ反省会して来るね~」

 

そう言って陽気に笑って見せてからロルは去っていく、目指すは回復マシン。相棒を早急に回復させて自分も前を向かなければ……そんな妹を見送って最後にレビがフィールドに立つ。

 

「……本気で勝ちに行くわよ兄さん」

「望む所だ、俺はこいつで行く。勝ってみろ」

「ぽにおーん!!」

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