週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:スランプ&サプライズ

「本当にいつもすいませんね」

「いえいえ、そちらこそ大変ですね何時も……我々もこの辺りのパトロールは強化しているつもりでは居るのですが……矢張り甘かったようです。これは上に掛け合って強化しないと……」

 

そんな話をしているのは最早顔馴染みとなってしまっているジュンサーさん、ラビの家に忍び込もうとする不法侵入者を警備班が確保し、ロトムが連絡を入れていたのだが……そこにヘルガーの散歩帰りのラビが出くわしてお世話になっている皆に頭を下げている所である。

 

「それにしてもラビさんの所のポケモンさん達は本当に凄いですね、此処まで統制と連携が取れているなんて警察でも中々ありませんよ」

「まあ仲が良いですからね」

「それではこれで失礼します!!」

「はい、ご苦労様です」

 

送られていくパトカー、そして不法侵入者が詰め込まれた護送車……今回は15人だっただろうか。毎回毎回人数が凄いのに此処に来る時は必ず護送車が一緒に来るようになっている。それらを見送ると警備班にラビはねぎらいの言葉を掛ける。

 

「お前らマジでご苦労さん、今日のご飯は豪華にしてやるからな」

 

それに全体が歓喜する中でクールに頭を下げるゲッコウガ、本当に相変わらず硬い奴だと思うがそんなゲッコウガに軽く抱擁をしてやる。ゲッコウガはそれに軽く驚くが、背中をポンポンと叩いてやった。

 

「それじゃあ飯の準備するから、お前らも直ぐに来いよ?」

「ルガァ!!」

「いやお前のご飯はいつも通り……あ~はいはい分かった分かった、グレードアップしてやるから……」

 

俺のも!!と強請るヘルガーに呆れつつもラビは今日の一日を始めるのであった。

 

 

レビとロルはリーグ部設立のためにアカデミーに泊まり込み、というが寮が基本で家から通うなんて事はアカデミーのあるテーブルシティに家がある生徒位なのだが……何時まで経っても子供なんだからとそれを許すラビも甘いなぁ……と思うのであった。

 

「ダイケンキ調子如何だ?」

「……ケェンェン」

「いまいちか」

 

朝食後、ダイケンキに声を掛けて秘剣の調子を聞くが如何にもいまいちらしい。特性が切れ味のポケモン達と太刀筋の訓練もしていて、そこでもダイケンキは悪くない成績を出せてはいるが肝心要の秘剣・千重波に到達出来ずにいるのが現状。

 

「如何するべきかな……」

 

ヒスイの時代を生きていた頃の姿を持つポケモンはいるが、それは現代で先祖返りしたポケモン達でしかない。厳密に言えばヒスイのポケモンなどではないのだ、何か、ダイケンキの本能に訴えかけるような決定的な何かがあればいいのだが……

 

「マグァ?」

「んっ……ああ有難うな、んんっ美味しいぞ」

 

そんな悩みを抱えている所にクッキーを抱えたマグマラシが来た。マグマラシはそれなりの古参でジョウトでゲットしたヒノアラシなのだが……どうにも進化が妙に遅く、ジョウトリーグでもヒノアラシのままで、何ともサトシのヒノアラシを思わせる。そしてシンオウ地方でマグマラシに進化したのだが……そこから全く進化の兆しが見えないという不思議な個体。

 

「マァグゥ~?」

「ああ、大丈夫だよ。お前も知ってるだろアイツが強いって事は」

 

マグマラシもスランプ気味なダイケンキの事を心配しているらしい。マグマラシもそれなりに付き合いがある為だろう、そんな時にマグマラシは何かを決心したかのように立ち上がった。そして何やら腹に力を入れ始めた。

 

「何やってるんだお前さん……?」

「ケェン?」

 

ダイケンキもマグマラシの異変に気付いたのか何だ如何したと言わんばかりに近寄ってきた。身体を震わせて、何かに耐えるようにしていると―――マグマラシは火の粉と共に何かを吐き出した。火の粉はダイケンキに向かうが火の粉に驚くダイケンキではない、角で軽く弾くが、何かが当たった。火の粉の中に何かがあった?とラビは足元に転がってきたそれを手に取って見た。

 

「これって―――変わらずの石か!?」

 

変わらずの石。ポケモンの進化を抑制する効力を持ち、これを持つと進化が起きない。ポケモンによっては進化を望まない場合がある、下手に進化に抗おうとすると体調を崩したりなどの悪影響が起きてしまうのでそれを防ぐ意味合いでも使用される。それが今、マグマラシから出て来た……という事は……

 

「お前が進化しなかったのはこいつのってうおっ!!?」

 

そんなことを言っているとマグマラシの身体が光に包まれた。紛れもない進化の光だ、ある意味当然かもしれない、マグマラシは長い間を石によって進化を封じられていたのだからそのエネルギーが解放されたに近い。

 

「ねえラビなんかってなにこれ進化!?」

「ああそうだ、マグマラシが進化する!!」

「えっあの子が!?シャッターチャンス!!」

 

マグマラシは家でも火付け役をする事が多い為かサザレも仲良くしている、というか先程もクッキーを一緒に焼いていた。光の中で徐々に大きくなっていく身体、だがまあトレーナーとしては進化を祝福しようという気持ちが大きくなった。そして光が収まったと同時におめでとうと言おうとしたのだが―――

 

「バッグゥ」

「えっ?」「ケ、ケンッ!?」「はい?」

 

そこにいたのは確かにマグマラシの進化形であるバクフーン、それは間違いないのだが……バクフーンの特徴と言えばその血気盛んな性格、だがそこにいるバクフーンにはそんな様子はなく、大人しさどころか優雅さすら感じとれるものがあった。鋭い目つきをしている訳でもなく、寧ろアイシャドウをした垂れ目というのがピッタリな表現な程で耳も後ろに垂れている。加えてバクフーン最大の特徴である炎の噴出器官が背中だけではなく首回りを一周する形になっている。

 

「これって……まさか、リージョンフォームか?」

「パルデアの姿って、こと?」

「いやでも何かこれ……あっサザレ、あれだあれ!!ほらっヒスイのポケモン図鑑!!」

「あっうん分かった!!」

 

とサザレは慌てて家の中へと戻っていくが、バクフーンは何処か妖艶さすら醸し出している瞳のまま、そっとダイケンキへと抱き着いた。頭をこすりつけて甘えるような仕草は自分の知っている行動だが……この姿は……

 

「ラビ持ってきた!!」

「よし!!」

 

サザレが持ってきたのはヒスイの時代の物とされるポケモン図鑑、現代のそれと違って手書きの本のような物だが、これはあくまで写本。コピーされたものを纏めた物、それを捲っていくとそこにはバクフーンの項目があった。

 

ヒスイの中心にそびえし 霊山の気が 影響した姿と 考察。 行き場 失いし 霊魂を 己の炎で浄化し 送ると言う。……間違いない、ヒスイバクフーンだ……どうしてヒスイの姿に進化したのかは分からないけど……」

「バグゥ♪」

「ケ、ケェン……」

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