「んでなんで来たんです?お帰りは180度回転してそのまま靴を履いて扉を開けてくださいね」
「お前は素直に帰れと言えんのか」
「すいませんね口下手なものでして」
そう言いたくなるのも分かってほしい。家には既に教員のジムリーダーが滞在しているのだ、それなのになんでそれ以上の立場の人間がまたもや来るんだ、一人ぐらいナンジャモのところに行けよと言いたくなる位には色々思ってたりしている。
「ッ!!?い、今なんか異様な寒気が……!?」
「だ、大丈夫⁉そ、そのこうすれば暖かいよね!!?」
「ふわっれ、レベ氏!!?」
何やらラブコメの波動を感じた、まあ十中八九あの残念伊達男や自分の相棒関連ではない事だけは確かだろう。兎も角今は目の前の人物を何とかしなければならないのだから……。
「んで今回は一体何の用事なんですかオーバさん」
「敬語とかやめてくれよ、楽にしてくれよ楽に」
「楽だったら―――来るなら来るで連絡よこせよ赤アフロ、こんな感じになるけどいいですか?」
「お前、なんか俺に恨みでもあるのか……?」
「アッハハハハハハハ!!!」
ラビの遠慮皆無の言葉にオーバと共にやって来た客人が大笑いしていた、この人が居ると分かったらツツジとシャガも驚愕した事だろう。アカデミーに教員として出向いている時で本当に良かった……この二人がここに泊まると言い出さない限りは。
「先輩の子供が随分と小生意気になったもんだな!!いやはや、いいぞ男ってのはそうじゃないと張り合いがないもんな!!」
「全く……笑いすぎだよダツラさん」
「んだよ前みたいにおじさんでいいんだぜ?」
ラビの父、ハルは元バトルフロンティアのフロンティアブレーン。その担当していた施設はバトルファクトリー、現在はそれを後輩であり当時のファクトリースタッフのダツラがブレーンに就任している。ハルは後輩としてダツラを可愛がっており、家にも何度か来た事があり、ラビ的には親戚の叔父さんのような感覚の交友関係となっている。
「こっちとしてはまさかダツラさんと関係があるとは思わなかったからビビったぞ」
「そりゃ言ってないからね、というか自分の父親の後輩を話のどこから繋げろと?」
「それはまあ、うん……確かにそうだな」
兎も角、ダツラが来た理由というのは察しが付く。どうせあれらだろうなという予想がついている。どうせ業関連なんだろうなという……だがそれならなぜオーバも一緒なのだろうか。
「それでご用件は?」
「ああ、俺の方は後でもいいからダツラさんからどうぞ」
「悪いな、まあ俺は業関連なんだが―――単刀直入に言おう、ラビ、お前どこまでのポケモンの知識を持っている?」
「どこまでと言われるとそれはそれで困るんですけど……」
バトルファクトリーはポケモンへの知識が試されるバトル施設、そのブレーンたるダツラも知識では誰にも負けない自負がある。ファクトリーの挑戦は二つ、レンタルポケモンによる勝ち抜き戦かブレーンが所持しているポケモンの中から挑戦者が戦いたいポケモンを任意の数指名する方式になっている。
「俺はポケモンには自信がある、本で得た知識を実践して自分のものにしている。だが―――お前の配信での事は本当に凄くて毎度毎度俺の胸を熱くさせてくれるものばかりでな!!それで今回、俺が来た理由なんだがな―――配信で俺の出すポケモンについて意見を出してほしいんだ」
「意見を、ですか」
「ああ、俺でも手が付けられない暴れん坊でな……フリーザーでも押さえつけるのが難しいんだ」
「フリーザーって、伝説の鳥ポケモンの名前じゃねえか!?ダツラさんそんなの持ってるのか⁉」
「ああ、友達だぜ」
ダツラはブレーンの一方で趣味で様々な機械を作ったりする、蒸気機関の自動車やレシプロ機もその一つ。そんなレシプロ機を飛ばしている際に怪我をして墜落しそうになっているフリーザーを発見し、機体でフリーザーを支えながら着地するという芸当を発揮、そこでフリーザーを治療し友達になったという。
「あのフリーザーは元気なので?」
「元気も元気だぜ、最近はそいつに負けたからって俺のポケモンと猛特訓中だ」
「実質的にダツラさんのポケモンなのでは?」
「ハハハハッ!!あいつがボールに入ってくれるっていうならそうかもな!!」
「というか、ダツラさんとフリーザーでも抑えきれないってどんな奴なんだよ」
オーバの言葉は正しい、フリーザーは伝説のポケモンでそれと心を通わせるダツラはフロンティアブレーン、その実力はポケモンリーグの四天王にも匹敵するといわれているほどの逸材。そんな二人でも抑えきれないとなると……どんなポケモンなのだろうか。
「フリーザーと一緒に空を飛んでる時に見つけたんだ、ンで大怪我してたから一先ずゲットしてファクトリーで応急処置した後にドクターを呼んだんだが……どうやら戦わずにゲットされた事が気に食わないのかすげぇ暴れてな……便宜上俺のポケモンではあるんだが……全然言う事聞いてくれねぇし出たら暴れて手が付けられねぇでどうしたもんか、って感じなんだ、それに俺もそろそろ忙しくなる頃合いでな、だからこいつのトレーナーになってくれないか?」
「ラビ、これは確かにお前が適任だ。お前のポケモンにもいるだろこういうの」
オーバに言われてダツラにそりゃ助かる!!と声をあげられるのだが……ドラピオンはドラピオンで未だに自分を認めてくれていないし*1最近は攻撃の鋭さと容赦の無さが上がっている、機嫌を損ねてしまっているのだろう*2。
「だけど経験はあるんだろう?頼むよ、俺じゃあこいつを満足させてやれない、力を貸してくれよラビ」
「……分かりましたよ。そのポケモンがどんな子か知りませんけど、引き受けますよ」
ダツラの顔に泥塗る訳にもいかないしどんなポケモンなのかも興味がない訳でもない。取り敢えず引き受ける事にしようじゃないか。
「おし、んじゃ配信で公開するから準備頼むぜ?」
「実は出たかったなおじさん」
「あっ俺も頼むわ」
「アンタもかい」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日はゲスト付きです」
「よぅ皆、今日も知識を蓄えてるか?俺はダツラ、今日は宜しくな!!」
「久しぶりだな、オーバだ、覚えてるか?」
「今回はダツラさんからのリクエストになります、それじゃあお願いします」
「んじゃ行くぜ、出てこい!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!」
「ちょっガラルファイヤーじゃねえか!!!?」
「ちょっとそういうことは早く言いなさいよアンタ⁉」
「だから言ったろ、俺とフリーザーで抑えきれなかったって」
「ってバンギラスかお前⁉ああもう、オーバ手伝え!!ダイケンキ!!」
「お、応!!ゴウカザル!!」
「んじゃ俺も、ライボルト!!」