「ファアアアアアアドッ!!!」
「アギャアアアア!!!」
「クッソなんだアイツ、でかい癖にはええ!!」
分断には成功した、だがイダイナキバは想像以上に気性が荒いらしく自らの戦いを邪魔した此方を全く許す気がないらしい。地響きをさせながらも迫ってくる、コライドンの必死のダッシュにも追い付かんとする程のスピード、いや体躯が違う為にストライドで負けている。
「ハルトさん、合図をしたら右へ曲がってください!!」
「み、右!?コライドン行けるか!?」
「アギャ!!」
「よし、アーマーガア羽ばたけ!!」
「ガアアアアアア!!!」
翼の大きさでは負けんと言いたげな程に力強く羽ばたかれたアーマーガアの鋼の翼、それによって巻き起こされた風は砂漠の砂を巻き上げて砂嵐を作り出した、それは三つに分裂するとイダイナキバへと向かって行くのだが、イダイナキバはそれに対抗すると言わんばかりに高速スピンを発動してそれを打ち消しながらも一気に加速するも、直線的なスピードを上げた事で逆にコライドンの小回りを活かして背後を取る事に成功した。イダイナキバはゆっくりと此方へと向き直った。
「さあここから行きますよ」
「ああ、アチゲータ!!」
「ゲタッ!!」
「ファアアアアアアッド!!!」
雄叫びを上げながらも牙にエネルギーを収束させて迫ってくる、その迫力にアチゲータは一瞬怯んでしまい、動きが止まってしまうがその前にアーマーガアが割って入る。
「鉄壁!!」
「ガアアッ!!」
守りを固めたアーマーガアはイダイナキバの角で突くを完全に受け止める。その防御力にイダイナキバはより強く闘争心が掻き立てられ更にアーマーガアを攻め立てていくがアーマーガアも鉄壁で完璧な防御で応戦する。
「アチゲータ!!」
「ゲ、ゲタ!?」
「ビックリするのは分かる、だけど、だけどな、ペパーの為にも頑張ってくれ!!俺達はスパイスを手に入れないといけないんだ!!」
「っ―――ホゲ!!タァァァァ!!」
「よぅし火炎放射!!」
気合が入ったのかアチゲータは勢いのある炎を吐き出した。それを見たアーマーガアは素早く身を翻してイダイナキバの攻撃を回避して隙を作るとそこへ炎が直撃した。だが余り効いていない。
「ちっ!!相性の問題か!?」
「岩タイプには見えませんが……砂嵐のよく吹くこの環境でダメージがあるようにも見えない……試してみるか、ドリル嘴!!」
「ガァッガガガガガガアアアア!!!」
少しだけワザとらしくそんな事を言いながらも指示を飛ばす、それを受けたアーマーガアは後方へと引くとそのままドリルのように猛烈に回転しながらイダイナキバへと突撃していった。それを見てそれこそ望んでいたと言わんばかりに先程よりもエネルギーを牙へと収束させ、更に巨大な牙へと仕上げるとそのまま真っ向から迎え撃ってきた。
「ガアアアアアア!!!」
「ファアアアアアアアド!!!」
二つの技が激突し周辺に衝撃波を発散させる、が、ドリル嘴が牙に罅を入れると一気にそこから食い破るかのようにイダイナキバへと技を決めた。それを受けたイダイナキバは苦悶の声を上げて後退ってしまった。
「矢張り、イダイナキバのタイプは地面と格闘!!」
「それならこっちだって!!アチゲータ、鬼火だ!!」
「ゲゲゲゲンゲタゲー!!」
炎の帽子から鬼火を生成したアチゲータはそれをイダイナキバへと放った、鬼火によって火傷状態になったイダイナキバ。これで攻撃力は更に下がるのでアーマーガアの防御力で十二分に受けられるようになった。
「ナイスですハルトさん!!アーマーガア、ボディプレス!!」
鉄壁によって防御力は十二分に高まっている、その威力は弱点技にも匹敵する。鋼の身体を丸めて一気に降下するアーマーガアに対してイダイナキバは高速スピンで対抗、攻撃力が落ちているならばスピードで補うだけだと言わんばかりの機転の利かせ方だ。
「アチゲータ、俺達だってやるぞ!!種爆弾!!」
「ゲエゲゲゲタタタタタ!!!」
大きく膨らんだ口から勢いよく吐き出されたのは種爆弾、それは高速スピンをしているイダイナキバの足元で起爆して足場を更に不安定にし、それによってイダイナキバはバランスを崩した。スピンなんて特にバランスが求められる物、回転速度が落ちた所にアーマーガアのボディプレスが炸裂する。
「よしっ!!さあハルトさん行きますよ!!」
「はいっ!!アチゲータ、最大パワーで火炎放射!!」
「暴風です!!」
「ゲェタァァァ!!!」
「ガガガガアアアアアアアア!!!」
鋼の巨躯の羽ばたきが生み出した猛烈な爆風は砂を巻き上げながらもアチゲータの炎すら飲み込んで巨大な火炎の竜巻となってイダイナキバを飲み込んだ。内部から聞こえてくるイダイナキバの声、高熱と砂と風の三つが襲い来る竜巻、だがそこへもう一匹のポケモンが飛び込んで来た。
「ルドオオオオ!!!」
「逃がさないから!!ニャローテ!!」
「スコヴィラン!!」
「「リーフストーム!!」」
突っ込んでいたのはテツノワダチ、如何やらアオイとペパーに追い詰められて逃げて来たのかもしれない。恐らく狙いはスパイス、それによって一発逆転を狙おうとしたのだがニャローテとスコヴィランのダブルリーフストームを受けて軌道が逸らされて火炎竜巻の中へと突っ込んでいった。
「うおっ!?とんでもねぇ事になってるな!!あれハルトとラビさんがやったのか!?」
「正確に言えばアーマーガアとアチゲータさんですね」
その言葉の直後だった。
「ドンッォ!!ファァアアアアアアアアアドッ!!!!」
「ウィ・ルドン・ファァアアアアア!!!!」
一際巨大な雄叫びが上がった、それによって竜巻が四散して消え去ってしまった。
「う、嘘だろまだやれるのかよ!?」
「くそ、随分としぶといちゃんだぜ!!」
「で、でも待って!!もう動けそうにないよ」
イダイナキバとテツノワダチはまだ戦おうとしているが、既に大きなダメージが蓄積しておりこれ以上のバトルは厳しい。それなのにまだ戦おうとする姿にラビは勝利への執念とは別の物を感じ取った。アーマーガアが好む戦いの快楽、それとはまた違う物、そう彼らにとって戦いとは文字通りの戦い、生存する為の戦略なのだ。
「ど、如何する?」
「ど、如何するって……このままにしておくしか……」
「だけどカラフシティだとこいつらのお陰で皆不安がってたぞ、ジムリーダーも調査に乗り出すとかなんかって聞いたぞ」
「どうするか、決まってるじゃないですか」
三人に答えを提示する、トレーナーならばこの答えは分かり切っている答えだ。
「申し訳ありませんが此処は譲っていただきます、よっと!!」
「あっモンスターボール!!?」
ラビはモンスターボールを二つ投げた、ボールはイダイナキバとテツノワダチへと命中した。ボールへと収まっていく二匹、砂漠に落ちたボールは揺れ始めた。固唾を飲んで見守る一同、暫くして―――ポォンッ!!という音と共に揺れは収まった。ゲットは成功した、ボールを手に取ってラビは言った。
「イダイナキバ、テツノワダチ、ゲットだぜ。なんてね」
「おいおいおいおいおい、ゲットしちゃうのか!?あいつら普通のポケモンとは全く違う感じがしまくるのに大丈夫なのか!?」
「確かに不安はありますが、このまま放置してまた元気になるとまた争いを始める事でしょう。今回私達に邪魔されて人間に牙を剥くかもしれない、それを考慮すればゲットが無難ですよ」
「で、でも扱い切れるの……?」
テツノワダチの相手をしていたアオイとペパーは不安げな顔をしていた。自分達が知るポケモンとは一線を画す凶暴性と攻撃性、ゲットしたからと言って言う事を聞いてくれるとは思えない。
「その時は何度でも叩きのめして上下関係を叩き込むまでですよ、その時はお願いしますよアーマーガア」
「ガアア!!!」
任せろぉ!!、と言いたげに翼を広げてアピールをする彼に微笑みながらアーマーガアをボールへと戻しておく。
「大丈夫です、いざとなったらジムリーダーの知り合いを頼ったりしますから。そんな事より秘伝スパイス、でしたっけ?それを探さなくていいのですか?」
「おっと忘れる所だった!!さっきテツノワダチが逃げようとしてた所に多分……あっ入り口があった!!でも入り口が狭いな……いや何とか通れるぞ!!」
「よ~し行くぞ~!!」
一先ず、話はスパイスを手に入れてからにしよう。秘伝スパイスはどんなものなのかも興味があるとラビは三人に続いて行くのであった。
「そういえば、ラビさんってアーマーガアにはさん付けしないんだな」
「ええまあ……私のガチメンバーの一人ですから」
「マジで!?」