週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ?:ニュービーファイヤー

「ガアアアアアッ!!」

「ギャアアアアアッ!!」

 

新たにラビのポケモンとなったガラルファイヤー、傲岸不遜な筈だが理性的且つストイックに自分を高めようとする性格なのか戦闘狂が多めな自分の家の庭にも適応は早かった。マスコット的な立ち位置になりつつあるアーマーガアと現在も激しい戦いを繰り広げている。

 

「ガアアアアアアッ!!!」

 

ドリル嘴で一気に接近を試みるアーマーガアを暴風で土を巻き上げながら攻撃、土や石が混じっていることで威力が増しているが、それすら驚異の回転力で突破して本体へと一直線、と思いきやそこにファイヤーの姿はない。翼を広げて周囲を確認するアーマーガア、そこへ真下からの悪の波動が顔面を捉えた。

 

「ガアアアッ!!?」

「ギャアアアアアアッ!!!」

 

続いて顎に鋼の翼が炸裂する、効果こそ薄いが的確に顎を狙った攻撃はアーマーガアの視界と意識を揺り動かす。そして今度は真上から無数の原始の力が降り注ぎ、アーマーガアが地面へと叩きつけられた。その光景に観戦していた他のポケモン達は大盛り上がり、特にルカリオはそこだ、いけいけ!!とまるでプロレスを見ているかのような大歓声を上げてファイヤーを応援していた。

 

「あれ、本当にラビ指示してないんだよね……?」

「一切ノータッチノー指示です」

「それってどれだけ戦いの経験があるんだろ……」

 

それをお茶を飲みながらテラスから観戦しているサザレとラビ、このバトルに関しては完全にラビは触れていない。指示も出していない、完全に自分達の判断に任せている。バトルはファイヤーの方が不利と言わざるを得ない、何故ならばガラルファイヤーは炎タイプの技を全く覚えない。なのでアーマーガアの弱点を突く事が全く出来ない。

 

「アーマーガアもそれは同じじゃないの?」

「いや、あいつの場合はメインウェポン全てが等倍で入るから有利だ。だけどファイヤーは飛行技が通らない、なんならお得意の鉄壁からのボディプレスが十分通るだけでもあいつからすれば十分だろう。それを戦い方と戦術でカバーしてる」

「ギャアアッギャアアギャアア」

「ガアッガアアアアアアアアアッ!!」

「あっ挑発の効果が切れる瞬間に掛け直した」

 

思った以上にファイヤーのレベルは高い、加えて頭がキレるとは思っていたがそれも想像以上。挑発の持続時間を確りと数えて切れる瞬間に掛けてアーマーガアの鉄板コンボを完全に封じつつ回復も縛る。本当に狡猾な戦い方をする。

 

「……よしそこまで!!」

 

腕時計を見たラビが大きく声を上げた、それにアーマーガアはピタリと止まった姿にファイヤーはおおっ……と言いたげに声を漏らしていた。本当にラビには従うんだ……と感心するような視線をラビへと向けた。

 

「攻撃回数、ダメージ、頻度、戦術、意欲、様々な点を総合してこのバトルは―――ファイヤーの勝ちだ」

「ギャアアアアアアアアアア!!!」

「ガアアアアアアアアアッッ!!!!」

 

バトルアリーナのシステムを参考にしつつ独断と偏見で勝者を決定する。それにファイヤーは翼を広げながら歓喜の声を空へと打ち上げる。一方のアーマーガアは悔しそうに地団駄を踏みながら、声を張り上げていた。

 

「ガァァアアアアア!!!グガアァァァァァ!!!」

「クォォオオオオンヌッ!!!」

「ガアアアアアアアア!!!!」「クオオオオオオオン!!!」

 

「……ギャ、ギャアアア……」

 

サザレでも今のファイヤーの言いたい事が分かった。あれだけ攻撃を受けたのにも拘らず直ぐにバトルを開始したアーマーガア、しかも相手はルカリオである。まだ挑発もキレていない筈なのに……なんでインファイトと鋼の翼で殴りあえるんだろうか……と呆れているように見える。

 

「お疲れ様ファイヤー」

「ギャアアッ」

 

ファイヤーは労いの言葉を貰うが直ぐに頭を下げようとした、それをラビが嘴の下に手をやって止める。ファイヤーからすれば上下関係をはっきりさせたいらしいが……そんなのは趣味でやるルカリオや心から来る忠義心でやるオノノクスだけで十分なのだ。

 

「そんなのはいいさ」

「ギャ、ギャアアア……」

 

まだどこか馴染み切っていないのか戸惑っているファイヤー、彼なりにこうするべきという考えがあったのだろう。

 

「どうだったあいつは」

「ギャアアアッ」

 

強かった、その一言に尽きる。今回は時間制限があった上に判定で勝利を掴んだが、それらがない場合はどうなっていたか……あの戦闘への狂気的までの取り組みとどれだけ揺さぶりをかけても決して折れない闘争心……数多くのトレーナーとのバトルを経験しているファイヤーですら戦慄を覚えるほどのものがそこにはあった。

 

「あいつもあいつでバトルが好きなだけで悪い奴じゃないって事は分かってくれ、それにお前ならあいつを利用する付き合いだって出来るだろ?」

 

その言葉に驚いた、そのような考えを巡らせた事はバトルの最中にあったが仲間にする事ではないなと自分を諫めていた。だがこの男はそれを推奨するような事を言ってきた。

 

「敢て和を乱すような事をしないっていうのは正しい事だし処世術としてもありだ、だけどあいつは結果的にバトル出来て満足出来ればそれでよしなんだ。上手い事誘導するのは俺としては全然OKだ、それに……そっちの方がお前も気楽だろ」

「―――」

「ああおいっだから頭下げるなって、良いからそんなの!!」

 

いやこれは屈服でもなければ上下関係でもない、心からの尊敬によるものだ。狡猾で残忍だと相対したトレーナーに言われた事がある、自分に相応しい言葉だと思う。だがそれが集団では不和になる事も理解している。だから抑えようと思っていたのだが……それを看破して自由にしていいとまで言われた。懐の大きな男だと、思った。

 

「ギャアアアアッギャアアアアアッ!!ギャアア、ァァァアギャアアア!!」

「ああうん、必死に何かを伝えようとしているのは分かるんだけど……ごめん、分からん」

 

力が抜けてコケてしまった。今、必死に自分が何故怪我をしたのかを語ったつもりだったのだが……そうか、言葉は通じなかったのか……普通はそうだったのを忘れていた。だが、今はそれで良いような気がする。怪我をしてよかったとは、妙な事を思ってしまうが……良いのだろう。

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。それでは本日の紹介のポケモンは改めての此方」

「ギャアアアアアアアアアアッ!!!!」

「ガラルファイヤーです」

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