「エェェッバァァァンッ……」
膝をついて荒い息をするエースバーン、自分の相棒としてずっと一緒に戦ってきた相棒が此処まで一方的にやられるとは思いもしなかった。ゴルーグを突破したまでは良かったが、そこからシンボラーに翻弄されて再度オーロンゲを繰り出したが、翻弄するどころか逆に惑わされて突破された。ドラパルトでの強行突破も悉く潰された、そしてギルガルドで漸く相打ちにまで持っていくことに成功。そして続けてエースバーン、ある程度休めた事で再びいいコンディションにまで持って行けたのだが―――
「信じられない……何発火炎ボールを当てたと思ってるの……!?」
「バアアンッ……」
冗談キツいぞくそったれ……と言いたげに相手を睨み付けてまだまだ戦えるとアピールするエースバーン。それを見てラビのポケモンはいいぞまだ戦えるな、さあやるぞやるぞと言わんばかりにその燻銀の翼を広げながら獰猛な雄叫びを上げた。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
アーマーガア界のイレギュラー、同一種族への名誉棄損、週刊エンジョイポケモン放送局のマスコットなどと言われているラビの色違いのアーマーガアがそこにいた。相性の観点から言えば、確実にエースバーンが優勢な筈。実際猛火が発動している状態での火炎ボールを数発受けている筈なのにアーマーガアは向かい続けて来た。飛び膝蹴りから火炎ボールを当てても堕ちる事無く、再び力強く羽ばたいてエースバーンの身体を貫くような重い一撃を放ってくる。
「エェェェェエスッ!!」
「エースバーン……!!うん、行こうっやるよ獄炎ボール!!」
「っアーマーガア構えろ!!」
その言葉などなくてもアーマーガアは最大級の警戒を向けていた。既に猛火は発動し炎技の威力は上がっている、だがその炎を全身から滾らせて足へと収束させていく。その光景に見覚えがあった、あの炎は……エリアゼロでコライドンを破ったレッドのリザードンの一撃と同じ炎。
「エエエエエエエエッスッバアアアアアアアアアアンッ!!!」
青白い炎を滾らせてそれを球状へと変化させ、渾身の力で撃ち放つエースバーン。その圧力は究極技とも言われるブラストバーンにも引けを取らない、だがそれを見てもアーマーガアの顔に焦りや恐怖、困惑の色などはなく唯々狂気的なまでの喜びしか浮かばない。
「真ん前からブチ破れ―――ブレイブバード!!」
「ガアアアアアアアアアア!!」
回転しながら上昇したかと思いきや、全身からエネルギーを溢れさせる、それはまるで引火したかのように青く、白い光へと変化していく。それを纏ったアーマーガアはそのまま凄まじい勢いのまま獄炎ボールへと突撃していく。青白い炎の熱は容赦なくアーマーガアの身体を焼く、がそんな事知った事かと言わんばかりにそのまま高速回転し無理矢理炎を切り裂き、そのまま―――エースバーンの身体を捉えた。
「エ、エースバーンッ!!?」
「バ、バァァァンッ……―――ッ」
その一撃を受けてなお、必死に倒れまいとするが意識が途絶えてしまったのか崩れ落ちるエースバーン。そしてそれを見届けるかのように地面に降りたアーマーガアはまるでその雄姿を誇るかのように勝利の勝鬨を上げた。
「ッッッ―――!!!エースバーン、有難う、カッコ良かったよっ!!」
その戦いをユウリは心から誇りに思った。そしてボールに戻すと同時にラビもボールを構えた、理由は単純明快。もうアーマーガアは戦えない、エースバーンに勝利し、ボールに戻されるまではまだ戦うつもりだったのだろうが……技の反動で意識を失っている。
「お疲れさん、思った通りだったか……満足げな顔しやがって……仕事は終わりだ、戻って休め」
ボールへと戻ったアーマーガア、矢張り重撃でのブレイブバードの反動は半端な物ではなかった。火炎ボールに飛び膝蹴り、そしてラストの獄炎ボールのダメージも響いているのだろう……今回は羽休めをして回復する暇も無い位にエースバーンが攻め立てたのもあるが……。
「っ……~!!!」
感じた事もない高揚感、こんな気持ちは初めて。エースバーンとやっていた秘密特訓、鎧島で得たキョダイマックスの巨大火球からヒントを得て編み出した獄炎ボール、それを真正面から破られた。悔しいなんて思いすらも湧かない程に自分は感激していた。だからもっとバトルしたい、もっと、もっと―――そう思って自然に最後のボールに手が伸びた……だがこれを使っていいのか……?という疑問が過った。これはある種の禁じ手に近しい……
「アーマーガアまで倒されるとは思わなかった、いやこいつが倒れるところがいまいち想像できないんだ、馬鹿にしている訳じゃない……だから、俺も本気で君に勝ちに行く」
「ッ~!!!なら、私も本気で、本気で勝ちに行きますよ、良いですよ……ね!?」
「勝てるもんなら勝ってみろ、さあ抜いてみせろよその剣を!!」
「―――あはっ行くよっ行くよ行くよ行くよ……ザシアン!!!」
とうとう、その言葉を、言っちゃった、言ってくれた……!!躊躇していた最後の一歩を、これを出す事の意味を、全て飛び越える切っ掛けをくれた……その事に心から感謝しながら繰り出したのは剣を携えた気品溢れる剣士、伝説の剣の勇者ザシアン。それを見てラビは一瞬、驚いた顔をしたが直ぐに肩を竦めて笑ってみせた。
「相手にとって不足はない、いや一度お前と戦ってみたかったんだよザシアン」
「ザシアンの事を知って―――!!」
「知ってるよ、恐ろしく強い事もね……だが、こっちも負けるつもりで来てないんだ。行くぞカイリュー!!!」
「リュウウウウッ!!!」
「ザシアン、加減なんて一切しなくていいからね!!全力で勝ちに行くよ!!」
「ウルォォオオオオオオオドッ!!!」
私は一生このバトルを忘れない。全てを出し尽くして、楽しむんだから!!