週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイカンムリ:アタックジイクスパンション

「な、なんだしこいつ!!?」

「ポッポケモン、なの!?」

 

思わずシャクヤとユウリは声を上げて驚いた、それは当然だ。ポケモンは恐ろし気な風貌を持つ種もいる事はいるが、何処か愛嬌があり無機質的な所もあるが不思議と生き物だという認識を持てる存在。だが……目の前のそれからはそれを感じられない。非生物的で非動物的というべきなのか……それほどまでの威圧感があった。赤く透き通った屈強な上半身に四つ足の下半身という異形に二人は恐怖を抱かずにはいられなかった。だがユウリはトレーナーとしてスマホロトム図鑑でそれを調べる―――が。

 

「エ、エラー!?データなし、謎のポケモン!!?」

「えっ何もしかして新種な訳!?」

 

ポケモン図鑑にも登録がないポケモン、それは当然だろう。この世界に生息していないが為に研究が出来ないし発見されても国際警察が管理するかアローラ地方のエーテル財団の手に委ねられるかの二択だろう。だが、ラビはこれを知っている。

 

「―――UB02 EXPANSION」

「ユ、ユービー?」

「イクスパンション……?」

「そう、このポケモンの名前は―――」

「うおおおおおおおおおおおおおおっシャクちゅわぁぁぁあああああんっっっ!!!!」

 

そこへ飛び込んできたのはピオニーだった。ピオニーの顔には娘を発見した事への安心感と今、娘が危機に陥っているという緊急事態への焦りと娘を守らないとならないという責任感があり、ラビの前に出て三人を守るように腕を広げた。

 

「応若僧ども、シャクちゃんを見付けてくれてたんだな!!よくやったぜ、そして―――シャクちゃん怪我はしてねぇだろうな!?」

「あっえっああうん、怪我はしてないっていうか無傷っていうか……」

「そうか何よりだぜぃ!!」

 

最高の笑顔とサムズアップにシャクヤは少し恥ずかしくなったのか、顔を背けながら声でかいし……と呟く。矢張り仲が悪い訳ではないらしい、そしてピオニーはその手にボールを握り込むと目の前にいるそれに向けて構えを取る。

 

「おうおうおうおう、うちの娘に何をしようとしたのかは知らねぇけどな、良い身体のあんちゃんよぉ―――ちぃと反省してもらうぜ!!」

「シッブゥ!!」

 

その構えに何かを感じたのか、何やらポーズを返してきた。ボディビルダーがやるポーズで言えばダブルバイセップスだろうか……ピオニーはそれを見てさらに笑いながらもボールを投げた、飛び出したのはダイオウドウ。ラビは思わず、それは……と言いかけるのだが、そんな事も時既に遅しでダイオウドウは突撃していく。

 

「アイアンヘッドォ!!」

「ドオオオオオオッ!!!」

「シィィィィッ……バルクァァァァァ!!!」

 

ダイオウドウの巨体と重量が合わさったシンプル且つ最高の一撃ともいえるアイアンヘッド、それに対して静かに呼吸を整えるようにしてから―――一気に筋肉を膨張させると片腕一本でアイアンヘッドを受けた。一瞬後ろに下がるが、すぐさま四つの足で踏ん張るとダイオウドウは完全に停止してしまった。

 

「ド・んだとぉ!!?」

「オ、オヤジのダイオウドウを止めた!?しかも片手ぇ!!?」

「強い……!!」

「っピオニーさん指示を、気合パンチが来ます!!」

「ッダ、ダイオウドウ鉄壁!!」

 

超至近距離の間合い、技を繰り出して迎撃する暇はない。ならば防御を固める他無いとダイオウドウに防御を指示するが……次の瞬間、鉄壁が完全に発動した直後に赤い剛腕が振るわれるとダイオウドウの巨体が宙に舞っていた。

 

「ダ、ダイオウドォォォォォォッ!!!?」

 

ダイオウドウは宙を舞ってからピオニーの傍へと墜落した。その衝撃によって巻き起こった風圧は周囲へと襲い掛かった。ラビは二人を庇いつつも流石のパワーだと舌を巻いた。ピオニーのダイオウドウは戦闘不能となっていた、そしてピオニーは……

 

「い、いてぇ……ド・いてぇ……娘の前でなんて情けねぇ……ガクッ……」

「オ、オヤジ!!?ちょっと確り!!いつものド・煩さどこ行ったし!?」

 

先程の衝撃で倒れた際に頭を打ったのか、そのまま意識を失ってしまった。一応ラビはピオニーの状態を確認するが、確りと息はしているし脈拍も問題なし。本当に頑丈な人だ、シャクヤはそれにホッとしつつもダイオウドウをボールへと戻す。

 

「このダイオウドウ、オヤジの相棒で凄い強いのに、一撃で倒すとかこいつなんなん……!?」

「マッシブーン、それがこのポケモンの名前ですよシャクヤさん」

「マッシ、ブーン……?」

「そう。マッシブーン、この世界とはまた違う世界からの来訪者」

 

「シッブッ!!バァァアルクッ!!ブウウウウンッ!!!」

 

そのマッシブーンは先程の技の一撃のクォリティに満足しているのか、それとも勝利を誇示しているのかポーズを連続で取っている。初見こそその見た目のインパクトで衝撃と恐怖を感じてしまうが、この一面を見ると如何にも恐怖よりも不思議な愛嬌と疑問が頭を埋め尽くす。

 

「え、えっと……でもなんだろう、妙に危険を感じないというか……」

「確かに……ダイオウドウが攻撃したから応じただけで本当はおとなしいんかな……?」

 

一切此方を攻撃することもなくポーズを取り続けているマッシブーン、時折此方を見ているが……それにも敵意や害意という物は感じられない。

 

「いつの間にか閉じてるよウルトラホール……と言ってこのままにしておく訳にもいかないんだよなぁ……帰るにしてもアローラまで行かないといけないからこのまま此処に住み着くしかないだろうし……しょうがないか……マッシブーン」

「マシ?」

 

ラビに呼ばれたマッシブーンは此方を向いた。ゆっくりと此方に歩き出しジッと顔を凝視してくる。その熱視線に答えるかのように腕をゆっくりと上げてポーズを取った。

 

「マシッ!!シッブゥンッ!!」

「ハイッサイドチェストッ!!!」

「マシッバァアアアルクッ!!!」

「「えっ?」」

 

突然の行動にユウリとシャクヤはポカンとしてしまった。二人にとっては憧れの超人気配信者が唐突にボディビルのポーズを取り始めたのだから無理もない、がそれ以上にマッシブーンがそれに呼応するようにポーズを返し、最終的にはラビと同じポーズを取り始めた。

 

「ハイッモストマスキュラー!!」

「マシッバァアアルクァァッ!!」

 

そこまでやるとマッシブーンは妙にキラキラしつつ額と思われる部分を拭うと器用に座りながらもラビに手を差し出した、ラビはそれに応じて握手を交わした。

 

「えっ何これ、ユウリ分かる?」

「ええっと……ラビさんがあのマッシブーンの流儀に合わせてコミュニケーションした結果、友情が生まれた……とか?」

「……あるんだ、筋肉の友情って」

 

一先ず、マッシブーンが暴走するという最悪の事態を防ぐ事には成功。まあラビはその事はそこまで危険視していない、出て来たUBがマッシブーンで本当に良かったと安心すらしている。

 

「一先ず……マッシブーン、私の所に来ます?」

「マッシブ!!」

 

気に入ったのかサイドチェストで返答された。

 

「ごめん分からん」

「シブァ!!?」

 

凄い驚かれた。そして心配されてラビは解せなかった。

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