週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイカンムリ:フェイバリットホース

「ユウリ、そっちはどうだった?」

「正直言って大した事は分かりませんでした……王様の御伽噺は聞けました」

「こっちも似たようなもんだ、一応王様の愛馬についての情報も集めはしたが……如何にも情報が古くて信頼性に欠ける」

 

バドレックスから頼まれた情報収集をこなしてきた二人、そのことバドレックスへと伝えると寂しそうな悲しげな顔になってしまった。彼にとっての力の源は信仰だと聞いた、力が弱まったのは信仰、自分を敬い祀ってくる人々の思いが消えていったからに他ならない。

 

「あ、あの王様……その私が言うべき事じゃないけどごめんなさい!!」

「……本当に、其方が言うべき言葉ではない言葉であるな。だが気にする事ではない、愛馬が余の元へ戻れば幾分かは全盛期の力を取り戻せる筈だ」

「それなんだけどな王様、御伽噺の中に愛馬に関するものがあった」

「おおっ誠か!?」

「誠じゃ」

 

御伽噺にはこうあった。真っ白暴れん坊、白い人参食べた。真っ黒暴れん坊、黒い人参食べた。これから分かるのは愛馬の好物が人参である事、しかしその人参は二種類あってそれぞれ別の好物の暴れん坊がいるという事だ。

 

「おおっ思い出したぞ!!我が愛馬はある作物を目にすると一目散にそれへと向かってしまうほどに好物であった!!成程あれは人参であったか、そうかそうか……」

「ぶっちゃけるけどさ王様、アンタの愛馬ってブリザポスかレイスポスだろ」

 

あっけらかんと言い放った言葉にバドレックスは目を丸くした、どうしてその名前を知っていると言わんばかりの表情だ。それはユウリも同じだが、ラビは妹が愛馬と呼んでいるポケモンに跨っている状態の写真を見せた。

 

「うちの妹がゲットしたポケモンだ。氷タイプの白馬でブリザポスだ」

「こ、これは―――間違いない、余の愛馬にして片翼のブリザポスではないか!!?あやつめ、何処に行っておったかと思っておったらそのような所にっ!!?」

「えっ王様の愛馬がラビさんの妹さんのポケモンに!?」

 

まさかと思っていたが、あのブリザポスはバドレックスの愛馬だったのか……そうなると如何するべきかと頭を抱えそうになる。だがバドレックスは慌てている様子は全くなく、ブリザポスが元気そうな姿を見て涙すら浮かべている。

 

「おおっ友よ、遠くに行ってもお主は変わらぬな……白き毛並みに鬣、そして粗暴にして狼藉をいとわぬ堂々たる佇まい……うむっ群れの中でもっと暴れん坊であったお主がまさか少女を背に乗せるとは……フフフ、奴め余を乗せるよりも女子を乗せるのが趣味であったか。あやつめ、今度会った時は一発小突いて進ぜよう」

 

何処か安心したような愉快そうな笑みを浮かべているバドレックスにユウリが慎重に話しかける。

 

「あ、あの王様?いいんですか、だって王様の愛馬……なんですよね?」

「然様。だが余の力が衰え見切りをつけ、新たな主を求めたのであればそれは自明の理にして当然の判断であり余の不徳とする所である。今は幸せそうにしておるのだからそれを祈るが余の務めであろう?」

 

ユウリはバドレックスという存在を失礼だが王としては見ていなかった、ちょっと尊大な態度のポケモン程度にしか見ていなかった。だが、実際は王としての器を確りと有している大きなポケモンだった。少しだけ申し訳なさがこみあげて来た……。

 

「しっかし群れ?こいつら、群れでいるのか?」

「余が豊穣の王として立派だった頃にはこのカンムリ雪原に群生地があったのだ、次第に姿を見なくなったが……その中から余の愛馬として選んだのがこのブリザポス、そしてもう一匹の黒き霊馬たるレイスポスである!!」

 

二頭の愛馬、まあ愛馬というのは可愛がっている馬の事を指す言葉なので複数匹いたところで不思議などはないのだろう。地味に準伝説クラスのポケモンが群れを成していたという末恐ろしい情報を聞いた気がしたが気のせいという事にしておこう……。

 

「それじゃあこのレイスポスさんの好きな人参を探すんですか?」

「人参の種さえあれば余の力で人参を実らせる事は容易い。後は余が奴を御するだけであるな」

 

それを聞いてラビは本当に出来るのか……という疑問を持ってしまった。バドレックスも一応伝説に名を連ねるポケモンではあるが……ハッキリ言ってレイスポスとの相性は最悪。バドレックスは草とエスパーの複合タイプでレイスポスはゴーストタイプ、加えてレイスポスはとんでもない特攻お化け。如何見積もってもバドレックスが御せるようなポケモンではない。

 

「実際、レイスポスを御せるのか?」

「やるしかない事をやるだけである、幸いな事に力もある程度戻っている故、分の悪い賭けという訳でもないのである」

「それを言ったら俺に精神干渉した事が最悪だからそれに比べたら楽でしょうよ」

「……それについてはもう勘弁してほしいのである」

 

バドレックスとしてももう忘れたいのである。明確な格差、序列の差、力の別次元を嫌という程に感じ取った。寛大だと言っていたが、実際その通りだと思った程だ……。

 

「しかし、お主は何を信仰しておるのだ?あれほどの信仰と神秘を未だに纏っている存在がいるとは……」

「信仰は別にしてないような……まあ取り敢えずもうやらない方が良いだろうな、俺の影の中にいるボディガードが次やったら二度と覚めない悪夢に叩き込むって殺気立ってるから」

「しょ、承知したのである……」

「たまに思うんですけど、ラビさんって何なんです?」

「しがないイラストレーターです」

「いらすとれーたーとは凄い存在なのであるな……」

 

バドレックスは 間違った認識を 身に着けた!!

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