「全く、参ったもんだ……」
呆れかえった声と引き換えに冷たいジュースを喉奥へと流し込む。仕事ではなくテツノワダチの事だ。イダイナキバは思った以上に自分の指示を聞く、アーマーガアのようにバトルとなると嬉々としてやる気を出す傾向がある。古代の事を思うと生きる為の行動―――と思ったのだが、明らかにバトルを楽しんでいる。完全にアーマーガアタイプで一緒にしておくと何時までもお互いに戦い続ける事も分かった。逆に言えばイダイナキバはアーマーガアと同じ対応で良い事が分かった。
だが問題はテツノワダチ。彼方は自分がバトルしていないのもあるだろうが、全く此方の言葉に耳を貸さず、明らかに此方を排除する対象としてしか見てくれないので困ったものである。そしてそんなテツノワダチはイダイナキバを特にライバル視しているのか、イダイナキバへと執拗な攻撃を仕掛けて来る。矢張りライバル関係だったのだろうか……。
「まあ正直テツノワダチよりもネモの方が大変だったけどな……」
あの後、テツノワダチをイダイナキバとアーマーガアのタッグで一先ず大人しくさせた後、イダイナキバをボールに戻したタイミングでカラフシティに来ていたらしいネモがやって来た。何故此処にいるかと問えば。
『アオイとハルトからラビさんが此処にいるって聞いたので!!あっそのアーマーガア凄い強そう!!?バトルしましょうよバトル!!私今回復の薬もありますから回復も出来ますよ!!?』
『……如何しますアーマーガアって聞くまでもありませんでしたね……やれやれ……アーマーガア、相手はこの地方のチャンピオンクラスです、加減はいりませんから存分に戦いなさい』
『ガアアアアア!!!』
『やる気満々ですね!!よぉしそれじゃあ行くよパーモット!!』
なんとかイダイナキバとテツノワダチの存在は彼女に漏れる事はなかったのだが……逆に別の事がバレてしまった。勝負としてはアーマーガアがパーモットに勝利した事で終わったのだが、ネモがある事に気づいてしまった。
『やっぱりラビさんって凄い!!でもなんかアーマーガアはニョロボンやケケンカニとは全く違う、何かがある……ただ強いだけじゃない、二人は凄い通じ合ってる気がする……もしかして、そのアーマーガアってラビさんの本気メンバーの一角ですか!!?そうですよねさん付けもしてないし!!』
『(バトルに関しての嗅覚は一体何なんだ……?)ええまあ、このアーマーガアは私の1軍の一角ですよ』
『って事は……この前のニョロボンやケケンカニは本気じゃなかった!?それなのにあんなに強かったんですか!!?凄い、凄いですよ!!!ねえもっとバトルしましょうよ、他のポケモンとも是非戦わせてください!!!お願いしますラビさんこの通りです!!!』
『え、えっとネモさん取り合えず落ち着いて……』
『あっそうか、まずはニョロボンやケケンカニを倒せるぐらいじゃないとダメですよね!!分かりました、私もっと強くなって見せますから!!ラビさん私頑張りますから~!!』
『あ、ああ~……はい、頑張ってください』
これでより一層、ネモに執着されることが決定してしまった……まあこれでも運命だったと諦めるしかない……。
「……やるか」
「今回紹介するのは此方」
「ザニガ」
「シザリガーさんです」
| ・おおっ悪タイプだ。 ・ヘルガーに続いてか。 ・水と悪タイプだっけ? ・また凶悪そうな顔を……。 |
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「シザリガーさんは水と悪タイプの複合タイプです。進化前はヘイガニさんというんですが、進化前の時点で生命力と環境の適応力が非常に高いのが特徴です。かなり縄張り意識が強いポケモンさんでして自分のテリトリーに他のポケモンが入る事を極めて嫌がり、見つけ次第叩き出してしまう程なんです。ならず者とさえ言われる分類が全てを表していますね」
| ・なんというヒャッハーポケモン ・ならず者やなぁ…… ・だけどその分かなり強力なんかね。 |
|---|
「実際、ハサミのパワーと甲殻の硬さは相当な物です。このハサミでポケモンを追い出したりしますが、この強気な性格はハサミと甲殻があるからこそなんです。ハサミがもげてしまって回復するまでの間や脱皮直後で甲殻が柔らかい時などは寧ろ弱気で臆病な性格になってしまいます」
| ・なんだ武器が無けりゃ何も出来んのか。 ・可愛いところあるんじゃんww ・自慢がないと不安のは分かるww ・でもそうなるとそういう時に逆襲とかありそうだな。 |
|---|
「そういう時は川底でひっそりと息を潜めてますね。しかし逆に言えばハサミが大きく甲殻にも傷が多いシザリガーさんはそれだけの戦いを潜り抜けてきた百戦錬磨の歴戦ポケモンさんと言えますのでシザリガーさんと会った時にはハサミと甲殻に注目してみて下さいね」
| ・ほぇ~そうなのか。会ってみてぇな。 ・戦ってみたいなぁ。 ・で味は? ・はっ? ・味だよ味、カニなんだろ食ったら美味いかもしれないだろ? ・一定数居る味気にする人は何なん? |
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「パルデアの皆さんならガケガニさんの連想でハサミとか美味しいのでは?と思うかもしれませんが、泥臭く味も悪いので食べる事に不向きですね。しかし清流などの一部地域に生息しているシザリガーは高級料亭に出される程のものだと聞いた事がありますね」
| ・そうなのかぁ……!!よし、シザリガーゲットしてくる。 ・待て待て待て!! ・お前そのコメント後に捕まえに行こうとしても不安でしかねぇよ!? ・食う気だろ絶対!!? ・ンな理由で捕まえに行こうとすんな!!? |
|---|
「さてそんなシザリガーさんの特性は怪力鋏とシェルアーマー、そして夢特性が適応力です。私のシザリガーさんは適応力です、適応力はタイプ一致する技の威力を上げる特性です。ポケモンさんは持っているタイプと繰り出す技のタイプが一致すると威力が上がりますがそれを更に上げてくれるんです。威力的に言えば同じタイプにテラスタルしたときと同じ威力が出ます」
| ・マジか!?テラスタルしなくてもテラスタル級火力出るのか!? ・しかもタイプが水と悪だろ?通りやばくね? ・うわ、最早テラスタルとかいらねぇレベルだ……。 ・でもそうなるとテラスタルが不要になるから考えるのがスゲェ楽だ。 ・それはそれで超有難い。 |
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「水と悪タイプの取り合わせは兎に角相手のタイプに左右されにくいので常に高火力を押し付けて圧を掛ける事が可能となります。この適応力で本来威力が低めなアクアジェットですら高火力に早変わり。更にご立派なハサミでのクラブハンマーやハサミギロチンまで切り込み隊長としてはこれ以上ない活躍が見込めますね」
| ・切り込み隊長か……欲しかったポジだな ・タイプ相性と適応力で切り込んでいく……いいなぁ ・しかも性格もバトル向きだから活躍も間違いなしだな。 ・うおおおおっ欲しくなってきたぜヒャッハー!! ・あっここにもならずものが。 |
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「因みにシザリガーさんの此処の青い部分は彼らにとっては弱い部分なので触らないで上げてくださいね。弱い部分もありますのでシェルアーマーで防御している子もいます、総括するとヘイガニさんから進化させる事自体は楽な部類ですが、いざ育てるとなると難しい部類にもなりますので気を付けてくださいね。しかし愛情を注いであげればその気性から貴方の頼もしい切り込み役になってくれる事でしょう」
そこで配信を切る事にした。シザリガーは欠伸をするとソファを占領するかのように寝そべるとそのまま寝息を立てて眠り始めた。このシザリガーはどうにも普通のシザリガーとは違う、気性が酷く穏やかで戦う事よりも眠る事が好きで生息していた湖でも他のポケモンと共存していた。
「ホントよく寝る子だなぁ」
なぜ自分のポケモンになったか、旅をしている時に湖でキャンプを張って食事の準備をしたらしれっと混ざってきたのだ。折角なので一緒にご飯を食べたら口に合ったのか、予備のモンスターボールに自分から入ってきたのである。一応バトルなどもしてくれるが、その分ちゃんとご飯を出さないと臍を曲げてしまう。
「やれやれ……今日はお前さんの好物にしてやるか」