「ゴリランダー、ドラムアタック!!」
「エースバーン、火炎ボール!!」
初手、ゴリランダーがドラムを叩き地面から巨大な根が飛び出してそれが無数に向かっていく中にある微妙な隙間を通して火炎ボールを放つエースバーン、火炎ボールをすんでの所で回避するZネクロズマだが、その直後に全方位からの根の攻撃は回避できずに滅多打ちにされる。
「今だマッシブーンつっこめぇ!!」
「バアアアルクアァ!!」
待ってたぜぇ!!と言いたげに雄叫びを上げて突撃するマッシブーン、その動きを感じ取ったネクロズマは全身から波動を放って根を一掃するとアーマーから二本の腕を伸ばし、そこからチャージビームとパワージェムを放ってきた。マッシブーンは4本の脚で地面を上手く蹴ってステップを踏みつつも回避不可なそれに対しては雷パンチと冷凍パンチを同時に発動させて、相殺しながら突撃していく。
「凄い、冷凍パンチと雷パンチを同時に扱ってる!!」
「伊達に相性だけでピオニーさんのダイオウドウに勝った訳じゃないって事か、よしそのまま冷凍パンチをぶち当てろ!!」
「バアアアアルクァ!!!」
渾身の冷凍パンチがZネクロズマの頭部に炸裂する、それによって徐々に身体が凍結し始めていき腕がそのままマッシブーンを掴んでくるが―――ラビは指示を一瞬迷ったが振り向いたマッシブーンを見て、意図を察した。
「そのまま続けろマッシブーン!!絶対に逃がすな!!」
「マッシバァァァァルクァ!!!」
空いていた片腕でも冷凍パンチを発動させてZネクロズマの身体を一気に凍結させる、その影響で自分諸共氷漬けになってしまったマッシブーンだがこれこそ狙いだった。
「よし、王様でかいの一発頼むぞ!!」
「ウムッ!!あの覚悟に応えるのである!!」
「レッジ、ギィィガァァァ……!!!」
「ゾジァァァァ……!!」
バドレックスに合わせるかのようにレジギガスとジガルデもパワーをチャージし始めた。バドレックスはレイスポスと息を合わせ、レイスポスが放つ強力な霊気をサイコパワーで極限にまで凝縮し、一瞬の内に多数の黒い霧状の霊体塊を生成。
「受けるであるぞ、アストラルビットである!!!」
「ガァァァァッ!!」
「ゼドアァァァァ!!!」
無数の霊体塊が発射されると同時にレジギガスは地面を殴りつけた、身体を通じて大地へと伝わっていく波動はゴリランダーが展開したグラスフィールドの影響を受けて翠色へと変貌しながらZネクロズマへと向かい、ジガルデも同じく大地を伝わる波動を放射してレジギガスのそれと融合させて更に威力を高めていた。
「す、凄い風圧っ……ただ技を放っただけでこれなの!?」
ユウリが感じていたのは伝説、それを背負っているポケモンの凄まじさだった。彼女もザシアンという伝説のポケモンを有しているが、それとはまったく違う。ザシアンのそれは言うなれば熟練の技のキレ、だが目の前で起きているのは圧倒的且つ膨大なエネルギーの暴力。
「ゼァァァッ!!!」
複合された大地の波動とアストラルビットが氷漬けになったZネクロズマへと炸裂する、凄まじい衝撃と爆音が耳を劈く。その爆炎の中から飛び出してくるマッシブーン、見事な着地をする彼はラビから視線を受けるとサイドチェストで応えてみせた。
「お手柄だぞ」
「マッシッ―――……ッ!!」
答え切る前に崩れ落ちる身体、必死に踏ん張るが支えきれずに手を付いて漸く身体を支えられた。自分毎凍り付かせた上に大地の波動とグランドフォース、そしてアストラルビットを食らっているのだから当然だ、寧ろまだ意識があって動けるだけ凄まじい。
「ファイヤーの仇の為によく頑張った、よく休め」
「ッシブ……」
その言葉の直後にマッシブーンは崩れ落ち始めた、直ぐにボールへと回収する。ボールを大切に扱いながらも視線を戻すと、そこには多少傷が付いているZネクロズマの姿があった。
「あれだけの攻撃で多少傷ついた程度……いや、効いてはいるな」
目の良さはポケモンバトルの強さに直結する、故に目を大切にしろというのは親にも学園でも言われた事だ。その視力がとらえたのはマッシブーンの冷凍パンチの跡が残っている頭部の傷だった。
「成程、ジガルデの力をその身に宿した影響でドラゴンタイプの力を得ている。そうなると耐性はウルトラネクロズマと同じか……王様、ユウリを乗せてやってくれ!!お前とバドレックスが切り札だ!!」
「よ、余達であるか!!?わ、分かったのである!!ユウリ、乗るである!!」
「う、うん!!」
レイスポスは膝を曲げてユウリを乗せやすくしたが、その隙を突いてZネクロズマは全身からエネルギーの矢を撃ち放った。サウザンアロー、ジガルデの得意技の一つだ。ユウリはまずいとエースバーンに指示を出そうと―――
「ジガルデ、本家本元を見せつけてやれ!!サウザンアロー!!!」
「ッ!!ゼドァァァアアアア!!!!」
唐突に放たれた言葉にほんの一瞬、ジガルデは驚いたようだったが直ぐに笑ってそれを受け入れていた。全身から緑色のエネルギーの矢が放出されてZネクロズマのそれを全て撃ち落していく。Zネクロズマは苛立ち交じりの雄叫びを上げる。だがそれは直ぐに別の意味に上書きされる。
「レジギガス、冷凍パンチ!!」
その巨体からは想像出来ないほどの俊敏性、あっという間にトップスピードに到達したレジギガスのそれはレイスポスの機動力を凌駕していた。そこから繰り出された冷凍パンチはZネクロズマの頭部を捉えて吹き飛ばした、吹き飛ばされながらも輝く光球を生み出すと殴りつけるように発射してくる。
「王様、シャドーボール!!」
「応っ!!」
レジギガスへと命中する前に入り込んだシャドーボール、僅かに抑え込んでいる間にそこへ炎を纏ったエースバーンが蹴り込んでそれを完全に四散させる。
「ユウリ好きに動け!!俺達がフォローする、さあゴリランダー、やるぞ!!」
「ゴオオオオオオオオオオダアアアアア!!!!」
ドラムを思いっきり地面に突き立てると渾身の一撃を放つゴリランダー、周囲からは異常に太く巨大な蔓が無数に出現してラビを守るように広がりながらもいつでもZネクロズマを攻撃できるように展開されていく。それを見たユウリはドラムアタックなどではない、あれはハードプラントだと看破した。
「さあ、描かせて貰おうかネクロズマ……お前の、敗北を!!」