「王様、このまま直進!!あっマズいあっちに移って!!それから斜め右のあっち!!!」
「任せておくである!!余は王である前に一流の騎手、そして我が愛馬に駆けられぬ大地などはないのである!!!」
レイスポスの背中に乗せて貰っているユウリはバドレックスの手綱捌きに驚きを禁じ得なかった。レイスポスとの連携も素晴らしいし本当に互いが互いを信頼しているのがよく分かる。そして今自分たちが走っているのは―――
「エースバーン、火炎の飛び膝蹴りィ!!!」
「エェゥバアアアアアアアアアアンッ!!!!」
「ゴリランダー、奴の後方左後ろ!!」
「リッィィンダァ!!!」
ゴリランダーが生み出し操っている巨大な根、その大きさはレイスポスがフルスピードを出せる程の太さと大きさを誇っており、それらが無数に地面から伸びていてZネクロズマを囲んだり、自分たちの道になっている。逆にZネクロズマの攻撃を事前に防いだり、その壁を解放して攻撃を読ませなかったりしてくれている。爆炎を纏ったまま突撃するエースバーンの足場となり、Zネクロズマへと導く。首へとそれが炸裂するがZネクロズマはまだまだ動ける様子だった。
「ジガルデは龍の波動、レジギガスは岩雪崩!!ゴリランダー分かるな!!」
「リィィンダァァァァッ!!!」
自らの姿をした光線を発射するジガルデ、それを真正面から迎撃されるが頭上から無数の岩が雪崩のように降り注いでくる。しかしそれに新たなアレンジが加えられる、ゴリランダーが制御する根がそれらを弾いて回転や勢いを増させてぶつけていく。
「王様、今のに紛れさせる感じ!!」
「アストラルビット、である!!」
アストラルビットが降り注ぐ中でユウリはラビの発想力などに舌を巻く。ハードプラントを此処まで自在に操るのはドラムアタックで根を操るゴリランダーだからこそかもしれないが、それを使って岩雪崩の威力を加速させるなんて自分では絶対に思いつかない。
「ゼァァァッ!!!」
「っゴリランダー奴の身体を縛れ!!」
「リィィンダァァ!!!」
ラビの指示を即座に聞き入れてZネクロズマの身体へと極太の根が巻き付いて動きを完全に拘束した。身動ぎも出来ない程に強く強く縛り上げている状態で全身から眩い光と波動を放った。
「エースバーン、火炎ボール拡散!!!」
「バアアアンッ!!!」
エースバーンは生み出した火炎球をワザと蹴り砕いて無数に散らせた、Zネクロズマの身体へと降り注いでいくと波動を此方へと向けて来た。次第に波動は収束し始めて自分を狙いだしてきた。
「王様!!」
「任せておけ!!」
駆け抜けていくレイスポス、背中へと迫ってくる波動。レイスポスは独自判断でシャドーボールを後方へと放つが、それを一瞬で搔き消してしまった。
「集中を切らすでない!!」
「ッバクロォス!!!」
腹を蹴るバドレックスの言葉に正気に戻って緩んでいたスピードを締め直す、このままでは何れ追い付かれると思った時に波動が四散した。視線を動かすとZネクロズマと組み合いをしているレジギガスの姿があった。あのアーマーを握り潰さん力で締め上げるレジギガス、だがZネクロズマは全く引こうとしない。
「ギッ……ガ……スゥ!!」
スロースタートのリミッターが完全に解除されている自分と拮抗するパワー、だが唯の力だと見抜いたレジギガスが自分ごと回転するように体勢を崩した。そのままの勢いでZネクロズマは投げ飛ばされて地面に叩き付けられた。
「リ、カリ……!!」
「ゴリランダー、力強く、ハードプラント!!」
「エースバーン、力強く、獄炎ボール!!」
「これで、どうであるかぁぁぁぁ!!!」
動きが止まったその瞬間に全力の攻撃が叩きこまれていく。全方位から草の究極技の力業、そこに続いて不完全ながらも力業で放たれる獄炎ボール、そしてバドレックスの最高の技であるアストラルビットが注がれていく。
「ジガルデ、力を取り戻す時が来たぞ!!」
「ゼドァァァ!!!」
今ならいけると判断したラビはジガルデに叫んだ、その言葉を受けてジガルデはなんと飛び上がった。背中の器官からエネルギーを放出して疑似的に空を飛んでいる、そのスピードは神速並。それで一気に距離を詰めるとネクロズマの身体へと尾を突き立てた。
「リ―――カ……ゼ、ァ……!!」
突き立てられた尾、そこから何か光がジガルデへと吸収されていく。ネクロズマは何か苦しむような動きをするが、次第に力が抜けていくかのように動きが遅鈍していく。かと思った時、腕で地面を殴りつけるようにして後退し距離を取った。
「まだ動けるなんて……!!」
「あのネクロズマとやらタフすぎるぞ!!」
ユウリとバドレックスの言葉は正しい、確かに凄まじくタフだ。しかしそれにも限度がありそれは遂に限界を見せた。急激にネクロズマの身体が光を失っているのだ、身体は急速に縮んでいき、その身体を維持出来ないように青黒く鋭角的な水晶のごとき身体へと変貌した。赤い光は纏っているが先程までの威圧感はない。
「よし、ネクロズマの姿を戻した!!」
「って事は―――これってマズいラビさん、ダイマックスが来る!!!」
ユウリが気付いたのはダイマックスエネルギーの本流、周囲のエネルギーがネクロズマへと集中し始めていた。明らかにダイマックスの兆候だった、レジギガスにも引くように言うとすぐさまジガルデを抱えて後退し始めた。ユウリ達がラビの元に到達した時、ネクロズマはダイマックスを完了させた。レジギガスを超える程の超巨体、あの巨体から繰り出す力でこの場を逆転する気だ。
「ラビさん任せてください、ダイマックスが相手なら私達が何とかします!!」
「バァァァンッ!!」
こういう時こそ自分達だ!!と言わんばかりに名乗りを上げるユウリ、確かにガラルの民である彼女こそが最適解かもしれないが……それよりも此処はこいつに任せるのが一番だろう。ラビのそれを理解してエースバーンもユウリとともに譲った。それに―――ジガルデは感謝を表した、此処までの共闘だけではなくあれとの戦いを譲ってくれた事への感謝だ。
「ゴリランダー」
「リン」
ジガルデの足元から根が現れ、ジガルデを持ち上げた。バドレックスが粋な演出であるな、と思っているとジガルデは赤い光を纏いながらも翠色の光を纏い始めた、その光には無数の気配が感じられ、それらが嵐のような渦を生み出した。赤と翠の光が四散した時―――そこにいたのは翼を広げた巨人だった。
「ジガルデ、それが完全な力を発揮するとき、その姿は巨大な皇の姿をした7つの頭を持つ竜人となり、圧倒的なパワーで命を弄ぶ者を駆逐すると言われている。あれこそがジガルデの最終形態」
「最終、形態……!!!」
「ゼドァァァァアアアアアアアア!!!!」