一回限りのエキシビション、揺れるガラルを更なる激震が揺り動かした。引退すると思われていたガラルチャンピオンユウリの復帰、それと同時に記念エキシビションマッチの開催が宣言された。その相手は一体誰なのかと誰もが思った、前チャンピオンのダンデか、それともトップジムリーダーのキバナ、友人にしてメジャーへと上り詰めたマリィか、様々な憶測がなされたが……その相手として登板したのはイラストレーターのラビ。一瞬言葉を失いながらも観客は熱狂した、あのラビなのかと。このガラルリーグでも姿を見せた事があるあのトレーナーとバトルするのかと。
「レジアイス、冷凍ビーム!!」
「鋼の翼!!」
そのバトルは最初っからフルスロットル。ユウリはカンムリ雪原で自分に付いてくることを選択したレジアイスを投入。それに対してラビはアーマーガア、それを見た時にガラル民からは熱狂と恐怖の声が上がった。何故ならばラビのアーマーガアはその凶暴性とバトルへの異常なまでの積極性から狂乱の鋼鴉と呼ばれている程に恐れられている。
「レジアイス、下に向かって冷凍ビーム!!それでスピードを稼ぐ!!」
「レジアイ、レジ~アイ~!!」
タイプ相性的には飛行タイプが入っているために氷技も通りがよいが、覚える技まで加味するとアーマーガアの方が優勢と言わざるを得ない。床を凍てつかせてその上を滑って機動性を上げようとするレジアイス、が
「ジィッ!!?」
「はやっ!?」
「悪くないアイデアだが、生憎氷タイプとは戦い慣れてるんでね」
最短距離を最高速度を維持したまま追走するアーマーガアを全く振り切ることが出来ない、そのまま鋼の翼をまともに受けるレジアイスだが吹き飛ばされながらも咄嗟にロックオンの発動に成功し、それにユウリは笑う。
「電磁砲!!」
「レジアイ、レジ~アイ~……ァァァアアッ!!!」
ロックオンがされている事で外れる事があり得ない電磁砲、最早受けるしかない筈……が
「高速移動!!」
「ガアアアアアアアッッ!!!」
アーマーガアが寧ろ闘志を剥き出しにする、彼にとっては絶対に当たるようになった高威力技など更なるバトルの快楽へのカンフル剤でしかなく恐れる理由にはならない。高速移動で更にスピードを増強しながらも急上昇からの急降下を開始する。それで電磁砲を地面に激突させる目的ではないとユウリは直ぐに分かった。
「で、電磁砲が当たってもいいんだ、別に気にしないんだあの子……!!レジアイス、アイススピナー!!」
「回転で負けるな、ドリル嘴!!」
両者ともに高速回転をしながら突撃していく、それらが激闘しようとなった時、ユウリはハッとなった。
「マズい、レジアイス避けて!!!」
「レ、レジアイ!?」
「遅い、つっこめぇ!!!」
「ガアアアアアアアアッ!!!!」
ドリル嘴とアイススピナーが激突するとき、背後から迫ってきた電磁砲も直撃して大爆発がスタジアムで発生する。レジアイスによって冷却された空気が電磁砲によって一気に過熱された事による爆風が吹き荒れる、ユウリはその爆風に必死に耐える中で見た、揺るぎもせずにフィールドへと視線を向け続けるラビの姿。爆煙が晴れていく中で影が、倒れ伏した。同時に煙が広げられた翼によって霧散し、勝者は高らかに雄叫びを上げた。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!」
『レ、レジアイス戦闘不能!!アーマーガアの勝ち!!!』
伝説のポケモンでもあるレジアイス、それをゲットして直ぐに使っている為に互いのコンビネーションが熟達していないとはいえレジアイスもユウリの指示をよく聞いてよく反応していたと誰もが思った。それなのに完全に上を行って捻じ伏せたラビの強さに言葉を失っていた。
「戻ってレジアイス、お疲れ様だねゆっくり休んで……流石ですねラビさんのアーマーガア!!私のアーマーガアよりもずっと強い!!」
「まあこいつは俺のポケモンの中でもとびっきりのイレギュラーだからな、そう簡単に倒せる程軟じゃないさ」
「でも……私はまだまだ、まだまだ負けてないです!!いくよ、エースバーン!!!」
「バアアアアアアンッ!!!」
3対3のエキシビジョン、2匹目で相棒にしてエースのエースバーンを投入。これに実況や解説も驚きの声を上げたがユウリからすれば此処で確実にアーマーガアを仕留めなければならないという思いが渦巻いていた。このまま自分は何も出来ずに敗北を喫するかもしれない。
「今度こそ、確実に勝つよエースバーン!!」
「バアアアアアアンッ!!!」
「それじゃあもう一度あの時の再現と行こうか、アーマーガア、さらに上げていいぞ!!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!」
「いやぁこっちでも凄い騒ぎになってたよ、ラビとユウリちゃんのエキシビションマッチ」
「そりゃどーも……ったく引き受けるんじゃなかったか」
パルデアへと帰って来たラビはお疲れな様子でサザレに膝枕を要求して、その上で横になっていた。そんな恋人の頭を優しく撫でて上げながらも労う。
「ラビフィーバーが起きてるって聞いたよ」
「やめてくれ、俺には荷が重い……ああっ疲れた……」
エキシビジョンマッチではラビが2対0で勝利を収めた、敗北したにも関わらずユウリは宣言通りに笑っていた。一部ではエキシビションマッチとはいえ敗北した者にチャンピオンが務まるのかという意見も出たそうだが、それが如何した!!と笑い飛ばしている。
「そういえば四天王も決まったんだってね」
「ああ、オニオンにメロン、そしてネズ……」
「最後にダンデさんって凄い面子の四天王だね、元チャンピオンが四天王って……」
四天王にはダンデが自らの戒めという事も踏まえて立候補を行った。四天王自体はジムリーダー程忙しくないのでバトルタワーの支配人とも兼業は可能だと述べている。マサルの就任も検討されたが、此方はフロンティアブレーンとして就任が決定済みなので兼業は諦める事となった。
「それで……あれは?」
「これがラビの庭か、圧倒的な広さであるがそれ以上に多種多様なポケモンがここまで共存しておるとは……!!むむむっこれは様々な地を巡ってみたいものだな!!」
「ぽに?」
「おおっ自己紹介が遅れたであるな、余はバドレックス。此方は愛馬のレイスポスであるぞ」
「ぽにぽにおーん!!」
「ほほう、オーガポンとやらが案内をしてくれるのか?ぜひ頼みたいであるぞ!!」
視線の先に居るのはバドレックスとレイスポス。身の振り方を考えた結果、ラビについていく選択をした。ジガルデとレジギガスという存在を操れる程のトレーナーの元に行きたいという希望もあり二人はラビのポケモンとなった。その内に妹のブリザポスと再会させてあげる事も考えている。
「さてと……サザレの膝を堪能したら……やるか」
「膝だけでいいの?」
「ああ大丈夫だ、それ以外は後で味わうから」
「―――……うん、準備しとくね」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回ご紹介するのはこちら」
「フォゥ」
「フォレトスさんです」