「いくよニャローテ!!」
「ンニャアアアアッ!!!」
やる気十分なニャローテとリコ、それに対するはオリーヴァとラビ。これまでのラプラスとファイヤーと比べると失礼かもしれないが楽な相手と思えるような対戦カードではある、事実としてリコはこのオリーヴァとの対戦経験があるので二人よりもずっといい条件でバトルを行う事が出来る。
「以前とは違い、そちら一人のみでのバトルだ。実力を、示してみなさい」
「勿論です、マジカルリーフ!!」
「日本晴れ」
手首から伸びたツタをヨーヨーのように操り、勢いよく回転させてマジカルリーフを放つニャローテ。それをまともに受けるが同じ草タイプに効果はいま一つ、そして周囲には零れ種によってグラスフィールドが展開され、太陽は日本晴れにより一段と輝き始める。
「あの時の、再現ですか」
「さあどうでしょう、これが私のオリーヴァさんの基本戦術なのかもしれませんよ」
「電光石火、そこからアクロバット!!」
一気に加速しながらも伸ばした蔓でオリーヴァの一部を確りと捕まえる、周囲をぐるぐると回りながら背後から一気に飛び掛かる。技の選択とコンビネーションは良いと褒めつつもラビは冷静に対応する。
「マジカルシャイン」
「リィヴァァ!!」
「ニャアアアアアッ!!!?」
背後から死角を突こうとしたニャローテ、だが全方位へと照射される圧倒的な光を受けて吹き飛ばされてしまう。
「ま、真後ろからでも分かっちゃうの……!?」
「残念ですが背後や死角を取るのは常套手段です、背後か斜め後ろから来るのは読めていました。ですが敢て裏をかいてくることも考慮して全方位のマジカルシャインを放ちました」
「流石に経験が違い過ぎるな……普段ならリコの頭の回転を誉める所なんだが……あいつ相手じゃ浅知恵でしかないか」
フリードが思わず呟く。ポケモンバトルによってはもっと視界が悪い場合がある、特に砂嵐や雪下では視界どころか音すら信頼性を失う。ならばどうするか、頭の中で相手の動きを補正するしかない。ラビはそれを数えきれないほど経験している、特に弟妹達がそれを駆使する為に慣れきっているのでニャローテの攻撃射角は予想がついていた。
「それではこちらも行きましょうか」
「ニャローテ気を付けて!!」
「ンニャ―――「ソーラービーム」……ン、ンニャ?」
何時でも回避できるように務めていたのにニャローテは全く反応出来なかった、逸れたのかそれとも外したのかは分からないが……ニャローテの直ぐ傍には抉れた地面があり、その奥にはスタンバイしていたのかバッフロンがソーラービームを飲み込む姿があった。
「何今の!!?」
「バ、バトルフィールドが……削られて、いや一瞬で抉り消えた!?」
「今のソーラービーム、だけど日本晴れがあるからってあんなに即座に打てるもんなの!?」
「打てるには打てるけど、あんなにパワーチャージが少ないのは見た事ねぇぞ!?」
モリーとマードックから悲鳴にも似た驚きの声が上がった。ソーラービームは発射までのタイムラグがあるが、打てさえすれば大ダメージが期待できる技。日本晴れで天候を日照り状態にすれば直ぐに打てるようにはなるが……幾らなんでも早過ぎる。
「そうか、ラビの奴グラスフィールドも利用してやがるんだ」
「でもあれって草タイプの威力を上げるんじゃなかったっけ!?」
「成程、それを利用してパワーチャージを常に行っていると変わらぬ状態にしておるのじゃな?」
「ああそうだ」
グラスフィールドの草タイプの技の威力上昇と体力の回復、それをソーラービームのパワーチャージに利用し、その気にさえなれば即座発射出来る体制を作り上げていた。
「さあ、この危機をどう潜り抜けるのかを是非見せてください。君の……冒険への熱意を」
「熱意……私の熱意……!!!」
取り出したのはテラスタルオーブ、遂に来るかとラビは笑う。
「ニャローテ、満開に輝いて!!!」
「ンニャアアアアアアア!!!!」
テラスタルを発現させるニャローテ、タイプは草。さて自分はどうするかと思ったが、力試しなのだからいいだろうと取ろうとした手を下げる。だがその代わりに……こちらの本気の一端という奴を見せてやろうじゃないか。
「ニャローテ、鋭くマジカルリーフ!!」
テラスタルが輝きを増す、放たれるマジカルリーフは通常の物よりもパワーを感じるが……これは技の範囲を極端に狭くして精度を上げている、これはこれで業に通じる技術。
「地面に種爆弾」
「リヴァ!!」
放たれた種爆弾はマジカルリーフではなく、その手前に落ちた。不発かと皆が思う中でマジカルリーフが通り過ぎようとした瞬間に炸裂して爆風を伴って技を無効化してみせた。
「何と、何と素晴らしい……貴方のそれは力業や早業にも通じる素晴らしい技術です」
「有難う御座います!!ニャローテ!!行くよ、鋭く、力いっぱい、全力で!!マジカルリーフ!!!」
「ンンンンッニャアアアアアアアアアア!!!!」
更なる上があった、ニャローテは自分の全てを出し切ると言わんばかりの勢いで技を繰り出すがその様は翠の津波。グラスフィールドの補助も活用してこれほどの技を放つ事が出来るとは実に素晴らしい、ならば此方もそれにこたえて上げるとしよう。腕を上げるとオリーヴァは構えを取った。
「ツインソーラービーム、照射!!」
「リゥッッ……ヴァアアアアアアアア!!!!」
両腕から二本のソーラービームが発射された、それはマジカルリーフと拮抗する事もなく一瞬で貫通しニャローテを飲み込んで大爆発を引き起こした。
「ニャ、ニャローテ!!!」
空に舞った相棒に思わず駆け出したリコは身体を投げ出すように飛び付いた、ニャローテはまだ動けると言いたげに必死に身体を起こそうとするがリコがそれを抱きしめて止める。
「もう、大丈夫だよニャローテ。もっと、もっともっと強く成ろ、私と……!!」
「ンニャ……ンニャァ……」
ニャローテはリコにこんな顔をさせてしまった事に少しばかりの後悔を滲ませたが、一緒に強くなれる事に何処か高揚感を抱いているかのようだった。そんな二人に六英雄のオリーヴァは笑った。一番見たかったものを見れたと言わんばかりの笑顔だ。
「悪くなかったぞリコ、小細工が通じないと思ったら最大戦力を投入か、良い思い切りだ。それは良い武器になる」
「あ、有難う御座います……あ、あのっうラビさんはニャローテの事とか詳しいですか!?それなら色々教えて欲しいんです!!」
頼るべきは即座に頼る、矢張り頭の回転が速い。そして
「それじゃあとあるポケモンを紹介しましょう」
「あっ配信者モードに入った」
「ぐるみん氏に言われたくはないですね」
「うっ……」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「ゥゥナァァ」
「マスカーニャです」