「ラビさん!!メガシンカポケモンとバトルさせてくれませんか!!?」
「うん、何かそう来ると思ってたよ俺」
とある仕事の帰り、イラストを完成させて届けた後に外食でもしようかな……と考えながら歩いていたらネモに遭遇してしまった。そして当然自分の前回の配信でのアブソルの話になってしまったので分かってた……と言いたげな顔を作りそうになった。
「私、実はメガシンカポケモンとバトルしたかったんです!!あっもしかして、アローラキュウコンとかライチュウ持ってるって事は……Z技とかも使えるんじゃないんですか!!?」
「ホント君って人はポケモンバトルに関する嗅覚が凄い子だね……まあ、確かにZ技も使えるよ。アローラ地方を旅している時はククイ博士の所でお世話になってて、その時にZ技の研究をするって言うから協力の為に島巡りもしたからね」
その時にアローラの守り神ことカプに目を付けられてとんでもない事になったりもしたのだが……それはまた別の話。というか思い出したくないので封印しておきたい。
「それじゃあ、バトルしましょ!!」
「しかしメガシンカか……生憎今はアブソルさんしか連れてないから、アブソルさんがメガシンカを容認してくれるか―――ってあっちょっと!!」
「~……!!」
「うわあっアブソルだ!!」
ボールから飛び出してきたアブソル、気性の荒いアーマーガアなどはボールから主張する事などはよくあるが、自分の言う事をよく聞くし大人しいアブソルが自分から出て来るなんて事は酷く珍しい。ネモはネモで配信での事もあって感動しているようだが……アブソルは明らかに喉を震わせて威嚇をしている。
「アブソルさん、ダメですよ。すみませんネモさん、如何したんですかアブソルさん」
「ルルゥッ……!!ソル!!」
ネモを睨み付けながらも頭を振るって髪飾りを露出させながらもメガストーンを輝かせた。
「ええっ!?バトル、したいんですか?しかも、メガシンカを自分からなんて」
「本当ですか!?やった~メガポケモンとバトル~!!」
ネモはシンプルに喜んでいるがラビからしたら喜べることでもない、メガアブソルになる事は基本的にアブソルという種族そのものが思想として嫌がる事。このアブソルだって例外ではない。縁側で自分と一緒に日向ぼっこをする事が大好きな筈なのに……。
「……貴方がそこまで言うなら私が口を挟む事ではありませんね、やりましょうか」
「ソルル!!」
「よ~しえ~っと……私の家の裏庭でやりましょうか!!折角ならちゃんとしたバトルフィールドでやりたいですもんね!!此処から近いですし!!」
「いえぶっちゃけ私はその辺りの野原でも構いませんけど……ネモさんとしても三十路近いおっさんがご自宅に入り浸ってるなんて噂が立つのは迷惑でしょう?」
「えっラビさんが入り浸るなら大歓迎ですよ?何時でもバトルできるじゃないですか!!」
「年頃の娘さんの発言じゃないんだよなぁ……」
この時、アブソルの瞳は更に鋭くなった。アブソルは理解した、この女は自分の敵だと。
「行きますよぉっ私は、ルガルガン!!」
「ルガァ!!」
「やれやれ何だか妙な事になりましたねぇ……しょうがない、行きますよアブソルさん!!」
「ソル!!」
アブソルに言われてから携帯するようになったメガリングを左手の薬指に嵌める。アニバーサリーリングともされる位置、そして左手の薬指は絆を深める意味がある。メガシンカにはこれ以上ない位置だ。嵌められた位置を見てアブソルも嬉しそうにしている。が、ラビとアブソルで意識の違いがある事には気づいていない。
「来るよルガルガン!!」
「グッルルル!!!」
メガリングから溢れた光がアブソルのメガストーンと合わさって莫大なエネルギーへと変換されながらアブソルへと注がれていく。それはまるでアブソルに空を飛ぶ翼を与えるような―――変化を齎していく。
「あらゆる災いを凌駕する力を今此処に、超克せよメガシンカ!!」
「ソルルルルルルッ……!!」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。本日ご紹介するポケモンさんは此方」
「イタァァッ!!」
『イッ!!』
「タイレーツさんです」
| ・おおっ可愛い!! ・んっ?複数匹? ・タマタマとかそういうタイプなのか。 ・にしても、これ何タイプだ……? ・虫、か? ・また虫か。 |
|---|
「いえタイレーツさんは格闘単タイプ。一番前がヘイチョー、後ろの5匹がヘイと言われておりましてこの6匹のグループでタイレーツというポケモンになる訳です。ヘイチョーとヘイの見分け方はヘイチョーさんはヘイさんと比べて一回り大きく、盾を構えて前方をガードしている事ですね。それではヘイチョーさん、整列願います」
「イッ!!タレ~!!!」
『イッ~!!』
| ・おおっヘイチョーが号令掛けた。 ・一糸乱れる事もない何と見事な整列……。 ・すげぇ統率力だ。 |
|---|
「御覧の通りに基本的に彼らはチームで活動し、ヘイさん達はヘイチョーさんの命令は絶対順守。このヘイチョーさんは6匹の中で最も強く賢いヘイさんがなるとの事です、ヘイチョーの命令通りにフォーメーションを組み替えながら攻撃と防御を巧みに切り替えながら戦うのがタイレーツさんです。そして彼が基本形としているこの一列の姿ですが、自分達が虫タイプであるように見せる事で苦手としているエスパータイプを威嚇する、らしいですが……飛行タイプは良いんですか?」
| ・ま、まあエスパーと飛行どっちが厄介と言われたら、ね? ・エスパーは念力系で最悪封殺されかねないしwww ・そう考えれば妥当な擬態かもしれない。 ・最悪飛行は縦積みになれば高さの対応出来そうだしwww |
|---|
「こんな可愛らしいタイレーツさんですが、格闘タイプらしく力強い技も覚えます。インファイトを筆頭に馬鹿力や瓦割りといったパワフルな技を使えますしフェアリー対策にアイアンヘッドに毒突き、虫ポケモンへの擬態の関係なのか出会い頭にメガホーン、岩タイプの岩石封じや悪タイプの地獄突きなどなど……中々のラインナップを誇ります。そして彼らと言えばの代名詞的な技こそが背水の陣という技です」
| ・格闘タイプなのに芸達者だなぁ ・可愛いだけじゃないのか。 ・そしてなんか物々しい名前の技が。 ・一体どんな効果が? ・何が出来るんだ? |
|---|
「背水の陣は自らの交代を封じる代わりに攻撃、防御、特攻、特防、素早さの能力を上昇させることが出来ます。状態異常などになった際の交代したくなる時に出来なくなるという欠点こそありますが、この能力上昇は他の格闘タイプとは一線を画す差別点ではないでしょうか。他にもビルドアップや鉄壁と言った技も覚えるので自らを鍛え上げる事に余念がないポケモンさんです。チーム戦の大トリ、1対1の戦いで実質デメリットなしという点も素晴らしいですね」
| ・いや強いな!? ・可愛い顔して普通に戦士だった!!? ・伊達にヘイチョーなんて言われてねぇな。 ・ヘイも兵なのか? |
|---|
「加えてタイレーツさんの特性はカブトアーマー、不意な急所で勝利の陣形が崩されることも許しません。夢特性は負けん気、威嚇などで能力が下がると攻撃が上昇するという特性で勝利へと貢献してくれることは間違いなし。抜群のチームワークによる陣形で相手を貫く槍にも攻撃を受け止める盾にもなるのが陣形ポケモンであるタイレーツさんなのです」
「イタァッ!!!」
『タ~ツ!!!』
配信が終わるとタイレーツは庭へと出ると行進を始めた。このタイレーツ、実はゲットしたばかりの頃はヘイチョーが未熟だったためにチームワークは上手くなかった、なのでそれぞれがバラバラに行動するというタイレーツとして致命的な欠点を抱えていたのだが……成長するごとにヘイチョーの統率力が上がっていき、逆にそれを戦術に活かし始めたのである。
「ヤァドッ!!」
「イタァ!!イッー!!」
『タタタッ!!』『レーツ!!』
タイレーツに付き合っているヤドラン。ヤドランがシェルアームズで攻撃、毒を飛ばして攻撃するのだが、タイレーツは2グループに分けた。ヘイチョーと2匹のヘイ、それは守るを使用して防御すると残った3匹のヘイはそれぞれ別の方向からヤドランへとインファイトを仕掛けた。そう、常にグループで動くのではなく必要に応じて陣形を複数に分ける事をし始めた。流石に攻撃力や防御力は6匹に比べたら落ちるが、より陣形の汎用性と対応力が出てバトルでは相手を困惑させるのでかなり有効な戦術となっている。
「そろそろご飯にするぞ~」
『イタッ⁉タイレ~!!!』
「イッ⁉イタァァァァアッ!!?」
が、ヘイたちは酷く食欲旺盛なので食事時になるとヘイチョーを弾き飛ばして我先にと迫って来る事だけが難点。その際に、毎回毎回ヘイチョーはぶっ飛ばされて目を回している事がお約束になってしまっている。
「ホント、そこだけは変わらないなぁ……」
「ヤァ……ヤア?ヤド……ヤドラン?」
「お前もそうだったか」
タイレーツ・ヘイチョー CV中村悠一